転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1178話

 教会から影のゲートで転移してきた俺達を出迎えたのは、1本の剣だった。

 飛んできたその剣はゲイ・ボルクで弾いたものの、手に伝わってきた衝撃はそれなりに強い。

 なるほど、さすがサーヴァント3人分の魂の持ち主と言われるだけの事はある。

 その人物へと視線を向ける。

 地面に立ち、見下すように……いや、正真正銘見下しているのだろうその男は、黒いジャケットを身に纏っている男。

 言うまでもく、記憶を失ってしまった俺がキャスター陣営を消滅させてしまった以上、この聖杯戦争で俺の糧となる金ぴか……ギルガメッシュだった。

 

「貴様っ! 何故貴様がここにいる!」

 

 最初に怒声に近い驚きの声を発したのはセイバー。

 まぁ、前回の聖杯戦争で戦った相手がいきなりひょっこりと現れれば、それは驚くだろう。

 特に金ぴかは何かとセイバーに絡んでいたようだし、性格的にも俺と衛宮以上に合わない2人だし。

 

「久しいな、セイバーよ。我と再会して喜びの声を上げるのは分かるが、少し待て。今はそこの雑種共を片付ける必要があるのでな」

 

 金ぴかがセイバーを一瞥すると、再び俺達の方へと視線を向けてくる。

 

「雑種共、王である我が目障りだと言ったのだ。疾く自害するのが雑種共のやるべき事だろう」

 

 自分の命令を聞くのが当然とばかりに告げてくる金ぴか。

 一々上から目線なのが腹立つな、こいつ。

 けど……まさか、ここで出てくるとは思わなかった。

 勿論言峰と手を組んでいる以上、ここが金ぴかの本拠地という扱いになっていてもおかしくはない。

 だがそれでも、この言峰教会はこいつが好むような場所ではないという思いが強かった。

 問題なのは、幾ら辺鄙であってもここが街中だという事だ。

 言峰だけを相手にするのであれば、正直言ってこの戦力でどうにでもなる。

 だが、この金ぴかだけは話は別だ。

 いや、別に戦って勝てないって訳じゃない。実際俺からしてみれば、この金ぴかは原作のUBWルートではないが、相性がいい相手となる。

 他のサーヴァントが決闘をしているのに、こいつだけが戦争を行っている……だったか? 

 そういう意味では、同じく多数を相手にするのが向いている俺がこの金ぴかとの相性はいい。

 ……だが、それはつまり、非常に派手な戦いになるということだ。

 少なくても、人気がないという理由で言峰と戦うつもりだったこの周辺で戦った場合、間違いなく街中からその戦闘が見える事になるだろう。

 神秘の秘匿がネギま世界程に緩くないこのFate世界の場合、下手をすれば冬木という地そのものがどうにかなってしまう可能性がある。

 凛のサーヴァントとして、何よりも聖杯戦争終了後もこの地で生きていかなければならないかもしれない身としては、それは絶対に避けたい。

 また、派手なだけではない。もしかしたら対界宝具同士の戦いとなるかもしれないのだ。ここでそんな事になったら、凛達にも被害が出る可能性が高い。

 だとすれば……まずはこの金ぴかをどこか他の場所に連れて行く必要がある。

 影のゲート? いや、あれは発動までに多少のタイムラグがある。それを考えれば、潰される危険性が高い。

 となると……

 

「うん? その女……なるほど、我に対して聖杯を献上に来たのか。それは褒めて遣わす。だが、雑種共。貴様等の顔は見るに耐えん。セイバー以外の者は、すぐに自らの手で自害せよ」

 

 イリヤの顔を見て、何かを納得したように呟く金ぴか。

 確か桜とも面識があったと思うが、今は全く目もくれていない。

 多分、アンリマユとの契約を解除してしまったからだろう。

 

『凛、綾子、至急だ。こいつと派手に戦っても周囲に見られないような場所は心当たりあるか? 最悪、俺がニーズヘッグを使うと仮定してくれ』

 

 念話で尋ねると、凛が不思議そうに言葉を返してくる。

 

『何よ、こいつそんなに強いの? アクセルなら何とでもなるんじゃない?』

『俺の念動力が告げている。多分、俺でも多少は苦戦する程度だ』

『ちょっと、嘘でしょ? バーサーカーを相手にしても圧倒したアクセルが?』

『ああ。だから聞いてるんだ。どこか人目につかない場所はないか?』

『って言っても、ニーズヘッグってあのロボットだろ? 幾ら何でも、あんなのが戦ってるのを隠せる程に人の姿がない所なんて……』

 

 綾子がそう言葉を挟んで来た、その時。

 

『っ!? アインツベルンの森! あそこならアインツベルンの結界が張ってあるし、ちょっとやそっと暴れても問題はない筈よ』

 

 ……なるほど。確かにあそこなら見つかりにくいか。

 城は壊してしまうかもしれないが……まぁ、ここで死ぬよりはマシだろう。

 

『分かった。なら俺が奴を強引にあそこまで連れていく。お前達はここで言峰を警戒していてくれ。あの金ぴかが出て来た以上、言峰が黙っているとは思えないからな』

『ぷっ、何よ金ぴかって……まぁ、あの言い方とかを考えると、確かにあってるかもしれないけど』

 

 そんな風に我慢出来ないと笑い声を零す凛。

 俺が勝つと、そう信じているその姿を見て、負ける訳にはいかないと判断する。

 実際、あの金ぴかを放っておけば色々と不味いし……それに俺が奴の宝具を奪うにしても、1人の方が丁度いいというのも事実。

 

「じゃあ、行ってくる。今夜のご褒美も楽しみにしているからな」

 

 念話ではなく言葉でそう告げ、今朝、あるいは昨夜の事を思い出して顔を赤く染めた凛と綾子を後ろに、1歩前に出る。

 そんな俺に対し、面倒だと言いたげに視線を向けてくる金ぴかが何かを言い掛けようとして口を開こうとした、その時。

 

「おいそこの金ぴか。さっきから偉そうに何かほざいているが、俺から見ればお前は単なるピエロ以外の何ものでもないぞ。いや、ピエロにしたって見ていて笑えないな。もう少し愉快な催し物をしたらどうだ? そうだな、取りあえずお前はそこで3回まわってワンとでも鳴いてみろ。そうしたらお捻りくらいは恵んでやるよ」

 

 まず最初にすべき事は、金ぴかの注意を……この場合は殺意と呼んでもいいが、それを俺に向けさせる事だ。

 下手に金ぴかに自由に行動されると、攻撃範囲が広いだけに全員をカバーするのは不可能だからな。

 案の定、俺の言葉に金ぴかは不愉快そうに頬をひくつかせる。

 

「我に対してその無礼、許されるものではない。貴様には死すらも生温い」

「いけない、アークエネミーッ! アーチャーの強さは……」

「静まれ、セイバー。我を心配するのは分かるが、この我がそのような雑種如きにどうにかなる訳もあるまい? お主は、その雑種が無残に死に行くところを見ていればいい」

「自信満々だな、金ぴかピエロ。いや、それにしてもピエロって割りにはお前の顔には何の面白みもないな。その辺の泥で顔を塗りたくったらどうだ? そうすれば、お前の格に相応しい顔になるだろ」

「泥……だと?」

 

 うん? 何となく言った言葉だったが、何だって泥に反応する?

 いや、そうか。そう言えばこいつの唯一の親友であるエルキドゥとかいうのは、泥で出来た人形とかいう話だったか。

 ならこいつの注意を俺に向けるのはそう難しい話じゃない。

 

「ああ、泥だ。まぁ、所詮は泥だから、下らない泥人形は全く意味のない玩具同然のゴミに過ぎないだろうがな。泥人形程度、踏み潰してやろうか? まぁ、お前も泥人形も同じように俺に踏み潰されて、哀れに泣き喚くのがお似合いのゴミでしかないがな」

「貴様」

 

 スラスラと俺の口から出てくる挑発の言葉に対し、短く言葉を返した金ぴかの口調はまるで激昂を感じさせないものだった。

 いや、頭に血が上り過ぎて怒りの頂点すら吹っ切れ、怒りを現す事すら出来なくなっているといった方が正しいか。

 その証拠に、怒気の籠もった金ぴかの視線は俺だけに向けられている。

 更に、その視線は憎悪に塗り潰されていた。

 よし、いい傾向だ。後は金ぴかをアインツベルンの森まで強制的に連れていけばいいだけだな。

 今の金ぴかの状態を考えれば、俺を逃がすという事はまず有り得ないだろうし。

 続いて視線を先程俺がゲイ・ボルクで弾いた武器の方へと向ける。

 射出の勢いは強かっただけあって、弾かれた剣はそのまま切っ先が地面へと突き刺さっている。

 金ぴかの前で堂々とその剣の前に移動し……突き刺さっている剣の柄に触れ、そのまま収納する。

 ……うん? 何か妙だったな。

 今、確かに俺は剣に触れた。

 けど、その感触は妙と言うしかなかった。 

 アークエネミーのクラスの特性か、俺は他のサーヴァントが持っている宝具の真名解放が可能だ。

 それは、宝具を手に取った瞬間に真名解放が出来ると、感覚的に分かる為だ。

 だが、今空間倉庫に収納した剣は、全くと言っていい程にそんな感覚はなかった。

 何でだ? 何らかの制限があるのか?

 そんな風に考えていると、俺の方へと向かって再び殺気の籠もった怒声が投げつけられた。

 

「雑種、貴様ぁ……我の宝を盗むとは。身の程を知れぇっ!」

「知るか、馬鹿」

 

 既に金ぴかの額には、見て分かる程の血管が浮かんでいる。

 まぁ、あれだけ自尊心の強い男がここまで馬鹿にされたんだ。怒髪天を衝く状態になってもおかしくはない。

 当然今のやり取りを見ていた凛と綾子以外……さっきの念話を聞いていなかった者達からも驚愕の視線を向けられる。

 

「凛」

「ええ」

 

 その短いやり取りだけで、意思のやり取りは十分。

 

「加速」

 

 精神コマンドの加速を使い、同時に魔力放出と瞬動をも同時に使用し、一気に地を蹴る。

 向かう先は当然金ぴか。

 元々金ぴか自身は戦士ではない為、宝具を使わない戦闘には非常に弱い。

 それは原作で衛宮の固有結界に取り込まれた時、一方的に押されていたのを見れば明らかだ。

 つまり、この金ぴかはアーチャーにしかなれないって事なんだろう。

 もしこの金ぴかがセイバーやランサーとして現れていれば、間違いなくただのヘッポコの三流サーヴァントに過ぎなかった筈だ。

 それこそ、半サーヴァントである綾子ですら互角に戦える程の。

 ……まぁ、だからこそ他のクラス適性はなかったんだろうが。

 そんな金ぴかだけに、当然突然動いた俺の動きには反応出来る筈もなく……だが、顔面目掛けて突き出された俺の右手は、その顔に触れる前に何らかの障壁のようなものにぶつかる。

 自分に何が起きたのか理解出来なかったのだろう金ぴかだが、その衝撃でようやく理解したのだろう。無駄な真似を……とでも言いたげに嘲弄の笑みを口元に浮かべ……

 

「直撃」

 

 その一言で、金ぴかを覆っていた不可視の障壁は消滅する。

 そうなればどうなるのか。当然障壁を破った俺の右手が金ぴかの顔面を鷲掴みにし……

 

「ほら、場所を移すぞ無能王!」

 

 顔面を鷲掴みにしたまま、混沌精霊としての力を使って空中へ浮かび上がる。

 その状態から再び精神コマンドの加速を使い、魔力放出と虚空瞬動を使いつつ空を飛ぶ。

 向こうにしてみれば、何が起こったのかは全く理解出来なかっただろう。

 恐らく絶対の自信を持っていた障壁がいきなり消滅し、次の瞬間にはこうして顔面を鷲掴みにされて空を飛んでいるのだから。

 いや、顔面を鷲掴みにされている状況を考えると、今は空を飛んでいるというのも分からないかもしれない。

 手の中で何か呻いていたようだが、それを無視してそのままアインツベルンの森へと向かって突き進む。

 空を移動する事により、誰かに見られる可能性もあるかもしれないが、教会の周辺で戦いを行うよりはマシだろう。

 そのまま空中を浮かんで突き進んでいると、金ぴかの手が俺に向かって伸ばされる。

 だが、純粋なステータスでは圧倒的に俺の方が勝っている現状で何が出来るでもない。

 寧ろ、顔面を鷲掴みにしている右手の力を強めて顔を破壊すると言わんばかりに握り締める。

 いっそこのまま殺してしまってもいいんじゃないか?

 そんな風にも思ったが、今のままだとまだ得た物が剣1本と少なすぎる。

 こいつは俺にとって打ち出の小槌に等しい存在である以上、もう少し叩いて、振って、お宝を吐き出させてから稼がせて貰わないとな。

 そう考えていると、向こうも素の力ではどうにも出来ないと悟ったのだろう。周囲の空間が波紋のように揺れるが……それも意味はない。

 宝具が射出されようとした瞬間には、既にそこに俺と金ぴかの姿はない。

 今の俺の右手は、金ぴかの視界を完全に塞いでいる。

 幾ら宝具の射出速度が今の俺に匹敵しようと、標準が定まらない射撃が当たる道理はない。

 懸念があるとすれば、射出された宝具が俺以外に被害を出す事だが、その場合はどうしようもない。

 そうして……教会から飛び立ってから十数秒。俺の姿はアインツベルンの森の真上までやってきていた。

 

「ほら、ここが戦いの場だ。先に行って俺が到着するのを伏して出迎えろ、金ぴか!」

 

 その言葉と共に、筋力A++、勇猛の2つの能力を全力で発揮し、下に見えるアインツベルンの城の方へと向かって金ぴかを思い切り投げつける。

 

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 これ以上ない程の怒声を込めつつ、金ぴかはそのまま地上へと向かって落下していった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1187

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