転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1167話

「……アーク、悪いけどちょっとその短剣と鵬法璽? とかいうのを貸して貰えるか?」

 

 俺の持っているルールブレイカーと鵬法璽を見て、そう尋ねてくる衛宮。

 まぁ、貸すのは別に構わないんだが。

 衛宮の事だから、渡されたのをこれ幸いと奪ったりはしないし、もし何かの間違いでそんな真似をしようとしてもすぐに奪い返せる。

 解析でもするつもりか? いや、でも今の衛宮はアーチャーの代わりに俺が召喚された関係上投影魔術は使えない筈だ。解析してもどうにかなるとは思えないんだが……

 そうだな、下手に解析されて衛宮の魔術回路にダメージがあったりすれば、この場で休戦がご破算になる可能性もあるか。

 それに、もし解析されればルールブレイカーがどんな能力を持っているのかを見破られる可能性が高い。

 何しろ衛宮の属性は剣であり、俺が持っているルールブレイカーは短剣なのだから。

 

「遠慮して貰おう。さっきも言ったが、鵬法璽は俺の宝具だ。こっちの短剣もキャスターから俺が奪った代物で、昨夜ようやく使えるようになったばかりの代物だ。迂闊に魔力で干渉した結果、どうなるかは全く分からない」

 

 その言葉に、凛と綾子が一瞬だけ俺の方へと視線を向けてくる。

 いやまぁ、俺が今言ったのが出鱈目だってのは、昨日一緒だったこの2人が一番分かってるか。

 ああ、でも昨夜は違う部屋で寝たのを思えば、その間に……いやいや、ランサーに使ったのを見られてるな。

 

「けど、桜を助けるのに使うんだろ? こう言っちゃなんだけど、アークを完全に信用出来ないんだから調べるくらいはさせて貰ってもいいんじゃないか?」

「今も言ったように、短剣はようやく使えるようになっただけで、迂闊に俺以外の魔力で干渉した結果どんな影響が出るか分からないんだ。……まぁ、そこまで信用出来ないのなら、こっちとしても無理にとは言わない。今が一時的な休戦状態だからこそ、多少は手を貸してやるつもりになっただけだ。何なら、俺達はこのまま帰ってもいいんだぞ? もっとも、他にその桜ってのを助ける手段が見つかるかどうかってのはこっちも保証出来ないけどな」

「……士郎、ここは受けるべきです」

「いいのか、ライダー? 桜の事なんだから、もっとしっかりと……」

「ええ、本来ならそうしたいとは思います。ですが……残念ながら、今の桜にどれだけの時間が残されているのかは、全く分かりません。それこそ他の方法を見つけるまで無事かもしれませんが、明日にでも……という可能性も十分にあります」

 

 そう告げたライダーは、眼帯を着けたまま俺の方へと顔を向けてくる。

 

「ただし……もし桜に対して騙し討ちのような真似をした場合、こちらとしても抵抗させて貰いますが、構いませんね?」

「ああ、好きにしてくれ」

 

 こちらとしては、最初からそのつもりはない。

 だが、向こうにしてみれば殆ど見知らぬ……どころか敵対している相手の使う、自分達には触らせる事が出来ないような代物を使っての行動だ。

 ……寧ろ、この条件で認めたのが不思議な程だな。

 まぁ、それだけ桜の現状が切羽詰まってるって事なんだろうけど。

 

「イリヤはどう思う?」

「そうね、あの短剣や鵬法璽とかいうのが、どんな力を持っているのかは分からないわ。けど、ちょっと信じられないくらいの魔力を感じるのは事実だし、アークエネミーにしても正面からセイバーやライダーを倒すのは難しくないんだから、私達を騙し討ちする必要がないのは事実よ」

「じゃあ信頼出来るのか?」

「いえ、アークエネミーも敵対してる相手よ。信用は出来ても、信頼は出来ないでしょうね。ただ、能力的には間違いなく一級品なのは事実よ」

「へぇ、俺をそこまで評価してくれるとはな。お前はてっきり俺を嫌っているものだとばかり思ってたが」

 

 エミヤとイリヤの会話にそう口を挟むと、次の瞬間にはイリヤが俺に対して鋭い視線を向けてくる。

 

「当然でしょ! 言っておくけど、私はアークエネミーのことを許した訳じゃないんだからね!」

「……そもそも、聖杯戦争である以上、サーヴァント同士が戦うのは当然だろうに」

 

 もっとも、こうは告げたものの、イリヤにとってバーサーカーはなにものにも代えがたい家族であったのは間違いない。

 それこそ、父親や兄の代わりといったところか。

 まぁ、実際にはそんな単純なものじゃないんだろうけど。

 

「ふんっ!」

 

 俺から視線を逸らし、可愛らしく吐き捨てるイリヤ。

 この辺は、まだまだ子供だよな。

 本人は衛宮の姉を名乗ってるんだが。

 

「さて……じゃあ、これで決まりって事でいいか? ライダーとイリヤはこっちの用件に頷いたけど、残りのお前達2人はどうなんだ?」

 

 チラリ、と難しい表情を浮かべているセイバーと衛宮へ向かって尋ねる。

 この2人が強硬に反対するようなら、もしかしたらライダーの意見も変わるかもしれないと、そんな風に思いながら。

 だが……

 

「……分かった。アークは遠坂や美綴も信じているからな。それなら俺も信じるしかないだろ」

「いいのですか?」

 

 セイバーが衛宮に対して気遣わしげに尋ねるが、その衛宮本人はと言えば若干躊躇した様子もなく頷く。

 さっきまでの俺に対する警戒は何だったんだろうな。

 いや、今の表情を見る限りでは魔術的な要素の判断だから、自分より魔術に詳しいイリヤやライダーの言葉を信用してるって事か?

 まぁ、それはある意味正解ではあるんだが。

 

「よし、なら話は決まったな、それで桜ってのはどこにいるんだ?」

「居間で洗い物をしている。呼んでくればいいのか?」

 

 衛宮の言葉に、俺は首を振る。

 

「いや。呼んで、俺に近づけば当然向こうはその存在を察知するだろう。桜の心臓に寄生している臓硯とやらもな。そうすれば当然向こうを警戒させる事になる。それをさせない為には、不意打ちで一気に対処する方が成功率は高い」

「……ですが、不意打ちと言ってもそう簡単にはいきませんよ? 間桐臓硯は桜の心臓から、周囲を常に警戒している。幾らアークエネミーでも、それをどうにかするのは難しいのでは?」

 

 ライダーが心配そうに告げるが、その本心は俺が迂闊な真似をして桜の身体に余計な怪我を負わせないかって事だろうな。

 まぁ、それは分かる。

 居間の桜が具体的にどんな状態なのかは分からないが、アンリマユとの契約でいわゆる黒桜になっている可能性も……いや、ニュースとかを見る限りでは行方不明事件とかが起きている様子はない。まだそこまでにはなっていない可能性が高いか。

 

「安心しろ。俺の攻撃なら、ほぼ確実に向こうに奇襲を行う事が出来る」

「……確実に?」

「ああ。試して見るか?」

 

 そう告げ、真アサシンから入手した気配遮断を使用する。

 その瞬間、その場にいた者達の視線が俺から外れたのを確認し、そのままライダーの後ろへと向かう。

 真アサシンから入手した気配遮断は、さすがにアサシンのクラススキルだけあって生身の生物に対しては有効だ。

 まぁ、攻撃をしようとすればランクが大きく下がって確実に見つかるという欠点はあるものの、それでも最初に不意打ちを仕掛ける寸前まで相手に見破られないというのは大きな利点だろう。

 正直、影のゲートを使った奇襲も考えたんだが……セイバーやライダー、衛宮、イリヤといった面々に影のゲートの件を教えるのは今はちょっと躊躇われた。

 あの魔法は、俺にとっては切り札というにはちょっと使い過ぎだが、奥の手の1つであるのは間違いない。

 特にこの世界だと、転移魔法……いや、転移魔術ってのは限りなく魔法に近い魔術って扱いだからな。出来れば人目に晒すのは出来るだけ避けたい。

 

「ま、こんな感じだな」

「っ!?」

 

 背後で気配遮断を解除して呟くと、ライダーが反射的に床を蹴って俺から距離を取る。

 

「そんなに驚くなよ。……とにかくこうやって近づけば、向こうに気が付かれる事なくどうにか出来るだろうな。で、どうだ? これで俺に任せる気になったか?」

 

 そう呟く俺の言葉に、衛宮もセイバーもライダーもイリヤも、全員が何も言う事はなかった。

 まぁ、そうだよな。転移魔法程に規格外じゃないにしても、この気配遮断は十分過ぎる程の性能を持っている。

 アサシンのクラススキルだというのは理解しているのかどうか分からないが、ぶっちゃけアサシンがこのスキルを持っているってのはアサシン自体の能力がかなり低いというのもあるかもしれない。

 それが、ステータスがバーサーカー以上の俺がこんなスキルを持ってるんだから、いずれ敵対する可能性が高いセイバー達にしてみれば、脅威以外のなにものでもないだろう。

 ……まぁ、色々と欠点がない訳でもないんだけどな。

 

「さて、特に文句を言う奴もいない事だし、早速桜とやらの件を片付けようと思うんだが、それは構わないか?」

「……ええ。お兄ちゃんが問題ないなら、それは構わないわ。けど、そっちの行動を邪魔はしないけど、見るくらいはさせて貰ってもいいわよね?」

「使い魔でも使うのか? だとすれば、蟲に気が付かれる可能性があるから、止めて欲しいんだが」

 

 イリヤの言葉にそう尋ねるが、その答えは首を横に振るという行為だった。

 

「違うわ。結界を利用して貴方の行動を見させて貰うの」

 

 結界? ああ、そう言えば確かに原作でもイリヤはアインツベルンの森に張られていた結界で内部の様子を確認していたな。

 確か、衛宮が結界に触れた時にはビリッとしたとか言ってたけど、凛が結界に触れたら電気ショックのような感じでダメージを受けていた描写があったように思う。

 それを考えると、イリヤの提案も不思議じゃないんだろうが……

 

「この家の結界はアインツベルンの結界じゃないんだろ? なのに、そんな真似が出来るのか?」

「当然でしょ。私が何日この屋敷にいると思ってるのよ」

「……まだ1日も経っていないと思うが?」

 

 バーサーカーが死んで、衛宮に引き取られたというか、合流したのが昨日の午後で、今はその翌日の午前中なんだから、本気で24時間経ってないだろう。

 そんな俺の言葉を聞いたイリヤは、小さく咳払いをしてから再び口を開く。

 

「ん、コホン。この家の結界は色々と自由だったから、手を加えるのに手間は掛からなかったのよ。それに、色々と見覚えのある形式だったし」

「……なるほど。まぁ、俺としては出来るだけ見て欲しくはないが、そこまで言うのは色々と無理があるだろうしな」

 

 ルールブレイカーの真名解放は、セイバーやライダーに取ってみれば色々な意味で衝撃が強いだろう。

 ……ライダーと桜の契約も切れるしな。

 まぁ、そっちに関してはアンリマユとの契約や臓硯を何とかしてから、また契約を結べばいいだけだろけど。

 それに見ないように言ってもそれを守らせるのは難しいだろうし、ライダーの契約が解除された時点で下手に現場に突っ込んでこられて場を混沌とさせて、臓硯に操られた桜に逃げられるよりはマシだろう。

 

「そう、ありがとう」

 

 俺の言葉に礼を告げてくるイリヤだが、そこに感謝の感情は含まれていない。

 いや、バーサーカーを殺した俺に対して礼を言ってきたのを考えると、多少はマシになってきてるのか?

 ともあれ、イリヤがセラに何かを告げてどこからともなく水晶玉を出すのを確認する。

 おい、その水晶玉どこから出した? 結構大きくて、とてもポケットとかに入れてはおけないだろう大きさなんだが。

 まさか、空間倉庫とかと似たような魔術を使ってるんじゃないだろうな?

 そんな風に考えている俺の前でイリヤが短く何らかの呪文を唱えると、水晶玉に桜の姿が映し出される。

 見たところ、台所で洗い物をしているらしい。

 そう言えば、折角だからよく言われてるように衛宮の料理を食ってみたいんだけど……今の関係を考えれば、まず無理だろうな。

 まぁ、原作を見る限りだと凛の方が料理の腕は上っぽかったから、出来ればって程度だけど。

 

「じゃあ、場所も分かったし、そろそろ行ってくる」

「……気をつけてね、アークエネミー」

「アーク、気をつけて」

 

 凛と綾子からそれぞれ声を掛けられ、それに頷くと道場を出る。

 そして気配遮断を使用。

 そのまま衛宮家の中を進んでいく。

 原作でもその辺描写されてたし、外から見ても分かってたけど、かなり広いよな。

 凛の家と比べても、尚大きい。

 まぁ、凛の家は2階や地下室の類があるから、総合的な広さで考えれば同じくらいだろうが。

 ともあれ、そのまま気配遮断をして歩き続け、居間へと到着する。

 鼻歌が聞こえてくるのを聞きながら、そっと移動し……気配遮断により、こっちに気が付いた様子がないのを確認し、手に持っていたルールブレイカーを構える。

 

「破戒すべき全ての符!」

 

 真名解放をした瞬間、攻撃動作と認識されたのだろう。

 気配遮断が解除され、何かに気が付いたかのように桜が俺の方へと振り向き……姉とは違って大きな胸にルールブレイカーの刃が突き刺さり、赤い光が発するのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1187

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