転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1192話

 大聖杯が近くに見える状況で、俺は言峰と向かい合う。

 少し離れた場所にいるのは、凛、綾子、セイバー、衛宮、イリヤ、セラ、リズ、ライダー、桜。

 こっちを見ている視線の中に、不安は存在しない。

 それも当然だろう。ここにいる者達は、俺がどれだけの力を持っているのかを知っているのだから。

 いや、唯一桜だけは直接俺の力を見た事がない為に心配そうな表情を浮かべてはいる。

 それでもライダーから話を聞いている為か、直接止めようとはしていないらしいが。

 ゲイ・ボルクを片手に、視線を言峰の方へと向ける。

 向こうが何を考えてこんな茶番を申し出てきたのかは分からない。

 言峰にしてみれば、大聖杯が破壊されれば自分の命が尽きるから、それが理由なのか?

 ……それでもこんな風に、わざわざ自分の命を縮めるような真似をするというのは不自然極まりない。

 もっとも、相手の狙いが分からないからこそ、こうやって決闘をする羽目になっているんだが。

 正直なところ、俺は言峰が本気でこちらに降伏する気であるとは思っていない。

 何しろ俺達に降伏したとしても、大聖杯を壊すのは変わらないのだ。

 そうなれば結局言峰が死ぬのは変わらない。

 まぁ、ホワイトスターに行けば、何とかなる可能性はあるが……言峰がそれを知っているとも思えないしな。

 となれば、確実に何らかの企みががあるのは間違いない。

 この勝負は勝ちが見えているとしても、油断はせずに戦えば問題ないだろう。

 

「さて、準備はいいよな? そろそろ始めるぞ? まずは小手調べと行こうか」

 

 言峰が元代行者だというのは知ってるし、俺が金ぴかと戦っている時に襲撃して来て撃退されたのも知っている。

 それでも、実際に現在はどれだけの力があるのかというのが分からない以上、それを確認する必要はあるだろう。

 正直、一気に倒してしまえば手っ取り早いってのは事実なんだが……あの言峰だと考えれば、自分が負けた時に何らかの仕掛けが動くようになっていてもおかしくない。

 それを阻止する為というのもあり、ゲイ・ボルクを握ったまま左手の一部を白炎にして炎獣を生み出す。

 獅子の炎獣が1匹に、狼の炎獣が3匹、鷲の炎獣が3匹の合計7匹。

 

「なっ、炎で出来た獣!?」

 

 凛達のいる方で誰かが驚愕の声を上げているのが聞こえてくるが、獣の形をした炎を操るくらいなら、魔術師にしてみればそんなにおかしな話ではないと思う。

 まぁ、炎獣みたいに擬似的な意識があるかどうかは分からないが。

 

『GURURURURURU!』

 

 最初に動いたのは、3匹の狼。

 唸り声を上げながら、それぞれが真っ直ぐに言峰へと向かって突っ込んで行く。

 そんな狼の炎獣を援護するように、鷲の炎獣も空を飛んで言峰へと迫る。

 そうして、獅子の炎獣が最後の仕上げだと言いたげに、少しタイミングを遅らせて地を蹴る。

 更に援護という意味を込めて鬼眼を発動……するが、言峰に効いた様子はない。

 ちっ、やっぱり鬼眼はランクが低すぎるか。

 いや、元代行者だ。当然魔眼とかの対策はある程度していてもおかしくはない。

 そもそも、俺達に戦いを挑みに来たんだから、当然こっちにライダーがいるというのは知っている筈だ。

 アインツベルンでの森で行われた戦いをランサーに見せていたとなると、当然俺がライダーの魔眼を使われていたというのを知っているだろう。

 で、俺の鬼眼は魔眼としての多様性という意味では、対象をランダムの状態異常にするというかなり強い効果を持ってはいるが、純粋な魔眼としてはライダーの魔眼の足下にも及ばない。

 

「GYAN!」

 

 そんな風に考えていると、真っ先に破壊された炎獣は空を飛んでいた3匹の鷲だった。

 一瞬遅れて狼が2匹やられる。

 黒鍵によって貫かれると、そのまま消えていく。

 気が付けば、残っていたのは獅子と狼が1匹ずつ。

 炎獣は基本的に物理攻撃が無効の筈……と思ったが、聖堂教会の代行者が使う武器である黒鍵には魔力的なダメージを与えるというのがあるんだろう。

 だが、そんな言峰であっても全ての炎獣を一度に倒す事は出来なかったらしい。

 生き残った狼の炎獣が、その炎の牙で言峰を食い千切らんと飛び掛かり、同時に獅子の炎獣も前足を振り下ろす。

 当然言峰としてはその攻撃を食らうわけにもいかず、狼の一撃を回避するや拳を振るってその姿を砕く。

 そこに襲い掛かってきた獅子の一撃は回避し、素早く懐に入り込むと獅子の胴体へと拳を突き出す。

 

「……へぇ。拳の方にも魔力を乗せてるのか。考えてみれば当然だろうけど、思っていた以上にやるな」

 

 形を崩し、白炎となって消えていく狼と獅子の炎獣を眺めながら呟く。

 確かに腕は一流と言ってもいい。

 今の一連のやり取りは、それだけの価値があった。

 けど……

 

「今のままで俺にお前の優位性を見せつけるってのは、ちょっと足りないんじゃないか? もう少し魅せてくれるものがないとな」

「そうかね。私としては精一杯やっているつもりなのだが」

「なら、お前の生はここで終わる。……さて、炎獣との戦いは見せて貰った事だし、次は俺と戦って貰おうか。見て分かると思うが、俺が持っているこの槍はランサーの残したゲイ・ボルクだ。お前に対する恨みが間違いなく残ってるから、当たれば多分酷い目に遭うぞ?」

 

 まぁ、ゲイ・ボルクにあるのは傷の治りを遅くする呪いであって、俺が口にしたような呪いの類はないだろうが、ランサーは今回の聖杯戦争では最悪といってもいいような運命を辿った。

 それを思えば、ゲイ・ボルクに何らかの怨念が乗り移っていてもおかしくはない。

 ランサーがそういうのを好まない性格だと考えれば、そうなるとは思えないが。

 

「その呪いはこちらも回避させて貰おうか。私が生き残る為に」

 

 生き残るというか、言峰の状態を考えれば死に残るという方が正しい。

 

「なら、その力……見せてみろ!」

 

 その一言と共に、一気にゲイ・ボルクを構えたまま前へと出る。

 最初に放つのは、技も何もないただの突き。

 ただし、混沌精霊でもある俺の力で放たれた槍はまっすぐに言峰の胸元へと迫る。

 黒鍵を手にした言峰だったが、ゲイ・ボルクをそれで受け止める訳にはいかないと判断したのだろう。咄嗟に身体を捻って槍の穂先を回避した。

 また、ただ回避したのではない。その回避する動きに合わせて俺の方へと黒鍵を投擲してくる。

 さっきの炎獣とのやり取りを見ていれば分かるが、この黒鍵は魔力を纏っている。

 つまり、食らえば俺であってもダメージを受ける訳だ。

 そんな一撃を黙って受ける訳にもいかず、ゲイ・ボルクを突き出した状態のままで身体を捻る。

 同時に、先程の言峰ではないが身体を捻った動きを使い、ゲイ・ボルクを横薙ぎに振るう。

 

「ぐうっ!」

 

 周囲に鈍い金属音が響き、同時に聞こえてくる言峰の苦悶の声。

 ……金属音?

 それを不思議に思い、横に吹き飛ばされていった言峰の方へと視線を向けると、その手に持っているのは刀身の部分が折れた数本の黒鍵。

 なるほど、ゲイ・ボルクが横薙ぎに当てられる直前に黒鍵を盾にしたか。

 岩壁へと向かって吹き飛ばされた言峰だったが、そのまま空中で体勢を整えると壁に立つように足で壁へとぶつかり、衝撃を殺す。

 随分と身軽な事だ。

 にしても、こうして戦っていて分かるが、確かに言峰は元代行者だけあってかなりの実力を持っている。

 勿論サーヴァントには能力的に及ばないが、それでもその力は間違いなく一級品。

 いや、純粋に自分の身体能力を使いこなしているというのを考えれば、実戦経験の差で半サーヴァントの綾子をも上回るだろう。

 確かにそれは凄いし、驚くべき事だ。だが……

 

「結局、サーヴァントに届くかどうかってだけで、サーヴァントに勝てる程じゃない。勿論そのサーヴァントの中で最強を誇る俺にもな」

「ふっ、ふふ……勿論、それは分かっているさ。だが、元より私は君に勝てるとは最初から思っていない。私がやるべきは、君に私の力を見せ、使える人物だというのを証明するだけなのだから……なっ!」

 

 最初に言っていたような事と違うような気もするが、その一言と共に黒鍵が投擲される。

 一体何本持っているのか、どこに持っているのか。それは分からないが、恐らく代行者としての何らかの技術なんだろう。

 俺の空間倉庫や、金ぴかの王の財宝じゃあるまいに。

 こちらに向かってくる黒鍵は、その尽くが俺の頭部や心臓といった致命的な場所を狙ってのもの。

 この辺もさすがと言うべきだろう。

 そんな風に思いながら、ゲイ・ボルクを素早く振るう。

 キキキキン、という連続した金属音が周囲に響き、同時に地面へと何本もの黒鍵が叩き落とされた。

 

「どうした? 確かに黒鍵は使える武器かもしれないが、その黒鍵だけを俺に投げてお前の有益性を現したと言えるのか?」

 

 もし黒鍵を投げるだけの能しかないとしたら、こっちとしても呆れる。

 だが、言峰には他の能力もある事を俺は原作知識で知っている。

 いや、それどころか、言峰の弟子が凛なのだから、当然これだけで終わる筈がない。

 原作ではキャスターをボコボコにした、凛の八極拳。それを教えたのは言峰なのだから。

 同時に、第4次聖杯戦争ではアインツベルンの森でその実力も発揮している。

 それを思えば、黒鍵以外にもその力はまだ十分過ぎる程にあるだろう。

 

「では、そうさせて貰おう!」

 

 再び黒鍵を投擲する言峰。

 そこまではさっきまでと同様だったが、その次が違った。

 一気にこっちのと距離を縮めてきたのだ。

 俺の振るうゲイ・ボルクを身を屈めて回避しつつ、更にこちらの間合いを詰めてくる。

 そうして繰り出される拳。

 真っ直ぐに伸びてきたその拳は、速度も威力も申し分ないように思えた。

 実際、俺がその辺の普通の人間だったら、いつの間にか肋骨を砕かれ、心臓を破壊されていてもおかしくないだろう一撃。

 だが、今の俺にその程度の攻撃が通じる筈もなく、ゲイ・ボルクの石突きの部分で言峰の顎を下から打ち上げる一撃を繰り出す。

 カウンター気味に放たれたその一撃は、だが結局どのようにしてか危機を察知した言峰によって、直撃は回避される。

 肉を金属で打つ音と共に吹き飛ばされる言峰。

 洞窟の中を何度もバウンドしながら吹き飛んでいく。

 ……真上に打ち上げるつもりだったのが、咄嗟に身を退いたおかげで後ろに吹き飛んだのか。

 その辺の判断力はさすがと言うべきだろう。まともに食らうよりはダメージが少なかった筈だし。

 だが……それでも、ダメージは少なかったであって、皆無という訳ではない。

 つまり、現状ではかなりのダメージを受けているのは事実な訳だ。

 まぁ、半ばアンデッドに近い今の言峰に、そんな感覚があるのかどうかは微妙だが。

 だからこそ……

 

「ほら、行くぞ」

 

 その言葉と共に、地面へと倒れている言峰へと向かってゲイ・ボルクを手にしたまま近づいて行く。

 決して油断はしない。

 それを向こうも分かっているのか、それとも単純に今気がついたのかは分からないが、そこに放たれる黒鍵。

 だが今更そんな攻撃がどうにかなる筈もなく、ゲイ・ボルクで黒鍵を弾いていく。

 言峰もそれは承知のうえで、今の一撃はあくまでも牽制の一撃。

 こちらに行動を起こさせ、少しでも時間を稼ぐのが目的だったのだろう。

 黒鍵を投擲しながらも、倒れていた状況から体勢を立て直してこっちに向かって突き進む。

 再び振るわれる拳。

 俺の心臓を狙って放たれたその一撃は、だが当然のように空を切る。

 ごっ、という肉を打つ感触。

 今度は先程のように自分から飛んで回避出来ず、吹き飛ぶ言峰。

 吹き飛ぶ言峰の後を追い、穂先で貫く。

 肉を裂く感触がゲイ・ボルク越しに伝わってくるが、それで動きを止める事なくゲイ・ボルクを振るう。

 突き刺さり、斬り裂き、叩き落とす。

 そのような連続攻撃により身体中から血を流しつつ、地面に倒れ込む言峰。

 ピクリとも動かないその様子は、傍から見る限りでは死んでいるようにしか見えない。

 だが、今の言峰はそう簡単に死なない。……死ねない。

 大聖杯がある限り、言峰はその生き汚なさを発揮するだろう。

 周囲に広がっているのは沈黙。

 

「……こ、殺したのか?」

 

 衛宮の言葉に首を横に振る。

 

「言峰がこの程度で死ぬのなら、こっちにとっても楽なんだがな。……それよりも、取りあえずこいつは暫く動けないと思うが、俺が大聖杯を破壊するまで見ていてくれないか?」

「あ、ああ」

 

 衛宮が頷いたのを見て、セイバー達を始めとした他の者達が近づいてくるのを見ながら……俺は、大聖杯の方へと向かって近づいて行くのだった。

 さて、いよいよ聖杯戦争の終わりの時は近い。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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