転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0107話

 牽制の意味を込め、アルトアイゼンへと胸のファイア・ダガーを撃ち込む。

 あちらの世界のベーオウルフとやり合った時もそうだが、アルトアイゼンと戦う時は奴の苦手な遠距離からの射撃戦を挑むのが鉄則だ。

 

「ちぃっ、こちらの苦手な距離を知っているのはあちらで俺との戦闘経験があるからか!」

 

 ファイア・ダガーを左腕の3連マシンキャノンで迎撃しつつ、吐き捨てるキョウスケ。

 

「ふん、ラミアからあちらの世界の事を聞いたか。っ!?」

 

 T-LINKシステムにより、こちらへと放たれた虎龍王のタイガー・ナックルを感知し、その軌道を予測し、回避する為に上空へと逃れる。だが……

 

「食らいなさい!」

 

 そんな声と共に放たれる1条の光。その声と、念動力の共振が誰からの攻撃かを証明している。

 

「ファントムっ!」

 

 咄嗟にファントムを10機展開。グロウセイヴァーの前に盾のように並べてR-3パワードからの攻撃に備えた。

 恐らくアヤは自分の攻撃がファントムの盾を突き破ると確信していただろう。それは間違いではない。確かに以前のファントムならそんな真似は出来なかった。だが今は……

 

「嘘っ! きゃあっ!」

 

 そう、今のファントムにはレーザー反射材の効果により、レーザー系の攻撃に限って言えばそれこそ絶対的な防御力を誇る。

 ファントムにより反射されたレーザーキャノンはR-3パワードの背にあるT-LINKフライトシステムを貫通し、そのプラスパーツを破壊した。

 

「アヤ大尉!?」

 

 ブリットの声が響くが、虎龍王にはタイガー・ナックル以外の遠距離武装は無い。その為こちらへと攻撃を仕掛ける事も出来ずに、地上に落下していくR-3パワードを受け止めるしか出来なかった。

 

「よそ見をするとは、余裕だな!」

 

 R-3パワードを受け止める虎龍王へと視線を向けていたほんの数秒で、アルトアイゼンが自分の得意な近距離まで間合いを詰めていた。地上戦闘用の機体だが、ブースターを全開にすれば一時的に跳躍する事は可能だ。

 既にその右腕に装備されているリボルビング・ステークを振りかぶっている。しかし、T-LINKシステムによる念動力の結界がある俺には近づいてきた時点でその存在は既に察知していた。

 

「それだけの実力差があるという事だ」

 

 振り下ろされるリボルビング・ステークは機体をロールさせる事で回避し、そのまま零距離からハルバート・ランチャーを放とうとして、唐突に赤いレーザー照射を受けている事に気が付く。

 

「ちぃっ、加速!」

 

 精神コマンドの加速を使用し、その場を離脱。次の瞬間にはグロウセイヴァーがいた場所目掛けて上空から一筋のビームが降ってきた。

 

「アクセル大尉、何故ノイエDCを裏切るような真似を!」

 

 その射撃を行ったのは、赤い機体。ユウキの乗るラーズアングリフ・レイブンだ。

 

「ユウキか。久しいな」

「何故! 貴方のような人がアーチボルドと手を組むような真似を!」

 

 武器ラックからガン・レイピアを取り出し、空中にいるグロウセイヴァーよりさらに上空にいるラーズアングリフ・レイブン目掛けてハルバート・ランチャーとガン・レイピアの両方で射撃する。

 

「くっ!」

 

 そもそもVC系の機体は足を止めての撃ち合い、しかもミサイルがメイン武装となっている。その時点でジャマーを装備しているグロウセイヴァーを相手にするのは厳しいのだ。

 ただ、それは1機でこちらの相手をする場合に限るのだが。

 

「いくら大尉でも、ユウに手を出すなら容赦しないよ!」

 

 カーラのその叫びと共に、ラーズアングリフ・レイブンとは離れた場所にいたランドグリーズ・レイブンのリニアライフルが発射される。

 

「カーラか、さすがにやるな」

 

 俺がユウキのラーズアングリフ・レイブンへと攻撃を仕掛けたその隙を狙って放たれたリニアライフル。そのタイミングの良さ、阿吽の呼吸とも言うべき攻撃はユウキとのコンビを組んでいる長さ故だろう。

 

「グレイプニルの糸、起動!」

 

 グロウセイヴァーの右手からグレイプニルの糸を起動し、そのままユウキのラーズアングリフ・レイブンへと糸を絡みつかせ、グロウセイヴァーのパワーにものを言わせて振り回す。

 

「うおっ!」

「ちょっ、ユウ、避けて!」

 

 グロウセイヴァーへと向かって放たれたランドグリーズ・レイブンのリニアライフルの弾丸は、盾にされたラーズアングリフ・レイブンへと突き刺さった。

 

「攻撃のタイミングは良かったが、こちらの武装を把握出来ていなかったのが敗因だったな」

 

 そのまま勢いよくラーズアングリフ・レイブンをランドグリーズ・レイブンの方へと放り投げ、空中で衝突。2機とも地上へと墜落する。

 これで撃墜……とまではいかないが、この戦いで脱落したのは3機か。

 空中に浮かんだまま地上を見ると、ハガネとヒリュウ改の部隊がシャドウミラーのエルアインスや量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ、量産型アシュセイヴァーと激戦を繰り広げている。

 

「……さて。メキボス程ではないが、派手な花火を上げるとしよう」

 

 ファントムを全機射出。ビームガトリング砲、リニアレールガン、ランツェ・カノーネ2門の砲身を展開。両手にはガン・レイピアとハルバート・ランチャー。

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト。時流エンジン、フルドライブ……集中、直撃……」

 

 ハガネやヒリュウ改の部隊が集結している所へと狙いを定める。

 

「全機、回避しろぉぉぉっっっっ!」

 

 こちらの狙いを悟ったキョウスケの命令が通信を通して響き渡るが、既に遅い。

 

「フルバーストだ、食らえ!」

 

 まず最初に放たれたのは、ビームガトリング砲から放たれたビーム弾。それらが敵機の回避スペースを削る意味もあり四方八方へと降り注ぐ。続いてその隙を突くかのようにビームガトリング砲が発射されたままの状態からリニアレールガンが連続で発射され、アステリオンやサイバスター等の装甲の薄い回避特化型の機体を狙い撃つ。パイロットの差なのか、サイバスターは小破程度のダメージしか与える事は出来なかったが、アステリオンはその速度の代償として薄められた装甲を何ヶ所か貫通され、地上へと墜落する。そして次は2門のランツェ・カノーネとガン・レイピア、ハルバート・ランチャーの同時発射だ。ランツェ・カノーネから放たれたビーム弾はヒュッケバインボクサーやグルンガストへと連続して直撃。ガン・レイピアとハルバート・ランチャーは空中を舞っていたフェアリオン2機へと直撃。損傷させる。

 そして最後に放たれたのはファントム。28機全てがレーザーブレードを展開してT-LINKシステムにより増幅された俺の念動力に従い空を舞う。驟雨、いわゆるにわか雨の如く激しく降り注ぐファントム達。その刃は1つ1つが俺の意思通りに動き、虎龍王、ジガンスクード・ドゥロ等の運動性が高くない特機系の機体へとダメージを着々と与えていく。

 

 数十秒後、射撃の嵐が過ぎ去った後に残ったのは小破~中破の損傷を負った機体の群れだった。

 チラリと他の戦場になっている場所へと視線を飛ばすと、スレードゲルミルとダイゼンガーが斬艦刀で切り結び、ヴァイサーガはアンジュルグからの弓の攻撃を回避しつつ五大剣で斬り掛かろうとしている。ラピエサージュとヴァイスリッターは両機とも高機動射撃戦の最中だ。

 そしてヴィンデルのトリニティゲインは量産型Wの操る機体を指揮するのに専念しているのか、積極的に前線には出ていない。

 戦局だけを見るなら圧倒的にこちらが優勢と言ってもいいだろう。

 

「戦闘中に他の事に意識を取られているのは感心しないな!」

 

 その言葉と共に、地上からのビーム弾が連続して撃ち出される。

 既に見慣れた感のあるそのビーム弾は、ランツェ・カノーネから発射されるものだった。となると……

 

「エルザムかっ!」

 

 その言葉に応えるかのように、地上を疾駆しながら空を飛んでいるグロウセイヴァー相手に連続してランツェ・カノーネを撃ち込んでくる。

 

「否、私はレーツェル。レーツェル・ファインシュメッカー! トロンベよ、今が駆け抜ける時!」

 

 その射撃精度は驚愕の一言に尽きるだろう。一撃一撃がこちらの行動を予想しているかのように回避先に叩き込まれてくるのだ。しかも地上を縦横無尽に移動しながら。

 

「もっとも、俺には通用しないがな! T-LINKシステム、フルコンタクト!」

 

 攻撃を回避しながら、念の結界を展開。ランツェ・カノーネを撃ち込まれる場所を予測しながら、回避不可能な攻撃に対してはガン・レイピアやビームガトリング砲で相殺する。

 

「斬り裂け! シェルター・プラッテ!」

 

 そんな俺の行動に隙を見いだしたのか、あるいは牽制か。アウセンザイターの両肩に装備していた盾をこちらへ向かって投げつける。

 投げつけられたその盾は、ビームブレードを展開してそのまま回転しながらこちらへと向かう。

 確かにその質量や速度からまともに当たればダメージはでかいだろう。だが……

 

「そんな攻撃が今更効くとでも思っているのか!?」

 

 クロノスのブースターを使用し、その場から移動する。

 

「そう。君の事だ。必ず回避すると思っていたよ」

 

 レーツェルのその言葉を聞いた途端、背筋がゾクリとする。危険、危険、危険。

 T-LINKシステムを通して、念動力が危険を知らせてくる。周囲を素早く見回し、それを発見出来たのは幸運以外の何物でもなかったのだろう。

 

「へっ、いくらお前みたいな化け物でもさすがに全ての攻撃を読むって事は出来ないみたいだな。食らいなっ!」

 

 その言葉と共に上空から地上へと激突するかのような速度で落ちてくるのは、カチーナが乗っているアーマリオンだ。その特徴的なハード・ヒートホーンをこちらへと向けている。

 回避? いや、間に合わない。念動フィールド? いや、突破される。瞬時にそう判断した俺は、咄嗟に叫んでいた。

 

「アダマン・ハルパー、起動!」

 

 その声と同時に起動されたアダマン・ハルパーを馬上槍へと変化させる。それと殆ど同時に突っ込んできたアーマリオンのハード・ヒートホーンの切っ先を馬上槍の先端で受け、そのまま槍の身に沿っていなす。

 

「んな馬鹿な!?」

 

 驚愕の叫びを上げているカチーナのアーマリオンへと向け、胸部装甲を展開。そのままファイア・ダガーで追撃を……

 

「っ!? 加速!」

 

 アーマリオンに対する追撃をやめ、精神コマンドの加速を使用してその場を待避。同時にグロウセイヴァーのいた場所をジャケット・アーマーをパージしたビルトビルガーがその両翼に展開したビクティム・ビークで斬り裂くように通り過ぎている。

 ビルトビルガーの後ろ姿を一瞬確認するが、恐らく俺のフルバーストでジャケット・アーマーにかなりのダメージを受けていたのだろう。パージして高機動モードへとなっても、幾らかその機体にはダメージが見られる。

 

「……腕を上げたな」

 

 思わず呟く。ノイエDCの蜂起から始まったこの戦争。これまでに幾度もハガネやヒリュウ改の前に立ち塞がってきたが、着実に腕が上がってきている。その集大成がこの戦いだ。今の一連の攻撃は転生特典のある俺だからこそなんとか回避する事が出来たが、普通ならアーマリオンのハード・ヒートホーンで斬り裂かれるか貫かれるかして終わりだろう。

 

「アラド・バランガ。今の攻撃は見事だった。……褒美をやろう」

「え? 褒美!? 食べ物か何かか?」

 

 こんな時でもその態度を崩さないというのは余裕の表れなのか、あるいは特に何も考えていないのか……恐らく後者だろうな。苦笑しつつも機密通信でシロガネの格納庫にいる機体へと通信を送る。

 

「ゼオラ、聞こえているな?」

「はい。外で何が起こっているんですか? こちらからでは映像を受信できないんですが」

「悪いが、これもヴィンデルに知られない為だと思ってくれ。それよりも時間だ。そのままシロガネのハッチから出撃して、ハガネに合流しろ」

「え? は、はい分かりました」

「大尉? 一体……?」

 

 オウカの声を聞きながらも、意図的にそれを無視してゼオラへと命じる。

 

「今を逃すと、もう奴等と合流できなくなる。急げ!」

「はいっ!」

 

 合流できなくなる、という言葉が効いたのだろう。すぐにこちらとの通信を切りシロガネから飛び出る。

 それを見ながら、次はアラドへと通信を送る。

 

「食い物ではないがな。お前が最も欲していたものだ。……見ろ」

 

 グロウセイヴァーの指が示した方向へと、ビルトビルガーの頭部を向ける。

 

「あれは……ビルトファルケン!? って事はもしかして!」

「アラド!」

「ゼオラ!? それに、オウカ姉さんにセロ博士まで……」

 

 通信に映ったのだろう、アラドは3人の姿を見て呆然とした声を上げる。

 

「言っただろう? 褒美だ……安心しろ。既にアギラの洗脳は解いてある。お前の知ってるオウカとゼオラで間違いない」

「あんた、何で……?」

「そうだな、ここはこう言うべきか。知りたい事があるのなら俺を倒してみろ。そうすれば質問に答えてやる」




名前:アクセル・アルマー
LV:28
PP:40
格闘:218
射撃:236
技量:228
防御:225
回避:253
命中:275
SP:366
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.8
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:135

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