転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0114話

 地上での出来事を一通り語り、次はこちらが聞く側に回る。

 

「それで、宇宙の様子は?」

 

 俺の質問に答えたのはヴィンデルだった。

 

「まず、このドルム周辺にもアインストが度々転移してくるようになった。インスペクターはこれの撃退におおわらわとなっている」

「ああ。ここに入港する時にアインストやら兵器の破片が散らばっているのを見た」

「そう、それだ。何故か月やコロニー、スカルヘッドにはアインストが現れないでこのドルムだけが集中的に狙われている」

「……スカルヘッド? 本当に実在したのか?」

 

 原作ではOG外伝で戦いの舞台となった生産プラントなので、もちろん俺はその存在を知っている。しかし本来はいわゆる都市伝説のような感じで流れていた噂なので、自然とこういう質問の仕方になる。

 

「ああ。EOT特別審議会がイスルギ重工に作らせた生産プラントとして実在していたようだ。どのような経緯かは分からないが、現在はインスペクターの管理下に置かれている」

「となると、現在一番の火種はここになるのか?」

「いや、情報ではヒリュウ改がムーンクレイドルの奪還に向かっているらしい。そちらはラングレー基地で顔を会わせたメキボスとヴィガジが守備についている」

 

 そう言えばそうだったな。それでシュウ・シラカワのウィルスでバイオロイドが使えなくされるんだった。そしてヴィガジがムーンクレイドルでヒリュウ改に破れて死亡と。

 

「保つと思うか?」

 

 俺の質問にヴィンデルは肩をすくめてみせる。

 

「さて、どうだろうな。地球人を見下しているあの様子ではヒリュウ改に遅れを取る可能性が高いだろう」

「でしょうね。プライドと能力が釣り合っていないのよ」

「地球人を病原菌扱いする奴等だからな。……で、そんな病原体の俺達と手を結ぶ為の条件は?」

「言うまでもなくシステムXNだ。ここに来て早々に自分達に寄こせと言ってきたが、取りあえず完成したら渡すという事で一週間の猶予を貰った。その過程の成果物も渡す事になったがな」

「……大丈夫なのか?」

「ま、なんとかなるでしょ」

 

 気軽に言うレモンのその様子を見る限りでは、何らかの勝算があるんだろう。

 

「取りあえず宇宙ではこんな所だ。お前も戦いの連続で疲れているだろうから、今日明日くらいはゆっくり休んでくれ。どの道激戦になるのは分かっているんだからな」

 

 ヴィンデルの言葉に頷き、座っていた椅子から立ち上がる。

 

「了解。じゃあゆっくり休ませて貰うよ」

 

 部屋へ案内するという量産型Wの後を追い、作戦司令室を出た。

 

 

 

 

 

 宇宙要塞ドルムへと到着してから2日。ムーンクレイドル陥落の知らせを聞いた俺は作戦司令室へと向かう。

 どうやら俺が一番最後だったようで、作戦司令室の中には既にヴィンデル、レモン、リーが椅子に座っている。エキドナは離れた場所で待機しており、いつもの面子が揃っていた。量産型Wが各々の仕事を淡々とこなしているのも既に見慣れた光景だ。

 

「メキボスが月から戻ってきたって?」

「ええ」

 

 俺の質問の答えにレモンが短く答える。

 

「なら、奴がムーンクレイドルの防衛任務を放棄したというのも?」

「どうやら本当のようよ。何を狙っての行動かは分からないけど」

「インスペクターも、一枚岩じゃないって事か」

「これで少しだけど、時間を稼げるわね」

「……随分と余裕があるな」

「それはそうよ。私だってドルムに来てから遊んでいた訳じゃないのよ? それなりに準備は整えているわ」

 

 レモンの言葉を聞き、ヴィンデルが口を開く。

 

「レモン、なら例の量産試作基の開発進行状況はどうなっている?」

「今の所は予定通りよ。1号基が明日ロールアウトするわ」

 

 この状況で開発している量産試作基? その言葉で思い出されるのは、2日前にここでヴィンデルに聞かされた事。それはつまり……

 

「システムXNを量産したという事か?」

「ふふ、そうよ。……驚いた?」

 

 得意げに言ってくるレモンだが、それはもちろん心底驚いた。今の俺の顔を写真に撮ってタイトルを『驚愕』なんてものにしたら写真コンクールで賞が取れるんじゃないかというくらいに驚いた。

 

「いつの間にそんな所まで……」

「うーん、量産型は機能的にはまだまだなのよ。ヴィンデルがこの前言ってたように、システムXN開発に関しての成果物を坊やにあげないといけないから急遽仕上げる事になったの。多少不安定だけど一応狭い範囲での転移は可能よ。それに、システムXNもインスペクターの技術を使って改良したおかげで次元転移も今までよりもかなり安定して行う事が出来るようになったわ。……もっとも、それでもまだ不確定要素があるから完全というには程遠いんだけど」

 

 なるほど。ここまで成果を上げていればそれは確かに得意げにもなるだろう。ここに来て、どれだけレモンが科学者として規格外なのかを改めて理解してしまった。

 

「だが、不安定というのが気になるな。兵器で重要なのは安定して動作する事だ。奴等がそれで納得するか?」

 

 レモンの言葉に疑問を挟んだのはリーだった。確かに安定して動作するというのは、兵器として使う以上必須事項ではある。

 

「リーの話ももっともだけど、インスペクターは機動兵器に搭載できるサイズの転移装置を持っていないのよ。その辺を突けば意外と興味を持ってくれると思うわ」

「なるほど。その1点を突くつもりか」

 

 納得した様子のリーを見ながら、念の為に尋ねる。

 

「ちなみに、次元転移機能は?」

「……あのね」

 

 呆れたような目でこちらを見るレモンだったが、やがて口を開く。

 

「大本命のシステムXNでさえ完璧と言える状況じゃないのよ? それなのに量産型に次元転移機能を付ける訳ないじゃない。と言うか、もし付けたとしても使った途端次元の狭間に落ちるか、どことも知れない世界に転移するか……まずまともには使えないわね」

「だが、私達の状況は徐々に悪化しつつある。現状ではアインストからの攻撃は小規模なものだが、そのうちドルムがアインストの総攻撃を受ける可能性も考えられる」

「そうね。ここ最近のアインストの出現頻度を考えれば、近いかもしれないわね」

「いざという時はアギュイエウスの次元転移装置を使う。より安定度が高くなるように調整作業を急いでくれ」

「了解」

 

 レモンが頷いた丁度その時、エキドナがこちらへと近づいてくる。

 

「ヴィンデル様。インスペクターよりアインストが転移してきたので迎撃する為の戦力を出せとの命令が来ましたがどうしますか?」

「……噂をすればなんとやら、か。アクセル、頼めるか?」

「ま、俺しかいないだろうな。了解だ」

 

 レモンはシステムXNの調整や量産型の開発。ヴィンデルはそもそも機体にシステムXNを積んでいるのでトリニティゲインは使用不可。となると、残るのは俺とエキドナ、そしてリーくらいのものか。

 

「シロガネは使っても構わないな?」

「ああ。リー中佐、出撃だ」

「了解」

 

 作戦室から出る前に、ふと気になる事がありレモンへと声を掛ける。

 

「レモン、例のシステムXNの量産型だが、グロウセイヴァーへの搭載は可能か?」

「そうね、1号基は坊やに渡さないといけないけど、2号基以降なら。ただ、どう頑張っても搭載するのは明日になるわよ?」

「ああ、それで構わない。この世界での戦闘もそろそろ終盤近いだろう。なら可能な限りの手を打っておきたい。使うかどうかは別としても、選択肢があるのはありがたいしな」

「了解。じゃあ、2号基がロールアウトしたらグロウセイヴァーに搭載させるわ。……でも、現状の性能だと戦闘中に使用するのは難しいわよ? 転移フィールドを形成するのに10秒くらい掛かるから、咄嗟の回避手段とかには使えないだろうし」

「構わん」

「アクセル大尉、行くぞ」

 

 レモンと話していると、リーからの声が掛かる。どうやらご丁寧に俺の事を待っていてくれたらしい。近くにはエキドナの姿も見える。

 

「じゃ、レモン頼んだぞ」

 

 レモンへと声を掛け、リーの待っている方へと向かう。

 

「悪い、待たせたな」

 

 俺の言葉に軽く頷き、格納庫への道を進む。

 

「リー、部隊の指揮はお前の方が慣れているだろうから任せて構わないな?」

「ああ。問題無い」

 

 

 

 

 

「ちぃっ、面倒な。ファントムっ!」

 

 ドルムから出撃して5分も経たないうちに、既に周囲の宙域にはアインストが転移してきており激しい戦闘になっていた。

 後方ではシロガネが量産型Wの指揮を執りつつ、アインストの集中している場所へと連装衝撃砲を叩き込んでいる。

 

「よお。頑張ってるな」

 

 そんな俺達に声を掛けてきたのは、グレイターキン。つまりはメキボスだ。近くにはアルバトロス級の姿も見える。

 

「このクソ忙しい時にお出かけとは随分と余裕だな……はぁっっっっ!」

 

 アダマン・ハルパーを起動させ、大鎌でアインストグリートの蔦を叩き斬る。同時に胸部装甲を展開、ファイア・ダガーでトドメを刺す。

 

「そう言うなよ。月を失った責任を取れと言われてな。これからヒリュウ改とクロガネに攻撃を仕掛けにいくんだからな。メガ・ビームバスターッ!」

 

 こちらの質問に答えつつ、行きがけの駄賃とばかりにアインストを何機か纏めて消滅させる。

 

「そうか。精々気をつけるんだな。奴等は強い」

 

 こちらへと近寄ってくるアインストクノッヘンへとビームガトリング砲を撃ち込み、骨ごとバラバラにしてやる。

 

「そうだな。確かに俺達は地球人に対する評価を誤っていたかも知れないな。お前の戦闘力を見ると、改めてそう感じずにはいられないよ」

「負けてもせめて死ぬ事なく帰ってくるんだな。インスペクターを首になってもお前くらいの腕があるのなら俺達が雇ってやるよ」

「へっ、言ってろ。逆に俺がお前達を雇ってやるよ」

「じゃあな」

「ああ」

 

 短く挨拶を交わし、アルバトロス級へと戻っていく。

 

「っと、言い忘れてた。今度一緒に酒でも飲もうや」

「……俺は下戸でな。お茶でよければ付き合おう」

 

 転生して初めて酒を飲んだ時の事を思い出すと、どうしてもアルコールの摂取は遠慮しておきたい。あの時は俺の秘密を知ったのがレモンで、最終的にはそれを許容して付き合う事になったからいいものの、二度とあんな醜態は御免だ。

 

「はっ、下戸かよ。まぁ、それでもいいさ。約束したぜ、忘れるなよ!」

 

 今度こそ通信を終了し、艦へと戻っていく。

 原作通りならメキボスはここでは死なない。だが、最終的には弟のウェンドロに撃墜されるはめになる。……第3次スパロボ準拠なら生き残るだろうが、あいにくここはOGsの世界で、俺はOG外伝までしか知らない。故にここでの別れが最後の別れになると思っておいた方がいいだろう。




名前:アクセル・アルマー
LV:31
PP:115
格闘:230
射撃:248
技量:240
防御:237
回避:265
命中:287
SP:390
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:168

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