転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1309話

 木星蜥蜴を含めたナデシコ世界の簡単な説明と共に、その木星蜥蜴に占拠されている火星をシャドウミラーが奪還して、出先機関とする。

 その説明を終えると、レモン、コーネリア、エザリアの3人はそれぞれが異なる表情を浮かべていた。

 技術班を纏めているレモンは、少し迷っているような表情を浮かべている。

 技術班の方で何か大きな動きがあるって話を神楽坂が言っていたのを考えると、多分そっち関係だろう。

 エザリアの方ははっきりと苦い表情。

 これは、元々政治班の人数が少ないというのもある。

 他の世界との交渉とかを考えると、火星をシャドウミラーが占拠した場合にこちらの世界の地球連合や、俺が優遇すると言ったネルガルとの交渉といった問題がある。

 また、木星蜥蜴も今のところは無人機しか送ってきていないが、本当に無人機で構成されているのかどうかも不明だ。

 何しろ、俺達シャドウミラーだって最大の数を誇るのはメギロートやイルメヤといった無人機なのだから。

 木星蜥蜴の後ろに何らかの生物がいたとしても、驚くべき事ではない。

 そしてシャドウミラーが火星を占拠した場合、もしかしたら木星蜥蜴と交渉する可能性すら出てくるかもしれない。

 政治班の人数を考えれば、出来れば避けたいというのがエザリアの考えだろう。

 実働班の隊長でもあるコーネリアは、獰猛な笑みを浮かべている。

 実際に戦闘をする実働班としては、新たな敵との戦いに否はないといったところか。

 まぁ、シャドウミラーというのが軍事国家であり、戦力に関しては全く問題ない。

 実際これまで木星蜥蜴と戦ってきた経験から考えても、シャドウミラーが負けるという思いは一切ない。

 ……まぁ、ディストーションフィールドがあるから攻撃を通すのは若干難しいかもしれないが、その辺はこっちの機体性能を考えればどうとでもなるだろう。

 

「で、どんな具合だ? 俺としてはその線で考えているんだが」

『そう、ね。技術班としては出来ればもう少し時間が欲しかったところだけど、可能か不可能かで言えば可能よ』

『政治班は無理をすれば何とかなるでしょうけど……出来れば考え直して欲しいというのが正直な思いね』

『実働班は問題ない。今日、これから戦闘を開始するにしても、すぐに行動に移せる』

 

 3人それぞれの言葉を聞く限り、大体俺の予想通りか。

 そうして最終的にどうするのかは俺へと判断が委ねられる。

 政治班には悪いが……

 

「じゃあ、火星の占拠を実行する。コーネリア、敵は木星蜥蜴と呼ばれている無人機で、注意が必要なのはディストーションフィールドと呼ばれるバリアと、グラビティブラストと呼ばれる重力波砲だ。特にディストーションフィールドを装備している敵は中途半端な威力のビームや重力波砲は効果がない。有効なのはビーム系の兵器じゃなくて実弾攻撃だから、ビーム兵器や重力波砲が主力のシャドウミラーにはちょっと厳しいかもしれないが、その程度で苦戦するような鍛え方はしていないな?」

 

 半ば挑発するような俺の問い掛けに、コーネリアはブリタニアの魔女と呼ばれた事もある獰猛な笑みを浮かべて口を開く。

 

『当然だ。私達はシャドウミラー。あらゆる敵を打ち砕いてきた者であり、同時にこれからも私達の前に立ち塞がる敵は全て打ち砕いていく存在だぞ』

 

 自信に満ちた笑み。

 だがその自信に満ちた笑みは見せかけだけのものではなく、それだけの経験と実績があるからこそだというのを俺は知っている。

 そもそも、シャドウミラーというのは量産型Wからしてエースパイロット並の……それこそエース中のエースと呼べるだけの技術を有している。

 そんなのが数千機単位の集団で、しかもシャドウミラーの技術班がコスト度外視で開発した量産機のシャドウで襲い掛かってくるのだ。

 更に、幹部陣はそんな量産型Wと比べても更に技量が上の者達の集まりだ。

 ……その上、そんな面子が集まってコーネリアによる厳しい訓練を毎日のように続けているのだから、精鋭なんて言葉では言い表せないくらいの技量を持つパイロット集団になっている。

 グラビティブラスト? 当たらなければいいだけだろ。ディストーションフィールド? その程度のバリアはビームとかは防げてもエナジーウィングやクロスマッシャーを始めとした攻撃は防げないだろ。

 そんな感じで、敵を蹂躙する光景が目に浮かぶ。

 

「そうか、出撃自体は一週間以内……もしくは数日中になると思う。そのつもりで準備を進めておいてくれ」

『任せろ』

 

 短く返事をして頷くコーネリア。

 コーネリアに任せておけば何も心配いらないだろう。

 いや、下手にこっちが指示を出すよりもスムーズに準備を整えてくれる筈だ。

 

「レモン、技術班の方は?」

『出来ればもう少し時間が欲しかったんだけど、そうも言ってられないみたいね。今研究しているのは間に合わないのが残念だけど、次の戦いには間に合わせてみせるわ』

「研究している物?」

『あら、自分で開発を命じておいて忘れたのかしら? PTサイズの機体に対する追加武装の件よ』

「……開発が難航しているって話だったと思うが?」

『ええ、難航していたわね。ただ、アイディアが纏まればそれを形にするのはそれ程難しくはないわ。けど、まだそのアイディアを煮詰めているところなのよ。どうせなら中途半端な物よりも、シャドウミラーらしい最高性能の物がいいでしょ?』

「それは確かに」

『それに完成しても実働班の方に使い方とか注意事項とか説明する必要があるでしょ。一応訓練とかも必要でしょうし』

「……訓練?」

 

 何を言ってるのか、正直意味が分からない。

 俺が技術班に注文していたのは、追加武装と増加装甲が組み合わさったシステムだ。

 イメージ的には、Zガンダムに出てくるガンダムMk-ⅡとGディフェンサーが合体したスーパーガンダム。

 だとすれば、別にそこまで細かい操作とか注意事項とかは必要ないと思うんだが。

 いや、技術班の事だ。俺の想像も付かないような物を作っている可能性はある。

 それこそ、ニヴルヘイムのように。

 

『ええ。まぁ、その件はここじゃなんだし、後でじっくりと説明させて貰うわ。今は時間もそんなにないんでしょ?』

「そうだな、今日そっちに戻れるかどうかは分からないが、出来るだけ早い内にそっちに一旦戻る。ああ、それと量産型Wとメギロートをゲートの警備の為に寄越してくれ。火星は木星蜥蜴に占領されている以上、襲撃される恐れがあるから、念の為に多目にな」

『ええ。でもどうせなら、幹部から何人か出しましょうか? アウルやスティング、レイ辺りとか』

「いや、そこまではいらないな。幹部には戦いの方で活躍して欲しい」

『そう? じゃあ、すぐにそっちに送るように準備をするわね』

 

 レモンとの話が終わり、最後にエザリアの映し出されている映像スクリーンへと視線を向ける。

 

「エザリアには悪いが、一旦こっちに来て貰えるか? 幸いこっちには俺が乗っているナデシコを作ったネルガルって会社の社員がいる。それもある程度権限を持った……な」

 

 視線の先にいるのは、エリナとプロスペクター。

 一応ゴートもネルガル側の人間ではあるが、こう言ってはなんだが所詮警備の人間に過ぎない。

 プロスペクターやエリナに比べれば、一段……いや、二段は落ちるだろう。

 

『一応こっちにも相応の仕事があるんだけど……まぁ、いいわ。新しい世界との間で貿易が出来るようになれば私達にとっても利益になるし、他の世界にも利益になるでしょうから。すぐに……は無理ね。簡単な引き継ぎをしてからだから、30分くらい後でそっちに行くわ』

「頼む。手間を掛けて悪いな」

『あら、珍しいわね。アクセルが私の事を気遣うなんて。でも、いいのよ。私もこの仕事に充実感を持ってるんだから』

 

 とてもイザークのような子供がいるとは思えない、若々しい笑みを浮かべるエザリア。

 コーディネイターって不思議だよな。

 まぁ、今はホワイトスターに時の指輪を融合させて、その受信機を持ってるんだから年齢に関しては殆ど心配する必要は無くなっているんだろうが。

 それに多少ストレスがあっても魔法球で1時間休めばあっという間にストレスを解消出来るというのもいい影響を与えているのだろう。

 

「じゃあ、それぞれ準備を頼む。これから暫くはこのナデシコ世界の火星が俺達がメインで活動する事になるだろう。……マブラヴ世界も結構心配はあるんだけどな」

『そっちは心配いらない。マブラヴ世界の戦力がかなり整ってきているのは、アクセルも知ってるだろう? それに精霊の卵も十分過ぎる程の戦果を出している。向こうの世界でも評判は高い』

 

 コーネリアがここまで言っている以上、誤魔化しとかではないのだろう。どうやらエルフ達も随分と上手い具合にやっているらしい。

 まぁ、ウィンダムとザクという高性能MSを使ってるんだし、そのくらいはやってくれないとな。

 それにコーネリアの言葉通り、マブラヴ世界に関してはリニアガン・タンクやガン・ルゥを主力としてかなりの戦力が存在している。

 戦術機に関してもMSの技術が投入されている物も増えてきてるし。

 

「向こうが心配いらないようで何よりだ。……じゃあ通信を一旦切るけど、エザリアがこっちに来るのと、護衛の量産型Wとメギロートを寄越す件、くれぐれも忘れずに頼む」

 

『ええ、任せておいてちょうだい。後はアクセルがなるべく早くこっちに帰ってきてくれる事を祈ってるわ。じゃあね、アクセル。愛してるわよ』

 

 艶然とした笑みを浮かべてそう告げたレモンが通信を切り……

 

『こちらも早急に準備を進めよう。……アクセルの事は信頼しているから心配はしていなかったが、直接その顔を見るとやはり安心出来るな。……私を1人にするような真似だけはしないでくれ。……レモン達がいるけどな』

 

 先程までの凜々しい魔女と呼ばれた者の顔ではなく、女としての顔で告げるコーネリアが通信を切る。

 

『……言うまでもないけど、私は別にアクセルとそういう関係じゃないから、あの2人みたいなことは期待しないで欲しい。ただ、そうね。食事くらいは一緒にしてもいいわよ。じゃあ、こっちも準備があるからこの辺で』

 

 エザリアの通信が切れる。

 こうして3人との通信が切れると、ふと周囲が静まり返っている事に気が付く。

 何だ? と疑問に思って後ろを振り向くと、まず真っ先に目に入ってきたのは笑みを浮かべているハルカの姿。

 ただし、その笑みはとてもではないが穏やかな春の如き笑みという訳ではなく、肉食獣が獲物を前にして浮かべているかのような、そんな笑顔だ。

 また、そんなハルカから少し離れた場所にはエリナ、プロスペクター、ゴートといったネルガル側の者達がいるのだが、その中でもプロスペクターとゴートは汗を拭いながらエリナと距離を取っている。

 そしてエリナはと言えば、笑みを浮かべるのではなく厳しい視線を俺の方へと向けていた。

 これは……ちょっと、いや、色々と不味いか?

 一応エリナとの関係はクリスマスの夜より前にするということでお互いに納得していた筈だが、そういうのを言っても全く効果がないような、そんな危険な雰囲気。

 まるで起爆寸前の爆弾の前にいるかのような、そんな印象すら受ける。

 ……まぁ、俺の場合は近くで爆弾が爆発しても全く何のダメージもないんだが。

 

「アクセル」

 

 静かに聞こえてきたエリナの声だったが、どちらかと言えばこれは落ち着いているというよりは我慢に我慢を重ねたかのような、深淵から響くような声とでも表現すればいいんだろうか。

 

「どうかしたのか? ああ、交渉担当のエザリアはさっきの通信を聞いていたから分かると思うが、もうすぐ来るから心配するな」

「ええ、そうね。どんな話になるのか、少し楽しみだわ。特にホワイトスターとか言ったかしら。向こうにいる時のアクセルの話は、是非聞かせて貰いたいもの」

「あー……うん。程々に頼む」

「あら、何を程々になのかしら。私は正直なところを聞かせて貰おうと思ってるんだけど。特に、さっきの美人2人については凄く興味あるわ」

 

 一応俺には恋人が多数いるって話はしたと思うんだがな。

 ただ、それを聞いただけなのと、実際にその目で見たのでは大きく違うんだろう。

 レモンを始めとした俺の恋人達はその辺を受け入れていたけど、普通に考えればエリナのこの態度こそが一般的なものなんだろう。

 ハルカは……と視線を向ければ、そこでは何やら面白そうな笑みを浮かべてこっちを見ている様子が分かる。

 そんなハルカの近くでは、メグミとヤマダが何やら言い争っている光景が見えるが……今の俺達のやり取りでどんな風に思ったのやら。

 エリナからの責めるような視線を受けながら、俺は出来るだけ早くエザリアがこのナデシコ世界にやってくるのを祈るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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