転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1218話

 映像モニタに映し出されている映像は、BETAの死骸で溢れていた。

 ビームで消滅してしまえば殆ど死骸の類は残らないのだが、それは逆に言えばビームが命中しなかった部分は残るという事になる。

 例えばビームによって突撃級の装甲殻のど真ん中を貫いたとして、確かにビームの当たった真ん中の部分は消滅するだろう。

 だが、ビームで消滅した場所の上下左右といった周囲の部分が残ってしまう事も珍しくはない。

 勿論ランツェ・カノーネやメガ・バスターキャノンといった効果範囲の広いビームであれば話は別だ。

 しかしニーズヘッグの武器の中で最も砲門の多いヒュドラ先端のビーム砲は、そこまで巨大なビーム砲ではない。

 である以上、当然BETAの死骸が残るのは必然であり……

 

「ま、普通ならBETAの死骸が邪魔になってBETAの接近に気が付かないとか、そういうのもあるんだろうけどな」

 

 呟き、ランツェ・カノーネでBETAの死骸が散らばっている場所を一掃する。

 それによりこの門級の前のホールの中は綺麗さっぱりと見晴らしがよくなった。

 ……その分、こっちに向かってくるBETAの群れが全く途切れる様子がないのも見えるんだが。

 溜息を吐き、続々とこちらに向かってくるBETAに対してヒュドラのビーム砲を発射する。

 1基につき3門。それが合計6基で、合計18門のビーム砲。

 BETAを一瞬で消滅させる程の威力はなくても、こちらに向かってくるBETAの命を奪うには十分過ぎる程の威力を持った攻撃だった。

 そうして近づいてくるBETAを殺し続けているんだが、一向に援軍が止む気配はない。

 火星最大のハイヴだけあって、種類は地球よりも少ないが数は地球とは比べものにならない程存在しているのだろう。

 この門級の前で戦闘を始めてからどのくらい経ったのか……少なくても30分以上は経っている筈だ。

 その間中、延々と援軍を出し続けているというのは、さすがに凄いとは思うが。

 それでもずっと一本調子なのを考えれば、さすがに飽きてくる。

 そろそろ誰か他の面子がここに到着して欲しい。

 そうすれば俺もこの門級の向こう側に進む事が出来るんだけど……

 

『アクセル、そっちの調子はどう?』

 

 突然入って来たマリューからの通信に少し驚きつつも、映像モニタをニーズヘッグの外を映している画面へと繋げる。

 

「見ての通り、延々とこっちに向かってBETAが攻め込んできてる。単調な戦闘に飽きてきたってのが正直なところだな」

『あのね、ニーズヘッグを相手に緊張感のある戦闘をするようなBETAがいたら、今頃こっちの被害は甚大よ? ……けど、なるほど。やっぱりアクセルの方が原因だったのね』

 

 納得したといった表情を浮かべるマリューに、視線で問い返しながらランツェ・カノーネによるビームで要撃級を追い抜こうしていた突撃級を纏めて消滅させる。

 

『実は少し前から地上に出てくるBETAの数が明らかに減ってるのよ。おかげでこっちはかなり暇になってきたわ』

 

 なるほど、最後に通信をした時にはこちらと話しながら戦闘指示を出していたが、今のマリューは俺との会話に専念している。

 つまり、量産型Wでどうにか出来る程度のBETAしかいないのだろう。

 

「それは羨ましいな。こっちは延々と敵が出て来て非常に面倒臭いんだが」

『でしょうね。多分、私達が暇になったのはアクセルのおかげでしょうし』

「……なるほど。さすがに本拠地、あるいはそれに類する重要施設を攻撃されそうになってしまえば、BETAとしても地上に援軍を出す余裕はなくなるか」

 

 小さく肩を竦めながらも、T-LINKシステムを使ってT.T.キャノンを発射。姿を現した要塞級4匹を、念動力によって軌道を変えたビームが真横から纏めて貫く。

 

『そ。おかげで他の部隊から入って来ている連絡によると、通路の途中でBETAに遭遇しても無視していったりする事があるらしいわよ? 一心不乱に一ヶ所に向かっているとか』

「マーズゼロ中のBETAがここに向かってるって訳か。……面倒な」

 

 マリューからの連絡に思わず溜息を吐く。

 つまり、俺がこの門級の向こうに進むには、ここに向かっているBETAを全て殺し尽くしてからじゃなきゃ駄目って事か?

 だが、そんな俺の言葉にマリューは小さく笑みを浮かべる。

 

『安心して頂戴。言ったでしょ? マーズゼロの中にいるBETA全てがアクセルのいる場所に向かってるって。つまり、BETAの後を追っていけば自然とそこに辿り着くって事でもあるのよ。まぁ、全てのBETAが見逃したりしてないようだから、途中で戦闘になったりもしているみたいだけど』

「……なるほど。確かにBETAがここに向かってるんなら、それを追ってくればここに到着するか。ならもう少し我慢すれば……」

『ええ、そうね。多分他の部隊がそっちに到着する筈よ。……あら』

 

 うん? 何だか言い切った瞬間に疑問の声を上げられると、少し不安になるんだが。

 

「何かあったのか?」

『ええ。他のハイヴから……とは言っても、シロガネや他の世界からの援軍が向かったのとは違うハイヴから多数のBETAが出現してこっちに向かっているそうよ。まぁ、考えてみればこの火星の中でも最大のハイヴが攻められてるんだから、援軍くらい出してもおかしくないわよね』

「確かに地球でハイヴ攻略戦をやっている時にも、他のハイヴからBETAが援軍として派遣されたってのはあったから、おかしくはないだろうな」

『幸いと言うべきか、数はこっちで対応出来る程度だから気にしなくてもいいわよ。アクセルは、出来るだけ早くそっちの反応炉を何とかして頂戴。そうすれば恐らくBETAも撤退するでしょうし』

「マーズゼロの反応炉か。出来れば確保したかったところなんだけど、これまでの経験から考えると難しいだろうな」

 

 これまでのハイヴ攻略戦でも、幾度となく反応炉を確保しようとはしてきたのだ。

 だが、結局それでは延々とBETAと戦う事になってしまい、最終的には反応炉を壊すという事になっていた。

 フェイズ9であるマーズゼロの反応炉というのはかなり興味深い存在ではあるが、下手をすれば火星にいるBETAの全てを殺し尽くすまでBETAの援軍が止まない可能性がある。

 ……まぁ、誘き寄せるって意味ではそれもいいのかもしれないが、そもそも俺達がマーズゼロやその周辺のハイヴを攻略するというのは恒久的にG元素を入手する為だ。

 具体的には、他のハイヴにBETAが貯め込んでいるG元素を定期的に入手する為に必要な措置でやるのであり、純粋にBETAの殲滅を狙っているという訳ではない。

 そうである以上、G元素を作り出すのか発掘するのかは分かっていないが、それを行うBETAを殺し尽くしてしまうのは問答無用で意味のない行為だ。

 となれば、やっぱりここの反応炉は出来るだけダメージを与えない方向で機能停止させる必要があるって訳か。

 そんな風に考えながらエナジーウィングから放たれる刃状のエネルギーでBETAを殲滅していると、不意に通信が入ってくる。

 ……そう、今まで通信を行っていたマリューではなく、別のメンバーからだ。

 

『アクセル、無事だな? いや、お前さんには聞くまでもないか』

 

 小型ミサイルのファイアダガーを大量に発射し、背後からBETAを爆発させながら姿を現したのは、俺にとっても色々と縁のある機体であるアシュセイヴァー。

 そして、その機体のパイロットは……

 

「まさか、ムウが一番乗りだとは思わなかったな」

 

 アシュセイヴァーが背後に率いている数機のメギロートやシャドウと共にBETAを攻撃しているのを見ながら、そう通信を返す。

 

『はっ、俺以外に誰が来るってんだ。俺は不可能を可能にする男だぜ?』

 

 相変わらずのムウの台詞だが、それでも嫌味に感じさせないのはムウの性格故だろう。

 結婚してから結構経つんだし、落ち着いてもいいと思うんだけど。

 ……まぁ、それを言えば藪蛇だから口には出さないが。

 

「どうせ不可能を可能にするんなら、ここに来るまでの間で全てのBETAを滅ぼしてきてくれれば助かったんだけどな」

『おい、無茶言うな』

「不可能を可能にするんだから、それくらいやってもいいだろ?」

『ちぇっ、全く助け甲斐のない奴』

 

 文句を言いつつも、アシュセイヴァーとシャドウ、メギロートは、上空を飛んでニーズヘッグのいる方へと真っ直ぐに向かって来る。

 それも、当然ただ飛んでくるだけではない。通路へと向けて攻撃を放ちながら、だ。

 その攻撃により、小型種も合わせると数千、あるいは万に届くだけのBETAが死体へと姿を変えている。

 更に真っ直ぐこっちに来るのではなく、軽く蛇行しながら通路へと攻撃を繰り返し、よりBETAの被害を増やすという行為を行っていた。

 この辺は歴戦のパイロットらしく、そつない行動と言えるだろう。

 ……もっとも、それだけBETAに大きなダメージを与えてもすぐにそれを回復するBETAの戦力補充速度は異様と言ってもいい。

 

『さて、到着したけど……それが門級って奴か?』

 

 どうやらマリューから門級に関しての情報は既に全軍に行き渡っているらしい。

 余計な説明はいらないと判断し、映像モニタに映し出されたムウへと頷きを返す。

 

「そうだ。この奥に反応炉か、アトリエか……あるいはそれ以外の何か別の重要なものがあるのは間違いないと思うんだが、門級を破壊して先に進もうとした途端にこの有様だ。そんな訳で、ここをお前達に任せて行ってもいいか……と聞きたいけど」

『さすがにそれは止めてくれ。せめてもう数人ここに到着するまで待ってて欲しい』

「だろうな」

 

 確かにムウのアシュセイヴァーは、ベースとなった機体から色々と改修されている。

 それが最も顕著なのが、背中にあるエナジーウィングだろう。

 有人機の機体全てに装備されたエナジーウィングは、今ではシャドウミラーを示す部隊章の1つに近いと言っても言い過ぎではないだろう。

 シャドウの方でもエナジーウィングを付けている機体は結構あるが。

 ともあれ、エナジーウィング以外にも有人機……特に幹部の機体は細かい改修がかなりされている。

 だがそれでも、ニーズヘッグに比べると一度に相手に出来る敵の数はどうしても少なくなってしまう。

 ……まぁ、これは他の機体が弱いって訳じゃなくて、ニーズヘッグがシャドウミラーの象徴という事で圧倒的に強化されまくっているってのと、身体に幾らGが掛かっても全く問題ない俺が長年の経験とPPを使ったカスタマイズの複合効果で操縦技術が誰も追いつけない位置にいるからというのが正しい。

 もし俺以外のパイロットがニーズヘッグに乗って、俺がやってるようにニーズヘッグを動かしてみた場合、間違いなく重傷に……あるいは死ぬ事になるのは間違いない。

 混沌精霊の俺だからこそ、全速力で飛んでいる状態から強引に機体を反転させたり出来るんだし。

 そんな風に色々な意味でオーバースペック、いや、オーパーツとすら呼んでもいいような機体がニーズヘッグだ。……オーパーツはちょっと意味的に合わないか?

 ともあれ、そういう機体だからこそ単機でBETAを相手にして一方的に無双状態になっている訳で、幾らシャドウミラーの技術で改修されているとしても、アシュセイヴァーやシャドウ、メギロートが少数だけという状況でBETAと戦っても、向こうの増援に対応しきれない可能性がある。

 せめてもう数機いれば……そう思っていると、まさにそれがトリガーになったかの如く新たな通信が入ってくる。

 

『ひゅうーっ! 風は自由だ。俺は風、自由なる風!』

 

 あー……うん。まさかあいつが来るとは思わなかった。

 修羅の中でも、その言葉通りに自由なアリオンが乗っている修羅神、アガレス。

 どこか馬を思わせるようなその機体は、背後からBETAを吹き飛ばしながら真っ直ぐこっちへと向かってくる。

 

「……なぁ、ムウ。援軍が来たんだし、俺はもう門級の向こうに行ってもいいよな?」

『おいちょっと待て。単体攻撃が得意な修羅神が援軍に来たからって、BETAみたいな数だけの相手にはあまり効果がないだろ!?』

『おいおい、俺のアガレスちゃんを見くびって貰っちゃ困るな。それに、ほら見な』

 

 飄々とした雰囲気のまま、アガレスが要撃級を蹴り砕きつつ背後へと腕を向ける。

 すると、そこにはヤルダバオトやビレフォールのような修羅神や、かなりの数の烈級修羅神が姿を現す。

 へぇ。こっちに向かってやって来たのは修羅神の集団だったか。

 確かに単機ではBETAに対して弱いが、こうも機数が多くなれば……

 

「ムウ」

『……はぁ、分かったよ。シャドウを連れてけ』

「いいのか?」

『しょうがないだろ。マーズゼロの重要区域だ。中に向かうってのにお前さんだけって訳にはいかないだろうし』

 

 その言葉に頷きを返し、俺はシャドウを連れたまま門級に開いた穴の向こうへと入っていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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