転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0105話

「ほう。ノイエDCもなかなかやるものだな」

 

 シロガネのブリッジにヴィンデルの感心したような声が響く。

 どこかと通信をしていたんだが、何か事態が動いたのか?

 

「ヴィンデル、何か事態が動いたのか?」

 

 興味深そうにヴィンデルを見ているレモンの代わりに尋ねてみる。

 

「インスペクターに占領されていたハワイをノイエDCが奪還に成功したようだ」

「へぇ。さすが元民族解放運動のリーダーと言った所かしら?」

「ああ。バンが自ら最前線にライノセラスで出撃して指揮をしたらしい」

「そうなると、オペレーション・プランタジネットはやはりラングレー基地になりますか」

 

 リーが微妙に感慨深げに口を開く。そう言えば一時期ラングレー基地のケネスの下にいたのか。

 

「リー。ケネスのような無能はともかくとして、ハガネは優秀な部隊である事は間違いないんだ。あまり目の敵にしすぎるな」

「……理性では納得している。だが、感情ではまだ納得できんのだ」

「パーフェクトと呼ばれた男でも感情を完全には制御出来ない、か」

 

 もっとも感情を完全に制御出来るようになったらそれは既に人間とは言えないのかも知れないが。

 

「取りあえずハワイを解放する事が出来たと言う事は、オペレーション・プランタジネットに関しては地球人側が優勢という事だな」

「そうね。連邦とノイエDCが協力していればこそでしょうけど」

「あちら側の歴史ではこの後にノイエDCの一派がインスペクターと手を組んだが……まさかその役目を俺達シャドウミラーがやる事になるとは思いもしなかったな」

 

 歴史の転換点とも言える選択を俺達シャドウミラーがするとはな。皮肉が効いてる。

 

「不服なのか?」

 

 考え込んだ俺の様子を見ていたヴィンデルが尋ねてくるが、それに対して軽く首を振って否定する。

 

「いや。俺達の戦いの事を考えれば小さな事は気にしていられないさ」

 

 俺達の戦い。すなわちアインストに対する戦いなのだがヴィンデルにしてみればあちら側へ帰還した後の事を言っていると思うだろう。

 

「……」

 

 ふと、リーが黙って何かを考え込んでいる事に気が付く。それはそうか。インスペクターがエアロゲイターとは違う種族であるといっても異星人である事には代わりないのだから。

 

「リー。やはり異星人を憎んでいるお前としてはインスペクターと手を組むのには賛成出来ないか?」

「それが地球を守る為の最強の軍隊を作る為に必要な通過点であるというのなら。闘争の時代を経て人類が真の強者となり、地球の存在を揺るぎないものに出来るのであれば……耐えてみせる。だが、ヴィンデル大佐」

 

 苦々しげな口調でその内心を暴露したリーがヴィンデルへと声を掛ける。

 

「リー中佐の言いたい事は分かっている。奴等の技術と力を得て、利用価値が無くなったその時は切り捨てる事も出来るだろう」

「はっ! ありがとうございます」

 

 ハガネに対する憎しみもそうだが異星人に対する憎しみも根深いか。せめてハガネに対する憎しみを異星人に向けてくれればいいんだが……この様子では難しいな。

 

「それよりもハワイをノイエDCが奪還したが、ハガネとヒリュウ改の方はどうなっている?」

「工作員からの情報では西海岸線の突破に成功しテスラ研に向かっているとの事です」

 

 ヴィンデルの質問にリーが素早く答える。この辺りはさすが士官学校首席卒業だな。……いや、俺も士官学校は主席だったな。

 にしてもテスラ研か。グロウセイヴァーに装備しているランツェ・カノーネや、トリニティゲインの姿を見ているあの連中がダイゼンガーやアウセンザイターを見た時にどう反応するのやら。

 スレードゲルミルやアダマン・ハルパーの事もあるし、イルムが本格的にジョナサンを問い詰めたりするんだろうか。

 ……いや、ラミアがいるという事は前もってそれを知っているか?

 

「テスラ研を押さえられるのは面白くないな」

「大佐、では出撃しますか?」

「いや。私達はいつ出番が来るか分からないからな。なるべくすぐ動けるようにしておきたい。しかし、後々の事を考えると奴等の戦力を削いではおきたい」

 

 目を瞑って何事かを考えるヴィンデル。恐らく誰を出すかで迷っているのだろう。

 

「俺が行くか?」

「いや。シャドウミラーの最大戦力であるお前はオペレーション・プランタジネットに必要だ。……レモン、W15は出せるか?」

「特に問題は無いと思うけど……それこそ構わないの? もしかしたら本命の作戦に間に合わないかもしれないわよ?」

「しょうがない。あまり大人数を出す訳にはいかないのだからな。そうなると1機である程度の戦力を持つ機体の出番となるが……先にも言った理由でアクセルは無理。W16は指揮能力はともかく個人的な戦闘力ではW15に劣る」

「分かったわ。じゃあW15に指示を出してくるわね」

「なら俺も行こう。このままここで出番を待っているというのも退屈だしな」

 

 レモンの後に続いて、シロガネのブリッジを出る。

 

「W15はどこに?」

「この時間なら格納庫ね」

 

 さすがWシリーズの生みの親と言うべきか。レモンの言った通りウォーダンの姿は格納庫にあった。

 床に胡座をかき、目を瞑って瞑想をしていたらしい。

 目を瞑っていても感覚は鋭いようで、近づいてきた俺やレモンが口を開く前に目を開けて立ち上がりこちらへと視線を向けてくる。

 

「W15、任務よ」

「敵は?」

「テスラ研に現れる筈のハガネとヒリュウ改の戦力を削ぐ事。ただしヘリオスに手を出しては駄目よ。ベーオウルフは……」

 

 そこまで言い、視線を俺に向けてくる。

 

「好きにしろ。斬れるなら斬っても構わん」

「だ、そうよ」

 

 レモンの話を聞き、頷くウォーダン。何かを確かめるように目を瞑り、口を開く。

 

「ゼンガー・ゾンボルトは?」

「W15はどうしたいの?」

「可能ならば、奴とは1対1で決着をつけたい」

「それは、貴方の意思?」

 

 ウォーダンへと問うレモンの声には、何かしらの期待感のようなものがある。ラミアの次にウォーダンも自我を確立させる事を望んでいるのだろう。

 

「……」

 

 だがウォーダンの返事は無く、無言で答えるのみだった。

 

「いいわ、好きにしなさい。あなたが自我を維持できるのか見てみたいしね。でも、これだけは覚えておいて。あなたがオリジナルであるゼンガー・ゾンボルトを倒す事。それがW15からウォーダン・ユミルになる、そしてメイガスの剣となる唯一の方法なのよ」

「承知した」

 

 レモンの言葉に頷き、スレードゲルミルへと向かっていく。

 そんなウォーダンの背を黙って見送るレモンは母のようであり、科学者のようであり、そして希望を求める1人の人間に見えた。

 

 

 

 

 

 ウォーダンがシロガネへと戻ってきたのは、出撃してから数時間後の事だった。

 ウォーダンの報告から、ハガネやヒリュウ改の最大戦力の1つであるゼンガーを倒すのではなくゼンガーと共闘してインスペクターの幹部ヴィガジが乗っている機体を撃退してきた事が判明する。

 あちらの戦力を削る為に出撃した筈が、結果的にはハガネとヒリュウ改がダイゼンガーとアウセンザイターを手にして戦力増強してしまった為、ヴィンデルとリーは怒りを堪えていた。そのままウォーダンの相手をさせると処分だとか言い出しそうだったので、比較的冷静な俺とレモンが代わりに話をする為にウォーダンを呼び出した訳だ。

 そして今、俺の前にはウォーダンの姿がある。その姿は泰然自若としてこちらが言葉を発するのを待っている。

 

「W15、お前の任務は敵の戦力を削る事。対象外はヘリオスのみだった筈だが? 何故奴を、ゼンガー・ゾンボルトを助けるような真似をした? 結果的に奴はDGGという新たな力を手に入れ、ハガネとヒリュウ改の戦力は増強されてしまった。つまり、お前は命令を無視した事になる」

「奴と互角の勝負をする為には必要な事だった」

「互角な勝負か。それもいいだろう。だが、それで負けてしまったらどうする? こんな事が続くようなら、お前もW17と同じくイレギュラーだと判断する事になるぞ。奴と同じく自分の居場所を失うつもりか?」

「……」

 

 自分の主張できる事は主張した。後はこちらの判断に任せる、とでもいうようなその態度に溜息を吐く。

 こういう所はゼンガーの性格をトレースしただけあって、まさに潔い武人と言っても過言ではない。

 

「もういい、下がれ。言ったからにはゼンガーはお前が討て」

「承知」

 

 軽く頭を下げ、部屋から退室していく。

 その後ろ姿を見ながら、俺とウォーダンのやり取りを聞いていたレモンへと声を掛ける。

 

「レモン、お前はW15にW17……いや、ラミア・ラヴレスと同じように自我が確立する事を望んでいるのか?」

「そうね。それもあるわ。でも調整自体は向こう側の世界と同じ調整をしているのよ? それでも変化が表れたという事は……」

「こちら側に来た事がWナンバーズの変化に繋がっていると? ……という事は、W16も?」

「私の予想が正しければ、ですけどね」

「お前の希望は分かる。だが、元々Wシリーズは自我の確立なんてものはコンセプトに無かった代物だろう?」

「でも、見てみたくなったのよ。特にラミアの事があってからは」

 

 ……やはり自分がエクセレンをベースにしてWシリーズの技術を使って再生されたというのを気にしているのだろうか。

 どこか遠くを見ているようなレモンの顔を見ながら、ふとそんな事を思う。

 

「まぁ、いい。W15もゼンガーを倒すと明言した。ヴィンデルとリーの怒りも何とか静まるだろう。それよりテスラ研を奪ったという事は、オペレーション・プランタジネットもそろそろ山場だ。俺達の出番も近い」

「ええ。エクセレン、そしてラミア。色々と感慨深い戦いになりそうね」

 

 レモンと2人、そんな事を言いながらゼンガーの事を話す為にブリッジへと向かった。




名前:アクセル・アルマー
LV:28
PP:40
格闘:218
射撃:236
技量:228
防御:225
回避:253
命中:275
SP:366
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.8
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:135

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