転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1148話

 最初に俺と凛がバーサーカーに遭遇した時の戦い。

 確か、あの時は曲がりなりにも衛宮やセイバーと休戦状態にあったんだよな。

 まだそんなに昔の事じゃないというのに、今思えばまるで数ヶ月も昔の事のように感じられる。

 あの時に何かが間違っていたら、もしかして俺と凛は衛宮やセイバーと手を組んでいた可能性があったかもしれないが……正直、今はそんな事にならなくて良かったとつくづく思う。

 衛宮は人の死を許さないという信念を持っている。

 ……いや、その信念自体は立派だと思う。俺だって聖杯戦争に無関係な人が死ぬようになるのは許容出来ないし、そういう意味では衛宮の信念も決して間違ってはいないんだろう。

 だが、衛宮の場合問題なのは誰でも……それこそ、聖杯戦争に参加している明確な敵であってもその信念の対象に入れてしまう事だ。

 全てを承知の上で聖杯戦争に参加しているにも関わらず。

 そして、口だけで駄目だ駄目だと言いはするが、実際に何か行動に移せる訳でもない。

 それはあのワカメの時、これ以上ない程に判明した。

 俺とこいつは絶対に合わないと。

 そして、衛宮のサーヴァントでもあるセイバー。純粋に聖杯戦争に参加しているという意味では、まだ衛宮よりは気が合う存在ではあるが……それでも、あの意固地さは俺とは合わないだろう。

 ……ともかく、そんな衛宮が聖杯戦争の説明を教会で受け、帰っている途中で現れたのがイリヤとそのサーヴァントであるバーサーカーだった。

 それで早速戦闘になり、俺はバーサーカーに対して攻撃し、心臓を破壊して更には抉り取った。

 結果的にバーサーカーには蘇生魔術の重ね掛けという、些か卑怯染みたものがあって蘇ったんだけど、その時にイリヤが言っていたのは俺の一撃でバーサーカーを3回殺したということだった。

 そして、今俺はあの時と同じだけの威力を持った攻撃を行ったのだが……何故か受けた感触が違う。

 結果的に心臓の破壊は出来たが、より殺しにくくなったといった感じか。

 

「バーサーカーが強くなってるって、本当?」

「ああ。……いや、その表現は正確じゃないな。戦闘技術自体は以前とそう変わらない。ただ、より死ににくくなっているってのが正しい。防御力が上がっているってところか?」

「正解! イレギュラークラスだけあって、中々鋭いわね。バーサーカーの宝具でもある十二の試練は、1度受けた攻撃に対する耐性を得るのよ。……もっとも、完全に無効化出来るって訳じゃないし、アークエネミーの場合はステータスの差もあって、今の攻撃でもバーサーカーを2回殺したけどね」

 

 まるでその言葉が合図だったかのように、バーサーカーの蘇生魔術が発動する。

 前回も見たように、まるで巻き戻るかのようにして肉体の損傷が修復されていく。

 その修復速度は、明らかに前回よりも早いように見える。恐らく、この辺が耐性が付いているという事なんだろう。

 なるほど、厄介な能力だ。

 前回の攻撃で死んだのが3回で、今回の攻撃で殺したのが2回。だとすれば、次は1回か? どのみち、攻撃する度に威力が下がっていくってのは厄介な能力だな。

  問題は、蘇生魔術の重ね掛けってのがどのくらいの回数なのか……だな。

 まさか、幾らバーサーカーの……ヘラクレスの宝具であったとしても、無限に蘇生魔術を重ね掛け出来るって事はないだろうし。

 そんな風に思いながら、チラリとセイバー達の方へと視線を向けると、そこではこっちの隙を窺うかのように見ているセイバーと、眼帯で確認は出来ないが、恐らくは見ているだろうライダーの姿を確認出来る。

 衛宮も厳しい表情を浮かべてこっちを見ていたが、戦力としては数える必要はないだろう。

 とにかく、向こうにしてみれば俺という存在はバーサーカーよりも尚厄介であり、同時に向こうは理由は分からないがイリヤに協力を求めに来たんだ。

 その辺を考えれば、今の態度も当然だろう。

 だが、セイバーは先程俺に負わされた怪我があり、ライダーは純粋な実力差で考えれば俺とやり合える程じゃ……うん?

 蘇生魔術が完成する前に追撃でも行おうかと考えていた俺に対し、ライダーが口を開く。

 

「アークエネミー、一応聞いておきます。このままここで退く気はありませんか? もしそうであれば、ここで見逃します」

「……俺を見逃す? 正確には俺が見逃すじゃなくてか?」

 

 まぁ、凛からの要望でどのみちライダーは見逃すというか、殺さないことになっているんだが、それでもここはハッタリでそう言わせて貰おう。

 実際、俺とライダーでは正面から戦った場合、どうしても向こうに勝ち目はない。

 万全のセイバーであれば……いや、そっちも無理か。今のセイバーは衛宮の影響で十全に能力を発揮出来ていないみたいだし。

 だとすれば、バーサーカーと共闘? ……あのイリヤがそれを承知するのか?

 そんな俺の疑問とは裏腹に、ライダーはその眼帯へと手を触れて口を開く。

 

「ええ。このまま黙って退けば見逃します。ですが、これ以上私の……私達の邪魔をするというのであれば、こちらとしてもアークエネミーを排除せざるを得ません。ですので、ここは退いてくれませんか?」

 

 ……この口調、決して脅しとか、ハッタリとか、そういうのじゃない。

 何らかの勝算があっての言葉なのは間違いないだろう。

 その証拠に、俺の念動力が嫌な予感を報せてくる。

 致命的なまでに嫌な予感ではないが、それでもこのまま戦えば不味いだろう、そんな予感。

 何だ? 可能性としては……やっぱり宝具か?

 ステータスでは純粋に向こうの方が不利である以上、どうしてもこっちの方が有利なのは間違いない。

 そんな状況をどうにかする為には……と考えると、俺に思いつくのは宝具しかない。

 その宝具が、セイバーの物なのか、ライダーの物なのか……

 こいつらの様子を見る限りだと、バーサーカーの宝具ってことはないと思うが。

 

『凛、どうする? このまま退くか? それとも戦うか?』

『アークエネミーとしてはどう思ってるの? いけそう?』

『いけるかどうかって意味でなら、いけるだろうな。ただ、結構苦戦することになる可能性は十分にある』

『そう。……ここでサーヴァント3人を相手にして戦ってもこっちが不利なだけ、か。じゃあ、い……』

 

 凛が念話でそこまで告げた、その時。

 

「ここまで私やバーサーカーにやっておいて、逃げられると思ってるの? それに、何度もバーサーカーを殺されたお返しはしてないでしょう? レディたるもの、しっかりとお礼はしないといけないしね」

 

 凛の念話を遮って――元々念話だから、俺以外には聞こえていないんだが――イリヤが告げる。

 その口調は自信に満ちており、絶対的な確信に満ちているようにすら感じられた。

 同様に、先程のライダーの言葉で感じた危険よりも、より大きな警鐘を鳴らす念動力。

 不味い!?

 

「……狂いなさい、バーサーカーッ!」

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーー!!!!」

 

 イリヤの言葉が発せられると同時に、先程の俺の一撃が与えた傷が回復したバーサーカーが大きく吠える。

 その声から感じられる力は、明らかに数秒前のそれとは違っている。

 強い……俺の対英雄のスキルで能力が下がっているとはとても思えない能力。

 間違いなく数秒前と比べると、より強力になっていた。

 そうして、再び俺に向かって振るわれる岩の斧剣。

 俺の頭部を砕かんと襲ってくるその一撃を、身体を反らしながら回避しつつ目を見開く。

 その一撃は、技という意味では先程までよりも劣っている。いや、技という要素は殆ど存在せず、ただ武器を振り回しているだけと言ってもいい。

 だが、その速度と威力は明らかに勝っていた。

 岩の斧剣が、回避しようとした俺の予想より速度も威力も増しており、チリッと俺の頬を擦って通り過ぎる。

 本来であれば、余裕をもって回避出来る様にしていた筈なのに、だ。

 頬から血が流れているのを感じながら、気を取り直して一気に蘇生魔術の重ね掛けした回数以上のダメージをバーサーカーへと与えるべく構える。

 確かにバーサーカーの能力は少し前と比べると大きく強化されている。

 しかし、そこにあるのは既に技ではなく暴力でしかない。 

 それなら、カウンターで攻撃を食らわせる。

 自分に向かって襲い掛かって来た岩の斧剣を見ながらそう思った瞬間。

 

「なっ!?」

 

 理由は分からない。だが、バーサーカーの攻撃をギリギリの場所で回避しようとしていた俺の動きが急に鈍くなる。

 それこそ、まるで身体全体に何らかの重しがのしかかってきたかのように。

 岩の斧剣をギリギリで回避して、カウンターで攻撃を食らわせようと考えていた俺にしてみれば、その異変は致命的とすら言ってもよかった。

 自分に迫ってくる岩の斧剣を回避しようという動きを取ろうにも、身体が俺の思い通りに動かない。

 まるで、自分だけ他の連中の数倍の重力を感じているかのような、ゆっくりとした動き。

 不味い、不味い、不味い。

 このままだと確実にバーサーカーの攻撃を回避出来ず、致命傷を負う。

 そう咄嗟に判断すると、無傷での回避は諦め、こちらに迫ってくる岩の斧剣の鋭い部分が命中するのだけは避けるべく拳を振るう。

 ガッ、という音と共に、岩の斧剣の軌跡が少しだけ逸れ、鋭利に尖っている部分ではない場所が胴体に当たり、その衝撃をなるべく殺すべく自分から大きく飛ぶ。

 

「ごふっ!」

 

 与えられる衝撃。

 幾ら自分から跳躍したとしても、そこに加わる衝撃全てをなかった事に出来る訳ではない。

 その衝撃で、見る間に周囲の景色が通り過ぎていく。

 それでも咄嗟に空中で体勢を立て直そうとして……その瞬間にズキリとした痛みが胴体を走り、その体勢を立て直す動きが止まる。

 その動きは一瞬だったが、吹き飛ばされた俺が森に生えている木々にぶつかるまでには十分な速度があった。

 そして俺の身体は数本の木々にぶつかった程度で止まる事はなく、そのまま数本の木々を折りながら森の中へと吹き飛ばされていく。

 

「アークエネミーッ!?」

 

 吹き飛ばされている中で、凛の悲痛な悲鳴が聞こえてきた気がするが、今はそれどころではない。

 森に生えている木々を薙ぎ倒しながら吹き飛ばされた距離は10m程。

 身体に走る激しい痛みを感じつつ、周囲を見回す。

 

「ぐふっ!」

 

 少し身体を動かしただけで襲ってくる凶悪な痛み。

 ヨロヨロと立ち上がり、近くに生えている木に身体を預けながら胴体へと視線を向ける。

 幸い、セイバーにダメージを与えた時のように胴体が抉られるといったことはない。

 だがそれでも、間違いなく俺の胴体には大きなダメージがあり、身体の中からズキズキと激しい痛みが感じられる。

 

「くそっ、一体何が起こった?」

 

 身体の中の痛みを無視し、先程の身体の重さがないのを不思議に思いながらも、自分が吹き飛ばされてきた方へと向かって歩いて行く。

 1歩歩くごとに身体の中から痛みが発する。

 痛みを無視するとしても、完全に無視出来る訳じゃない。

 それでも、体の中から生み出されてくる魔力を循環させていく。

 身体が魔力で出来ている以上、これで傷がある程度は回復出来る。

 ……もっとも、本格的に回復するには、やはり凛から回復してもらうのがベストなのだが。

 そのまま痛みを無視して10m程を歩くと、やがて森の外へと出る。

 そこで見たのは、バーサーカーが凛へと迫っている光景。

 凛は手に宝石を持っているが、人間の使える魔術で今のバーサーカーがどうにかなるというのは考えにくい。

 奥の手の類は当然あるだろうが、それでもバーサーカーに残っている全ての蘇生魔術を無効化出来るとは思えない。

 それでもまだバーサーカーが凛へと手を出していなかったのは、衛宮がイリヤに対して何やら言い募っているからだろう。

 ……衛宮のおかげで凛が助かったと思えば、借り1つ、か。

 セイバーはいつでもバーサーカーに攻撃出来るように見えない剣を構え、ライダーは……あの眼帯を外している? いつも着けている眼帯を手に持ち……バーサーカーへと視線を向けていた。

 バーサーカーは、既に先程までの迫力は消えている。

 勿論それでも異様な迫力を醸し出しているのだが、俺と戦った時のような圧倒的な力は既にない。

 ジャリッと。俺が地面を踏みしめる音が周囲に響く。

 その瞬間、再び俺の身体が重くなる。

 何だ? さっきまでは怪我のせいで感じていなかったが、間違いなく俺の身体の動きが鈍くなっている。

 何が起きた?

 そんな風に思いながら周囲を見回すと、バーサーカーが唸り声を上げながら、セイバーが厳しい目で、ライダーが初めて見る目で俺を見ている。

 ……これか!? 

 俺の中の念動力が、ライダーの目は危険だと知らせてくる。

 そう、明らかにライダーがこの不調の原因だと。

 

「まだ生きてたの? 全く……バーサーカー!」

「■■■■■■■■■■■ー!」

 

 イリヤの指示により、雄叫びを上げながら襲い掛かってくるバーサーカー。

 だが、今の俺は先程の一撃でかなりのダメージを負っている。

 更には、ライダーの目……恐らく魔眼の力でステータスを低下すらさせられていた。

 どうする? 今のままだと俺は負ける。

 いや、それどころか凛すらも死なせてしまう。

 それは駄目だ。

 どうにかしてこの場を生き残る為には……

 

「■■■■■■■■■■■ー!」

 

 俺目掛けて振るわれる岩の斧剣を、何とか回避することに成功する。

 自分で思っていたよりも、先程の一撃のダメージが大きい。

 不味い、不味い、不味い。

 負ける? この俺が? そして凛を死なせる? 俺の大事な女を? それに俺がここで死んだら綾子はどうなる? 半サーヴァントと化した綾子は魔術師にとってはこれ以上ない興味を剥き出しにするだろう存在。

 どうする、どうする、どうする、どうする?

 再び振るわれる岩の斧剣

 その一撃がゆっくり、ゆっくりと俺の方へと近づき……俺に命中する瞬間。カチリと何かのピースが嵌まる音が頭の中で響いた。

 瞬間、俺の手は真っ白い炎となり、そこから炎で出来た虎が姿を現してバーサーカーへと襲い掛かる。

 その炎で出来た虎は、岩の斧剣の力であっさりと消滅させられたが、それでも一瞬の隙は出来た。

 次の瞬間には魔力放出を使った移動で、俺の姿は凛の横に存在した。

 

「ア、アークエネミー?」

「ああ」

 

 この力……混沌精霊というスキルの力。

 何故俺がこのようなスキルを持っているのかは分からないが、それでも俺はこの混沌精霊というのがどんな存在かを本能的に理解していた。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:380
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1185

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