転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1211話

 マブラヴ世界の日本にある、とある料亭。

 幾らシャドウミラー経由で各種食材が手に入るようになったとしても、どうしてもこういう料亭での食事は高くなる。

 いや、この時期だからこそ材料が不足しがちになり、余計に高くなるという事か。

 BETAの進軍は中国でピタリと止め、日本には及んでいない。

 そのおかげで日本の食材に関しては全く困っていないが、元々日本の食糧自給率は決して高くない。

 その為、このような料亭……しかも高級料亭と呼べるだけの料亭で出すような食材は、入手するのが非常に難しくなっている。

 そんな場所に俺がいて……そして俺の目の前には崇継、恭子、夕呼の3人の姿があった。

 護衛となる者達も勿論いるんだろうが、それは別室で待機中らしい。

 それと、いつもは夕呼とセットになっている霞は、今日はここに来ていない。

 夕呼としては手元に置いておきたい存在だろうに。

 ……まぁ、霞の能力は俺に効かないというのを理解した上での行動なのだろうが。

 で、そんな顔見知りばかりが揃っている部屋の中だが……漂っている空気は、とてもではないが顔見知り同士の気安いものではない。

 どこかピリピリとした雰囲気が周囲には漂っている。

 

「お前等、本気か?」

 

 目の前にいる3人へと尋ねる。

 もしかして、実は冗談だったと言うんじゃないかと、少しだけ……ほんの少しだけ期待したのだが、残念ながらそんな事はないままに頷きを返される。

 それも真面目な表情のまま。

 つまり、この3人が言っている事は本気で言っている……そういう風になるのだろう。

 

「ああ、勿論。マーズゼロを含むハイヴ攻略作戦……火星の息吹作戦、私にも参加させて欲しい」

 

 崇継の言葉に、溜息を吐く。

 どうやら俺の聞き間違いとかそういうのじゃなく、本当に本気で言ってるらしい。

 

「まぁ、いい。それに関しては後回しとして……恭子、お前もか?」

「はい。出来ればご一緒させて貰えればと思います」

「……夕呼は? まさか、お前も来るなんて言わないだろうな?」

「当然でしょ。ま、ニヴルヘイムだっけ? あのトンデモ兵器に乗ってるだけっていうのなら話は別だけど。あたしが希望するのは、A-01部隊の派遣を認めて欲しいって事よ」

 

 全員の言葉を聞き、思わず溜息を吐く。

 

「まず、崇継。お前は斑鳩家の当主だろう? その当主が何だって火星に行こうなんて考えるんだよ。火星でお前が死んだりしたら、どうする気だ?」

「これは異な事を。そもそも、シャドウミラーはいつでもBETAを圧倒しているだろう? なら、例え私が参加したとしても、特に危険はないと思うが?」

「あるに決まってるだろ。幾ら俺達が圧倒しているからって、そもそも勝ってるのは俺達だ。お前達の戦術機じゃないんだぞ」

「そこは武御雷を使うさ。寧ろ、火星に行く理由の1つはそれだ。どうしてもこっちだと武御雷のデータが十分に取れないというのもあってね」

「……もう量産が開始されてるってのに、何だってデータを取る必要があるんだよ」

 

 まだそれ程の数はないが、それでも現在TSF-TYPE00は既に量産されており、その機体に乗っている者もいる。

 そもそも……

 

「俺達が行くのは火星だぞ? 地球での運用しか考えないで作られた機体が、火星でまともに動かせると思うのか?」

「そうだね、確かに地球上での運用だけを考えて開発された戦術機というのは、火星で満足に動けるかどうかは分からない。それは認めよう。……ならその辺の改修作業にはシャドウミラーの手を借りるというのはどうだろう?」

「……何?」

 

 崇継の口から出て来た言葉に、思い切り意表を突かれる。 

 TSF-TYPE00というのは、日本の中でもトップシークレットの機体の筈だ。

 当然だろう。現在この世界に存在する戦術機の中で、MSの技術を本格的に投入されて作られた唯一の機体なのだから。

 開発途中でストライクダガーというMSを得る事が出来、飛鳥計画の者達がそれまでの開発計画を一旦白紙に近い状態まで戻し、そこから改めてストライクダガーの技術の解析を行いつつ、同時に飛鳥計画の機体に組み込んでいったという曰く付きの代物だ。

 当然日本の最重要軍事機密であるストライクダガーの技術がふんだんに入っているその機体は、他国に対してそう簡単に見せていいものではない筈だ。

 

「おかしいかな? そもそも、確かにMSの技術というのは私達にとっては重要な代物だ。けど、君達シャドウミラーは違うのだろう? なら、君達に任せてもおかしくはないと思うが? いや、寧ろ君達に任せる事でこちらとしても、武御雷をより高い完成度とする事が出来る。また、君達は戦術機とMSの混血とも呼べる武御雷のデータを得る事が出来る。正直、技術的に私達はかなり遅れているけど、だからこそ、君達にとっても武御雷のデータは欲しいんじゃないかな? 国産主義の者達も、相手がシャドウミラーであれば迂闊な事は口に出せないだろう」

 

 崇継が小鉢の料理へと箸を伸ばしつつ告げてくる言葉を聞き、俺は確かにと思わざるを得ない。

 シャドウミラーとしては、戦術機とMSのハイブリットな存在のTSF-TYPE00というのはそれなりに興味深い。

 それこそもし敵対している相手であれば、スパロボOGsの世界で俺がやっていたように忍び込んで機体を奪取するといったくらいには。

 まぁ、現状日本は友好的な勢力である以上、そんな真似をする気はないが。

 そんな状況である以上、もしTSF-TYPE00のデータを入手出来る機会があるのなら、俺達としては願ってもない。

 もっとも、それが俺達にとって役立つ技術かと言われれば、首を捻らざるを得ないが。

 ベースになっている戦術機が、シャドウミラーの機体に比べるとかなり性能が低いのだから。

 だが……

 

「何でそこまでするんだ? 日本……というか、斯衛にしてみればTSF-TYPE00のデータをこっちに寄越す必要はないだろ? それこそ火星のデータ云々だって、あればあったでいいかもしれないけど、この世界の地球が火星に兵士を出す事なんて、少なくてもお前達の代では確実にない。それこそ下手をしたら100年単位で先になる筈だ」

「そうだね、確かにそうかもしれない。私達の代で火星に……というのは。けど、それだけに今回の火星の息吹作戦に参加したとなれば、これ以上ない程に大きな功績となる。そして、その功績は私が征夷大将軍の地位を得る為に必要なんだ」

 

 崇継の口から出た言葉に、納得の表情を浮かべる。

 現在の征夷大将軍はかなりの高齢であり、既にその職責を果たすのは難しくなっているという話を聞く。

 特に俺がFate世界に行っていたこの1年の間は、急速に体力が衰えてきているとか。

 そのおかげで、現在武家や斯衛、城内省では次期征夷大将軍の地位を巡って色々な動きが起きているらしい。

 これもその一件が影響している訳か。

 

「けど、お前はTSF-TYPE00の件やこれまでの実績もあるんだ。わざわざ今回の作戦に同行しなくても大丈夫なんじゃないか?」

 

 俺達シャドウミラーとの関係も含め、功績としてはちょっとその辺の奴等には負けたりはしない筈だ。

 だが崇継は、そんな俺の言葉に首を横に振る。

 

「城内省の上層部には、寧ろそれが理由で私を疎んでいる勢力もあるのさ。その者達の数は決して少なくない。更に、その者達が担ぎ上げようとしているのが……アクセルも確か会った事があったと思うが、煌武院家の悠陽だ」

「……はぁ? 本気か?」

 

 俺の脳裏を過ぎったのは、何年か前にパーティで会った事のある少女。

 俺とそれなりに関係のある月詠が護衛をしていた人物だ。

 だが、あの悠陽とかいう女はまだ10代半ば程度で、とてもではないが征夷大将軍という地位を勤める事が出来るとは思えない。

 そんな俺の疑問を見て取ったのだろう。崇継は苦笑を浮かべて言葉を続ける。

 

「悠陽の年齢を考えれば、まともに征夷大将軍の役割をこなせるとは思わないだろう? 勿論彼女にはそれを為すだけの片鱗があるというのは理解している。だが、それでも若すぎる。……つまり、彼女を推している者達はその若さをこそ必要としている訳だ」

 

 その言葉で崇継が何を言いたいのかを理解する。

 つまりは……

 

「傀儡、か」

 

 俺の口から出たその単語に、崇継は頷きを返す。

 

「そういう事だ。勿論悠陽が聡明な頭脳を持っているというのは知っているし、いつまでも傀儡になっているという訳ではないだろう。だが、それなら最初から私が征夷大将軍の地位に就いた方がいい。そう判断してね。火星の息吹作戦に参加したとなれば、誰も文句を言えないだけの功績となる」

「……なるほど」

 

 崇継が何を狙っているのかは分かった。

 勿論崇継の性格を考えると、こうして話したのが全てという訳でもないだろう。

 恐らく今の話以外にも何らかの事情があると考えてもいい筈だ。

 だがそれでも、今の説明が最大の理由だというのは間違いないと思う。

 俺の性格を知っている崇継が、ここで下手な嘘を吐くとも思えないし。

 

「まぁ、崇継の話は分かった。……確かに今の日本が妙な方向に暴走されると、こっちとしても困る。他の奴等の意見を聞く必要もあるが、一応前向きに対処させて貰おう。……次は恭子だな。お前は何だって同行を希望する? まさか、崇継と同じく征夷大将軍の地位を狙っているから……とかじゃないよな?」

「ええ、勿論。そこまでは言いません。ただ、似たような事になっているのは事実です。アクセルさんは知っていると思いますが、私は崇宰家の次期当主候補という身分にあります。ですが、現在私と当主の座を争っている人物が城内省の……」

「ああ、分かった。最後まで言わなくてもいい。つまり崇継のダウングレード版みたいな感じだな?」

「……はい」

 

 恭子のライバルとなっている相手が、城内省の支持を受けているんだろう。

 

「何だか、その城内省ってのはあっても邪魔なだけじゃないか? とっとと潰した方がいいような気がするんだけどな」

「ははは。確かにアクセルからはそう見えるかもしれないけど、なければないで困る部署でもあるんだよ。その辺が気軽にどうこう出来ない理由なんだけどね」

 

 苦笑を浮かべる崇継に、恭子も同意するように頷く。

 この2人がこんな風になってるってことは、百害あって一利なしって感じに思えるんだけどな。

 

「まぁ、恭子の件も分かった。……で、夕呼。お前は? まさか、お前まで征夷大将軍がどうの、五摂家がどうのこうのなんて言わないよな?」

 

 これで夕呼まで同じような事を言ってきたら、さすがに呆れるぞ。

 そんな思いで、今まで崇継や恭子の話を聞いていた夕呼の方へと視線を向ける。

 すると、夕呼は料理を食べていた箸を止め、口を開く。

 

「当然でしょ。ま、似たようなものなのは否定しないけどね。私の直属でもあるA-01に手柄を立てさせたいのよ。正直、あんた達のおかげでオルタネイティヴ4は殆ど成果を上げられていないわ」

 

 まぁ、そうだろうな。

 俺達が力業で強引にBETAを殲滅し、ハイヴを占領していってるんだから。

 量に対して質で対抗するという、この世界の軍事的常識に真っ向から逆らって。

 

「で、それが理由でA-01を参加させろってのか? そもそも、オルタネイティヴ5派はもう壊滅的な被害を受けてるんだから、無力に近いだろ? ここでお前が無理をする必要はないんじゃないか?」

「確かにオルタネイティヴ5派に関してはそうでしょうね。けどね、オルタネイティヴ5の次は6。そして7という事も考えられるのよ」

「そこまで行くか? そもそも、現状で人類側が有利な以上、無理にそんな秘密計画とかを進める意味はないと思うけどな」

「甘いわね。寧ろ、この状況だからこそ動く勢力もあるのよ。……まぁ、今のアメリカはそんな馬鹿な真似をするとは思えないけど」

 

 オルタネイティヴ5派の暴走とか、色々とあったからな。

 何かを企もうとするだけの体力は、殆ど残っていないだろう。

 また、同時に日本と俺達シャドウミラーがかなり親しい関係である以上、そこにちょっかいを出して俺達の怒りを買うような真似をするとも思えない。

 そもそも、ビルが大統領を続けているのは俺達シャドウミラーとの関係もある。

 それを邪魔するようなことは、さすがにしないだろう。

 下の方が暴走する危険はあるかもしれないが、その辺はビルだってきちんと理解しているだろうし。

 

「とにかくそういう訳で、何らかの成果は必要なの。どう? A-01は腕利きが揃ってるわよ?」

 

 ……さて、どうするべきか。

 正直崇継や恭子の個人、あるいは数機程度の戦術機と違って、ある程度纏まった戦力であればある程度使い勝手がいいのも事実だ。

 勿論機体性能や操縦技術の差がある以上、最前線に引っ張ってくるなんて事をするつもりはない。

 だがシロガネの防御を任せるというのは出来るんじゃないか?

 実際にはメギロートやイルメヤを使えば事足りるが、戦術機でその役目をある程度代わっても……まぁ、多少メギロートやイルメヤに混乱が起きるかもしれないが、それだって些細な事だ。

 その辺を考えれば、何とかなりそうな気がしないでもない。

 

「分かった、お前達3人の要請は相談させて貰う。ただし、もし火星の息吹作戦に参加するとしても指揮権はこっちにあるぞ。例えそれが五摂家の関係者であろうが、国連軍の秘密部隊であろうがだ」

 

 これだけは絶対に譲れないと告げる言葉に、意外な事に3人共全員があっさりと頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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