転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1228話

 エルフ達による傭兵団の結成が決まってから数日、その話が本格的になっていき、同時にエルフ達の訓練もより厳しいものになりつつあった。

 まず最初に行われたのは生身での体力測定。

 普通の一般人に比べれば軒並み高い数値であったのだが、それでも量産型Wや……ましてや、毎日のようにエヴァと生身での戦闘訓練を行っているシャドウミラー実働班に比べれば、圧倒的に低い。

 まぁ、瞬動の類を使えなかったり、魔力や気を身体に纏ったりといった真似が出来ないのだから、当然かもしれないが。

 なので、取りあえず傭兵団としてはMSの操縦をメインにして、生身での戦闘は極力避ける方面で進む事になった。

 そして、現在俺の視線の先にある映像モニタではシミュレータの画面が映し出されているのだが……

 ストライクダガーが多少ぎこちない動きをしながらも、集団で纏まってシャドウへと向かってビームライフルを撃つ。

 だが、動きのぎこちなさが災いし、そのトリガーが引かれる前に、既にシャドウはその場から移動していた。

 テスラ・ドライブを使った飛行は、とてもではないがMS操縦初心者のエルフ達の撃つビームで狙いを定める事が出来ない。

 シャドウが回避した事により、その背後にあったビルへビームが命中し、地上30階建てのビルは崩れ落ちる。

 

「……まだまだだな」

 

 その声が聞こえてきたのは、俺の隣。

 先程から俺の隣でシミュレータの映像を見ていたコーネリアのものだ。

 言葉は落胆に近いものだが、コーネリアの雰囲気はそこまで厳しいものではない。

 ……まぁ、当然か。エルフ達が実際にシミュレータを動かしたのは今日で数回目だって話だし。

 今まではあくまでも機体を動かすのを中心にやっており、実際に戦闘を行う事は殆ど経験してないんだからしょうがないか。

 それでも曲がりなりにも集団での戦闘らしきものが出来ているのは、これまで訓練してきた効果だろう。

 

「BETAを相手にしての戦闘だと考えれば、そんなに心配する必要はないんじゃないか?」

 

 こちらも俺達の近くにいたムウが、一応フォローとして告げる。

 

「……本気で言っているのか? 確かに真っ直ぐに向かってくる者達相手であれば、ある程度は戦えるだろう。だが、BETAの中には母艦級がいる。振動で探査は出来るが、それに対応出来ると思うか? ……まぁ、それでも傭兵団として活動する際にはEフィールドやグラビティ・テリトリーが搭載されている機体を使わせる予定だから、心配はいらないだろうが……だが、私としてはあの程度の技量しか持たない者を、シャドウミラーの下部組織として認める事は出来んな」

 

 先程の柔らかさを一切消し、鋭い口調で告げるコーネリア。

 うわ、ムウが怯んでいる。

 いやまぁ、ムウにしてもそこまで本気で言ってる訳じゃなかったと思うんだが。

 取りあえず話を逸らした方がいいな。

 

「火星の方、現在どうなってるか聞いてるか?」

「うん? 基地化の作業が順調に進んでいるらしいと聞いてるが? 時々BETAがハイヴを取り戻そうとしてやって来るようだが、シャドウを出すまでもなく、メギロートとイルメヤで十分対処が可能らしい」

 

 コーネリアの言葉に、ムウが軽く手を上げて感謝の仕草をしてくる。

 

「具体的には、いつくらいに基地化が完了するかは知ってるか?」

「さて……どうだろうな。マーズゼロだけであれば話は別だったのだろうが、同時に攻略したハイヴ2つも同時に基地化の作業をしている。幾らシャドウミラーに無人機や量産型Wがいるとしても、その3つを同時にとなれば……もう暫くは掛かるだろう。そもそも、地球のハイヴと違って気密の類も考えなければならないしな」

「だとすれば、もう少し掛かるか」

「どうしたのだ、急に?」

 

 俺が火星について口にしたのを疑問に思ったコーネリアの言葉に、視線をシミュレータ画面の方へと向ける。

 そこでは、ビームサーベルを展開したストライクダガーがシャドウへと攻撃を仕掛けていたが、あっさりと回避されてビームガトリング砲によるゼロ距離射撃を食らい、破壊されている姿が映し出されていた。

 

「3日の訓練よりも1度の実戦がより多くの糧になる。かと言って、地球でBETAと戦うとなると他国の許可を得る必要があるし、何よりコーネリアの言う通りに今のエルフ達をシャドウミラーの下部組織として紹介するのはちょっとな。けど、火星なら話は別だろ? あそこは完全に俺達の支配下にあるし、マブラヴ世界の者達がどうしようとしても、絶対に手は出せない」

 

 まぁ、正確には宇宙で作っているオルタネイティヴ5の遺産でもある宇宙船があれば、火星までいけるかもしれないが……殆どの艦がまだ完成していないのを思えば、その辺を心配する必要はないだろう。

 それに比べると、俺達の場合はシステムXNやフォールドがあるから、移動に関しては気楽に行える。

 つまり火星でBETAと戦うと言うのは、MSの操縦技術に慣れさせるという意味では最善の選択肢でもあった。

 そしてシャドウミラーで使用されているMSは、基本的にシャドウミラーのOSをインストールしている為、PTとかへの乗り換えもそう難しい話ではない。

 勿論機種転換訓練の類は必要だが、全く違う機種でってのよりは大分楽な筈だ。

 まぁ、エルフ達が量産型W以上の技量を持てるようになるのかどうかは、正直未知数だとしか言いようがないけど。

 

「ああっ、馬鹿! そこは回避じゃなくてバルカンで迎撃だろ!」

 

 アウルが苛立たしげに叫ぶ。

 シャドウが放ったS-11を使った使い捨てのミサイルを回避しようとして、動いた瞬間に若干の誘導性能を与えられているミサイルがストライクダガーの後を追うようにして曲がり、着弾。巨大な爆発を起こしたのだ。

 まぁ、頭部バルカン……イーゲルシュテルンは射程から短いし、S-11の爆発は大きいので、ベストなのはビームライフルで遠くから狙撃する事なんだけどな。

 ただ、ストライクダガーを完全に乗りこなせているとは言えないエルフ達にそういうのはまだ難しい。

 特にストライクダガーに乗ってるって事は、この部隊はエルフの中でも練度の低い部隊って話だし。

 

「あら、エルフ達の精鋭部隊が来ましたね」

「ふんっ、精鋭部隊であっても行動が遅すぎる」

 

 画面に映し出されたダガーL部隊を見てオウカが感心したように呟くが、そこにイザークからの駄目出しが入る。

 

「それは少し厳しいのではありませんか? こう言ってはなんですが、エルフの方達はまだ不慣れなのです。もう少し大きな目線で見てあげないと」

「そんな事を言っていても、操縦技術は上がらん。もっと厳しくやっていく方が、結局はあいつ等のためになる」

 

 この2人、典型的な飴と鞭って奴だな。

 元々オウカはゼオラやアラド、ラトゥーニといった面々の姉役として面倒を見てきている。しかも、包み混むような優しさを持った優しい姉としてだ。

 それに対して、イザークはザフトの赤服でエリート部隊出身であり、クルーゼ隊というエース部隊出身だ。更に、その性格も苛烈と表現するのが相応しく、基本的には攻撃的な性格をしている。

 ……あれで、何だかんだと下の面倒見が良かったり、不器用だけど思いやりがあったりするんだけどな。

 それを見るのは非常に難しい。

 特にパイロットの中では優しいオウカと並んでいれば尚更だ。

 

「いいですか? エルフの方達はまだMSに乗ってからそれ程経っていないのです。ダガーL部隊の方達にしても、シャドウミラーの実働班と比べるのは間違っています」

「だが、奴等は俺達と同じ実働班に所属する事を望むのだろう? なら、もっと厳しく指導していく必要がある」

「いずれは厳しくする必要もあるかもしれませんが、今はまだそこまで厳しくする必要はありません」

「そこまで甘くして、どうする? 奴等だって甘やかされて実働班に上がってくるのが遅くなるよりも、多少厳しくても早く上がってきたいと考えている筈だろう?」

「優しく説明したのが悪いと……」

「はいはい、そこまでだ」

 

 延々と言い争いをしているオウカとイザークに割って入る。

 何だかんだとこの調子で話していても、結局話が纏まる事はないだろう。

 この2人、典型的な褒めて伸ばすタイプと、叱って伸ばすタイプなんだよな。

 個人的には、この2人が協力して……ふむ、なるほど。ならそれがいいか。

 

「何だ、アクセル!」

「アクセルさん、話はまだ終わっては……」

 

 イザークとオウカの2人が納得出来ないといった様子で俺の方へと向かって詰め寄ってくる。

 指を鳴らして影槍を作り、そんな2人の動きを止める。

 

「おい、アクセル! お前、一体何を!」

「アクセルさん、これは一体何の真似ですか!」

「落ち着けって言っただろ。さて、お前達2人の主張はよく分かった。そこでだ、どうせならお前達2人にエルフ達の教官をやって貰おうと思う。厳しいイザークと、優しいオウカ。2人が協力すれば最善だろう?」

「ちょっと待て、オウカと2人でだと!? エルフ達を鍛えるというのであれば、俺がいれば十分だろう!」

「待って下さい、それこそイザークさんがいなくても、私1人で十分です。私に任せて下さい!」

「何を言う! お前が鍛えたとしても、奴等を甘やかすだけでシャドウミラーの実働班として使い物にはならない。それは断言出来る!」

 

 俺の前で言い争う2人。

 この2人って、ここまで相性悪かったか? 今までにも幾度か話しているところを見た事はあったけど、そこまで相性が悪いとは思わなかったんだけどな。

 

「とにかく、これはシャドウミラーの代表として俺が決めた事だ。シャドウミラーに所属する以上はきちんと従って貰う。異論は認めない。……構わないな?」

「むぅ……しょうがない、分かった」

「分かりました。アクセルさんがそう言うのであれば……」

 

 2人ともが不承不承ではあったが、それでも結局は俺の指示に従う様子を見せる。

 ふぅ、エルフ達に対する教官役はいずれつけなきゃいけなかったんだけど、意外なところでそれが決まったな。

 

「コーネリア、構わないか? 実働班を率いるお前の意見を聞かないで決めてしまったが」

 

 俺とイザーク、オウカのやり取りを黙って見守っていたコーネリアだったが、特に反対はする事なく頷きを返す。

 

「ふむ、構わんよ。私もエルフ達の方に誰か派遣する必要はあると思っていたのだ。人選としてムウ辺りを考えていたんだが……」

「は? 俺!?」

 

 完全に予想外の一言だったのだろう。コーネリアの言葉に、ムウは唖然とした表情を浮かべていた。

 そんなムウの様子が面白かったのか、アウルやスティングは笑みを浮かべている。

 ギルフォードやスレイは寧ろ納得した表情を浮かべていたが。

 まぁ、原作の方でもムウはアラスカで教官をやるという名目でアークエンジェルを降ろされていたんだ。

 その辺を考えれば、コーネリアの選択は決して間違っている訳じゃない。

 いや、寧ろ良くムウの人柄を見ていると言ってもいいだろう。

 

「そうだ。何だかんだとムウは面倒見がいいだろう?」

「いやいや、俺にそんな大役は……うん、そうだな。イザークとオウカがこの役目にはピッタリだ。面倒見がいいってのはオウカやイザークの方にも相応しい言葉だし」

「確かに」

 

 ムウの言葉にスティングが頷く。

 エザリアが養子として引き取った後は、イザークがスティングやアウル、ステラの面倒を見ていたのだから、その言葉には実感が篭もっている。

 オウカの方は、スクールで姉としてアラド達の面倒を見ていたのだから、言うまでも無い。

 

「……何だか押しつけられたようで釈然としないんだが」

「あら、でしたら私が1人で彼等の面倒をみますので、イザークさんは教官を引き受けなくても構いませんよ?」

「誰がやらないって言った? 命じられた以上はきちんとその任務を果たしてみせる。見てろ、きちんとシャドウミラーの実働班に相応しいだけの技量を身につけさせるからな」

「ですから、イザークさんだけじゃないでしょう? 私も教官なのだから、貴方1人だけで決めないで下さい」

 

 早速どういう訓練をするべきかなのかというのを話し合いを始めた2人をそのままに、取りあえず一段落したとして映像モニタへと視線を向ける。

 そこでは、ビームライフルを撃つストライクダガーがシャドウに近寄られないように前線をダガーLの集団が押さえているといった光景になっていた。

 へぇ。性能の高いダガーLでシャドウを押さえて、性能の低いストライクダガーは後衛に回すか。

 その判断は正しい。正しいが……

 

「未熟」

 

 ムラタが一言で切り捨てる。

 シャドウの突撃を押さえきる事が出来ず、ダガーLの集団を突破したシャドウが距離を詰めて至近距離からビームガトリング砲を放ち、ストライクダガーが纏めて撃破されていく。

 そうして戦線が崩れてしまうとどうしようもなく……そのままストライクダガーとダガーLの集団はシャドウ1機に蹂躙されるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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