転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1280話

『どう? アクセル。機体の方に何か不具合はない? 一応こっちから見た限りでは動きに妙なところはないみたいだけど』

 

 エリナの言葉に、機体のチェックを……特に肩の部分のミサイルのシステムをチェックしていく。

 映像モニタに映し出されているのは、特に問題なしという調査結果だった。

 

「問題ない。コックピットから見た限りだと、普通に撃てるようになっている」

『そう、じゃあサツキミドリ2号の外に出て』

 

 エリナからの通信に、改めて周囲を……より正確にはミロンガ改の周囲を見回す。

 ここはサツキミドリ2号にあるネルガルの作業ブロック。

 ここでミロンガ改に使用出来るミサイルを製造していたのだ。

 ナデシコからミロンガ改で移動してきた俺はここに到着し、そして早速ミサイルを肩の発射口への搭載を完了する。

 この区画の中にいるのは、ネルガルの作業員のみ。

 まぁ、このミサイルそのものはネルガルの技術で作られた代物だが、規格の方はミロンガ改に合わせたもので、ネルガルとしても色々と機密ではあるんだろう。

 

「了解。じゃあ皆一応注意してくれ」

 

 その言葉に、格納庫にいた整備員達がそれぞれ行動を起こすのを見て、機体を動かしていく。

 宇宙へと出撃するには、隔壁の向こうに移動し、そこから更に隔壁を開くという二重隔壁の向こうに行く必要がある。

 それを使って宇宙へと出ると、久しぶりに宇宙空間を移動する感触を味わう。

 ……味わうってのは変か?

 ただ、実際こうして宇宙に出るのは随分と久しぶりではある。

 ホワイトスターのシミュレータとか、マブラヴ世界での火星とかではそれなりに経験したけど、やっぱりこうして宇宙空間を移動するというのはちょっと違うものがある。

 バリア衛星は完全に宇宙って訳じゃなかったしな。

 まぁ、俺がこうまで宇宙に対して愛着を持つ理由の1つが、多分俺が混沌精霊で、例え生身で宇宙に出ても死ぬような事はないからだと思うんだが。

 

『アクセル、聞こえてる?』

 

 通信映像に映し出されたエリナの声で我に返り、頷きを返す。

 

「ああ、問題ない。それで標的は?」

『標的はこれから出すわ。ただ、今回のミサイルはきちんとそのミロンガ改のシステムに合っているかどうかを確認する為だから、もしミサイルが命中しても爆発とかはしないわよ? そもそもその辺はネルガルの権限で人を寄せ付けてないけど、それでもサツキミドリ2号の近くで爆発を起こすわけにはいかないし』

「だろうな。ま、その辺は何となく理解出来る」

 

 ここで何らかの残骸とかが爆発しようものなら、その破片がサツキミドリ2号に命中して損傷を与えるという可能性もあるしな。

 これがただのコロニーじゃなく、ニヴルヘイムみたいな存在ならバリアで多少の破片が当たっても問題はないんだろうけど。

 

『じゃあ、標的を出すわよ』

 

 その言葉と共に、俺が出て来た場所から少し離れたエアロックが開き、何かが姿を現す。……って、おい。あれってバッタの残骸じゃないか。

 

「いいのか?」

『いいのよ。バッタの残骸は数だけは多いから、きちんと調べるのに必要な分は十分以上に確保してるし。そうなれば、その標的みたいに壊れているのはもう必要ないの。それに、私達が戦うのは木星蜥蜴よ? 幾ら地球の兵器に効果があっても、木星蜥蜴の兵器に効果がなければ意味はないでしょ。……じゃ、お願い』

「了解」

 

 ま、エリナがいいって言うんなら問題ないだろう。

 ネルガルの懐の心配まで俺がする必要はないだろうし、実際ネルガルにしてみればバッタの残骸の1つや2つ、破壊しても痛くも何ともないのは事実だろうし。

 機体を動かし、取りあえずは動かない状態のまま肩のミサイルを発射する。

 緊張の一瞬だったが、ミサイルは呆気ない程にミロンガ改の肩から発射され、真っ直ぐにバッタの残骸へと向かって飛んでいき……やがて命中する。

 まぁ、爆発はしないけど。

 ぶつかってミサイルの先端が潰れたのを映像モニタで確認する。

 

「止まった状態からのミサイル発射は問題なし。次は移動しながらの発射に移る」

『了解。いい調子よ、頑張って』

 

 エリナからの応援の言葉を受けながら、ミロンガ改をエナジーウィングとテスラ・ドライブで移動させる。

 速度に関しては、かなりの遅さだ。

 ……まぁ、最初に全速力で移動しながらミサイルを撃とうとして、爆発とかの妙な事になったら困るしな。

 そのまま移動しつつ、ミサイルを発射。

 肩から射出されたミサイルは、真っ直ぐにバッタの残骸へと向かい……次の瞬間には命中する。

 よし、取りあえずこれはこれでOKだな。

 

「命中した。これからどうする?」

『もう何発か移動しながら撃ってみて。今のままなら大丈夫だと思うけど、連続してミサイルを撃ったら何らかの不具合を起こすかもしれないわ』

 

 そう言いつつも、エリナの表情には自信が溢れている。

 ネルガルの仕事を信頼しているのは間違いない。

 いや、自分の勤めている会社なんだし、その辺は当然か。

 

「了解した。もう暫く動き回りながらミサイルを撃つ」

 

 もっとも、爆発しない以上は後でミサイルを回収しないといけないだろうが。

 ああ、でもそう考えればそれ程悪いって事じゃないのか。

 ミサイルそのままで残ってるって事は、回収がしやすいという事にも繋がるのだから。

 ネルガルの作業員は楽が出来て羨ましい。……まぁ、その代わりに色々と俺には思いも寄らぬ苦労とかがあるんだろうけど。

 ともあれ、俺はエリナの指示に従って移動しながら次々にミサイルを放っていく。

 肩のミサイルが内蔵されている場所から発射されるミサイルは1発ずつではあるが、その全てが目標から外れずバッタの残骸へと命中する。

 そして5分程も経った頃にはミサイルの残弾が0となり、ミサイルの発射テストは終わるのだった。

 

 

 

 

 

「どうやらミサイルの方はこのままで問題ないようね」

 

 ミロンガ改から降りてパイロットスーツのヘルメットを抜いだ俺に向かい、エリナが確認するように尋ねてくる。

 それでいて口元に隠しようがない笑みが浮かんでいるのを見る限り、かなり上機嫌なのだろう。

 

「そうだな、ミサイルの発射に関しては問題ない。後は、弾頭の方でどれだけの威力を発揮するかだが……」

「その辺は問題ないでしょ。ミサイルはどこでも一緒なんだし。……それじゃあ量産の指示を出すけど、構わない?」

「そうしてくれ。これから火星に向かうんだし、少しでも武器は多い方がいいからな」

 

 ミロンガ改にとって唯一の実弾兵器だけに、残弾は多ければ多い程いい。

 バッタとかならビームマシンガンを使えば問題なく倒せるんだが、一撃の威力が必要な時はミサイルの方が期待出来るだろう。

 

「あら、お出迎えね」

 

 そう告げるエリナの視線を追うと、こっちにやって来るリョーコの姿がある。

 珍しい事にリョーコ1人だけで、ヒカルとイズミの姿はない。

 いや、珍しいも何も、まだ会ってから殆ど時間が経ってないんだが。

 それでも、あの3人はいいチームだというのは何となく理解出来た。

 色々と個性的な面子が揃っている関係上、表向きはそれ程仲がいいようには見えなかったけど。

 

「アクセル、あたしと模擬戦をやってくれ」

 

 ……リョーコが俺の前に来た瞬間に言ったのがその一言だった。

 

「何だってまた急にそんな事を言い出したんだ? 知ってると思うが、ミロンガ改ってのは機密性の高い機体だ。この近辺で模擬戦なんて真似をすれば、連合軍やらその他諸々のスパイがこっちの情報を集めようとするぞ。そんな真似をさせたいとは……ちょっと思わないな」

「そうね。ネルガルとしてもその提案には賛成出来ないわ」

 

 エリナの方も俺と同意見なのだろう。即座にリョーコの言葉に反対する。

 

「貴方が知ってるかどうかは分からないけど、今のミロンガ改はネルガルにとってはかなり重要な機体なの。機密と言ってもいいわ。だからこそ、ミサイルのテストでもこの一画をネルガルが貸し切ってるんだから。その辺は分かってるわよね?」

「……ああ、分かってる。けど、それを知った上であたしはアクセルに模擬戦をして貰いたい」

「何だってそこまで模擬戦に拘るの?」

「パイロットじゃねえ奴には分かんねえかもしれねーが、こいつの腕はそんじょそこらのものじゃねえ。それこそ、あたし達が目指す遙か高みの……いや、その高みすらあっさりと跳び越えて、その更に上。下手をすれば、上の上の上……といった位置に存在する技量を持っている」

「……何でそれが分かるの? 格納庫での事を考えると、アクセルが戦っている映像を見たからって訳じゃないのよね? 映像自体は元から入手出来てたんだし」

 

 疑問を抱きつつ尋ねるエリナ。

 まぁ、サセボシティでの戦いやチューリップとの戦いを見れば、こっちの技量がどれくらいなのかというのは理解出来る。だが、最初に格納庫で会った時には模擬戦を申し込まれることはなかった。

 だとすれば……

 そんな俺の疑問の答えを、リョーコはあっさりと口にする。

 

「さっきのミサイルのテストの時の機体の動きだ。何でもない動きのように見えたけど、見る奴が見れば分かる。いや、映像じゃなくてこの目で見たから分かったんだろうな。……とんでもない腕利きが、それこそあたしではとてもじゃないけど敵わないような腕を持ってるって」

「あのねぇ。映像って意味じゃ今回も同じだと思うんだけど。何だかんだで、さっきのアクセルの戦いも生で見た訳じゃなくて映像で見たんでしょ?」

 

 若干呆れたように見えるエリナの言葉だったが、そんな態度を取られてもリョーコは特に怒る様子もなく言葉を続ける。

 

「分かってくれとは言わねえよ。実際、これはパイロットじゃなきゃ分からねえ事だし、全てのパイロットでも分かるとは思っちゃいねえ。ともかく、こいつの操縦技術はそれだけとんでもない代物なのは事実だ」

「……そうなの?」

 

 リョーコの言葉があまりにも真剣だった為だろう。エリナが伺うように俺の方へと視線を向けて尋ねてくる。

 そんなリョーコを見ながら、俺は内心で感嘆した。

 確かに技量自体は俺とリョーコだと大きく離れているのだろう。だが、それでも尚俺との模擬戦を望むのは並大抵の度胸で出来る事ではない。

 シャドウミラー風に言うのであれば、大魔王に挑む新米戦士といったところか?

 

「そうだな。自分で言うのもなんだが、俺の操縦技術はその辺の奴等とは格が違うと言ってもいいと思う」

 

 ミロンガ改ではなくニーズヘッグでだが、単独で敵に突っ込んで行ってそのまま蹂躙するというのが俺の戦い方だ。

 そんな戦術とも呼べない戦術をやっている俺だから、当然技量は飛び抜けて高くなる。

 PPを使っての回避能力やら命中能力やらが上がっているのもそうだが、純粋にこれまで行ってきた無数とも呼べる戦いの経験が俺の血肉になっているのだ。

 正直、俺以上に戦いの経験を積んできたような存在は、ちょっとやそっとでは見つからないだろうという自負もある。

 

「ま、ともあれ今すぐに模擬戦をやるってのは無理だろ。ネルガルがこの宙域を借り切っているのだって、もう時間はそんなに残ってないんだろ?」

 

 視線でエリナに尋ねると、コミュニケを見て確認して頷きを返す。

 

「そうね、もう1時間もないくらい……かしら。今から模擬戦をやるというのは、さすがに難しいと思うわ」

「……ちっ、しゃーねーか。時間がねえんじゃな」

 

 リョーコの方も、渋々とではあるがエリナの言葉に納得の表情を浮かべる。

 もしこれが時間以外の何か別の理由だったらそう簡単に引き下がらなかったかもしれないが、時間そのものがないとなれば話は別だったのだろう。

 まぁ、リョーコもミロンガ改がどれだけの性能を持った機体なのかというのはミサイルの試射テストで実感したといったところか。

 ネルガルだからこそ、あの試射テストの情報を得ようとしている奴等に対する防諜も上手い具合にやったんだろうが……

 だが、残念そうな表情を浮かべたリョーコに対して、少し可哀相になったのも事実であり……

 

「そうだな。ネルガルの方で協力して、しっかり防諜体勢を整えた後でなら模擬戦をやってもいいかもな」

「ちょっ、アクセルッ!?」

「勿論艦長とか、その上から許可を貰えたらだが」

 

 俺の言葉に咎めようとしたエリナを抑える為に、そう言葉を付け足す。

 けど実際、リョーコ達三人がどのくらいの実力なのかは知っておいて損はない。

 機種が違うから別行動になるだろうが、それも知らないよりは知った方がいいのは事実だ。

 

「おっしゃぁっ! 分かった。艦長の許可を貰えればいいんだな!」

 

 そう叫ぶと去って行くリョーコ。

 

「ちょっと、0Gフレームの方の調整とかはしっかりとやってるんでしょうね!」

 

 そんなリョーコの後ろ姿にエリナが叫ぶが、リョーコは後ろを向いて軽く手を振るだけ。

 ……迂闊な事を言ってしまったか?

 恨めしそうに俺の方へと視線を向けるエリナを見て、そんな風に思うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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