転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1325話

 ネルガルの研究所に木星蜥蜴が大挙して押し寄せてきた日の夜、シャドウミラーの幹部陣は全員がホワイトスターにあるブリーフィングルームへと集まっていた。

 ただし、レオンは現在ナデシコ世界の方に残っている。

 ナデシコにいる人達の話を聞いてみたいとか言ってたのが理由だ。

 どのみち連絡要員は置いてくる必要があったし、レオンが自分から志願したんだが……問題を起こさないだろうな? ヤマダ辺りとの相性は結構悪そうなんだが。

 ともあれ、現在はエザリアがブリーフィングルームの前に出て説明している。

 ナデシコ世界についての件や、ネルガル、連合軍、連合政府についての交渉や、他にめぼしい交渉相手がいるのかどうかといった感じに。

 

「じゃあ、クリムゾングループというのがネルガルに匹敵する大企業な訳ね?」

 

 レモンの言葉にエザリアが頷く。

 

「そうね。ナデシコで聞いた話やコンピュータにあったデータからの情報だから、実際には偏っている可能性はあるけど……確実なのは、非常に高いバリア技術を持っているって話よ。地球を覆っているビックバリア……ナデシコが地球を脱出する時にハッキングを使って一時的に停止させたんだけど、それもクリムゾングループ製らしいし」

「アクセル、そのビックバリアってのはどんな具合だったんだ?」

 

 ムウの問いに首を横に振る。

 

「俺達が欲する程に強力かと言われれば……答えは否だろうな。ナデシコ世界の中だとかなり強力らしいけど、一定以上の質量を持つチューリップとかは防ぎ切れないらしいし」

「けど、地球全てをバリアで覆う事が出来るんだろ? なら、その効果範囲はかなり魅力的じゃないか?」

「純粋にバリアって意味だと、それこそホワイトスターを覆っているバリアとかもあるしな。それにG・テリトリーみたいな重力系のバリアは応用性が高いし」

 

 ナデシコ世界の技術を集めるという意味ではいずれ入手してもいいのかもしれないが、それでも真っ先に欲しいかと言われれば、答えは否だ。

 現在一番欲しい技術が何かと言われれば、やっぱり木星蜥蜴の大型戦艦の生産プラントなんだが。

 それ以外だと、やっぱりネルガルの持つエステバリスとオモイカネ、それとついでにVR系等の技術か。ナノマシンも一応そっちに入るな。

 

「つまり、クリムゾングループとはいずれ付き合うにしても、最優先しなくてもいいって事ね?」

 

 エザリアの言葉に頷きを返す。

 

「となると、やっぱり接触する企業はネルガルを優先した方がいいでしょうね。元々そういう約束で向こうと交渉してきたんだし、妙な裏切りをするよりは結果的にいい未来を見られると思うわ」

「だな。……で、そうなるとこれからどう動くかだが……俺としてはシャドウミラーの部隊を3つ、あるいは4つに分けたい」

「兵力分散……というのは、アクセルに言うまでもないか」

「ギルフォードの言う通り、その心配はあるけど俺達の場合は主戦力が無人機で無数にあるしな」

 

 俺の口から出た言葉に、ブリーフィングルームにいた皆が苦笑を浮かべる。

 

「で? 具体的にはどんな風に部隊を分けるの?」

 

 話を促してくるレモンに頷き、エザリアに代わってブリーフィングルームの前に立つ。

 

「まず1つめ。これは言うまでもなく、地球に向かうグループだ。ネルガルや連合軍、連合政府との交渉をするグループだな」

「これが本命なんだろ? なら、俺も行きたいんだけど」

 

 真っ先に手を挙げて参加を希望するアウルだったが、すぐに隣に座っていたイザークが溜息を吐いて口を開く。

 

「馬鹿者が。そちらに向かうのは交渉だ、交渉。最悪戦闘になる可能性はあるが、それでも戦闘にならないのがベストなのは間違いない」

「それに連合軍の戦力は木星蜥蜴よりも弱い。正直、戦い甲斐があるとは、とても言えない相手だぞ」

 

 まさか俺達ナデシコが火星に出発した2週間程の間に、急激に戦力が整う訳もないだろうし。

 

「ただ、地球連合……幾つもの国が集まった勢力に対して、俺達一国だけで交渉をするとなると、侮られる可能性は高い。それを阻止する為にも、ニヴルヘイムとシロガネはこっちに持って行きたいと思っている」

 

 その言葉に異論を持つ者はいない。

 何しろ、一国だ云々と言っても、そこに参加している人数は驚く程に少ない。

 エルフ達もいるが、実質的に国を動かしているのはここにいるメンバーで殆どだしな。

 純粋な規模としては、一国どころか一組織と……それもそれ程大きくない組織の規模しかなのだから。

 

「そして次。ネルガルの研究所周辺は俺達の支配下にあるが、火星にはまだ大量の木星蜥蜴がいると思われる。これを撃破していくグループ。手応えがあるかどうかはともかく、このグループは戦闘の連続になるのは間違いない」

 

 その言葉に真っ先に反応したのは、当然のように、ムラタだ。

 

「俺はそこに入らせて貰おう」

「まぁ、ムラタならそう言うと思っていたよ。グループ分けに関しては、全部話が終わってからにしてくれ」

「うむ」

 

 素直に頷きつつも、ムラタは絶対に自分が木星蜥蜴殲滅グループに入ると態度で示していた。

 適材適所を考えれば、それもおかしくないかもしれないけどな。

 自分の言葉に納得していると、レモンが口を開く。

 

「木星蜥蜴と戦うグループは、出来れば機体を鹵獲して頂戴。今日の戦闘でそれなりに集まったけど、サンプルは多ければ多い方がいいわ。……それにもしサンプルにならなくても、キブツの原材料と考えれば集めてもいいでしょ? こっちの開発が今ピークを迎えてるから、木星蜥蜴の解析は少し時間が掛かるかもしれないけど」

 

 レモンの言葉にムラタが残念そうな表情を浮かべたのは、決して俺の気のせいって訳じゃないだろう。

 

「それと、次のグループ。こっちも戦闘になる可能性は少なからずある。火星にあるゲートやネルガル研究所の護衛だ。昨日の今日でネルガルの研究所に木星蜥蜴が攻撃をしかけてきたのを考えると、また攻撃を仕掛けてくる可能性は決してゼロじゃない」

「確かにな。無人機故の物量戦……それも向こうが主導権を握っている以上、夜中に攻撃を仕掛けてくるという事もあるのか。無人機だから眠気というものもないだろうしな」

 

 スレイが納得したように頷く。

 そう、向こうに主導権があるからこそ、そんな真似をしてくればこっちも対応せざるを得ない。

 もっとも、それが出来るのは敵に主導権があるからこそであり……

 

「木星蜥蜴を撃破して回るグループが動き出せば、向こうも戦力を無制限に使うなんて真似は出来なくなるだろうけどな。特にチューリップの数が減ると、それだけ一度に展開出来る木星蜥蜴の数も減るという事になるし」

「それで、アクセルさん。先程は3つか4つと言ってましたけど、もう1つは何を担当するのですか?」

 

 ふと、気になったようにオウカが尋ねてくる。

 その言葉で他の皆も4つめの件に気が付いたのだろう。興味深げな視線を俺へと向けていた。

 

「4つめは、正直人数的にどうだろうなとは思うんだよ。あくまでも可能であればって事だし」

「いいから、さっさと言え。4つめはどこに向かわせるんだ!」

 

 イザークの不機嫌そうな言葉が周囲に響く。

 これ以上引き延ばしても意味はないか。

 

「そうだな、なら単刀直入にいこう、4つめ。これがもし結成出来るのであれば、木星に向かって貰おうと思っている。言うまでもなく木星蜥蜴という名前が付くくらいだし、恐らく木星に木星蜥蜴に関しての何かがあるのは間違いないだろう。もっとも、実は木星じゃなくて土星蜥蜴、天王星蜥蜴って可能性もあるんだが」

「土星蜥蜴ってのはともかく、天王星蜥蜴って語呂が悪くないか?」

 

 呆れたようにムウが呟くが、実際に木星方面からやってきたから木星蜥蜴であって、土星からやって来ていれば土星蜥蜴、天王星からやってきていれば天王星蜥蜴という風になる筈だ。

 

「名前はナデシコ世界で木星蜥蜴と名付けた奴に言ってくれ。とにかく、一旦木星に向かって木星蜥蜴の生産プラントとかがあったら奪取してきたい」

「いや、それは難しいだろ? アクセルの空間倉庫があればともかく」

「俺もアウルの言う通りだと思う。生産プラントってくらいだから、でかいんだろ? それを俺達がどうやって取ってくるんだよ?」

「シロガネのシステムXNを使ってだな。転移フィールドに生産プラントを入れれば、普通に火星に持ってこれるだろ」

 

 そう、ナタルがスティングに言ったように、俺としては木星に向かうのであればシロガネのシステムXNを使っての移動を考えていた。

 だからこそ、最初の地球行きのグループにシロガネを入れるかどうか迷っていたんだが……さすがシロガネの現艦長。能力についてはきちんと理解していたらしい。

 いや、ナタルの能力を考えれば当然だろうが。

 

「正解だ。……さて、その場合はシロガネが地球に行けないって事になるんだが、どうしたらいいと思う? 木星の方は一旦置いといて、シロガネが地球に同行するのか、それとも木星に向かわせるのか」

 

 俺の口から出た言葉に、皆が悩む。

 そんな中、最初に口を開いたのは当然のように政治班を率いるエザリアだった。

 

「政治班からの要望としては、連合軍や連合政府に対する圧力という意味でもシロガネには地球に来て貰いたいわ。ナデシコで得た情報やアクセルから聞いた話を纏めると、連合軍の主戦力は宇宙戦艦らしいから、シャドウミラーにも同じような戦艦があるというのはしっかりと見せておきたいのよ」

「まぁ、シロガネと同じような宇宙戦艦といっても、能力に関しては隔絶してるけどな。正直、かなり脆い。印象的にはレイディバードと同等くらい? いや、それは少し過小評価し過ぎだな。ともあれ、この世界の宇宙戦艦は基本的に性能が低い。ナデシコは別格だけど。木星蜥蜴に対抗出来ない程度の戦力しかない、と言えば分かりやすいと思うが」

 

 俺の言葉にエザリアが頷き、言葉を続ける。

 

「また、システムXNという転移手段があるシャドウミラーとしては、いつでも木星蜥蜴の本拠地に乗り込む事が出来るというのも交渉材料になる。勿論馬鹿正直に木星で得た物を連合軍や連合政府に渡すつもりはないが」

「そうして頂戴。正直、あの大型戦艦に関しては無人艦であれだけの性能を持っているというのは非常に稀少よ。カトンボにしても、数を揃えるという意味では大きいでしょうし」

 

 レモンがエザリアの言葉に同意し、それは他の者も同じだ。

 

「となると……どうやらシロガネは地球に一緒に行った方がいいという事になるけど、それで構わないか?」

「ああ、構わん。私もこの世界の地球というのをこの目で見てみたいという思いはあるしな。それにシステムXNがあれば、それこそエザリアが口にしたようにいつでも木星には行けるのだから、急ぐ必要はないだろう」

 

 一瞬ナタルの視線がムウの方に向けられたのを見れば、何を考えているのかというのは大体理解出来る。

 ……こうして考えると、ナタルも随分と頭が柔らかくなったよな。

 いや、寧ろいつまで新婚気分でいるんだと言うべきか?

 

「ああ、そうだ。ねぇ、アクセル君。グループ分けにあったネルガルの基地を守るグループだけど、精霊の卵を使ってもいいんじゃない? 基本的に研究所……いえ、ゲートの周辺を守っていて、木星蜥蜴が攻めて来たらホワイトスターから援軍が来るまで持ち堪えるんでしょ? それなら精霊の卵でもいいと思うんだけど」

 

 美砂の言葉に納得する。

 確かに精霊の卵は、純粋な戦力としては実働班程には強くない。

 だがマブラヴ世界でBETAと戦って集団戦に慣れているだけに、時間を稼ぐ為の防衛戦には向いているかもしれない。

 同時に精霊の卵は人数も多い為、ゲート付近の……特に避難民達が暴れたり妙な真似をしないように治安を任せるという意味でも丁度いいだろう。

 その代わり、エルフ達が外に出たりすれば非常に目立って騒ぎになる可能性も高いけど。

 

「いや、けどさぁ。精霊の卵で使ってるのってMS……それもウィンダムとザクだろ? だとすれば、バッタはともかくディストーションフィールドを張っているカトンボとか大型戦艦を相手にするのは無茶じゃねえの? ビームライフル程度なら無効化されるんだし」

「へぇ。やっぱりムウはエルフを……いえ、他の特定の誰かを心配しているんですね」

 

 ナタルのボソリと呟いた言葉に、それを聞いていたムウの動きがピクリと止まる。

 ああ、そう言えばムウはテュカに好意を寄せられていたのか。

 俺がいない間にそれがどんな具合に進んでいるのかは分からないが、こうして見る限りでは特に進展している訳でもないみたいだし、はっきりと断っている訳でもないらしい。

 ……まぁ、俺を見るまでもなくシャドウミラーは基本的に一夫多妻制を黙認しているから、ナタルが問題なければいいんだけどな。

 そろそろ、しっかりと一夫多妻制を採用するって明確にしておく必要があるか。

 ジト目をムウに向けているナタルを見ながら、一応助け船を出す。

 

「ウィンダムはともかく、ザクの方はオルトロスがあるからビームの威力に関しては問題ないんじゃないか」

 

 微妙に、助け船になっているようななっていないような、そんな言葉を紡ぐのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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