転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1233話

 アークエンジェル級についての相談が終わり、キラに見送られてモルゲンレーテを出た俺達は、オーブの市街地へとやって来ていた。

 

「どうする? このまま帰るか? それとも少しどこかに寄ってくか?」

 

 電気自動車で街中を走らせながら、助手席に座っているレモンと後部座席に座っているマリューへと尋ねる。

 そんな俺の言葉に、レモンが夕焼けの空を見回しながら口を開く。

 

「そうね、少し遊んで……って訳じゃないけど、ちょっとお茶でもしていく? オーブにやってきたのは久しぶりだし、ゆっくりとしていきたいわ」

「うーん、まぁ、今日の夕食は千鶴が何か張り切って作るって言ってたから、余りお腹一杯にならないようにね。……レモンはともかく、アクセルにその心配はいらないでしょうけど」

 

 マリューのその言葉に、確かにと頷く。

 実際、俺の場合は食事をして腹一杯になるという事はない。

 腹の中に入った瞬間、食べ物は魔力と化して吸収される為だ。

 つまり、俺は永遠に食べ続ける事が可能な訳だ。

 金に余裕があればだが。

 オーブではそれ程多くないが、麻帆良で時々あるカレー3kg、30分で食べたら無料とか、超メガ盛り牛丼、40分で食べたら1万円プレゼントとか、そういう大食い系のイベントは俺に取って稼ぎ所でしかない。

 ……まぁ、当然そういう大食いの店で出している料理ってのは味もそれなりの所が多いから、好んで参加する事はないんだけど。

 あ、でも以前お好み焼き屋でやっていた、お好み焼き40枚、1時間以内に食べたら3万円って奴は中々味が良かったな。

 ただ、俺だから食べきる事が出来たけど、普通の人は確実に無理だと思った……んだが、実は食べ終わった後に聞いたら、俺で4人目だったらしい。

 凄いな、人間。

 

「ケーキ食べ放題の店があるってキラが言ってたけど、そこは駄目なのか?」

 

 俺の言葉に、後ろに乗っているマリューが呆れたように呟く。

 

「あのね、アクセル。さっきの私の話を聞いてた? 夕食があるから食べ過ぎは駄目だって言ったでしょ? アクセルは幾ら食べてもいいかもしれないけど、私やレモンは食べ過ぎれば夕食を食べる余裕がなくなるんだから」

 

 ここで、じゃあ食べ過ぎなければいいんじゃないのか? と言うのは簡単だが、マリューもレモンも、甘い物は別腹なんだろう。

 ちなみにだが、シャドウミラーの面子は基本的には太るという事はない。

 別に何か怪しい薬とかを使ってるんじゃなくて、食べた以上に動くからだ。

 特に生身でのエヴァとの戦闘訓練で消費するカロリーは物凄い事になるので、寧ろダイエットがどうとか気にして食べる量を下手に減らすと、すぐに痩せ過ぎてしまう。

 勿論俺みたいに大量に食ったりすれば話は別だが、普通はそこまで食えるもんじゃないし。

 不規則な生活をしているといえば技術班だが、あいつらも太っている奴はいない。

 食事を殆ど茶々丸に管理されているし、エヴァとの戦闘訓練は実働班程じゃないにしろ、当然の如く技術班にも課せられる。

 当然だろう。シャドウミラーは技術特化の組織だ。そんな組織の技術班なのだから、何かトラブルがあった時には最低限自衛は必要だ。

 ……まぁ、今はその自衛の能力がエキドナからの逃走に使われているんだが。

 闘争に使われていないだけマシか。

 

「じゃあ、やっぱりその辺の喫茶店にするか? 食い放題のケーキ屋は、キラがフレイから勧められた店らしいんだけどな」

「フレイさんから……ちょ、ちょっと興味あるわね」

「ふふっ、無理しない方がいいんじゃない? 私は別にいいわよ?」

 

 アダムとイヴを堕落させた蛇のような、そんな誘惑の言葉。

 だが、マリューは頷き掛けつつも……次の瞬間には急いで首を横に振る。

 

「駄目、駄目よ。今食べたら絶対に夕食が食べられなくなるもの」

「しょうがないな、マリューがそこまで言うのならやっぱり喫茶店にするか」

「……何で私が悪い事になってるのかしら」

 

 後部座席で不満そうに呟くマリューをそのままに、街角にある駐車場へと車を止める。

 

「随分あっさりとお店を見つけたみたいだけど、知ってるお店?」

 

 助手席のレモンが問い掛けてきた言葉に、頷きを返す。

 

「ああ、エヴァから聞いた店だ。軽食が美味いらしい。特にBLTサンドは是非一度食べてみた方がいいとか何とか」

 

 エヴァ、何気にオーブには結構足を運んでいるからな。

 最近でこそ、マブラヴ世界に足を運ぶ事が多くなったが、それまではオーブが断トツで1位だった。

 まぁ、マブラヴ世界に行っても出るのはオーストラリアで、そこから日本までは影のゲートを使って移動してるんだが。

 あの距離を移動出来るのは、エヴァだからこそだよな。

 

「BLTサンド、ね。まぁ、そのくらいなら許してあげるわ」

「いや、食うのは俺なんだし、別にマリューに許されなくてもだな」

 

 車から降りながらマリューに言葉を返すと、戻ってきたのはニッコリとした笑みを浮かべたマリュー。

 

「あら? じゃあ千鶴に言ってもいいのかしら? アクセルが夕食前にBLTサンドを食べたって」

「……それは……困るな、うん」

 

 別にそんな事を聞いても千鶴は怒らない。怒らないと思うんだが……代わりに少し残念そうな顔をするんだよな。

 恋人に対してそんな表情をさせるのは、俺としてもあまり嬉しくない出来事だ。

 

「ふふっ、マリューもアクセルの扱いが分かってきたみたいね」

 

 笑みを含めたレモンの言葉を聞きながら、俺達は喫茶店の中に入る。

 瞬間、喫茶店の中にいた客の視線が一斉にこっちへと集まってくる。

 最初に視線を向けられたのは、当然の如くレモンとマリュー。

 この2人はとんでもない美人で、それも中身がない美人じゃなくて知的な美人だけに、人の目を集めるのは当然だろう。

 男はその美貌に目を奪われ、女は対抗心すらなくして憧れの視線を浮かべる。

 そんな中、何人かは俺の方へも視線を向けていた。

 これは特に男の嫉妬が籠もった視線が多い。

 とんでもない美人を2人も連れやがって、てな感じの。

 実は他に同レベルの美人が7人も恋人としているって言ったら、どうなる事やら。

 そんな風に思っていると、俺に視線を向けていた中でも僅かな者だけが俺の正体を知り、驚愕に目を見開く。

 まぁ、何だかんだと俺もSEED世界では色々と有名だしな。

 顔出しもしてるし。

 SEED世界のマスコミに顔を出したのは随分と前の事だが、雑誌とかでシャドウミラーの特集をやれば、どうしても俺の写真が載るのは避けられない。

 ただ、実はこのSEED世界で市民に最近一番シャドウミラーの人物として認知されているのはシェリルだったりする。

 ネギま世界でも歌手デビューをしているが、SEED世界でも当然歌手デビューしている為だ。

 しかもSEED世界だと、ネギま世界と違ってシャドウミラーという存在が世界規模で認知されている。

 その結果が、シェリル・ノームの大人気な訳だ。

 あれだけの美人で人目を惹き付ける魅力を有していて、歌手としての実力も超一流。

 そりゃあ売れない訳がない。

 まぁ、このSEED世界ではCDとかがなくて音楽データをダウンロードしてって感じだから、CDの売り上げよりもダウンロード回数の方で売れてるかどうかってのが決まるんだが。

 ただ、SEED世界にはラクスもいるので、ネギま世界と違ってシェリルの1人勝ちとはいかないらしい。

 レモンやマリューは以前写真が発売されたが、そっちは数が少なく稀少で、幸いにもここにそれを持ってる奴はいないらしい。

 

「い、いらっしゃいませ。3人でよろしいでしょうか?」

 

 喫茶店中の注目を集めていた俺達に、ウェイトレスが声を掛けてくる。

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 その言葉で喫茶店の客も我に返ったのか、視線が外れていく。

 エヴァお勧めの喫茶店だけあって、客の数は多いんだよな。

 

「では、こちらにどうぞ」

 

 喋っているうちに落ち着いてきたのだろう。ウェイトレスに空いているテーブルへと案内される。

 もう少しで夕方という時間帯からか、店の中は混んでいる。

 学校帰りの生徒とかも結構いるし、会社員と思しき者もいて、早めの夕食なのか、それともおやつなのかBLTサンドを食べている者もいた。

 ……うん、ベーコン、レタス、トマトの他に半熟卵も挟まっているのを見ると、確かに美味そうだ。

 

「ではご注文の方をどうぞ」

「BLTサンドと……照り焼きチキンサンド、シーフードサンド、紅茶」

「紅茶と……ねぇ、マリュー。このクッキー1人で食べると多いから、2人で食べない?」

「私はいいけど。でも余ったらアクセルが食べるんじゃない?」

「それもそうね。じゃあ、紅茶とクッキーをお願いするわ」

「私は紅茶だけでお願い」

 

 ウェイトレスが俺の注文に少し驚いていたが、それでもプロ根性を発揮したのか、その驚きはすぐに消える。

 俺達が喫茶店に入って来た時に比べると、その驚きは少なかったという事か。

 

「畏まりました、BLTサンド、照り焼きチキンサンド、シーフードサンドがそれぞれお1つ、クッキーが1つ、紅茶が3つでよろしいですね?」

 

 ウェイトレスが注文を繰り返し、それに頷くと去って行く。

 

「こうして見ると、パフェとかも美味そうだな」

 

 メニューの写真を見ながら呟くと、マリューのジト目が俺へと向けられる。

 

「あのね、アクセル。私達の前で食べるの? ただでさえ美味しそうなサンドイッチを幾つも注文してるのに」

「……そうだな、やめておこう」

 

 ここでマリューに逆らうと、後日色々と酷い目に遭いそうな気がするので、取りあえずそう言っておく。

 何故かレモンは面白そうな表情でこっちを見ていたが、不意に口を開く。

 

「アクセル、折角オーブに来たんだから、出来ればもう少しお店に寄っていかない? 色々と見てみたいし」

「そうだな。何だかんだで今のオーブは品揃えがいいし、その辺を見ていくのはいいかもしれないな」

 

 現在のオーブは、SEED世界の盟主的な立場にある。

 そんなオーブだけに、当然人、物、金といった風に色々と集まるのは当然だろう。

 何でも移住希望者が鰻登りになっていて、人手が幾らあっても足りないと、火星の息吹作戦の打ち上げをやった時にカガリが愚痴っているのを聞いた覚えがある。

 当然その中にはプラントや地球連合軍含めてスパイの類はいるだろうし。

 

「アクセルがいると買い物しても便利だから助かるわ」

 

 嬉しそうな笑みを浮かべるレモンだったが、それが俺の空間倉庫を当てにしているというのは明らかだった。

 まぁ、レモンの為なら空間倉庫を使うくらい、どうでもいいんだが。

 

「そろそろ春服が欲しいと思ってたから、ちょうどいいわね」

「確かに春服は欲しいけど、ここはオーブよ、レモン? 常夏の島に春服があるとは思えないけど」

「……そうかしら? 寧ろ、オーブだからこそ冬服はともかく春服はあるんじゃない? まぁ、いざとなったら夏服でもいいわよ。アクセルも肌が出ている方が嬉しいでしょ?」

 

 チラリ、と俺の方へ流し目を向けながら告げるレモン。

 艶然とした笑みを浮かべるその様子は、俺がその手の経験を何も知らない男であれば呑み込まれる程の艶があった。

 

「確かにレモンやマリューの肌を見るのは好きだけど、それは俺だけの特権だな。他の男共に見せるのは気分が良くない」

「あら、毎晩私達の身体を余すことなく見てるのに、独占欲が強いわね」

 

 レモンがそう言った瞬間、こちらに向かって歩いてきていた人物の足音が乱れる。

 それでも持っていたお盆の中身を床へと落とさなかったのは、さすがに有名な喫茶店のウェイトレスといったところか。

 

「お、お待たせしました」

 

 見て分かる程に頬を赤く染めながら、それでも何とか俺達の座っているテーブルへと紅茶のカップやサンドイッチを含めた食べ物を並べていく。

 間違いなく今のレモンの話が聞こえていたんだろう。

 

「ごゆっくりどうぞ」

 

 そう告げ、一礼して去って行くウェイトレスは頬だけではなく耳まで赤くなっていた。

 

「レモン、その辺にしておきなさい」

 

 さり気なく周囲に視線を向けながら告げるマリュー。

 近くにある幾つかのテーブルの客が、俺達の言葉に耳を傾けているのが分かっているからだろう。

 

「そうね。この話はこの辺にしておくとして……来週行く予定のスキーはどうなってるの? 色々と誘ってるみたいだけど」

「あー、そうだな。結構な人数が参加予定だ。ま、スキーだけじゃなくて温泉もある宿だってのが影響してるんだろうな。寒いのは嫌いでも、温泉は好きだって奴が多いし」

 

 霞と約束したスキーの件は、既に色々な所に話を持っていっている。

 珍しい人物としては、マクロス世界のジェフリーも参加予定らしい。

 ……いや、元々サーフィンを好むジェフリーだ。スノーボードに興味を抱いてもおかしいことはない。

 S.M.Sからはそのジェフリーを始めとして殆どの人数が参加するらしい。

 他の世界にも色々と声を掛けているが……最終的にどのくらいの人数になるのかは、まだ不明だ。

 恐らく30人は超えるだろうと思うが、そう考えるとシャドウミラーの慰安旅行に近いよな。

 そんな風に考えながら、取りあえず今は喫茶店でレモンとマリューとの時間を過ごす事に専念するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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