転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0117話

 まずは小手調べという事だろう、インスペクターの無人小型汎用攻撃機であるガロイカがクロガネとヒリュウ改の部隊に襲い掛かる。

 当然、ここまで戦い抜いてきた相手に無人機が抗える筈もなくその数を減らしていく。

 だが、雑魚は雑魚でもその攻撃は当たれば多少のダメージは受ける。つまりはどんなに面倒くさくても、攻撃するからには迎撃をしなければいけないのだ。

 そんな戦況の様子を見ながら口を開く。

 

「さて……まずは開幕の花火を上げようか」

 

 クロノスから伸びているビームガトリング砲、リニアレールガン、ランツェ・カノーネの4門の砲身をそれぞれ展開させる。そしてファントム28機をグロウセイヴァーの周囲へと漂わせる。いつもならここでフルバーストを放つのだが、今日は違う。より近い位置から攻撃させて貰う。

 

「システムXN、起動……転移座標確定。転移フィールド、生成開始……」

 

 新たにグロウセイヴァーへと設置されたシステムXNを起動し、転移フィールドを生成する。転移先は、敵PT・AM部隊の側面。

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト。時流エンジン、フルドライブ……集中、直撃……転移!」

「む!? アクセルが何かやる気だ、全員気をつけろ!」

 

 キョウスケの警告の叫びを聞きながら、グロウセイヴァーは目標地点へと転移する事に成功する。目の前には敵部隊の横っ腹。そして敵は転移したこちらを見失って……いない!?

 敵機の中でも、虎龍王、ヒュッケバインMk-Ⅲ、R-3パワードの3機が転移したグロウセイヴァーの方へと機体を向けている。

 ちぃっ、念動力の共振で俺の転移先を本能的に察知したのか!? だが、まだ敵の殆どはこちらに気が付いていない!

 

「皆、気をつけろ! アクセルは横」

「フルバーストっっっ!!!!」

 

 ブリットの台詞を最後まで言わせる事なく、全弾を発射する。放たれた射撃の嵐はその威力を見せつけるかの如く、敵にダメージを与えていく。

 

「くそっ、装甲の厚い機体は防御に回れ!」

 

 叫ぶイルムだが、グルンガストの装甲には既に4本のファントムがレーザーブレードを展開したまま突き刺さっている。

 

「やるな」

 

 フルバーストの射撃が終了した後、思わず感心の言葉を呟く。

 ざっと見る限りでは、今のフルバーストでダメージを受けた機体は数多いが、行動不能になった機体は見当たらない。パイロットそれぞれの腕もあるのだろうが、ジガンスクード・ドゥロやグルンガストのような装甲の厚い機体が味方の盾となったのも大きいだろう。

 

「全機、攻撃開始しろ!」

 

 だが、それを見たからといってこちらが手を抜く事になりはしない。俺の命令に従い、出撃していた量産型W操る各種兵器がクロガネとヒリュウ改の部隊へと襲い掛かった。

 

「全機、体勢を立て直す。アクセルは念動力の共振により行動を読む事の出来るアヤ大尉、ブリット、リョウトで対応してくれ。こちらの態勢が整ったらすぐに援軍を出すので、あくまでも時間稼ぎに徹してくれればいい。他は各機損傷チェック。損傷の少ない機体はシャドウミラー隊の迎撃に回れ。損傷が多い機体は後方からの援護だ」

 

 キョウスケの命令を聞き、R-3パワード、虎龍王、ヒュッケバインMk-Ⅲボクサーがこちらへと向かってくる。

 

「念動力の共振……まさかこっちの転移先まで読まれるとはな」

 

 その3機を見ながらそう呟くが、それ程の焦りはない。そもそも量産型のシステムXNは転移フィールドの生成にそれなりに時間が掛かる。今回のように何も知らない相手への奇襲攻撃という手段ならともかく、混戦になってしまうと使い所が非常に難しいのだ。

 

「食らえ、タイガーナッコォ!」

「そこだ、ファング・スラッシャー!」

「T-LINKコネクト……ストライク・シールド、発射!」

 

 虎龍王からは虎のオーラを纏った左腕が。ヒュッケバインMk-Ⅲボクサーからは十字型のファング・スラッシャーが。そしてR-3パワードからはT-LINKシステムによる遠隔操作が可能なストライク・シールドが3枚。

 ……ストライク・シールドが3枚? それが気になり視線を向けると、どうやら先のフルバーストを食らった時にストライク・シールドを盾にしてやり過ごしたようだが、その時のダメージで半分程破壊されてしまったらしい。

 

「アダマン・ハルパー、起動!」

 

 アダマン・ハルパーを大鎌の状態で起動させ、柄の部分で飛ばされてきた虎の拳を殴りつけてあらぬ方向へと弾き飛ばす。そのまま返す刃でファング・スラッシャーを斬り捨て、念の結界により挙動を完全に把握していたストライク・シールドは最小限の動きで回避する。

 ストライク・シールドが普段通りに6枚あったなら全てを回避する事は無理だったかもしれないが、3枚程度ならなんとかなる。

 

「相変わらずふざけた能力だな。だがいつまでも回避し続けられる訳でもない筈だ。各機、攻撃の手を緩めるな! 奴とて無敵と言う訳じゃない! はあああぁぁぁぁぁっ、計都羅喉剣!」

 

 フルバーストから味方機を庇った為、装甲に多少のダメージを受けながらもその動作には全く支障がないのは、イルムの技量だろうか。はたまたグルンガストの機体性能の優秀さ故だろうか。いや、恐らくそのどちらもが組み合わさった結果だろう。

 振り下ろされた黄色い刀身をアダマン・ハルパーの刃で受け止め……っ!?

 念の結界に鋭い殺気を感じ、殆ど本能的にグロウセイヴァーをグルンガストの下方面へと移動させる。振り下ろされた計都羅喉剣がグロウセイヴァーの装甲を削っていくが、今はそんな事よりもとにかくこの場を離れる!

 

「くそっ、どんな危機察知能力してやがるんだ」

 

 イルムが悔しげに言い捨てるのと、つい先程までグロウセイヴァーがいた場所を右斜め後ろからG・レールガンの弾丸が。そして左斜め後ろからはエネルギーの矢が貫いていく。

 

「ちぃっ、オウカとラミアかっ!?」

 

 攻撃をグルンガストの下方面へと移動する事で回避し、これ以上の追撃を受けないようそのままグルンガストの背後を取り、2機に対する盾とする。

 

「グレイプニルの糸、起動!」

 

 T-LINKシステムを通して、グレイプニルの糸を起動。そのままグルンガストを雁字搦めに固めて身動き出来ないようにしながらアンジュルグの方へと吹き飛ばす!

 

「ガイスト・ナックル!」

 

 だが、グルンガストを吹き飛ばしたので安堵したのも束の間、その隙を突くようにしてリョウトのヒュッケバインMk-Ⅲボクサーがその巨大な拳を振り上げてこちらを狙っている!

 

「念動フィールド、全開!」

 

 咄嗟にT-LINKシステムに念動力を通して念動フィールドを最大出力で展開するが、振り上げられて念動力を纏ったボクサーの拳を防ぐ事は数秒が限界だった。

 

「があああああっっっ!」

 

 念動フィールドを破られ、そのままの勢いで吹き飛ばされる。クロノスのブースターを噴射して体勢を立て直そうとするが、なかなか勢いを殺す事も出来ない。

 そして当然そんな隙を敵が見逃す筈もなく……

 

「伸びろ、ソニック・ジャベリン!」

 

 ブリットのその声を聞いた時、これまでにない危険信号が頭の中で鳴らされる。

 このまま攻撃を受けるのは危険だが、錐揉み状態で吹き飛んでいるこの状態では、精神コマンドの加速を使ってもどこに移動するか分からない。となると今必要なのは回避する事ではなく、防御する事。すなわち敵の攻撃を防ぐ盾。だがグロウセイヴァーには盾が装備されていない。しかしその代わりになる物はある。……出来るか? いや、やるしかない。

 

「アダマン・ハルパー、モード・イージス!」

 

 そう叫んだ瞬間、アダマン・ハルパーが大鎌の状態から巨大な盾へとその姿を変える。同時に、激しい衝撃がグロウセイヴァーを揺らす。虎龍王がソニック・ジャベリンで盾を突破しようと打ち付けているのだろう。

 だが安堵する暇はない。現在進行中で敵に狙われているのだから。

 その予測は正しく、盾を迂回するようにして8機のフェアリーがこちらへと姿を見せる。

 

「アクセルさん……食らえっ!」

 

 ラウルのその叫び声と共に、フェアリーがその牙を剥き出しにする。だが!!

 

「ファントムっ!」

 

 T-LINKシステムを通して、俺の意志に従ったファントムがレーザーブレードを展開してフェアリーへと向かい突撃する。

 

「馬鹿なっ!」

 

 その反応速度はラウルの予想を超えていたのだろう。ファントムのレーザーブレードがフェアリーを駆逐していく。

 

「どんなシステムで誘導を操作しているのかは知らないが、この種の兵器でファントムに勝てると思うなっ! モード・イージス解除。グレイプニルの糸、起動!」

「何っ!」

 

 今まで必死になってソニック・ジャベリンを打ち込んでもびくともしなかったアダマン・ハルパーがその姿を解除し、唐突にグロウセイヴァーの姿を見せた事にブリットは驚愕の表情を浮かべる。それを確認するまでもなく、グレイプニルの糸を起動。グルンガストと同じく絡め取る。

 

「これで2機!」

 

 俺の念動力で作られたグレイプニルの糸からはそうそう簡単に脱出する事はできない。少なくても、この戦闘中にグルンガストと虎龍王が復活する事はないと思ってもいいだろう。

 

「ブリット君!」

「くそっ、解けない!」

 

 龍王機に乗っているのだろうクスハの声が響くが、返ってくるのはブリットの焦りに満ちた声のみだ。

 

「はあああああああああああぁぁぁぁぁぁっっっっ!」

「アクセル大尉、覚悟して下さい!」

 

 その声と同時に、ミラージュ・ソードを展開したアンジュルグとブレード・トンファーを構えたアルブレードがこちらへと突撃してくる。

 その背後には2機を援護しようとしているのだろう。R-3パワードとエクサランス・コスモドライバーがそれぞれストライク・シールドと2丁拳銃、ハイコートマグナムを構えているのが見える。

 

「だが、甘い!」

 

 その2機以外、つまり先程俺を吹き飛ばしたヒュッケバインMk-Ⅲボクサーの姿が見えない事に気が付き、念の結界でその位置を探る。やはりな、グロウセイヴァーの下方に反応がある。現状の俺を囲んでいる機体の中でも最大の攻撃力を誇るヒュッケバインMk-Ⅲボクサーだ。その攻撃を確実に当てる為に他の4機が囮として行動し、その隙を突くつもりなのだろう。

 こちらとしても、そうそう同じ手を食らう訳にもいかない。

 振り下ろされたブレード・トンファーを大鎌状態に戻したアダマン・ハルパーで弾き、突き出されたミラージュ・ソードを回避する。その2機の攻撃を踊るように回避しながら、ランツェ・カノーネを2門展開。こちらへと撃ち出されたストライク・シールドへとビーム弾を連続して撃ち込み破壊する。そしてその隙を突いて撃ち込まれようとしているハイコートマグナムはアンジュルグの巨体を盾として使う事でトリガーすら引かせない。

 そんな状態がどのくらい続いただろうか。10秒? いや、30秒は確実に経っているだろう。だが一向に自分達の攻撃が当たらず、最大の攻撃力を持つヒュッケバインMk-Ⅲボクサーはこちらの隙を突く為に身動きが出来ない。ある種停滞とも言えるその状態に一番最初に焦れたのは、当然と言うべきか戦闘経験が一番少ないラウルだった。

 だがそれも当然だろう。エクサランス・コスモドライバー最大の武器であるフェアリーはファントムに全機撃墜され、俺に隙を作る為にハイコートマグナムで援護しようにもアンジュルグが盾として使われている為に迂闊に撃つ事が出来ない。この極限状態の緊張に、戦闘経験の少ないラウルが耐えるというのは元々無理があったのだ。

 

「攻撃は最大の防御だ!」

 

 エクサランス・コスモドライバーの両肘に内蔵されていた高周波ソードを展開し、グロウセイヴァーへと斬りかかってくる。

 

「馬鹿、来るな!」

「その隙を待ってた、加速!」

 

 アンジュルグがほんの一瞬だったが、グロウセイヴァーより上へと移動して高周波ソードを振り下ろしてくるエクサランス・コスモドライバーへと顔を向ける。その一瞬の隙を突き、精神コマンドの加速を使用してアンジュルグの下方へと回り込み、その足を掴む。

 

「しまっ」

 

 ほんの一瞬とは言え、グロウセイヴァーから目を離した事を悔やむ声を上げたラミアを無視し、アンジュルグの足を掴んだまま時流エンジンとプラズマジェネレーターの出力を存分に使い、グロウセイヴァーの2倍はあろうかというアンジュルグを振り回し、そのままこちらへと高周波ソードを振り下ろしてきたエクサランス・コスモドライバーへと投げつける。

 

「うわぁっ!」

 

 驚きの悲鳴を上げながらも、何とか高周波ソードの一撃をアンジュルグに命中させないで外す事に成功するラウル。だが、その結果としてアンジュルグとエクサランス・コスモドライバーは正面からまともに衝突した。

 

「ここだ、グレイプニルの糸、起動!」

 

 正面から衝突し、その結果に周囲の機体も呆然としたその一瞬。その隙を突きそのまま2機へと近づき、グレイプニルの糸を起動。2機纏めて絡め取る。

 

「そこで戦いが終わるまでしばらく大人しくしていて貰うぞ」




名前:アクセル・アルマー
LV:31
PP:115
格闘:230
射撃:248
技量:240
防御:237
回避:265
命中:287
SP:390
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:168

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