転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1240話

 俺の方へと向かって攻め込んでくるダガーL。

 その数は全部で6機。

 前後左右上下からビームサーベルを手にこちらへと攻め込んできており、更にそれぞれの背後からは俺を逃がさんとビームライフルによる牽制が行われている。

 そんな中、俺はヒュドラのスラスターを使いながら放たれるビーム弾を回避していく。

 推進力を有するという意味ではツイン・ドライブやエナジーウィングといった物もあるのだが、同じ場所で細かく動くという目的にはヒュドラのスラスターが一番向いている。

 そもそも、ヒュドラには1基ずつ機能を限定したテスラ・ドライブが内蔵されている。

 それをヒュドラのスラスターを使って移動して回るのだから、その運動性や機動性は非常に高い。

 一瞬前までニーズヘッグのいた場所をビームが通り過ぎていくというのを何度か繰り返し、やがてビームサーベルを構えたダガーLがニーズヘッグへと辿り着く。

 だが、まだまだ甘い。

 折角全方位からの攻撃なのだから、攻撃はタイミングを合わせればいいものを。

 ある程度形になってきているとはいっても、まだまだその辺は足りないな。

 ダガーLのビームサーベルをヒュドラの先端から伸びたビームサーベルで受け流しつつ、他のヒュドラのビームサーベルで斬り裂く。

 まぁ、斬り裂くといってもビームの出力を限界まで下げているので、実際には機体に熱の痕がついたくらいだが、判定は撃墜だ。

 そのまま一番最初にヒュドラへと斬り掛かったダガーLは失格となって戦場から離れていく。

 それを見て、1機だけではどうにもならないと理解したのだろう。残りの5機は、何とかタイミングを合わせながらニーズヘッグの方へと向かってくるが……

 

「タイミングを合わせる為に勢いを殺しては意味がないだろ」

 

 オープンチャンネルで叱責の言葉を発しながら、T-LINKシステムによる機体制御でヒュドラを動かす。

 ヒュドラは全部で6基あり、それぞれの先端に3本ずつビーム砲兼ビームサーベルが内蔵されている。

 ヒュドラの2基でビーム砲を撃ちつつ、残り4基でビームサーベルを振るう。

 つまり、ニーズヘッグは6本の手を持っているのと同じ事になる訳だ。

 しかもきちんとした手もあるので、それを入れれば8本の手。

 ダガーLがそれぞれタイミングを合わせてビームサーベルで攻撃してくるが、その攻撃はタイミングを合わせるために減速しているものも多く、殆どが回避され、偶然攻撃の速度が落ちていなかった数少ないダガーLの攻撃はヒュドラのビームサーベルによって受け流される。

 同時にニーズヘッグを狙って放たれているビームライフルの攻撃もT-LINKシステムによる機体制御で回避していく。

 この辺、手で操作していてはかなり難しいだろう機体制御だが、念動力を使って俺の思い通りに動くT-LINKシステム様々だ。

 

「ほら、自分達の攻撃に集中しすぎて防御が疎かになってるぞ!」

 

 オープンチャンネルで叫びながら、至近距離で腹部拡散ビーム砲を放つ。

 拡散と名前が付くだけあって、このビーム砲の射角は広い。

 それでいながら、幾つもの強力な動力炉によるエネルギー供給で、十分過ぎる程の威力を持っている。

 今回は模擬戦なので威力は最低にまで落とされているが、実際がその威力なので、そのビームに命中した時点で撃墜判定となる。

 

「連携を考えるのはいいが、その連携の為に攻撃の精度を落としてるようじゃ相手に付け込まれるだけだぞ!」

 

 オープンチャンネルは、この模擬戦の最中は俺からの通信のみ相手に聞こえるようになっており、向こうからの通信は届かないように設定されている。

 向こうの作戦とかが聞こえてきたりしないように。

 通信チャンネルを使い分ければいいんだろうけど、エルフ達にそれは難しい。

 ともあれ、今の拡散ビーム砲で3機のダガーLが撃墜判定を受け、2機はそれぞれ大破と小破。

 ……へぇ、それでも小破で済んだ奴がいたのか。

 エルフの中では結構な実力の持ち主だな。

 ツイン・ドライブを使って、先程ビームが飛んできた方へと向かって移動を開始する。

 すると、案の定森の木に隠れるようにしてストライクダガーの姿がある。

 

「動きを止めて攻撃するのを否定はしないが、それを見抜かれるとこうして逆撃を食らうぞ!」

 

 慌ててビームライフルからビームサーベルへと武器を変えようとしたダガーLだったが、その動きは遅い。

 もたついたいる間に相手の横を通り過ぎ、エナジーウィングの外側の刃がダガーLのコックピット付近へと命中し、撃墜判定となる。

 そのまま、近くにいた別の機体へと頭部ビームバルカンを発射し、コックピット付近へと連続して命中し、こちらも撃破。

 ツイン・ドライブで強引に軌道を変え、空中へと上がっていく。

 ……だが、空中にニーズヘッグが姿を現しても、ビームライフルによる攻撃が行われるまでに5秒以上。

 

「遅い!」

 

 これは幾ら何でも遅過ぎる。

 そのままビームの飛んできた方へと向かい、ランツェ・カノーネの砲口を向けてトリガーを引く。

 放たれた巨大なビーム――ただし威力は模擬戦用に落としてある――が数機のダガーLを飲み込み、こちらも撃墜判定。

 だが……次の瞬間に俺の口から思わず感心の声が出る。

 何故なら、自分達が圧倒的に不利な状況であるにも関わらず……それこそ自分達の仲間が一網打尽になったというのに、全く怯む事なくこちらへと向かって攻撃を仕掛けてきたからだ。

 先程の一連の動きで、ビームサーベルを使った近接戦闘では勝ち目がないと判断したのだろう。更に仲間が動かず一ヶ所に留まり続けている状況でビームライフルを撃っている時にあっさりと見つかったのもあって、撃っては即移動というのを繰り返すようになった。

 その判断は間違っていない。実際、ニーズヘッグは射撃戦を得意としている機体だが、近接戦闘も決して弱い訳ではない……どころか、それこそ先程の戦闘を見ていれば分かる通り、6基のヒュドラと2本の腕を自由自在に操る事が可能なのだから。

 更には近接戦闘ではT-LINKシステムによる相手の行動への対応も素早く可能であり、そういう意味では近接戦闘が物凄く強い機体だったりする。

 ……まぁ、それでも俺自身が射撃の方が得意だったり、一気に敵の数を減らすのは射撃武器の方が向いていたりするのを思えば、最終的には射撃の方に軍配が上がるんだが。

 それを示すかのように、ダガーLから放たれるビームを回避しつつヒュドラのビーム砲を連続して放つ。

 

「撃って即移動という考えは正しい。だが、この状況で移動するのに跳躍してどうする。折角森を盾にして移動してるんだから、跳躍すれば移動方法が丸分かりだぞ。慌てるな」

 

 地面を歩いて移動するのと、跳躍しての移動。どちらの方が素早く移動出来るかと言えば、当然跳躍だ。

 だが、森の中で跳躍してしまえば当然目立つ。

 そして目立つという事は、俺にとって的以外の何ものでもない。

 森の上へと姿を現した数機が、次々にビーム砲により撃墜判定となる。

 エルフなんだし、森の中での移動はお手の物と思ったんだが……やっぱり生身とMSを使っての移動ってのは大分違うんだろうな。

 だが、それでも言われればすぐに直す事が出来るのは、エルフの長所と言ってもいい。

 オープンチャンネルで指摘された俺の言葉に、すぐに跳躍せず森の木々に紛れるようにして移動を始めた。

 跳躍しての移動も、ケースバイケースで決して悪い事じゃないんだけどな。ただ、今回の場合は向いてなかったってだけで。

 都市部とかでの戦闘では、ビルとかあって多少跳躍しても問題がないし。

 動きながら射撃してくるのを回避しつつ、そろそろ終わらせるべく決定的な言葉を紡ぐ。

 

「これで生き残る事が出来たら、そいつはかなりの腕利きだと認めてもいい。可能な限り生き延びてみろ。……ファントムッ!」

 

 その言葉と共に、ヒュドラから放たれる合計48基のファントム。

 それぞれがT-LINKシステムにより、俺の意思のままに地上へと向かって飛んでいく。

 大きさ自体がそれ程大きくなく、更にはビームやレーザーを反射する特性から、ファントムを破壊する為には実弾兵器を使うか、網のようなものを使って一網打尽にするしかない。

 ダガーLにも頭部バルカンと胸部バルカンがあるのを考えれば、落ち着いて攻撃すれば十分に対処出来る筈だった。

 ……だが、最強と謳われるニーズヘッグの象徴の1つでもあるファントムが自分達へと向かってくるのに、落ち着いて行動出来る筈もない。

 地上では、いたる場所でビームライフルから放たれたビームが飛び交う。

 勿論中には冷静に判断してバルカンで迎撃しようとしている者もいる。

 一発が大きい代わりに連射性が殆どないビームライフルより、連続して射出するバルカンの方がファントム対策には有利なんだよな。

 これがムウのソードブレイカーや、レモンのソリッド・ソードブレイカーであれば、打突攻撃が可能な武器なので、バルカンも意味はないんだが……

 ただ、冷静に対応させるといっただけではなく……

 

「ほら、ついでだ」

 

 地上への絨毯爆撃的に放たれるのは、エナジーウィングの刃状のエネルギー。

 広範囲に攻撃可能なこの武器は、バルカンを使っているダガーLのいる場所へと向かって集中的に降り注ぐ。

 そして……

 

『ダガーL部隊、全滅。これにて模擬戦を終了します』

 

 オープンチャンネルに、オウカからの通信が入って模擬戦は終了した。

 

「ふぅ。……それなりに鍛えられてきてはいるな。イザークとオウカに任せて正解だった」

 

 地上へと向かってニーズヘッグを降下させながら、呟く。

 今回、本当にどうしようもない敵を相手にしての訓練という事で、俺が模擬戦の相手を務めた。

 実際、こうして見る限りではダガーL部隊はそれなりに連携も取れており、BETA程度であれば問題なく倒せるようになっているというのは実感出来た。

 ただ……シャドウミラーの下部組織という事は、自然と俺達の名前を背負う事になる。

 つまり、より強大な敵と戦う事になる可能性も高い。

 例えば、修羅王、ダークブレイン、ネオ・グランゾン、クイーンバジュラ等々。

 そんな存在を相手にした時、今のエルフ達ではどうしようもないままに全滅してしまう。

 そもそも、そんな強敵を相手にするには機体の性能が圧倒的に足りないというのもあるんだが。

 それでも、俺との戦いで生き延びる道を少しでも得る事が出来れば、シャドウミラーの代表としては嬉しい限りだ。

 地上へと着地したニーズヘッグのコックピットから降りると、不意にギャーギャーとうるさい声が聞こえてきた。

 そちらへと視線を向けると、そこではイザークがエルフ達へと散々に今の模擬戦での駄目出しを行っている。

 

「お疲れさまです、アクセルさん。はい、これどうぞ」

「ああ、悪いな」

 

 オウカから受け取ったスポーツドリンクを飲み、改めて視線をイザーク達の方へと向ける。

 

「珍しいな、今日は止めないのか?」

「はい。今日の模擬戦ではイザークの言う事も色々と分かりますから。ニーズヘッグを相手にしたとしても、最初のうちは今までに習った事半分も出せてませんでしたし」

「そこまで言う程酷かったか?」

「ええ。特にビームサーベルで攻撃する際、タイミングを合わせるために攻撃の速度を落としたのを見た時のイザークは……」

 

 首を横に振るオウカ。

 その際に長い黒髪が空中を揺れるが、本人はそれを特に気にした様子もなく残念そうな表情を浮かべる。

 

「まぁ、それでもBETAを相手にするには問題ないだろ。これなら、以前言っていた火星での戦いに派遣する事も賛成してもいいな」

「……そうですか? 正直、もう少し訓練した方がいいと思うんですけど」

 

 心配そうな表情で、イザークに叱られているエルフ達を眺めるオウカ。

 

「そこまで心配はしなくてもいいと思う。確かに今はまだまだ腕が未熟かもしれないけど、実戦を潜り抜けていけば自然と技量は上がるだろ」

「……ですが、その実戦を潜り抜ける事が出来ずに撃破されて死んでしまう可能性を考えると、何としても今のうちに鍛えておきたいんです」

 

 エルフ達の方を見ながら告げるオウカの言葉は、心の底からエルフに対する思いやりを示している。

 この辺、相変わらずスクールメンバーの姉としての性格が色濃く残っていると言ってもいい。

 

「いつまでも訓練を続けても、実戦を知らない兵士が出てくる事になる。その辺は程々にする必要もあるだろうな」

「ええ、それは分かっています。……イザークの言葉に一理あるのは、きちんと理解してるんですけどね」

 

 未だにエルフ達へと駄目出しして叱りつけているイザークへと視線を移すオウカ。

 何だかんだで、この2人は上手くいってるようで何よりだ。

 エルフ達に関しても、そんなに心配する必要はないのかもしれないな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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