転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1188話

 昼食は、桜手製の料理の数々。

 夜に備えて英気を養って欲しいという思いがあったのか、結構豪華な代物だった。

 ……まぁ、柳洞寺へと出向くのは夜は夜でも、柳洞寺に住んでいる者達が眠っているだろう日付が変わる頃なんだから、鋭気を養う的な食事は夕食でも良かったと思うんだが。

 俺としては昼食だけじゃなくて夕食でも美味い食事を食えるんだし、文句はないが。

 その食事も終わって、現在は居間でゆっくりとしている。

 それでも午前中のように暇って訳じゃない。

 イリヤはやっぱり俺と一緒にいるのは色々と気まずいらしくてここにはいないが、セイバー、衛宮、桜の3人はいるし。

 ライダーはいつの間にか消えていたから、どこに行ったのかは分からない。

 そして何より、凛と綾子がいる。

 一応午前中に十分睡眠を取った事により、睡眠不足は回復したらしい。

 

「……そんなにですか?」

「そうよ。正直、ああいうのが身体を貪られるって言うんでしょうね。身体を動かしているのは向こうなのに、こっちの体力が先に尽きて、しかも綾子と一緒に相手をしてもこっちが負けるんだから」

「そうだな、まさに無限の体力……いや、無限の精力……これも違うな。そう、無限の性力とでも呼ぶべき感じだ」

 

 桜、凛、綾子、そして微妙に気になるのか、セイバーが俺と衛宮から離れた場所でそんな会話をしている。

 一応こっちには聞こえないように小声での会話だが、俺の耳にはしっかりと聞こえていた。

 凛が自分の姉らしさを出そうとしたのか、そっち系の話をしている。……顔を赤く染めながら。

 そんなところで姉らしさとか、出さなくてもいいと思うんだけどな。

 

「どうしたんだ、アーク? 言っておくけど、ああいう女同士の話には口を挟まない方がいいぞ? 絶対酷い目に遭うんだからな」

「どうやらそうらしいな」

 

 そういう訳で、俺は凛や綾子から離れて衛宮と2人でTVを見る。

 ……俺と衛宮がこんなにゆっくりするってのは、正直聖杯戦争開始時には思いも寄らなかったよな。

 当時の俺は記憶を失っていた訳だが。

 ただ記憶があっても、結果的には変わらなかったような気がするけど。

 いわゆるガールズトークとかいうのを繰り広げている4人から視線を逸らし、TVを見る。

 そこでは、午後という事もあってか芸能とかのニュース番組がやっていた。

 そんな中、どこぞの芸能人が人気のある店ですき焼きを食べるという光景が映し出される。

 

「……美味しそうですね」

 

 そう呟いたのは、セイバー。

 つい数秒前まではガールズトーク側にいた筈が、TVにすき焼きが出た瞬間にこっちに現れていた。

 それこそ、瞬間移動したんじゃないかってくらいの速度で。

 

「確かに美味そうではある」

 

 セイバーの言葉に納得する。

 画面では、すき焼きの鍋から取られた牛肉に溶き卵をたっぷりと付けて口へと運んでいる芸能人の姿。

 その光景を見る限りだと、確かに美味そうだ。

 しらたきや肉厚の椎茸、エリンギ、エノキ、豆腐、春菊、白菜等々。

 肉以外の脇役もそれぞれが非常に美味そうだ。

 

「ああ、肉をあんなにたっぷりと溶き卵に……いえ、この時代の卵は生で食べられるのでしたね。キノコも……素晴らしい。肉以外にも多種多様な野菜を一緒に食べる事が出来るとは。日本という国は食においては世界でも最高の国の1つですね」

 

 すき焼きの映像を見ながら熱く語るセイバーは、これまでにない程の集中力を発揮しているように思える。

 それこそ、下手をすれば俺と戦った時以上の。

 そんなセイバーを見ていて、衛宮としても思う事があったのだろう。笑みを浮かべて口を開く。

 

「そうだな、今日で聖杯戦争も終わるかもしれないんだし、どうせなら夕飯はすき焼きにしてみるか? 鍋物ってのは人数がいなければ美味くないし」

「いいのですか!?」

 

 瞬時に反応するセイバー。

 さすがに腹ぺこセイバーと言われているだけはある。

 

「ああ、俺は構わないよ。他の人がよければだけど……」

 

 チラリと俺の方へと視線を向けてくる衛宮。

 

「俺は構わない」

 

 すき焼きなんて随分と食ってない。

 似たようなのだと……確か結構前にマブラヴ世界の篁の家で肉じゃがをご馳走になったな。

 肉じゃがとすき焼きは色々と違うが、それでも味付けは似ている。

 

「桜達は?」

「構いませんけど……」

 

 衛宮の言葉に桜が答え、チラリと凛や綾子の方に視線を向ける。

 凛と綾子も問題ないと頷きを返す。

 

「よし、イリヤにも聞いて……それで大丈夫なようなら、今夜は大聖杯を破壊する為の前祝い兼決起集会って事で、英気を養う為にもすき焼きにしようか」

「本当ですか?」

「ああ。セイバーにもしっかりとすき焼きを味わって貰わなきゃいけないしな」

 

 鋭気を養うって……それは昼食前にも……いや、俺としては嬉しいからいいんだけど。

 そんな衛宮の言葉を聞いていた凛が、すっくと立ち上がる。

 

「じゃ、皆で買い物に行きましょうか」

「は? 皆で? いや、いいよ。買い物は別に俺だけで」

「……あのねぇ、衛宮君。単独行動をして、綺礼に狙われたらどうするの。元執行者よ? あんな奴に1人でいるところを狙われたら、衛宮君なんかあっという間に、良くて捕虜、下手をすれば死ぬわよ?」

「う゛っ!」

 

 衛宮にしても自覚はあったのだろう。妙な声を上げる。

 

「そうですね。正直に言わせて貰えば、シロウはあまり強くありません。それを考えると、やはり護衛が必要かと」

「なら遠坂の言う通り全員で買い物に行くってのがいいな。確かにこの家にいれば安全だろうけど、ずっと家の中にいるってのも不健康そうだし。それに、全員で行けば襲撃の心配はいらないだろ」

 

 セイバーと綾子に続けて言われ、やがて衛宮は何かを考えていたようだが頷きを返す。

 

「そうだな。俺は構わないけど他の皆は?」

 

 その言葉に、俺を含めて全員が頷きを返す。

 まぁ、元々俺はここで暇をしていたし。

 外に出ても良かったけど、特にやるべき事もなかった。

 それを考えれば、外へ買い物に出掛けるのは暇潰しとしても丁度いい。

 

「じゃあイリヤにも聞いてくるから、皆は準備をして待っててくれ。それとライダーがどこにいるのか分からないから、桜はライダーに連絡を取ってくれ」

 

 そう告げ、部屋から出て行く。

 それを見送ると、凛や綾子、桜が外出の用意をする為に居間を出て行った。まぁ、桜の場合はライダーとの連絡を取るというのもあるんだろうが。

 そうして残ったのは、俺とセイバーのみ。

 

「お前は外出の準備をしなくてもいいのか?」

「ええ。このくらいの寒さでは私には何の影響もありませんから。アークエネミーこそ、何か準備は?」

「俺も特に何かあるって訳じゃないからな」

「そうですか。……それにしても、すき焼き。この国には、とても素晴らしい料理があるのですね。それもシロウの作るすき焼きだと考えれば……」

「随分と食いしん坊キャラだったんだな」

 

 原作では知っていたが、セイバーを弄る為に直接告げる。

 すると案の定、セイバーは不満そうな表情を浮かべて両手を上下に振りながら口を開く。

 

「む。何を言っているのですか。食事とは、生命の根幹を成す行為です。ましてや知っての通り、シロウは魔力量の問題もあって魔力供給が十分ではありません。それを考えると、食事で魔力を補充するというのは私にとっては至極当然の事なのです」

 

 ……いいのか? 魔力供給が十分じゃないとか口にしてるが。

 いや、既にセイバーにとって聖杯戦争ってのは実質的に終わっているのか。

 今やってるのは、どちらかと言えばその後始末って感じだしな。

 

「寧ろそれを言うのであれば、アークエネミーは何故食事に拘るのですか? 貴方の場合はシロウとは違って立派なマスターがいます。であれば、そこまで食事に拘る必要はないと思いますが」

 

 もしかしてこれって、俺がすき焼きを食う量を減らす為の牽制なのか?

 いや、まさか……と思いつつも、原作でのセイバーの性格や、ここ何食か一緒に食事をしている時の様子を考えれば、有り得ないとは言い切れない。

 だが、甘かったな。

 

「確かに俺は凛との契約で魔力は十分に貰っている」

 

 正確には魔力生成のスキルで自給自足なんだが、それは言わなくてもいいだろう。

 

「なら……」

「けど、俺は元々食うという行為が好きだ。俺が食いたいから食う。それだけで十分だろう」

「なっ!?」

 

 元々俺は混沌精霊であって、サーヴァントでなくても食事の類は必要のない身体だ。

 勿論食事をすれば、腹の中に入ったものが即座に分解されて魔力に変換されて吸収される。

 

「つまり、そういう訳だ。俺は魔力の為じゃなく、自分で満足する為に食事をしているだけだ」

「……そんな……」

 

 何故か打ちひしがれるセイバー。

 うん、セイバー的には隠している事を、堂々と宣言する俺に打ちひしがれた的な感じだったのだろう。

 そうして、居間の中に広がるのは沈黙……

 微妙に居心地が悪い雰囲気になったが、ちょうどそれを破るように足音が聞こえてきた。

 

「ごめん、待たせたか。……セイバー?」

 

 イリヤ達を引き連れてやって来てた衛宮は、居間の中で打ちひしがれた様子のセイバーに首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

「じゃあ、白菜を1つに、長ネギ、春菊、椎茸、エリンギ、エノキをそれぞれ2……いや、3パックずつ」

「あいよ、いつもありがとさん。このリンゴはおまけだ。持っていきな」

 

 商店街の八百屋で買い物を済ませた衛宮は、店主から貰った野菜の詰まったビニール袋を受け取る。

 おまけとして貰ったリンゴは、見るからに美味そうだった。

 

「衛宮君の場合、スーパーで買うんじゃないのね」

「うん? ああ、勿論スーパーにも寄るけど、こういう店だとおまけして貰えるし。それに、いつも使ってるからな」

「くーっ、嬉しい事を言ってくれるな。ほら、ついでだ。これも持ってけ!」

 

 ミカンを5個入った袋を渡す店主。

 サービスし過ぎじゃないか?

 そう思ったものの、別にこっちに損になるような話じゃないし、これも日頃の衛宮の行いのおかげだろうって事で、何も言わずに次の店へと向かう。

 

「そう言えば、思い出すな。この前凛や綾子と一緒に買い物に行った時、家に戻ったらランサーがいたんだよな」

「……それは一体、どういう状況なのでしょうか。待ち伏せを?」

 

 不思議そうに尋ねるセイバーに、凛が溜息を吐きながら首を横に振る。

 

「そんなんじゃないわよ。ベーコンを持ってきて、一緒に食事をしようって言ってきたの」

「……は? その、ランサーを倒したのはアークエネミーなのですよね?」

「いや、倒したのは2人目のアサシンだな」

「……は?」

 

 数秒前と同じように、意味が分からないと、微妙に間の抜けた声を出す。

 

「普通はそうだろうな。ただ、ランサーとしては殺し合う相手と食事をするってのはそんなにおかしな出来事じゃなかったみたいだぞ?」

「それは変よ」

 

 思わずといった様子で突っ込むイリヤ。

 まぁ、イリヤの場合は聖杯戦争を真面目にやろうとしていたからな。

 別に俺が不真面目だったって訳じゃないが。

 あの当時は記憶を失っていた影響もあり、俺も聖杯戦争を真剣にやっていた。

 最初から記憶が戻っていれば、色々と裏技も使えたんだが。

 ゲートやらマーカーやらニーズヘッグのシステムXNが使えれば、更にもっと凄い事になっていた筈だ。

 ……上手くいけば、今夜でこの冬木で行われている聖杯戦争という儀式そのものが消滅する。

 そうなると、俺もどうするかをそろそろ考えないとな。

 ホワイトスターに戻る方法も探さないといけないが、凛と一緒に行動するのがベストだろう。

 いや、そういうのがなくても凛と一緒に行動するのに否はないけど。

 ただ、そうなると綾子をどうするかが問題となる。

 半サーヴァントと化した綾子は、普通の生活に戻れるのか。戻れるとしても、力の加減とかそういうのをきちんと出来るようにならないといけないだろうし、何よりも凛は多分聖杯戦争が終わって高校を卒業すれば魔術協会の総本山でもある時計塔に留学する筈だ。

 そうなると、綾子と離れて暮らす事になる。

 魔力の問題とか、他の魔術師に狙われないかとか、そういう件を何とかしないといけない。

 取りあえずアサシンの物干し竿は綾子に渡すとして……

 

「アーク、急にどうしたんだ? いきなり考えこんで」

「ああ、いや。何でもない。ちょっとこれからの事を考えていてな」

 

 衛宮に対し、そう言葉を返す。

 

「これから?」

「そうだ。このパターンだと、もしかして衛宮の家に戻ったら言峰がいたりするかもしれないと思ったんだよ」

「おいっ、そんなの嫌だぞ!」

 

 衛宮の言葉に、俺以外の全員が頷く。

 ……そうか? ここで言峰が出て来てくれれば、大聖杯を破壊するのにいらない障害はなくなるから便利だと思うんだけどな。

 そんな風に考えながら、俺達はすき焼きの材料を買い集めて行く。

 

 

 

 

 

 尚、家に戻る時は若干恐る恐るだったが、言峰の姿はどこにも存在しなかった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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