転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1272話

 ビックバリアを突破する為に、最終的に選んだのはバリア衛星に対するハッキング。

 まぁ、地球を覆っているバリアを破壊する訳にもいかないというのもあるんだろうけど、エリナにしては思い切った手法を選んだものだ。

 ……他の候補がバリア衛星の破壊や、下手をすれば年単位で時間の掛かる連合軍との交渉となれば、しょうがないのだろうが。

 ともあれ、そんな訳で現在ナデシコはビックバリアをハッキングするべく上空へと向かっていた。

 ただ、当然ナデシコのような戦艦が地球を脱出しようとすれば目立つのは当然であり、連合軍がそうはさせじとミロンガ改とナデシコを拿捕すべく行動を起こした。起こしたのだが……

 

「これはさすがに予想外でしたな。私共とすれば、ありがたい予想外ですが」

 

 いつもの怪しげな笑みではなく、苦笑を浮かべているプロスペクター。

 現在俺達がいるのは、ナデシコのブリッジ。

 そこに主要メンバーが集まってきていた。

 まぁ、例によって例の如く、ヤマダは未だに入院中なのだが。

 ともあれ、ナデシコの映像モニタにはルリがオモイカネを使って得た映像データが映し出されている。

 ……そう、スクランブルを掛けてナデシコに攻撃を掛けようとした戦闘機や戦艦とバッタやジョロの激しい戦闘が。

 どうやら地上でナデシコ討伐……いや、鹵獲か? ともあれ、その為に部隊が派手に動いたのに木星蜥蜴が反応してしまったらしい。

 その結果、第5、第6地球防衛ラインはナデシコ相手には全く機能していない。

 第4防衛ラインのミサイルは発射されているのだが、ディストーションフィールドを破る事は出来ず、ナデシコを揺らすだけに留まっている。

 

「ま、ディストーションフィールドってのはどっちかと言えばグラビティブラストやビームなんかに対応しているバリアだからな。いわゆる、物理攻撃には弱いんだが……それでもミサイルの1発や2発程度じゃ破る事は出来ねえよ。……おっと」

 

 ウリバタケの言葉が終わると同時に、再びミサイルが着弾してナデシコが揺れる。

 

「こんな具合にな」

「揺れたら揺れたで、それなりに被害は出ているような気もするが」

 

 大きな被害ではなくても、何かの物が割れるとか普通にありそうだ。

 そんな俺の疑問に、プロスペクターは苦笑を浮かべる。

 

「それでも、ナデシコが直接被害を受けるよりはいい訳でして、はい」

「そうだろうけどな。……で、次はデルフィニウム部隊と戦闘衛星からのミサイルだったか? それを突破してバリア衛星の近くまで行くんだよな?」

「そうなります。その際にはアクセルさんとテンカワさんに頑張って貰う事になりますので、よろしくお願いします」

「俺の方は構わない。元々パイロットとして雇われているんだし。……で、テンカワの方は?」

「俺は……まだよく分からないけど、火星に行く為なんだし頑張ってみるよ」

「そう? じゃあお願いね」

 

 テンカワが戦力になるとはっきりと断言した為だろう。俺達の話を聞いていたエリナが笑みを浮かべてテンカワへと視線を向ける。

 その視線を受けたテンカワが薄らと頬を赤くし、それを見た艦長が嫉妬して不機嫌になる。

 にしても、何だってテンカワがエリナにこうも入れ込んでるんだろうな? 艦長とは全く違うタイプだからか? だとしたら艦長涙目だな。

 艦長は、何と言えばいいのか……精神的にまだ幼い? うん、そんな感じだ。

 それに比べるとエリナは既に20代という事もあって、自立している。

 恐らくだけど、艦長に言い寄られているテンカワにとってはエリナの大人故の距離感が気持ちいいんだと思う。

 勿論エリナの場合は外見も整っているから、それも関係しているんだろうけど。

 

「デルフィニウム部隊の方は、バリア衛星に向かう前に出来るだけ数を減らした方がいいんじゃないんですか?」

 

 メグミの口から出たのは、ある意味当然の疑問。

 実際問題、バリア衛星にハッキングを仕掛けている間、ナデシコは身動きが出来なくなる……とまではいかないが、動きが鈍るのは確実だ。

 これは、オモイカネのオペレーターでもあるルリからの情報だから間違いない。

 だとすれば、その時にナデシコを守る俺達が戦う相手というのは、戦闘衛星から撃たれるミサイルとデルフィニウム部隊。

 なら前もってそのデルフィニウム部隊を減らしておく方がいいって意見は決して間違ってはいない。

 いや、純粋に軍事的な目で見れば間違いなく正しい選択だろう。

 だが……そこに軍事的な目的以外、それこそ高度に政治的な判断ってのが必要になってくると話が違ってくる。

 

「折角連合軍から受ける敵意を低くしようとしているのに、ここでデルフィニウム部隊を積極的に攻撃してしまえば意味ないでしょ? それをやるなら、最初からバリア衛星の破壊を目指すわよ。……そういう訳で、いい? 出来るだけ専守防衛を心掛けてね。積極的に攻撃するというのは禁止よ。……特にアクセル」

 

 エリナが俺の方を見ながらそう告げてくる。

 

「いや、何で俺限定だよ」

「だってテンカワ君は攻撃に積極的じゃないでしょ? それに比べて、アクセルは色んな意味で攻撃的だし」

「ああ、うん。確かにアクセルって攻撃的よね」

 

 エリナの言葉にハルカが頷き、他の皆も同意だと言いたげに頷いている。

 ……テンカワの件で拗ねていた艦長までもが頷いていた。

 唯一の救いはフクベ提督がそれに同調していない事だが、それだってぶっちゃけ居眠りしているんだと考えれば不思議じゃない。

 いや、本当に寝てるんじゃないだろうな? 提督といっても、ようはアドバイサーやご意見番的な役割だというのは分かっているが。

 俺は一体どんな目で見られてるんだと一瞬疑問に思ったが、それを聞けばこっちも色々とダメージを受けそうなので取りあえずスルーして話を進める。

 

「じゃあ、デルフィニウム部隊は基本無視で、まっすぐバリア衛星まで突っ込んで行くって事でいいんだな? こっちに対しての攻撃は何とか防いで」

「そうね。幸いとデルフィニウムの武器は私が知っている限りはミサイルのみよ。なら、アクセルの方で何とでもなるでしょ?」

 

 ジャマーについて教えたか? いや、別に教えなくても、サセボシティでの戦いであそこまで大々的にジャマーを使ってミサイルを防いでたんだから予想出来てもおかしくはないか。

 

「分かった、ただ、ミロンガ改で防げるのはあくまでもミサイルだ。弾丸の類は防げないぞ」

「大丈夫ですよ。先程ウリバタケさんからの説明にもありましたが、ディストーションフィールドは確かに実弾兵器に対しての効果は弱いです。ですが、ミサイルを受けても多少の揺れ程度で済んでいるのですから、マシンガンのような実弾兵器は全く問題ありません」

 

 何だかんだといって、今のナデシコ世界だとナデシコって鉄壁の防御力を誇ってるんだよな。

 グラビティブラストやビームはディストーションフィールドで防ぐ事が出来、ミサイルはミロンガ改のジャマーで、マシンガンとかの実弾兵器はナデシコにほぼ被害を与えられず、と。

 そうなるとナデシコに被害を与えられる兵器というのは限られてくる。

 そう、例えば……

 

「レールガンの類か」

 

 俺の口から出たその言葉に対し、真っ先に反応したのはゴートだった。

 

「レールガンはまだ研究途中で、実戦配備されてはいない。もしかしたら秘密裏に装備をしている戦艦もあるかもしれんが、今回は問題ないだろう。デルフィニウムに搭載出来る程の小型化はまず無理だろうし、戦闘衛星に組み込むにしてもそこまで大規模な動きであればネルガルの方でキャッチ出来ていた筈だ。それに、純粋な破壊力という面ではレールガンよりもミサイルの方が上だしな」

「まぁ、そうだろうな」

 

 ゴートの説明に頷く。

 ミサイルの場合は爆発すれば広範囲に被害を与えられるのに対して、レールガンはあくまでも一発の弾丸だ。

 勿論その弾丸が命中すれば周囲にある程度の被害は出るだろうが、それでもミサイルに比べれば劣る。

 ……ナデシコ世界と同じくらいに発展していたSEED世界では、普通にレールガンがあったんだけどな。それこそ、リニアレールガン・タンクといった風な、戦車にすら搭載するくらいに。

 その辺を考えると、やっぱり世界によって技術の発展は色々だと、しみじみ思う。

 ただ、おかげで今回はそれ程気にする必要がないのだからラッキーだったけど。

 ミサイルならジャマーでどうとでもなるが、レールガンで四方八方から狙われたりしたらどうしようもないし。

 Eフィールド、G・テリトリー、ブレイズルミナスと3つのバリアがある以上、ミロンガ改が撃墜される事はまずないと思うが、ナデシコは……

 ミロンガ改を盾にしようとしても、大きさがな。

 幾らミロンガ改がエステバリスの3倍近い大きさだからといって、まさかナデシコへと向かう攻撃の全てを防げる筈もない。

 そう考えると、ナデシコがデルフィニウムに囲まれてミサイルを連射されると、ジャマーの範囲外になってしまうんだが。

 

「レールガンがないのなら、取りあえず問題ないということでいいですかな?」

 

 プロスペクターの言葉に、頷きを返す。

 同時に、テンカワの方も多少自信がない様子ながらも頷きを返していた。

 正直、エステバリスはミロンガ改のジャマーがある以上、予備兵力的な扱いになるんだから、そこまで緊張しなくても良さそうなものだが。

 まぁ、実戦を経験してきていないテンカワにとっては、やっぱり色々と思うところがあるんだろう。

 俺の目から見ても、戦場に慣れるという意味でテンカワには思う存分戦場の空気を吸って欲しいし。

 

「では、そろそろ第3防衛ラインに近づいてきてますので、アクセルさんとテンカワさんは出撃の準備をお願いします。特にアクセルさんのミロンガ改は荷物搬出口からしか出撃出来ないので……」

「だろうな。分かった」

 

 幾らデルフィニウムの攻撃方法がミサイルのみであっても、ナデシコの腹が開いている状態では万が一、億が一という事も有り得る。

 その辺を考えれば、出撃の用意をしておくに越した事はない。

 

「じゃ、行くか」

「あ、ああっ!」

 

 テンカワに呼び掛けると、緊張の為か若干震えながらも威勢のいい返事を口にする。

 大丈夫か? ……大丈夫だよな? うん、多分。

 そんな風に思いながら、俺とテンカワは格納庫へと向かうべくブリッジの外へと向かう。

 ブリッジクルーの面々もそれぞれ自分の仕事をするべく、動き始めているが……

 俺は、何故か後ろから付いてきているエリナへと声を掛ける。

 

「何でお前がこっちに来るんだ? 一応副操舵士なんだから、ブリッジにいた方がいいんじゃないか?」

「そう言ってもね。ハルカの方が腕は上なんだから、私が出る幕はないのよ」

 

 ハルカ? あれ? 前からエリナはハルカを呼び捨てにしてたか?

 一瞬疑問に思うも、同じ操舵士という事で親しくなるのはおかしくないか。

 

「それならそれで、ハルカの操舵技術を見て覚えるとかしなくてもいいのか?」

 

 ハルカの操舵技術が確かなものだというのは、チューリップと最初に戦った時、その目で見ている。

 ナデシコを敵の口の中に突っ込むといった真似は、並大抵の度胸や技術で出来るものではない。

 その操船技術を見るというのは、副操舵士であるエリナにとっては間違いなく利益になると思うんだが。

 

「何よ、私が出撃前に見送りに行くのはそんなにらしくない?」

「そ、そんな事ないですよ。俺はその、嬉しいですし」

「……あら、ありがとう」

 

 何故かテンカワがエリナに答えると、その言葉を聞いたエリナが少し驚いた様子でそう答える。

 艦長からテンカワ、テンカワからエリナ。……完全に一方通行の三角関係に発展してるな。

 

「アクセルも、テンカワ君みたいに嬉しそうにしていいのよ?」

 

 挑発するような流し目を向けてくるエリナだったが、それに対する俺の返事は肩を竦めるというものだけだ。

 

「お前が心配なのは、俺じゃなくてミロンガ改だろ? 連合軍の攻撃で機体が破壊されないようにってな」

「ま、まさか。私はアクセルも心配しているわよ?」

 

 そこでアクセル『の』じゃなくて、アクセル『も』と言ってる辺り、本音が透けて見えているよな。

 まぁ、それを承知の上でエリナとやり合ってるんだから、別にいいんだけど。

 そんな風に考えながら格納庫へと到着し、俺とテンカワはそれぞれ自分の機体へと向かい……

 

「ちょっと、アクセル! パイロットスーツ! パイロットスーツを忘れてるわよ! 地上での戦いじゃないんだから、パイロットスーツを忘れるなんて、死ぬつもり!?」

 

 真っ直ぐにミロンガへと向かう俺に対し、エリナが後ろから叫ぶ。

 ……ああ、そうか。俺の場合は宇宙でも普通に生き残る事が出来るから気にしてなかったけど、普通ならパイロットスーツが必要だよな。

 シャドウミラーとして活動している時も、俺はパイロットスーツを着ていない。

 その流れですっかり忘れていたけど……この世界の人間にしてみれば、俺はあくまでも人間。

 心配するのも当然か。

 ともあれ、ここで言い争っていてもしょうがないので、大人しくエリナからパイロットスーツを受け取るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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