転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1134話

『ねぇ、○○○○。今日はどうするの? 麻帆良に行く? それとも……』

 

 その言葉が聞こえてきた瞬間、意識を覚醒させる。 

 どこかの食事風景。顔も見えない誰か。いや、俺と相手の女以外にも何人もいた?

 となると、俺は共同生活でもしてたのか?

 いや、今はそんな事は問題じゃない。何より問題なのは、どこかの地名と思われる単語が出てきた事だ。

 つまり、俺の過去の記憶と思われる夢の中で聞こえた『麻帆良』という地名。

 これがどこの地名なのかが分かれば、俺の失われた記憶が取り戻せるかもしれない。

 恐らく、この記憶は昨日スライムを使えるようになった事により思い出したものなのだろう。

 だとすれば、この調子で宝具やスキルを解放していけば、それだけ俺の記憶が蘇る可能性が高いかもしれない。

 そして記憶が蘇れば、???と表記されているスキルや宝具が判明する可能性がある。

 記憶とスキル、宝具。どちらが先なのかは分からないが、それでもどちらかが判明すれば、もう片方も判明するだろう。

 だとすれば……とにかく、今は麻帆良という場所を調べる必要がある。

 部屋にある時計へと視線を向けると、その針はAM6:37分を示していた。

 いつもよりは遅いけど、取りあえず居間にでも行くか。

 麻帆良というのを調べるにしても、凛や綾子に聞いた方がいいだろうし。

 そう思って、軽く身だしなみを整えてから居間へと向かうと……

 

『……』

 

 何故か俺の方をジトリとした視線で見てくる、凛と綾子の姿があった。

 やっぱり何だかんだと昨日凛と綾子の2人を抱いたのが原因か?

 それにしては、終わった後じゃなくて翌日にこういう態度になるのが分からないけど。

 

「おはよう、2人共。どうしたんだ、そんなに頬を赤くして」

「何でもないわよ。あんたが相当の女好きでも、ロリコンじゃないといいなと思っただけだから」

「……確かに遠坂の言葉は否定出来ない事実だな。うん、けど昨日のアークの様子を思えばそんなことはないと思うけど」

 

 うん? 正直、俺にはこの2人が何を言っているのか分からない。

 2人の言葉から考えると、何となく昨日抱かれた件じゃないってのは分かるんだけど……ロリコン?

 少なくても、俺は子供に対して欲情するということはない……と思う。

 ……ないよな? 生前や記憶を失う前、実はロリコンだったのか。

 

「悪いが、もう少し俺にも分かりやすく言ってくれないか?」

「アークエネミーには、言っても多分無駄よ」

「だな。それにあたし達にも女としてのプライドがあるし」

 

 その言葉に、再び首を傾げる。

 だがそんな俺に対し、凛は溜息を吐いてから口を開く。

 

「話は変わるけど、今日は学校休みよ。数日くらい休みになるってさっき葛木から電話があったわ」

「まぁ、そうだろうな。俺達のような極少数や、昨日休んでいた生徒以外は皆病院送りにされたんだから。そりゃあ休校くらいにはなるだろ」

「だろうな。葛木から聞いた話だと、まだ入院している生徒も結構多いらしい。正直、あの慎二がここまで馬鹿げたことをやらかすとは思ってなかったよ。あたしも、家に無事だって連絡をした時には凄く心配されたし」

「その慎二だけど、ガス中毒で死んだって事になったみたいね。学校の件も結局はガス漏れって線で話が進んでいるみたいよ」

「それは……」

 

 幾ら何でも無茶じゃないか?

 普通の家庭であれば、ガス漏れというのも説得力はある。

 けど、今回の場合は学校の校舎が丸々1つ、それも実際には校舎から離れた場所にいた生徒にしても同じ症状で倒れているんだから……

 いや、寧ろそれで強引に話を通せるだけの実力を言峰綺礼って奴が……ひいてはその所属している教会ってのが持っているのかもしれないな。

 

「間桐の家の方はどうなった?」

「そっちもそっちで難しかったらしいわね。考えてみれば当然だけど、家が……それもそれなり以上に大きい家が1軒丸ごと消滅したんだもの。せめてもの救いは、学校の件でそっちに世間の注目が集まっているって事かしら」

「けど、やった俺が言うのもなんだけど、家が1軒消滅したんだから、何とかなる筈もないだろ?」

「いえ、その辺は多分学校よりも簡単よ。間桐家の近くに住んでる人に暗示を掛ければいいんだから」

 

 ……そんなに簡単なものなのか?

 それに、暗示を掛けたとしても、公共料金の支払いとかがあるんじゃないのか?

 そっちの方にも手を伸ばせるのか?

 そんな疑問を抱いたが、それに関しては俺が心配する事じゃないか。

 この冬木のセカンドオーナーである凛が問題ないと言っているんだから、多分本当に問題ないんだろう。

 ……で、と。

 とにかく、今日学校が休みなんだからゆっくりと出来るのは間違いないな。

 つまり、調べ物をするにも絶好の機会って訳だ。

 そう考えると、寧ろこの展開はラッキーだったと言えるだろう。

 あのワカメは消え、気色悪い蟲倉も消滅し、ついでに蟲倉の中に潜んでいただろう奴も消滅したのだから。

 そう判断し、早速本題に入る……前に、凛が朝食の用意を済ませていたらしく、それが俺達の前に出てくる。

 朝食ということもあって、食パンにベーコンエッグ、サラダ、デザート、野菜スープという簡単で典型的なメニューだ。

 幾ら凛の腕が良くても、このメニューでそうそう違いを出せる筈もないしな。

 

「そう言えば、綾子は料理しないのか?」

「あたし?」

 

 今まで聖杯戦争に関しての話が主だった為、聞き役に回っていた綾子が尋ね返す。

 

「ああ。凛の料理は召喚されてから何度も食べてるけど、綾子の料理は食べた事がないと思ってな。一夜を共にした相手だ。その手料理を食べてみたいと思っても当然だろ?」

 

 ぐほっ、と。

 俺の言葉に一瞬噴き出しそうになる綾子……と凛。

 それでも何とかそれを阻止すると、紅茶を飲んで落ち着かせる。

 

「アークッ、あんたいきなり何を!」

「全く。綾子はウブな乙女なんだから、あまりからかわないでよね。……まぁ、もう乙女じゃないけど」

「遠坂! あんたも自分だけ関係ないって顔をしてるんじゃない!」

 

 凛と綾子のやり取りが数分続き、結局は変な事を言った俺が悪いという結論になる。

 ……いやまぁ、間違ってはいないのかもしれないけど。

 

「言っておくけど、アーク。確かにあたしはあんたに……その、だ、だ、だ、抱かれたかもしれないけど、別にあんたが好きでそういう関係になった訳じゃないんだからな。その辺を勘違いしないでくれよ」

「そうか? 俺はそれなりに嬉しかったけどな。お前達2人のような美人を抱く事が出来て」

「ぶっ、ご、ごほっ、ごほっ……ちょっと、私まで巻き込まないでよ!」

 

 それから10分程、3人で騒ぎ、ようやく落ち着く。

 それを見計らい、用意された紅茶を飲みつつ今回の本題に入る。

 

「それで、だ。凛と綾子に聞きたいんだけど、麻帆良って名前に聞き覚えがないか? 多分地名か……あるいは、どこか特定の場所を示していると思うんだけど」

 

 キョトン、と首を傾げる凛と綾子。

 2人ともが少し考える仕草をしてから、やがて凛が最初に口を開く。

 

「麻帆良? 麻帆良ねぇ……悪いけど私には聞き覚えがないわ。綾子は?」

「あたしもちょっと聞き覚えがないな。アーク、その麻帆良ってのがどうしたんだ?」

「今日見た夢で出てきた単語なんだよ。多分、俺の過去の記憶……うん? どうした?」

 

 何故か俺の話の途中で思い切り顔を真っ赤に染める凛と綾子。

 その赤さは、下手をすれば最初に俺と夜を共にした時と同じか、あるいはそれ以上に真っ赤になっている。

 俺の不思議そうな顔に気が付いたのだろう。凛が慌てたように首を横に振る。

 

「なっ、何でもないわ! そうよね、綾子?」

「あ、ああ。うん。勿論何でもないぞ」

 

 ……そう言われてもな。その様子を見る限りだと、絶対に何かあるって感じなんだが。

 

「まぁ、お前達がそう言うんなら別にいいけど。で、夢でその麻帆良に行くかどうかって話を誰かとしてたんだよ。つまり、その麻帆良って場所が俺と何らかの関係があるのは確実だと思う」

「……麻帆良、ね。言葉の響きから言えば日本語よね? となると、アークエネミーの生前はやっぱり日本で活躍したのかしら? けど、あんなスライムなんてとんでもない宝具を持っていて、バーサーカーに負けないだけのステータスを持っているような人物なら、すぐに誰かが分かりそうなものだけど」

「よく考えてみれば、アークが箸を自由に使えるってのも日本のその……英霊? とかいうのだからじゃないのか?」

 

 一緒に食事をした時の様子を思い出したのだろう。綾子が首を傾げながら尋ねてくる。

 だが、俺はそれに対して首を横に振る。

 

「その辺の知識は、凛に召喚される時に聖杯から得た知識だろうな。疑似記憶みたいな。……疑似記憶?」

 

 ふと、自分で口にした言葉を不思議に思う。

 普通、疑似記憶なんて言葉は使わない筈だ。なのに、今は全く何の躊躇もなく俺の口からその言葉が出てきた。

 もしかすると、この疑似記憶って奴は俺の記憶に何か関係してるのか?

 疑似ってあるくらいだから、つまりそれは偽物なんだろうけど……

 

「ふーん、記憶を詰め込まれてすぐに使えるんなら、それは確かに便利よね。授業内容とかも自由に覚える事が出来れば、かなり助かるんだけど……って、こんな身体になったんだから、大学になんか行けないか」

「そうでもないだろ。身体を動かす時に自由に加減が出来るようになれば問題ない。吸血鬼とかみたいに、日光に弱いとかそういう弱点がある訳じゃないし」

「……そうなのか?」

 

 尋ねる綾子に、凛は頷く。

 

「まぁ、綾子の場合は受肉してるから魔力の消費そのものは少ないし、アークエネミーが近くにいる限りは多分大丈夫じゃない?」

「となると、あたしは遠坂と同じ大学に行くしかない訳か?」

「あら、私は多分外国の大学に進学するわよ?」

「ちょっと待て! じゃあ、あたしも外国の大学に行かなきゃいけないのか!?」

「それはやめておいた方がいいでしょうね。私が行く大学はロンドン塔……簡単に言えば、魔術協会の経営する大学よ? そんな所に半サーヴァントの綾子が姿を出そうものなら、以前にも言ったように封印指定にされるわ」

「じゃあ、どうしろってのよ……」

 

 溜息を吐く綾子。

 そんな綾子に、凛は小さく笑みを浮かべてから肩を竦める。

 そんな大袈裟な真似をしても胸が揺れないのは、冬服の影響か……それとも揺れるだけの大きさがないからか。

 ……後者だな。

 2度夜を共にした経験から綾子と凛、2人の胸の大きさを思い出していると、不意に凛がジト目をこちらに向けてくる。

 

「アーク、あんた何か不愉快な事を考えてない?」

「いや、別に?」

 

 凛と暮らすうちに、この辺の誤魔化し方は上手くなってきたと自分でも思う。

それでもこのままだといらない突っ込みを受けそうだったので、話を誤魔化す意味でも、元に戻す。……本末転倒か?

 

「ともあれ、だ。麻帆良ってのが何を意味しているのかを調べたいんだけど、この家ってネットとか……」

「あると思う?」

「だよな」

 

 速攻で返ってきた凛の言葉に、溜息を吐く。

 そもそも、凛が電子機器の類を苦手としている以上、この家にはパソコンの類も存在しない。

 

「となると、本だけど……」

「家にはあんまり本はないわよ? 魔術に関する本ならともかく、一般的には調べ物をするのなら、図書館に行った方が手っ取り早いでしょうね」

「なら、そうするか。幸い学校も今日は休みだし」

「あ、じゃああたしも一緒に行ってもいいか? 家にいるのが安全なのは分かってるんだけど、こうも家の中に閉じ籠もってばかりだと気分が落ち込むし」

「うーん……」

 

 綾子の言葉に悩む。

 いや、確かに言ってる事は分かる。

 幾ら普通の家よりも広くても、結局は他人の家でしかないし。

 しかも、さっきも言ったように遠坂の家にはパソコンの1つも存在しない。

 当然ゲームの類も……って、綾子はゲームとかやらないか。

 まさかこう見えてゲーマーで、実は乙女ゲーが好きとかないよな?

 ともあれ、ゲーム機の類も存在しなく、遊ぶようなものもない。

 しかも魔術師の工房でもある以上、当然迂闊に近寄れば死ぬような罠があったりもする。

 その辺を考えれば、暇を持て余すというのは分かるんだが……

 

「どうする、凛?」

「外に出ると聖杯戦争に巻き込まれる可能性もあるんだけど……」

「でも、基本的に戦いは人目のある場所ではやらないんだろ? ならあたしがそっちに気をつければ大丈夫じゃないか?」

 

 まぁ、そう考えれば安心、か?

 

「ちなみに当然私もアークエネミーと一緒に行くからね。聖杯戦争中に、マスターがサーヴァントを側に置かないなんて、余程の事でもない限りは有り得ないし」

 

 その一言により、結局全員で図書館へと向かう事になったのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:375
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1184

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