転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1307話

 ブリッジの中にいるのは、既に見慣れた面子だった。

 ネルガルからはプロスペクター、エリナ、ゴート。

 艦長を含めたナデシコのブリッジクルーの面々。

 エステバリスのパイロット5人。

 整備班を代表して、ウリバタケ。

 避難民代表としてイネス。

 フクベ提督はブリッジクルーに入れておけばいいのか?

 ……ちなみにフクベ提督の頬にガーゼが貼られているのは、テンカワが殴ったらしい。

 俺が部屋にいる間に、随分と急な展開を迎えていたんだなというのが正直な気持ちだ。

 何でも火星にチューリップを落としたのがフクベ提督だというのをイネスに教えられ、暴走したんだとか。

 それでもテンカワが縛られたりもせずここにいるのは、フクベ提督が許可したかららしい。

 多分……いや、恐らくテンカワが火星出身だと分かった時から、いつかこうなる事は分かっていたんだろうな。

 ともあれお飾りのフクベ提督ではあるが、提督である以上指揮権はきちんとある。

 その指揮権を使ってテンカワの処罰をなしにしたらしい。

 理由としては、今はそれどころじゃないとか何とか。

 ……まぁ、木星蜥蜴に追われてネルガルの研究所まで逃げる羽目になっているし、何より俺というイレギュラー中のイレギュラーが存在しているんだから、確かにパイロットを謹慎にしてられる訳もない。

 ともあれ、そんな感じで現在ブリッジにはいつものメンバーと表現してもいい者達が揃っていた。

 

「さて、これからの事だが……」

 

 そんな風に最初に声を発したのは、当然俺。

 プロスペクターが何か言いたそうにしていたのを見る限り、多分何らかの打開策があったのだろう。

 だが、俺の方にも打開策は存在していた。

 恐らくこれが最善だと思われる方法が。

 

「避難民としては、ナデシコに乗って地球に行きたくない。これで合っているか?」

「ええ、私達の総合的な意見としてはそれで間違っていないわ」

 

 ……何だ? 妙に奥歯に物が挟まったような言い方だな。

 まぁ、いい。今はそっちに構っていられないし。

 

「ナデシコとしては、避難民を見殺しには出来ない。これも間違ってはいないな?」

「はい、勿論です。そもそもスキャパレリプロジェクトは火星に生き残っている人がいるかどうかを調べ、もしいるのであれば助けるというのを目的にしています」

「……お題目はいい。どうせ向こうには嫌われてるんだから、正直なところを言ってもいいんじゃないか?」

 

 視線で促すと、プロスペクターは少し困ったように頬を掻いてから口を開く。

 

「お題目という言い方はあまり嬉しくはないのですが、確かにこの研究所にあったデータや資料といったものを回収するのが目的でもありますね」

「それでもスキャパレリプロジェクトの目的が火星に生き残った人達の救助である以上、それを大前提にする必要もあるのは事実だな? 例えば、いやがる生き残りの面々を強制的にナデシコに乗せて地球に連れて行くとか」

「ええ。それに、そんな真似をすればナデシコの運用に致命的な騒動が起きる可能性もありますから」

「だろうな」

 

 木星蜥蜴が占領している火星の中で生き残っていた者達だ。色々な意味で突き抜けている奴がいないとも限らないし、実際見た感じだとそんな奴も多そうに見える。

 そもそも代表のイネスからして、どこか超然とした雰囲気を持っているしな。

 そんな連中を強引に連れて地球へと向かった場合、下手をすれば帰る途中にナデシコが内部から爆発! ……という可能性にもなりかねない。

 で、当然そうなればナデシコの乗員は全滅だろう。

 いや、俺は生き残るし、最低でもハルカとエリナ、そしてルリは助けるつもりだから全滅にはならないか? でも、被害が出るのは確実なんだよな。

 そんな真似をしないようにするには、どうすればいいのか。

 それこそが、このブリッジに来る途中でエリナと話した内容だ。

 

「避難民は、ナデシコに乗りたくない。そしてネルガルとしては避難民がいると知った以上は会社のイメージ的な問題もあって見殺しには出来ない。そして避難民が望んだ、シャドウミラーに対しての亡命も俺としては認める事が出来ない。それらを考えて出した俺の結論は、このネルガルの研究所を拠点として火星をシャドウミラーで押さえるという事になる」

 

 その言葉に避難民を代表してここにいるイネスは特に表情を動かした様子はない。

 それこそどっちでもいいと言いたげな、そんな様子だ。

 逆に、テンカワの方が嬉しさを素直に表情に出している。

 テンカワにとっては避難民は自分の同胞だしな。嬉しくなるのも無理はない、か。

 だが、その嬉しさを遮るようにしてプロスペクターが口を開く。

 

「ちょっと待って下さい。ここはネルガルの研究所なのですよ? それを勝手に拠点にされては困るのですが」

「プロスペクターの言いたい事も分かるが、現状ではこの研究所をネルガルは使っていないだろう? それどころか、火星そのものが木星蜥蜴によって占拠されている以上、あってもなくても同じ……いや、寧ろ俺達が拠点として使った方が、ネルガルのイメージアップに繋がるんじゃないのか?」

「それは……」

 

 スキャパレリプロジェクトで判明した避難民をネルガルの研究所にあるシェルターに迎え入れたというニュースを地球で流せば、確実にネルガルの企業イメージは上がるだろう。

 それこそ、前ネルガル会長が色々とあくどい人物だっただけに、企業のイメージアップはしておいて困る事はない筈だ。

 

「それに火星を俺達シャドウミラーが押さえるという事は、地球やネルガルにも色々と利益がある」

 

 そう告げ、ここに来るまでの通路でエリナに話した内容をそのまま繰り返す。

 

「……なるほど、それは確かに考える価値がありますな。特に純軍事的な意味で考えれば、木星蜥蜴をここで止めて下さるというのはありがたいですし、地球に存在しているチューリップを始めとする木星蜥蜴の兵器を破壊してくれるというのもありがたいです。ですが、どうしても地球とシャドウミラーの間には対立が生まれるのではないでしょうか。最初のうちは木星蜥蜴を防ぐという意味で認める……とまではいかないかもしれませんが、黙認くらいは取り付けられるでしょう。しかし、いずれ時間が経てば……」

 

 その先は言うまでもない事だった。

 欲に目が眩んだ軍人、政治家といった連中がシャドウミラーの技術を欲して火星に攻め込むという可能性は十分に有り得る。

 しかし……

 

「木星蜥蜴に苦戦している程度のこの世界の軍隊が、俺達シャドウミラーを相手にどうにか出来ると本気で思っているのか?」

「それは……」

 

 まぁ、ナデシコという艦をネルガルが作り出す事が出来た以上、この世界の地球連合軍も相応の力を持つ事にはなるだろう。

 実際、ナデシコの放つグラビティブラストの威力は決して弱いとは言えない。

 火星付近の戦いでは木星蜥蜴に対して効果が薄かったが、それは向こうがディストーションフィールドを装備していたからだ。

 地球でチューリップを内側から破壊した時の一撃は俺の印象にも強く残っているし。

 そんな地球連合だけに、将来的にはシャドウミラーの中でも最も数の多いメギロートやイルメヤを相手にした場合は十分に対抗出来るだろう。

 もっとも、それはあくまでもその無人機2種類だけであって、それ以外のシャドウとかになればバリアの類が普通に装備されているし、パイロットの量産型Wも普通の軍でならエースパイロットと言ってもいい程の実力を持っている。

 その辺を考えると、結局はジリ貧以外の何ものでもないんだけどな。

 

「ま、そういう訳だ。ただ、安心して欲しいのは、基本的にこっちから連合軍に対して敵対行為をするつもりはないって事だ。寧ろ、俺達としてはこの世界と貿易関係を結びたいとすら思ってるんだけどな」

「……貿易、ですか。その場合、ネルガルの立場は?」

 

 何かを確認するように尋ねてくるプロスペクター。

 ネルガルの社員として、この辺は絶対に聞いておく必要があるといったところか。

 

「勿論ネルガルは優遇させて貰うつもりだ。そもそも俺がネルガルと関わることになったのも何かの縁だし、この研究所を使わせて貰うという件もある。寧ろ、連合軍や連合政府よりもネルガルの方を重視する事になる筈だ。貿易という意味でも、会社としてのネルガルは魅力的だし」

 

 この研究所にあったチューリップもどきの件があっても、ナデシコやエステバリスを独自開発したという技術力は非常に興味深い。

 他にもオモイカネやコミュニケといった代物もあるしな。

 俺の口から出た言葉に、微かにではあるが安堵の表情を浮かべるプロスペクター。

 その近くにいるゴートの方はいつも通りの厳めしい顔つきで、何を考えているのか分からないが……まぁ、敵対しなければ良しとしておこう。

 

「私達の亡命は受け入れない、という話じゃなかったの?」

 

 イネスの言葉に頷きを返す。

 

「ああ、亡命は認めない。ただ、シャドウミラーのナデシコ世界に置ける出先機関をここにするから、そこに住むというのは構わない。勿論どうしてもネルガルの施設が嫌だって言うなら、他の場所に住んでもいい。俺達が実際に戦場に乗り出す以上、火星から木星蜥蜴が駆除されるのはそう遠くない話だろうし」

「……なるほど。亡命は受け入れないけど、シャドウミラーの保護下にある場所で生活する分には構わないって事ね?」

「物分かりがいいようで何よりだ。ただ、シャドウミラーの勢力圏で生活する以上、多少の不自由はあると思う」

「例えば?」

「そうだな。今回の件は初めての試みだから、正確なところは後で政治担当の人員が検討するだろうが、まず絶対に守って貰う事はゲート……俺達の世界とこの世界を繋ぐ為のシステムがあるんだが、それに近寄らないようにしてもらう。木星蜥蜴がいるし、地球が敵対する可能性もあるという事で、かなり厳重に警備をする予定だから、もし迂闊に近寄ったりすれば警備をしている奴に問答無用で撃ち殺されるって事を覚えておいて欲しい」

 

 問答無用で殺されると表現したところで、ピクリと反応したのが何人かいた。

 特に激しい反応を示したのはテンカワか。

 まぁ、火星が故郷のテンカワにしてみれば、その辺は仕方がないんだろう。

 ……その割りにイネスの方は、問答無用で撃ち殺されると口にしても、特に何か反応した様子はないんだが。

 

「まぁ、ゲートに近寄ったりしなければ問題ないんだから、基本的にはそれ程気にする必要もないと思う」

「そうですかな? 生き残りの人達の中には子供もいます。そのような子供達は大人の言う事を無視してそのゲートシステムとやらに近づくのでは?」

「その辺は大人の躾次第だろう。自分達の躾がしっかりしていないでもたらされた結果をこっちのせいにされるってのはちょっと困るぞ。殺されたくなかったら、しっかりと言い聞かせておくことだな」

 

 一応牽制としてそう言っておく。

 実際、子供を使ってゲートを調べようとするような奴がいないとも限らないし、事実シャドウミラー関係者以外がゲートに近寄って来た場合は問答無用で射殺するように命じる事になるだろう。

 

「後、俺達シャドウミラーの主戦力……というか、一番数の多い兵器はメギロートという無人機だ。まぁ、分かりやすく言えば木星蜥蜴のバッタが巨大化したような機体だな。火星で生き残った以上、どうしたって無人機については思うところがあるかもしれないが、その辺は慣れてくれとしか言えない」

「無人機、ね。……何人かは拒否反応を覚える人もいるでしょうね」

 

 イネスの言葉にブリッジにいる面々もそれぞれ頷く。

 当然だろう。この世界では無人機=木星蜥蜴=敵という認識がある。

 実際今まではその通りだったのだから、それはそれでおかしくはない。

 ただ、メギロートの場合は大きさがバッタとかよりも巨大だから、違う機体として認識されるか?

 いっそ、SEED世界で売られていた『めぎろーと君』をこっちの世界でも売り出してしまうのがいいかもしれないな。

 

「それと、メギロートというのが無人機で一番数が多いのに対して、量産型W……人造人間というか、人型の機械のような存在もいる。こっちは有人機としての主力だな。そういうのが苦手な奴は、俺達シャドウミラーとは関わりのない場所で暮らした方がいいと思う」

 

 もっともその場合は何かトラブルが起きても関与することはしないだろうが。

 その後も食料やエネルギー、住居に関しての話を進めていき、プロスペクターやエリナも最終的にはこの研究所を俺達が使う事を黙認する事になる。

 ……まぁ、幾ら反対しても止めようがないというのが正確なんだろうが。

 それでも黙認で押さえている辺り、地球に戻った時の世間に対するポーズのようなものなのだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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