転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1259話

 さて、どうするべきか。

 部屋から出て行ったエリナの後ろ姿を見送り、ベッドへ横になる。

 昨日俺が泊まった部屋に比べると、随分とベッドの質もいい。

 エリナが言っていた、他よりも少し良い部屋ってのは決して嘘じゃなかった訳だ。

 にしても、まさかこの世界でシャドウミラーの欲しがりそうな技術がブラックホール……いや、重力関係だとはな。

 ちょっと……いや、かなり予想外だった。

 まぁ、考えてみれば重力というのは色々と便利な存在だ。便利な存在であれば当然それを使おうとする者が多くなり、結果的に重力系の技術が発達する、か。

 そう考えれば、この展開はそれ程おかしな事じゃないと考えるべきだな。

 忘れ去られただろう原作知識があれば、もう少し何とか出来たかもしれないけど……過ぎた事を考えてもしょうがないか。

 ともあれ、今考えるべきはこの世界の技術だ。

 重力関係と一口に言っても、必ずしも全てが同じになるという訳ではない。

 事実、マクロス世界でも重力制御技術は大きく広がっていたが、移民船団に重力を与えるという風な発展をしていた。

 そう考えれば、決してこの世界は無意味ではない。

 同時に、あのバッタやジョロといった無人機に関しても興味深い。

 間違いなく無人機なんだから、動いているところに触れることさえ出来れば空間倉庫に収納出来るんだが……ナデシコから隠れて出来るかどうかが問題、か。

 ああ、それとチューリップとかいうのもあるらしいな。

 かなりの大きさで、バッタやジョロを運んでくる戦艦みたいな感じで。

 いや、図書館で見たデータによれば、バッタやジョロとは違ってどことなく生物的な外見をしている。だとすれば、BETAの母艦級に近い存在なのか?

 となると、もし生き物だとすればチューリップは空間倉庫に入れるのは不可能、か。

 バッタやジョロを運ぶという関係上、シャドウミラーとしてはチューリップは是非研究したい存在ではある。

 何しろ、メギロートやイルメヤの輸送艦を作って欲しいとレモンを始めとする技術班に頼んでおいたのだ。

 そこにこのチューリップが出て来たとなると、物凄いタイミングとしか言いようがない。

 そもそも、チューリップはアークエンジェルやナデシコといったように特定の大きさの機体だけを運用するようなタイプではない。

 もっと原始的に……誤解を恐れずに言えば、袋のような物だ。

 それこそ、入り口がガバッと大きく開くのを考えれば、中に入っている機体の大きさは関係ない。

 KMFのような小型機や、ヴァイサーガのような特機であっても全く不都合なく運用が出来る。

 シロガネやニヴルヘイムも搭載機の大きさは殆ど関係ないけど、どうしてもコスト的な問題で量産は出来ない。

 特にニヴルヘイムは戦艦ではなく移動可能な前線基地といったコンセプトの機体……いや、機体でもなく、艦でもない。言うなれば、存在? そう、そういう存在だ。

 コストだけではなく、運用するにも人数が必要になる。

 メギロートやイルメヤを展開する為の戦艦にそんなに手間暇を掛けるというのはちょっと面白くない。

 となると、やっぱりあのチューリップみたいな存在を出来れば入手したいんだが……そうだな、チューリップが出て来たら駄目元で空間倉庫に手に入れられないかどうかを試してみるか。

 

「……ま、そんな機会があったらだけどな」

 

 さっきのエリナの様子を見る限り、俺の立場は色々と危険な事になりそうだ。

 それこそ、下手をすればネルガルと全面戦争、もしくは俺がホワイトスターに戻るという事にもなりかねない。

 

「結局どうなるのかは……明日になってみないと分からないけどな」

 

 呟き、特にやる事もないし、外に出るにしても既に艦内時間は午前2時。面白い事もないだろうから、睡魔に身を委ねて眠りへと落ちていく……

 

 

 

 

 

「ん……ふぁあああああ」

 

 目が覚め、大きく伸びをする。

 コミュニケへと視線向けると、そこに表示されているのは午前8時過ぎ。

 どうやら、何だかんだと6時間近く眠ってしまったらしい。

 昨日はかなりの時間昼寝をしたんだが、それでも眠くなるんだな。

 いやまぁ、暇潰しの道具を殆ど利用出来ない以上、寝るかTVを見るかくらいしかする事はないんだが。

 取りあえず、俺はもう自由に外に出てもいいって事になってるんだし、食堂で朝食でも食うか。

 そう考え、着替えようとして……

 

「あ、荷物ないのか」

 

 いや、正確にはある。

 着替えとかそういうのも全部が全部あるが、それが入っているのは空間倉庫の中だ。

 だとすれば、今の状況でそれを使う訳にもいかない。

 風呂の中の道具は全部備え付けのがあるから、風呂に入るか?

 結局昨日はシャワーにしか入ってないし。

 いや、けど朝から風呂ってのは……時間はともかく、いつエリナが来てもおかしくない。

 昨日の今日だけに、ちょっと顔を合わせ辛いが……

 

「取りあえずシャワーにでも入るか。着替えはエリナが来たら買ってきて貰えばいいだろうし」

 

 そう決めれば、次の行動は早かった。さっさと服を脱ぎ、そのまま風呂場へと向かう。

 ……やっぱり風呂はそんなに大きくないんだな。

 いや、小さいながらも風呂が付いている事に満足すべきなんだろうが。

 そんな風に考えながらシャワーを済ませ、用意されていたバスタオルで身体を拭き、ナイトガウン……とかいうのか? いや、バスローブ? ともあれ、それを着て部屋へと戻る。

 普通の部屋でもこういう風にきちんと着替えを用意されてるんだとしたら、至れり尽くせりって奴だな。

 冷蔵庫の中から冷えたお茶を取り出し……

 

『ねえ、アクセル。いる?』

 

 扉の外からそんな声が聞こえてくる。

 その声は俺が待っていたエリナ……ではなく、ハルカのものだ。

 

「どうした?」

 

 扉を開けると、俺の予想通りそこにいたのはハルカ。

 手には何かの袋を持っている。

 そのハルカは、俺の方を見ながら手を口に当てて一言。

 

「うわぁお」

「何がうわぁおだ、何が」

「あ、ううん。まさかそんな格好で出てくるとは思わなかったから」

「荷物がなくてな。殆ど成り行きでナデシコに雇われる事になっただけに」

「あー……なるほど。それでこれか」

 

 うん?

 ハルカの言葉に疑問を抱いていると、手に持っていた袋を俺の方へと渡してくる。

 

「はい、これ。プロスペクターさんに持っていくように頼まれたの。着替えと制服一式だって」

「制服?」

「そ。まぁ、ナデシコの中は結構自由だから私服でもいいらしいけど、取りあえずの支給品。下着とかの身の回りで使う物も一通り用意したそうよ」

「へぇ。気が利くな。ありがたく貰っておくよ」

 

 本来なら俺のサポートというか、監視役のエリナが持ってきてもおかしくないんだろうが、昨日の今日だけに顔を合わせづらいんだろう。

 ……いや、違うな。エリナの性格を考えれば、私情を抜きにしても仕事はきちんとするタイプに見えた。

 だとすれば、それどころではない何かがあったか……ぶっちゃけ、昨日のブラックホールエンジンの件だろうな。

 情報流出を疑っていたから、それを確認してるとかだと思う。

 ともあれ、空間倉庫がない状態で着替えが届いたのはありがたい。

 ハルカから袋を受け取り、着替えようとして……その動きを止める。

 

「何でそこにいる?」

 

 俺の視線が向けられたのは、当然のように部屋の中にいるハルカ。

 着替えの入っている袋を俺に渡した後、そのままブリッジに戻るかと思いきや、何故かハルカは俺の部屋に入ってきたのだ。

 

「べっつにー。ただ、ナデシコがまだ発進してない以上、私がやるべき事はないのよね。だから、暇潰しよ、ひ・ま・つ・ぶ・し」

「つまり、サボりか」

「そうとも言うかもね。ただ、実際にもうこっちに出来ることってないのよ。整備の人達は凄く忙しそうにしてるけど」

 

 着替えを持って、洗面所へと向かう。

 さすがにそういう関係になっている訳でもないハルカの前で全裸になるというのは、変態扱いされそうな気がするし。

 いや、寧ろ着替えがなくて困っている俺に着替えを持ってきて、その上でこうして部屋の中に入ってきたと考えれば、寧ろ誘っていると考える事も?

 ……馬鹿らしい。妙な勘違いをして、その結果犯罪者になるのはごめんだ。

 ともあれ、風呂場に行って簡単に着替えを済ませる。

 ネルガルの制服……いやまぁ、着たくないのなら何か適当に買えばいいんだろうけど。

 そんな風に着替えを済ませて部屋に戻ると、そこにいたのはつまらなさそうにしているハルカ。

 

「何もない部屋ね」

「……日付が変わってから引っ越してきた俺に、どうしろと? ま、そのうちここで暮らしていれば嫌でも荷物は増えていくだろ。何が増えるのかは分からないが」

 

 取りあえず空間倉庫をなるべく使わないで生活をしなければいけないとなると、食べ物とか飲み物が増えるか?

 うん、まぁ、そんなところだろうな。

 他に暇潰し用の何かが欲しい。

 雑誌は……それもいいけど、俺が雑誌を読むと、何故かトラブルが起きやすいんだよな。

 その辺を考えると、止めておいた方がいいのか?

 そんな風に考えていると、不意にTVが点く。

 

「ハルカか?」

「え? 私何もしてないわよ? ルリルリ辺りが操作したんでしょ」

「ルリルリ……ねぇ」

 

 何となくその言葉を呟くと、ハルカが俺の方へとジト目を向けてくる。

 

「何よ、私の考えたあだ名に、何か文句あるの?」

「いや、そういう訳じゃない。ただ、ちょっと珍しいと思っただけで」

「あだ名が珍しいの?」

「ああ。何だかんだで、俺の周囲にはあだ名を使うような奴とか、殆どいなかったしな」

 

 いるとすれば……ミハエルをミシェルと呼ぶとかか? いや、でも俺の場合はミハエルって呼んだままだし。他には……

 

「あ」

 

 とある人物の事を思い出し、声を上げる。

 いたな、あだ名の持ち主が。

 うっか凛ってのも、れっきとしたあだ名だろう。

 そんな風に考えている間に、映像モニタではナデシコの目的についてプロスペクターを始めとした主要メンバーが語っている。

 ……その主要メンバーの中に艦長の姿がないのは、多分テンカワの所に行ってるんだろう。

 何だかんだで、艦長はテンカワにゾッコンだし。

 ナデシコの目的というのは、昨日俺がエリナから聞いた通り、スキャパレリプロジェクト。

 つまり、火星に行ってネルガルの残してあった資産とかを回収するといったものだ。

 

「……これって、ネルガルの性格を考えると人の方はついでよね」

 

 ハルカも俺と同じ結論に達したのだろう。納得したように呟いていた。

 まぁ、普通に考えればそうなるよな。

 中にはそれに不満を覚える者もいるようで、副艦長……アオイ・ジュンだったか? それがプロスペクターに対して何か言い募っていたが。

 にしても、火星……火星か。つくづく俺と火星は縁が深いな。

 ネギま世界然り、マブラヴ世界然り、そしてナデシコ世界然り、か。

 テラフォーミング技術はそれなりに魅力的ではあるんだけど、俺にとっての鬼門、ナノマシンなんだよな。

 アインストやスパロボOGsでの話を知っている身としては、どうしても好意的にはなれない。

 いや、技術なんてのは使いようだって分かってはいるんだけどな。

 実際、シャドウミラーで使われているブラックホールエンジンだって、ヒュッケバインで暴走してバニシング・トルーパーとかの件もあったんだし。

 そう考えれば、ナノマシンだけを嫌わなくてもいいとは思うんだが……それでも、どうしても駄目だ。

 

「ねぇ、アクセルはどう思ってるの? このスキャパレリプロジェクト」

 

 映像モニタで行われているやり取り……ナデシコ程の戦力を連合軍ではなくネルガルが私的に使ってもいいのかってのを見ながら、ハルカの問いに答える。

 

「ナデシコの戦力云々って言ってもな。実際にはまだ何もやってないだろ? こう言っては何だけど、バッタとジョロに襲撃されたのを防いだのは俺だし。ナデシコが何かやったかと言われれば……」

「まぁ、それはね」

 

 苦笑を浮かべるハルカ。

 そうなんだよな。実際、あの時ナデシコはただ海中を潜ってきただけだ。

 勿論何かを狙ってはいたんだろうが、それをどうにかする前に俺が全機倒してしまったし。

 

「でも、ナデシコってスペック上では木星蜥蜴を相手にも……」

「待った」

 

 何かを言い掛けたハルカの言葉を遮る。

 どうしたのかを尋ねてくるハルカの視線をそのままに、俺は扉の方へと視線を向ける。

 こちらに向かってくる気配を感じ取った為だ。

 しかも、ただ呼びに来たとかそういうのではなく、俺に対する明確な敵意がある。

 これは……ネルガルが俺を裏切ったか?

 昨日のエリナの件を考えれば、十分に有り得る。

 何しろ、ミロンガ改はネルガルにとって宝の山だ。

 火星に行ってネルガルの技術や資産を回収するより、ミロンガ改を研究した方が得られる利益は多いだろうと考えても不思議ではない。

 ……さて、誰が来るのか。

 ゴートの気配がないというのは、ゴートが俺の力を知ってるからか。

 プシュッ、という音と共に扉が開き……

 

「大人しくしなさい。そうすれば悪いようにはしないわ」

 

 銃を構えたキノコがそこにいた。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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