転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1164話

 庭から居間へと戻り、いつものように凛が淹れてくれた紅茶を飲みながら、3人でゆっくりとした時間を過ごす。

 凛や綾子はまだまだ俺に聞きたい事は色々とあるんだろうが、それを表には出さずに何でもないような話をする。

 よく考えてみれば、このFate世界の歴史も大分変わったよな。

 本来であれば、どのルートでも凛は衛宮と組んでいた筈だ。

 綾子はライダーに血を吸われただけの一般人だった筈が、そこに俺が介入した結果、血を吸われるどころか俺の血を飲んで半サーヴァント化。正直何が一番変わったのかと言われれば、間違いなく綾子の待遇だろう。

 そんな事を考えながら紅茶を飲んでいると、やがて凛が小さく咳払いをしてから口を開く。

 

「それで、アクセル。そろそろ桜に関しての話を聞かせてくれる?」

「そうだな。……さっきの森でも見せたが、これを使う」

 

 空間倉庫のリストから鵬法璽を取り出し、テーブルの上に置く。

 さっきもそうだが、何気に無事取り出せたことに安堵した。

 今の俺の空間倉庫は、色々と不透明な部分が多い。

 それこそ、取り出せる物が色々な意味でバラバラというか、ランダムというか、そんな感じだ。

 まぁ、リストが灰色で表示されているので、全部試す訳にはいかないけど。

 ともあれ、もしかしたら鵬法璽も1度は取り出せたけど2度目は取り出せないって可能性もあったんだよな。

 ……まぁ、それでもこの封印級のマジックアイテムをそのまま出しておく訳にはいかないんだから、空間倉庫に収納しておくしかないんだが。

 どこか他の場所に保存しておいても、いつ使うことになるか分からないし、下手になくしたりしたら大変な事になるのは間違いない。

 

「……改めて見ると、本当に物凄い魔力を宿しているわね。それって何なの?」

「鵬法璽。これを使って契約した出来事は、絶対に遵守する事になるってアイテムだ。これを使って臓硯に勝手な真似をさせないように契約させる。……ただし、実際にはどうやってそこまで持っていくのかが問題になるんだけどな」

 

 臓硯が桜の心臓に寄生している以上、そう易々とこっちの命令に従うとは思えない。

 かといって無駄に時間を掛ければ、その隙を突くかのように金ぴかが出てくる可能性が高いだろう。

 どうしたって時間が重要になるのは間違いない。

 出来れば今日のうちに何とかしてしまいたかったが、今日は何だかんだとあって色々と疲れているのも事実だ。

 この状況で無理に事を起こそうものなら、何かちょっとしたミスで大きな失敗をしかねない。

 特に今回は桜の件だけに、凛も絶対に付いてくるだろう。

 そうなれば尚更だ。

 今にも衛宮の家に向かおうとしていた凛だったが、俺の言葉に渋々納得する。

 俺としても、今日は色々と考えるべき事も多い。

 そっちに意識を集中したいから、桜の件は明日に回して欲しいんだよな。

 最悪、金ぴかが攻めてくれば話は別だっただろうが。

 その時は影のゲートを使って転移すればいいだけだし。

 現状、解決すべき事は……まず最大の問題はやっぱりイリヤか。

 これ以上サーヴァントを倒せばイリヤに肉体的な問題が生じてしまう。

 その為、金ぴかを倒せるのに倒してはいけないという状況になっている。

 まぁ、王の財宝の中に入っている宝具を奪うという意味では、生かさず殺さずというのはそれ程悪くはない。

 ただ金ぴかを相手にする場合、注意すべきは乖離剣エアと天の鎖か。

 前者は威力的にニーズヘッグに対してダメージを与えかねないし、天の鎖は混沌精霊である俺が持つ神性ランクDに影響してくる。

 まぁ、天の鎖が影響するのは神性ランクの強さに応じてって事らしいので、ランクDの俺にはどれ程効果があるのか分からないが。

 対神宝具として、天の鎖は出来れば欲しい宝具であるのは間違いない。

 両方とも、欲しいけど迂闊に手を出すとこっちにも大きな被害が出るという意味では厄介な宝具だ。

 そして次に……バゼットか。

 正直、ランサーの事を思えばどうにかしてやりたいとは思う。

 確か、今は瀕死の状態でもまだ生きている筈だ。

 ……ただ唯一にして最大の問題は、バゼットが現在どこにいるのかが全く分からないといったところか。

 スライムを使おうにも、誰か特定の個人を探すというのは向いてないんだよな。

 だとすれば、こっちは聖杯戦争が終わってからhollowが始まるまでの間に何とかした方がいい。

 次、衛宮の投影に関して。

 これは……正直、英霊エミヤがアーチャーとして召喚されず、俺が召喚された時点で諦めて貰うしかない。

 幸い、金ぴか対策は俺がどうにか出来るし。

 そして、最大の問題。……柳洞寺にある大聖杯をどうするか、だな。

 汚染された魔力をこれでもかと溜め込んでいる以上、そのままにしておく訳にもいかないだろう。

 スライムで吸収してもいいんだろうが、妙な悪影響を受けるんじゃないかという思いもある。

 無難って訳じゃないけど、ニーズヘッグでどうにかした方がいいな。

 

「アクセル? どうしたの?」

「ん? ああ。いや、明日からは色々と忙しくなりそうだと思ってな」

「そうね。でも、倒すべきサーヴァントは綺礼が従えているっていう1人のみでしょ? ライダーとセイバーはこのままだと敵対はしないでしょうし。……最終的にどうにかしないといけないから、今はって但し書きが付くけど。ああ、でも綺礼自身もサーヴァント程ではないにしろ、かなり手強いのは間違いないのよね」

 

 元代行者だというのを考えれば、当然か。

 

「難しい話は置いといてさ。アクセル、何か異世界のもので面白いものって持ってないの?」

 

 話を変えてきた綾子に、凛も特に何も言わず、興味深げにこっちに視線を向けてくる。

 まぁ、凛の場合はどちらかと言えば空間倉庫の中に入っている魔術や魔法に関する物に興味があるんだろうけど。

 ただ……そうだな。難しい話ばかりしていてもしょうがないし、凛にとっても異論はないみたいだし、何か出しておくか。

 にしても、何を出すか……

 空間倉庫のリストを脳裏に展開し……取りあえずシャドウミラーのメンバーとしては当然のように持っている重機関銃……は重くて大きいので、アサルトライフルを取り出す。

 ゴトリ、と音を立てながらテーブルの上に乗ったそのアサルトライフルに、凛と綾子は息を呑む。

 

「ちょっと、これって鉄砲じゃない。何だってこんなのを持ってるの?」

「鉄砲って……言い方が、また微妙に古いな遠坂。これはアサルトライフルっていうタイプの銃だよ」

「……詳しいな、綾子」

 

 普通であれば拳銃とかならともかく、アサルトライフルとかの銃の種類は判断出来ないだろう。

 いや、銃とかに詳しいのであれば話は別だが。

 少なくても、綾子が銃に詳しいとは思わなかった。

 

「え? あ、いや。弟のゲームに付き合ったりして、それを見た事があってね。自然と詳しくなったんだよ」

「へぇ」

 

 ちょっと慌てた様子を見せたのが疑問だが、まぁ、銃に詳しい女がいても特におかしい事はないか。

 

「アサルトライフルって……何でこんな物騒なものを持ってるのよ」

「こんなのもあるぞ?」

 

 凛の言葉にニヤリと笑みを浮かべ、手榴弾やプラスチック爆弾の類を取り出してテーブルの上に置いて行く。

 シャドウミラーは基本的にPTとかをメインにして戦うが、一応人間が生身で戦う為の武器の類も用意はされている。

 ……もっとも基本的に生身の戦いは、エヴァとの訓練で銃じゃなくて魔法とかをメインにした戦いだから、この手の生身の兵士が使う銃や爆発物の類は今はそれ程発展はしていないんだよな。

 まぁ、それはあくまでもPTとかに比べてそれ程発展していない。その辺の軍隊とは比べものにならない程だけど。

 大体、量産型Wも多少の魔法は使えるようになったけど、それでもやっぱりメインは普通の銃火器だし。

 爆発物とかは、サクラダイトとか、S-11とかの特殊性が多い物じゃなくて、普通の爆薬が多い。プラスチック爆弾とか。

 

「あんたね……私の家を危険物塗れにする気? どうせなんだから、もっと違った物を出しなさいよ」

「いや、危険物塗れって……俺にしてみれば、魔術関係のものがその辺に転がっている時点で、どっちもどっちだぞ?」

 

 寧ろ、手榴弾とかは使い慣れている分、俺にとっては目くじらを立てる程に危険って訳じゃない。

 

「別にその辺に転がってるわけじゃないわよ! きちんと場所を選んで置いてあるわよ」

「……凛の部屋とかには無造作に宝石とか置いておかれてるけどな」

「あのね、私の部屋は別に変な場所とかじゃないでしょ」

 

 何故凛の部屋について詳しいのかと言えば……うん、まぁ、考えるまでもないよな。

 ここ何日か、凛のベッドで朝を迎える事が何回もあったのは事実だし。

 うん? 宝石? なるほど。

 

「じゃあ、こんなのはどうだ?」

 

 次に空間倉庫から取り出したのは、エメラルド、ルビー、ダイヤ、アメジストといった各種宝石の数々。

 中には、俺も名前を知らないような宝石も何種類かある。

 この宝石も空間倉庫から取り出す事は出来たか。

 こうして見ると、取り出せないようになっているのは思った程に多くないのか?

 

「うわぁ……凄いな、これ。アクセルってやっぱり金持ちだったんだ」

「……ねぇ、アクセル。一応聞くけど、これどうやって手に入れたの?」

 

 綾子が純粋に宝石の美しさに感嘆の言葉を口にし、凛は俺がこれだけの宝石をどこから入手したのか、疑問の視線を向けてくる。

 俺の性格を考えれば、宝石を好んで買うなんて事がないのは明らかだしな。

 そして実際……

 

「俺がシャドウミラーって組織の代表になる前、一時的に組織から離れて世界を放浪した時があってな。その時にマフィアとか、ギャングとか、ヤクザとか、テロリストとか、そういう、いわゆる反社会的な組織を襲撃して入手した。武器とかのついでにな」

 

 言うまでもなく、それは俺がリュケイオスを使ってスパロボOGsの世界に転移して、1人で世界を放浪していた時の話だ。

 結局あの時はイスルギ重工の人物に見つけて貰うまで、観光を楽しんでたんだよな。

 

「……あんた……いえまぁ、その辺は予想してたけど。寧ろ、一般人から奪ったって訳じゃないだけ、良かったわ」

 

 どこか安堵したように呟く凛に、思わずジト目を向けてしまった俺はおかしくない筈だ。

 いや、俺の記憶を夢という形で体験しているのだとすれば、その辺の誤解はしょうがないだろうが。

 特にネギま世界とかで、俺が円や美砂をナンパしてきた奴等をフルボッコにしている光景とか、何も知らずにその場面だけを見れば、強盗しているように見えたとしても不思議じゃない……か?

 10歳くらいの子供に強盗されている10代後半の、しかも複数人の男というのは色々とアレだが。

 

「……で、アクセル。一応聞きたいんだけど、あんたって宝石を集める趣味とかあったの? その、空間倉庫だっけ? それに収納されてたってことは」

「どうだろうな。ぶっちゃけ、俺自身に宝石を集める趣味はない。ただ、このFate世界はともかく、他の世界に接触を持つ為にランダムで転移する時には、俺が最初に転移するからな。その時に異世界の通貨をどうするかって事を考えると、やっぱり貴金属の類があれば資金を得やすいし」

「ちょっと待った。何だか色々と聞き捨てならない事を言ってたわね。そもそも、Fate世界って?」

「……ああ、そう言えばそうか。いや、別にどうという事はないんだけど、この世界の便宜上の名前だよ」

「それは分かったけど……何でFate、運命?」

「何でと言われても……何となく?」

「あたし達と出会ったのが運命だったとか? ……それはちょっと恥ずかしいな」

 

 綾子が苦笑を浮かべて告げるその内容に、取りあえず乗っておくか。

 いや、実際俺がサーヴァントとして召喚されたのが色々と運命だったのは事実なんだし。

 

「そうだな、そういう意味もある」

「ふーん……まぁ、それはそれでいいとして。アクセルってシャドウミラーって組織の代表なんでしょ? なのに、なんであんたが真っ先に未知の世界に転移するのよ?」

 

 その辺は普通にそう思うよな。

 

「正直、俺がシャドウミラーの中で最も強いってのが理由だな。そもそも、魔力を纏っていない物理攻撃は俺にダメージを与えられないから、普通の世界だと俺にどうこうしてもまず怪我を負う事はないし」

「物理攻撃って言ったって……サーヴァントの攻撃って普通にダメージを受けたりしてなかったか? ほら、あたしを助けてくれた時に、ライダーの攻撃で」

「いや、サーヴァントってのは魔力で構成されているからな。宝具とか使わなくても、魔力を纏った攻撃なんだよ。あの巨大釘も魔力で生み出された物だし。それに、魔力がある……あるいは魔力があってもそれを使っているとは限らないし」

「……なるほどね」

 

 凛が呟いた、その時。午後11時を知らせる時計の音が響く。

 

「そろそろ寝るか。今日は何だかんだあって、疲れたし」

「……ねぇ、アクセル。その、お礼は……」

 

 怖ず怖ずと尋ねてくる凛に、手を伸ばしかけ……ランサーの事が脳裏を過ぎ、一旦止める。

 

「いや、今日は止めておこう。俺としては残念なんだけどな」

 

 そう告げ、小さく肩を竦めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1187

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