転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1161話

「……」

 

 俺が異世界からやって来たという話に、凛の動きが止まる。

 それも、まるで一時停止を押したかのように。

 代わりにという訳じゃないが、次に口を開いたのは綾子だった。

 ……まぁ、魔術の世界に関して全く知識がないからこそ、そんなに驚かなかったんだろうな。

 

「えっと、異世界? 例えば、どんな世界?」

「どんな世界って言われてもな。俺の本拠地は世界の狭間にある場所だから、そこと繋がっている世界は色々とあるぞ。例えば、アメリカが全く違う名前の国になってて、世界征服をしようとしていた世界だったり、遺伝子を操作した人類が宇宙に住んでいて地球とロボットを使って戦争している世界だったり、この世界と同じく魔法……いや、この世界風に言えば魔術か。その魔術が存在している世界だったり、銀河の果てまで人類が移民をしている世界だったり、宇宙から襲ってきた化け物に地球の半分近くを占領されている世界だったり……まぁ、色々だな」

「待ちなさい。待ちなさい、まちなさい。マチナサイ」

 

 俺の言葉を聞いていた凛がようやく再起動して、そう告げてくる。

 その目に浮かんでいるのは、獰猛な肉食獣の視線としか表現出来ない感情だ。

 

「……取りあえず落ち着け。ほら、これでも食ってな」

 

 そう告げ。空間倉庫から四葉特製の作りたての麻婆豆腐が入った皿を取り出し、レンゲと共に凛に渡し……

 

「……え?」

 

 思わず俺の動きが止まる。

 今の行為は半ば無意識に行ったものだが、間違いなく俺は空間倉庫から麻婆豆腐を取り出して渡した。

 ランサーにエリクシールを使おうと、取り出そうとしても無理だったにも関わらず、だ。

 いや、本来ならルールブレイカーとゲイ・ボルクの収納が出来た時に疑問に思うべきか。

 ……やっぱり、まだ完全って訳じゃないみたいだな。

 後で出せる物と出せない物をきちんと確認しておく必要があるだろう。 

 とはいえ、空間倉庫の中には色々な物が無数に入っている。

 一応脳裏にリストを展開する事も出来るが、そのリストは既に大量にあり、取り出せないように灰色になっている文字を全て把握するのにはどれだけ掛かる事やら。

 大体、出すにしてもジェネシスとか、こんな場所で出せる訳がないしな。

 

「嘘っ、何これ……私が作るのよりも美味しい……」

 

 四葉特製の麻婆豆腐に、ショックを受けた様子の凛。

 幾ら凛が料理上手だとしても、言っちゃ悪いが、それはあくまでも素人の料理だ。

 四葉は中学生の時から屋台をやっており、麻帆良祭では巨額の売り上げを誇ってきた人物だ。

 今はホワイトスターで各世界の料理の研究に余念もない。

 ……俺が凛の料理を食べても、美味いけどどこか物足りないと思ってたのって、四葉の中華料理の味が身体に染みついてたんだろうな。

 

「うわっ、これ本当に遠坂の作る麻婆豆腐よりも美味いな」

「ぐっ、こ、これは……じゃなくて! 異世界とか平行世界とか、どういう事よ!? あんた、英霊じゃなかったの!?」

 

 麻婆豆腐を食べてる途中で我に返った凛の言葉に頷く。

 

「まぁ、英霊になるだけの条件は十分に備えていると思うけどな。少なくても、俺はこの世界の人間じゃない」

 

 俺が今までやって来た事となると、地球を救った事もあるし、戦争を強引にではあるが止めた事もある。

 自慢じゃないが、Fateという作品に出てくる英霊の中で、俺よりも格上の英霊なんて存在しない筈だ。

 あくまでも地球1つだけの英霊でしかないしな。

 

「繰り返しになるが、一応最初から説明させて貰おうか。世界と世界の狭間に位置する異空間に、ホワイトスターという人工の惑星というか、天体というか、要塞というか……まぁ、そんなのがある。俺達シャドウミラーは、そこを本拠地としてシステムXNという転移システムを使い、未知の世界と交流を持っている訳だ」

「……じゃあ、あんた達の世界だと本当に技術で平行世界に渡れているの?」

「ああ。ホワイトスターを中心として異世界間で貿易を行ったりもしているし、多少制限は厳しいが、一般人でも普通に異世界に行ったりする事も出来るぞ」

「そんな……遠坂家の悲願が……」

「いや、それは問題ないだろ? あくまでも魔法から魔術になるのは、この世界の技術で可能な事の筈だ。だとすれば、俺が言ってるのはあくまでも別の世界の技術なんだから、問題ないと思うが?」

「それはそうだけど……でも、実際に技術で可能になっているって聞かされれば……まぁ、いいわ。今はそれよりも話を進めましょ。ランサーの件もあるし」

 

 溜息を吐く凛。

 ランサーは、もしかしたら俺達の仲間になっていたかもしれない人物だ。

 そのランサーが目の前で死んだのだから、ショックを受けて当然だろう。

 せめてもの救いは、凛と綾子がランサーとそんなに親しくなかった事か。

 ……まぁ、一緒に食事をしたおかげで、かなり距離は縮まっていたみたいだけど。

 

「で、なんでそんな平行世界の存在がこの世界でサーヴァントなんてやってるのよ?」

「……正直、それは分からないんだよな。俺達と交流のある世界の1つに存在するBETA……まぁ、簡単に言えば宇宙怪獣みたいなものだが、そいつらの巨大な巣が火星にあってな。それを攻略しようって話をしている時に、以前凛に渡した首飾りがどこからともなく現れて、それを拾ったら肉体諸共この世界にサーヴァントとして召喚されていた。で、こっちの世界にやって来る途中で聖杯による知識が無理矢理すり込まれて、そのせいで記憶喪失になっていた訳だ」

 

 アーチャー……正確には英霊エミヤらしき男の声を聞いたとかはあるけど、それは取りあえず黙っていた方がいいだろう。

 この世界だと完全に英霊エミヤの影響は存在していないしな。

 衛宮がエミヤになるのかどうかも微妙だ。……いや、寧ろアーチャーがいない分、エミヤになる可能性が高いのか?

 原作だとそんな衛宮の理解者で、歪な性格を叩きのめしてでも直そうとした凛が、この世界では俺とくっついているし。

 セイバーと桜がどうにか頑張ってくれればエミヤ化はしないだろうが。

 

「……ちょっと。じゃあ、何? 今まで散々あんたに言われてきた、召喚の儀式の失敗で記憶が失われたってのは全部出鱈目で、アークエネミーが記憶を失った原因は聖杯に知識を無理矢理詰め込まれたからだっていうの!?」

「まぁ、そうなる。ああ、それと俺の事はアクセルと呼んでくれ。本来なら真名を知られるのはサーヴァントにとって致命的なんだろうが、俺の場合はそもそもこの世界の者じゃないんだから、真名が知られても全く意味はないしな。人前では一応アークやアークエネミーでもいいけど、俺達だけの時にはアクセルと呼んで欲しい」

 

 そもそも死んですらいないんだから、弱点がどうこうなんて逸話がある訳もないし。

 

「はぁ……分かったわよ。いえ、何を言ったらいいのか分からないって事が分かったってところかしら。それで? あんたはこれからどうするの? 他の世界の存在で、無理矢理聖杯戦争に参加させられたっていうのなら、もう帰る? アクセルの世界だと世界間の移動は可能だったみたいだし」

 

 色々な事がありすぎたせいで、何を聞けばいいのかすら麻痺してるのだろう。凛が投げやりに聞いてくる。

 本来なら遠坂の悲願として聖杯戦争で勝ち抜くというのが、凛がこの戦いに参加した理由だった筈なんだが……俺の存在のせいで、完全に意表を突いたな。

 だが……俺は首を横に振る。

 

「凛や綾子とここまで関わったんだ。深い仲になったというのもあるし、このままお前達と別れるってのは、俺の主義に反する」

『……』

 

 うん? 俺の言葉に、何故か凛と綾子が急に黙って、2人で顔を見合わせた?

 

『あああああああああああああああああああああああっ!』

「うおっ、一体何だ!?」

 

 黙り込んだかと思えば、いきなり上がった2人の声に驚く。

 

「あんたっ! 英霊じゃなかったって事は、普通に生きているのよね!?」

 

 テーブルを手で叩き、紅茶のカップを揺らしながら尋ねてくる凛に頷く。

 

「そりゃあ、まぁ。そもそも、スキルの話をした時に教えたと思うが、俺は人間じゃなくて混沌精霊だしな。俺単一の種族だから寿命がどうなっているのかは分からないけど、少なくても人間よりは長い寿命を持ってるぞ」

「じゃあ! あんたの夢に出て来た女もまだきちんといるの!?」

 

 ビクリ、と。

 凛の言葉を聞いて思わず反応する。

 夢。うん、そう言えば確かにそんな設定もあったよな。

 サーヴァントとマスターはパスで繋がっている為、マスターがサーヴァントの記憶を夢として見るとか。

 で、そうなれば当然俺の記憶を凛が見ているのも当然な訳で……

 

「そうだな。あたしもあの女達の件は是非詳しく聞かせて貰いたい」

 

 ……どうやら、綾子の方も俺とパスが繋がっている影響で、俺の記憶を夢として見ていたらしい。

 うん? 確かFateの設定だとサーヴァントは夢を見ないとかあった気がするんだが、俺は普通に夢を見ていたよな? しかも記憶を失っていたから全く理解出来なかったが、レモンとかが出ていた記憶がある。

 この辺はどうなっているんだ? ……無難に考えれば、俺が別世界から受肉した影響で召喚された影響だろう。

 

「それで、アクセル。あの夢に出て来た桃色の髪の女と、赤紫の髪の女と、茶色の髪の女は一体誰?」

「うん? 出て来たのはその3人だけか?」

「……へぇ。なるほど。そういう聞き方をするって事は、あの3人以外にもあんたの毒牙に掛かった被害者がいるんだ」

 

 ユラリ、と左手を俺の方へと向け、魔術刻印を発動させる凛。

 うわ、うっか凛じゃあるまいに、つい……いや、だって今の話を聞く限りだと、夢で出て来たのはレモン、コーネリア、マリューの3人だろ? 俺の恋人は他にもスレイ、シェリル、あやか、千鶴、円、美砂がいる訳で……

 いつでもガンドを撃てるようにしながら、凛が口を開く。

 

「さぁ、答えなさい。アクセル。あんた、一体他に何人の女に手を出したの! 全く、私と綾子を同時に相手にして、それでも余裕があるってのを見た時点で女癖が悪いとは思ってたけど、思ってた以上の女癖の悪さね」

 

 いつ爆発してもおかしくないだろう凛から視線を逸らし、綾子の方を見るが……

 

「ふふん。どうなんだ、アクセル。あたしとしても、お前がどれだけの女を泣かせてきたのか……いや、啼かせてきたのかは是非知りたいな」

 

 凛に負けず劣らずジトリとした視線をこっちに向けてくる綾子。

 あー……うん。そうだな。ここで下手に隠し事をすれば、下手をすると令呪を使われる可能性もある、か。

 まさかこんな下らない事で令呪を使わせる訳にもいかないので、しょうがなく口を開く。

 

「そうだな。お前達以外にも俺の恋人はいる。それも結構な人数な」

「……へぇ。何人?」

 

 ニコリと笑ってはいる凛だったが、その目はとても笑ってはいない。

 

「あー……お前達がどんな夢で何人の記憶を見たのかは分からないが、今のところは全部で9人だ。……うおっ!」

 

 瞬間的に凛の左手から飛んできたガンドを、椅子に座ったまま上体を反らして回避する。

 来ると思っていなかったら、回避出来なかったんじゃないかと思うだろう一撃。

 

「9人……あんた、一体何だってそんなハーレムを作ってるのよ。大体、よく身体が保つわね。あんたの性欲を考えると、毎晩私達にしているのと同じくらいに凄い事をしてるんでしょ」

「それは否定しない。……うおっ!」

 

 再び飛んできたガンドを回避する。

 

「開き直らない!」

「ほら、遠坂。少し落ち着けって。アクセルの事だから、そのくらいはあるかもしれないって言ってただろ?」

 

 綾子が凛を宥めるように話し掛けているけど……予想外だな。凛程に怒っていない?

 それを不思議に思いながら、今は黙って話の成り行きを見守る。

 いや、だってここで何かを喋れば、確実にこっちに被害が出るからな。

 

「綾子、あんたは平気なの?」

「そうだな。……うん、不思議なくらいに平気だ。正直、少し前のあたしなら、自分を抱いた男が他に9人も恋人がいるって聞かされれば絶対に怒って、それこそ物干し竿を振り回していたんだろうけど。何でだろうな? 多分半サーヴァントになった影響っていうか、アクセルとパスで繋がっている影響だと思うけど。不思議とそんなに嫌な気分じゃないんだよ」

「……あんた、それ、アクセルが感染してるんじゃない?」

 

 ちょっと待て。俺が感染しているってどういう事だ。

 そう言いたいけど、今喋れば纏まる話も纏まらないので、取りあえず黙っておく。

 

「そうかもね。けど、今も言ったけど、それが不思議と嫌じゃないんだよ」

「……」

 

 綾子をじっと見ていた凛だったが、やがて小さく溜息を吐く。

 

「しょうがないわね。綾子がそんな風に言うなら、取りあえずこの件は置いておいた方がいいか。……全く、恋愛は惚れた方が負けってのは誰の言葉だったかしら」

 

 小さく呟いた凛だったが、その言葉はしっかりとこっちに聞こえている。

 いや、嬉しいんだけど。

 

「とにかく、アクセルの恋人に関しては、今は取りあえず置いておくわ。後で会う事が出来たら、しっかりと話をする必要があるでしょうけど」

 

 ジトリとした視線をこっちに向けてくる凛。

 後で何とか誤魔化す方法を考えないとな。

 

「それで、あんたの世界……ホワイトスターだっけ? そっちには連絡を取らなくてもいいの?」

「ああ。その件だ。どこか開けた場所はないか? ゲート……異世界に転移する為の装置を設置したいんだけど」




アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1187

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