転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1262話

 ミロンガ改のデータ取りをしたいというのはエリナにとっても間違いのない事実だったらしく、一瞬言葉に詰まる。

 だが、それでもすぐに立ち直ってくるのはネルガルという大企業の会長秘書を務めているだけのことはある。

 

「とにかく、データ取り云々の事は置いておくとして」

 

 いや、勝手に置いておかないで欲しいんだけどな。

 さすがに現状では色々と急ぐから突っ込まないけど。

 

「ふーん。自分に都合の悪い事は放っておくんだ」

 

 ……俺が突っ込まなかったのに、ハルカの方が突っ込んでしまう。

 まぁ、その気持ちは分からないでもないが。

 特にハルカの場合、さっき俺との言い争いを強引に鎮圧させられたりもしてたし。

 その辺を考えると、エリナに対して面白くない気持ちを抱いていてもおかしくはない。

 

「……コホン。とにかく一旦ブリッジに行くわよ。貴方達も来なさい。確か貴方はナデシコの操舵手だったわよね? 何で今ここにいるのかは敢えて聞かないけど」

 

 意味ありげな視線を向けるエリナに、ハルカは溜息を吐いて口を開く。

 

「別に後ろ暗いことはないわよ? プロスさんに頼まれて、アクセルに着替えを持ってきただけだから」

 

 サボる気満々だった事は全く表に出さないままに告げる。

 そう言えばハルカも元は秘書。そういう意味では、エリナと似た者同士なんだよな。

 対抗意識はその辺もあるのか?

 

「ま、そういう事にしておきましょ。とにかく今は時間がないの。このままだとナデシコは止まったまま連合軍に襲撃されるわ」

「で、急いで出発するって事か? 火星に行くんだったよな?」

「ええ。でも、その前に色々と補給をする必要もあるし、貴方の機体の件も何とかしないといけないでしょ? ミサイルの規格についても調べないといけないし」

「……ああ、そうか。その辺の契約は守ってくれてるのか」

 

 俺が見ていない場所でミロンガ改に手を出さない事、というのをしっかりと守っていたのだろう。

 てっきり、ドサクサ紛れに妙な手を使うかもしれないと思っていたが、安心出来る。

 

「それはね。何でも、かなり酷い脅しをしたって聞いたわよ? 今、貴方に抜けられれば、ネルガルとしても大損だもの。そういう訳で、サセボシティから出撃したらなるべく早い内にミサイルの規格を調べさせてちょうだい。それと、出来れば今装備しているミサイルも見せて貰えると嬉しいんだけど」

 

 エリナの言葉に一瞬動きを止め、首を横に振る。

 

「悪いけど、今ミサイルは装備されてないんだ。ここに来るまでの間に使ってしまってな」

「……そうなの?」

「ああ」

 

 勿論嘘だ。

 何しろ今ミロンガ改の肩に装備されているミサイルは、普通のミサイルではない。S-11ミサイルなのだ。

 マブラヴ世界で開発されたS-11を応用したミサイルは、通常のミサイルを遙かに上回る威力を持っている。

 そんなミサイルをネルガルに与えれば、またいらない疑いを抱かれそうだし、出来ればそれは避けたい。

 そういう事で、ミサイルが内蔵されている場所を見せる時には、俺が最初に肩を開いて空間倉庫にミサイルを収納する必要があるな。

 

「そう。……そう」

 

 何故か2回呟くエリナ。

 もしかして何か気が付いたのか?

 ともあれ、こっちとしてはその線で通すしかない。

 俺も出来ればネルガルとは敵対したくないし。

 

「ちょっと、急いでるんでしょ? ここで話をしている暇はないんじゃない? ブリッジに向かいましょう。そもそも操舵士が2人共ここにいる状況だと、どうやってもナデシコは動かないわよ?」

 

 ハルカが焦れたように告げ、それにエリナが頷く。

 

「そうね。……悪いけど、ハルカさんがブリッジに行ってくれる? 私は彼と格納庫の方に向かうから。ナデシコを動かすには私よりも貴方の方がいいでしょうし、ミサイルの規格の事も早く調べておきたいのよ」

 

 エリナの言葉に、ハルカが微妙に嫌そうな表情を浮かべる。

 自分が仕事に行くのに、エリナがサボるというのが納得出来ないのだろう。

 いや、正確にはサボるんじゃないんだけどな。

 実際問題、このナデシコの主戦力は今のところエステバリスではなくミロンガ改だ。

 ぶっちゃけ、エステバリスがどんな性能を持っているのかは部屋に一人でいて暇な時間に大体見た。

 動力炉をナデシコに依存する事によって機体を小型化するというのは少し驚いたが、それは機体の小型化と同時に艦から離れられないという事も意味している。

 一応外付けバッテリーの類はあるらしいが、それだって長時間は稼働出来ないらしいし。

 他の見るべき所となると、フレーム構造だろうな。

 陸戦、空戦、砲撃戦、0Gフレームといった様々なフレームが用意してあり、コックピット部分だけを入れ替えて汎用性を高める。

 ……うん、思い切りどこかで聞いた事のあるシステムだな。

 エクサランスをパクるなと言いたくなるのは俺だけじゃない筈だ。

 いやまぁ、ナデシコの原作が綺麗さっぱり抜けてしまってる以上、もしかしたらナデシコの方がエクサランスの出て来たスパロボRよりも先なのかもしれないけど。

 ただ、俺の場合は時流エンジンが過度期の時からの付き合いだから、どうしてもエクサランスの方に肩入れしてしまうんだよな。

 まぁ、フレームを換装するってのはよくあるシステムだが。

 それこそフレームじゃなくてバックパックだったり武装だったりするが、ストライクガンダムとか、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改とか、他にも多数ある。

 シャドウミラーの場合は、技術班の暴走で量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改を魔改造してSEEDで言うI.W.S.Pのようにしてシャドウという全く新しい機体を作り上げてしまったが。

 というか、それどころじゃない程に当時の最新技術をふんだんに使ってるし。

 ともあれ、エステバリスというのは使えるようで使えない微妙な兵器……というのが、幾つもの世界で多くの兵器を見てきた俺の印象だ。

 R1編のKMF相手になら有利に戦えるだろうが、R2編になって出て来たKMFには勝てないような気がする。

 まぁ、エステバリスが戦っているのをきちんと自分の目で見た訳じゃないので、実はもっと有効な兵器なのかもしれないが。

 エステバリスを開発したネルガルだって、木星蜥蜴を相手に有効だと思ったからこそGOサインを出したんだろうし。

 ……エリナにはとてもじゃないけど、エステバリスは使い物にならなさそうだなんて事はいえないけど。

 いや、寧ろそう言えばもっとミロンガ改を研究出来ると考えて乗ってくるか?

 普通にありそうだ。

 

「分かったわよ。じゃあ、そっちはお偉い秘書様に任せて、私はブリッジに行かせて貰うわよ」

 

 どこか棘のある言葉を残し、ハルカは去って行く。

 

「……ええ。そう。廊下にムネタケ提督と兵士達が気絶して倒れているから、警備員を回して頂戴。取りあえずどこかの部屋に軟禁しておいて。いい、連合軍と揉めるのは避けたいから、手荒な真似はしないでちょうだい。 私? 私は格納庫の方に向かうわ。ミロンガ改がどうなっているのかも気になるし、出来るだけ早くミサイルの規格を調べておく必要があるでしょ?」

 

 ハルカの背を見送っていると、エリナがコミュニケを使ってどこかに連絡を取っている様子が見えた。

 もっともその連絡も素早く終わり、俺はエリナに引っ張られて格納庫へと連れて行かれるのだが。

 ……影のゲートを使えれば、こういう移動は早くて便利なんだけどな。

 

 

 

 

 

 格納庫へと到着した俺達だったが、そこに整備員の姿は殆どない。

 それを見たエリナは、当然怒って周囲に残っていた数少ない整備員へと怒声を投げかける。

 

「ちょっと! どうしてこんなに人がいないのよっ!」

「いや、そう言われても……ウリバタケ班長達は格納庫を襲ってきた兵士をブリッジに連れて行くって……」

「ああ、ここにも来てたのか。……いや、考えてみれば当然だな」

「でしょうね」

 

 俺の言葉に、エリナが苦い表情で頷く。

 そもそも連合軍の狙いはミロンガ改だった訳で、それなら当然格納庫を真っ先に押さえるだろう。

 いや、ムネタケが俺の方へと来たのが疑問ですらある。

 まぁ、ミロンガ改は所詮ロボットだ。接収するのも難しくないから、より難易度が高いだろう俺の方へとやって来たってのが正しいんだろうが。

 ムネタケがこっちに来てたから心配はしていなかったけど、きちんとこっちにも人をやってたのか。

 何だかんだ言っても、ムネタケってある程度有能ではあったんだな。

 

「まぁ、それはそれとして。悪いんだけどアクセルの機体に使うミサイルの規格を知りたいのよ。アクセルが立ち会うから、ちょっと調べてくれる?」

「今やるんですか!? この状況で!?」

 

 驚愕の表情を浮かべる整備員。

 まぁ、連合軍の件で艦内中が騒ぎになっているのは事実だ。

 そんな中で機体を調べろと言われても、確かに困るだろう。

 だが、エリナはそんな整備員に問答無用で頷きを返す。

 

「そうよ。この騒ぎを考えれば分かるでしょうけど、このままだと連合軍がアクセルの機体を奪う為にどんな手を打ってくるか分からないわ。それに対抗する為にも、出来るだけ早く機体を万全の状態にしておきたいのよ」

「そりゃあ……確かにそうでしょうけど」

「でしょう? だから、今のうちに……」

「あ、班長! ちょうどいいところに!」

 

 エリナの言葉を遮り、整備員が叫ぶ。

 その視線の先にいたのは、俺がミロンガ改を格納庫に入れた時に思いきり騒いでいた男。

 なるほど、やっぱりあの男が整備員達を纏めている人物なのか。

 

「おう、どうした?」

「いえ、実はあの人がえっと……ミロンガ改? とかいう、あっちの人の機体に使われているミサイルの規格を調べろって」

「んだとぉっ!」

 

 整備員の話を聞いた男が、俺とエリナの方へと向かって歩いてくる。

 床を踏み抜いているかのようなその歩調は、見るからに怒っているように見えた。

 自分の部下を勝手に使われて面白く思うような者はいないだろうが……

 

「そんな話なら最初から俺の方に持ってこいよな。あの機体は色々調べたいと思ってたってのに、ブリッジの方から絶対に触ったら駄目だって命令が来てたからな。いつもならそんなの無視するんだが、もし破ったら艦を降ろすなんて言われちゃなぁ……」

 

 どこか遠い場所を見るかのような男。

 何だ? 艦から降りたくない理由でもあるのか? 例えば、借金とか。

 その辺は普通にありそうだが……まぁ、細かいところをどうにかするつもりはない。

 腕が確かなら問題ないだろう。

 そもそも訳ありのメンバーは駄目って事になれば、シャドウミラーはどうなるんだって話だし。

 事実、シャドウミラーに参加しているメンバーは、色んな意味で訳ありの者が多い。

 俺なんか、その最たる者だろう。

 その俺が相手の事情を探るような真似をするってのは何か違うしな。

 

「ま、それはともかくだ。アクセルっつったよな。お前が立ち合いの下でなら、整備とか機体のチェックとかしてもいいって言われてるんだが、今回はそれなんだろ?」

「ああ。この前の戦闘では弾切れで使わなかったが、ミロンガ改の肩にはミサイルが内蔵されている。その規格を調べて、ネルガルでミサイルを作って貰う事になってな。その調査だ。頼めるか?」

 

 そう尋ねると、男は嬉しそうに……それはもう心の底から嬉しそうな笑みを浮かべて口を開く。

 

「おうよ、俺に任せときな。しっかり規格を調査させて貰うぜ」

 

 典型的な機械馬鹿って奴なんだろうな。

 この手の奴は使いようによってはかなり有益な成果を出す。

 技術班なんか、その典型だろう。

 

「じゃあ早速お願いするわ。少しでも急いで本社の方にデータを送らないといけないのよ」

「あいよ。じゃあアクセル、よろしく頼む。ああ、忘れてた。俺はこいつらを纏めているウリバタケだ。整備に関する事で何かあったら俺に言ってきな」

「ああ、よろしく頼む。じゃあ、早速行くか」

 

 こうして、俺、エリナ、ウリバタケの3人は格納庫の隅に待機しているミロンガ改へと向かう。

 ナデシコの中では規格外に大きい機体だけに、格納庫の端にあったとしてもその姿は非常に目立つ。

 

「よし、ちょっと待っててくれ。こう言ってはなんだけど、一応確認してからにさせてもらう」

 

 S-11ミサイルを空間倉庫に収納しなければいけない以上、2人に対してはそう言うしかなかった。

 ただ、そんな風に言われた方としては面白くないのは事実なのだろう。

 それでもこっちとしてはそうするしかない訳で。

 コックピットに入って機体を起動させる。そのまま肩の部分を外から見えないように解除し、コックピットの外へ。

 整備員が俺の身の軽さに驚くような声を聞きながら、肩の部分を少しだけ開け、S-11ミサイルへと触れて空間倉庫へと収納する。

 反対側の肩のS-11ミサイルも同様に収納し、ミロンガ改をしゃがませてウリバタケへと肩の部分を見せるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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