転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1344話

 久しぶりに戻ってきたホワイトスターは、相変わらず活気に満ちていた。

 いやまぁ、俺達が移動しているとしてもそれはナデシコ世界だけであり、ホワイトスターを中心として行われている異世界間貿易の類は特に変わっている訳ではないのだから。当然かもしれないが。

 視線の先にある店では、多くの客が並んでいる。

 何だ? ホワイトスターにある店で、並ぶような店というのはそんなに多くない。

 超包子は結構並んでいる事が多いが、それは例外だろう。

 ちょっと気になって見に行こうとすると……

 

「おーめーでーとー! アクセルを発見したよー!」

 

 そんな声が周囲に響く。

 聞き覚えのある声に振り向くと、そこにいたのは予想通りにロイドの姿。

 相変わらず白衣を身に纏い、眼鏡を掛けた姿だ。

 ……シャドウミラーの技術があれば、視力を元に戻すくらいは難しくないんだけどな。

 もっとも、技術班の中には好んで眼鏡を掛けている者もいる。

 眼鏡がないと落ち着かないという者もいるし、眼鏡にコンピュータを内蔵して簡単な検査用の器具として使っている者もいた筈だ。

 

「ロイドが1人で出てくるのは珍しいな」

「全く、魔法区画に来るって話だったのに、来るのが遅いんだよね。だからこうして僕が迎えに来る事になったんだよ」

 

 これ以上ない程に不満そうな表情を浮かべるロイド。

 普段は飄々としていると表現するのが相応しい態度なのに、何だってこんな具合になってるんだ?

 

「木星蜥蜴の機体は、今までにも結構あっただろ? 何でそんなに急ぐ?」

「そりゃあ……おっと、えっと、そうだね。君が入手したのは、損傷を受けていない木星蜥蜴の機体だろ? で、僕達が今まで手に入れたのは、基本的に損傷が少ないと言っても撃破された機体だ。そうなれば、当然色々と不具合があるのは当然だろう?」

「……そうだな。お前の言ってる事は如何にも正しいように思うけど……他に何か隠してるだろ」

 

 あからさまに動揺した様子を見せるロイド。

 今のやり取りで本当に誤魔化せているんだと思っていたのなら、それはそれで凄いな。

 

「え? いや、そんな事ある訳ないじゃないか」

「ほう? ……まぁ、いい。魔法球の中に入れば大体理由は判明するだろ。ほら、行くぞ。お前が迎えに来たんだから、当然お前にも一緒に行って貰おう」

「え? あ、ちょっと待った。僕はまだ用事がーっ!」

 

 何か叫んでいるロイドだったが、俺はそれを無視して影のゲートを展開し、そこにロイド諸共沈むのだった。

 そうして影から姿を現したのは、当初の予定通りに魔法区画にある魔法球の前。

 周囲には警護の量産型Wが立っていたが、影から出て来たのが俺だと知ると、すぐに警護へと戻っていく。

 それを見送り、まだ何とかこの場から逃げようとしているロイドを引っ張って、俺とロイドの姿は魔法球の中へと消えるのだった。

 

 

 

 

 

「おーたーすーけー!」

 

 魔法球の中を俺に引っ張られながら叫ぶロイド。

 余程に今この魔法球に戻ってくるのは不味かったらしい。

 まぁ、そうは言ってももう遅いけど。

 

「で、どこに行けばいいんだ?」

「うー……分かったよ。仕方がないから僕が案内するよ。全く、本当なら僕は関係なかったのに……」

 

 ブツクサと言いながらも、ロイドは魔法球の中で使っているエアカーに俺を乗せるとどこかに向かって進み始める。

 こうしてみると、魔法球の中も最初に比べて随分と変わったよな。

 もう完全に要塞と化しているようにすら見える。

 いうなれば、要塞研究所? 何かどこかで聞いた覚えがあるような……

 まぁ、それはともかくとして、やがて遠くに幾つものカトンボやヤンマ、そしてチューリップが地面に転がっている姿が見えてくる。

 何だかんだでカトンボもヤンマもチューリップもそれなり以上に大きい。

 そうなると、こうして外で調査をする必要が出てくるのだろう。

 

「木星蜥蜴の機体はどれくらい解析が進んでいる?」

「解析だけなら結構進んでいるけど、どの機体も少なからずダメージを受けてるからねぇ。どうしても手間取ってはいるよ。ただ、それも時間の問題だろうけど。……ただ、あのチューリップって言ったっけ? あの機体は色々と謎も多いみたいで手こずってるよ」

 

 ロイドの運転という事で少し心配だったが、意外に運転が下手ではない。

 勿論上手いって訳でもないんだが、それでも普通に乗っている分には全く問題なく座っている事が出来る。

 まぁ、もし何か事故ったとしても、俺の場合は全く問題ないけどな。ついでにロイドを助けるのも楽に出来るだろうし。

 

「チューリップか。それでも技術班の中で最も興味を掻き立てられているのはチューリップなんだろ?」

「まぁね」

 

 カトンボは量産の戦艦として、ヤンマはカトンボの上位互換の戦艦として興味を持たれているのは事実だろうが、無人機というのを考えても結局カトンボもヤンマも戦艦に過ぎない。

 それに比べると、チューリップはヤンマやカトンボとは一線を画している存在だ。

 どんな手段を使っているのかは分からないが、転移機能を持っているというのは、技術班にとっては非常に興味深いだろう。

 そもそも、シャドウミラーは転移システムを使っての奇襲を得意としている軍なのだから、その辺は当然だ。

 ともあれ、そんな風に話をしながらエアカーが移動し……木星蜥蜴の機体を調べている場所を通り過ぎ、更に離れた場所へと向かう。

 そのまま進む事、十数分。やがてそれは俺の視界に入ってきた。

 

「あれは……」

 

 それは、大きかった。

 いや、さっきみた木星蜥蜴の戦艦と比べれば小さいが、俺が知っているPTに比べるとかなり大きい。

 それでも特機の類よりは小さいのを考えると、PT以上特機未満の大きさといったところか。

 形としては、どこかドラゴンを思い浮かばせるような生き物染みた姿をしている。

 特に特徴的なのは、やはりその胴体部分だろう。

 流線型でありながら横幅もある程度あり、その左右からは巨大な腕が二本延びている。

 普通ドラゴンと言えば腕はそれ程大きくないんだが、この辺はあくまでもドラゴンそのものという訳ではなく、モチーフにしたということなのだろう。

 実際、ドラゴンをそのまま形にしたというよりは、モチーフにしたという方が正しい。

 具体的には、俺の覚えている範囲内だとガンダムWのエピオンなんかはドラゴンをモチーフにしているけど、実際にはドラゴンの形をしていない。そんな感じか。

 見たところ、その両腕は横に収納というかくっつくようになっており、明らかに近接戦闘を予想した物のように思える。

 羽根の部分にあるのは言うまでもなく巨大なエナジーウィングか。展開していないが、特徴的なパーツで何となく理解出来た。

 足もあるが、こちらは腕とは違ってそれ程大きくはなかった。

 ドラゴンを思わせる頭部もきちんと存在している辺り、芸が細かい。

 

「ま、色々と聞きたい事はあるだろうけど、もう少し待ってて欲しいな。ここで僕が勝手にあの機体の事を喋ったりしたら、後で酷い目にあってしまうから」

 

 そう言いつつも、ロイドとしては色々と自慢したいのだろう。如何にも喋りたそうなのを我慢しているのが見え見えだった。

 それでも我慢しているのは、余程酷い目に遭いたくないと思っているからか。

 ともあれ、俺の視界に映っているのが何なのかというのは、俺にも予想出来た。

 いや、正確にはどんな能力を持っているのかというのは全く分からないが、何を目的とした機体なのかというのは、というのが正しいか。

 恐らく……いや、間違いなくあの機体は、俺がレモンに頼んでおいたシャドウを始めとしたシャドウミラーのPTやMSといった機体に装備が可能な追加武装の類だろう。

 俺としてはUC系ガンダムのガンダムMk-ⅡとG・ディフェンサーが合体して出来たスーパーガンダム辺りを予想していたんだが……まさか、ここまで大仰な物を作ってくるとは。

 いや、それとも実はそれとは関係ないのか?

 普通なら有り得ないのだが、ここが技術班の巣窟であるというのを考えると、不思議でも何でもないのが怖いところか。

 そんな事を考えている間にロイドの運転していたエアカーがその機体の側まで移動して停まる。

 エアカーから降りた俺を待っていたのは、レモンを始めとした技術班の面々。

 技術班のメンバー以外にいるのは量産型Wだけであるのを考えると、どうやら今日は俺だけに対するお披露目らしい。

 

「ようこそ、アクセル。これが外部武装追加ユニット、ファブニールよ」

 

 ファブニール。これも確かシャドウミラーで良く使われている北欧神話に出てくるドラゴンの名前だったよな。

 シャドウミラーで使われているという事で北欧神話をちょっと……本当に広く浅くって程度に勉強したから知っている。

 ファフニールとか、ファルニル、ファーブニル、ファフナーといった色々な名前で呼ばれているドラゴンで、ジークフリートに倒されたという事で有名だ。

 

「ファブニール、か。随分とまぁ……いい方に予想外の代物だな」

 

 完全に予想外なその姿に驚きながらも告げると、レモンは満面の笑みを浮かべて頷く。

 

「そうでしょう。正直、ここまで苦労するとは思わなかったけど、それでも苦労した分だけの代物にはなったと思うわ。これがファブニール1号機で、後はアクセルが認めれば順次量産予定ね。……さて、まず機体の説明をしましょうか。動力炉は、ブラックホールエンジンを2基、時流エンジンを1基搭載してるわ。それとシャドウミラーの機体として標準装備のASRS、ミラージュコロイド、ジャマー、フォールド通信、テスラ・ドライブは当然装備。この辺は言うまでもないわよね?」

「シャドウミラーの機体としては、そうだろうな」

 

 正直、これらが標準装備って時点で色々とおかしいんだが。

 この標準装備だけでコストは通常の量産機に使えるような代物ではないし。

 キブツがあるからこそ可能な事だ。

 

「で、特筆すべきは以前言ったと思うけど、量産型のシステムXNを装備している事。以前アクセルも使っていた物から随分と性能や安定性は上がってるけど、それでも転移が可能なのは同一世界間のみよ。リュケイオスやアギュイエウスのように別の世界への転移は出来なくなってるわ」

「ついにシステムXNが量産機に搭載される、か。少し感慨深い物があるな」

 

 現在システムXNが搭載されているのは、ニーズヘッグとシロガネ、ニヴルヘイムだけだ。

 つまり、これからはファブニールを身につけた? 装備した? ともあれ、ファブニールを使っている機体は全てが転移機能を持つ事になる。

 その転移機能はシステムXNの量産型故に、ニーズヘッグのアギュイエウスのように別世界への転移は不可能だ。それでも全ての機体が転移を可能とするというのは、紛れもなくシャドウミラーに圧倒的なアドバンテージを与えてくれるだろう。

 

「ちなみにこのファブニールは、ヒュッケバインMk-Ⅲのコアトルーパーシステムを参考にして開発されているわ。もっとも、コアトルーパーシステムはガンナーにしろボクサーにしろ、ヒュッケバインMk-Ⅲ本体が外部から露出していたけど、ファブニールの場合は完全にその胴体部分に収納される事になるわ。具体的には、直立したまま胴体にそのまますっぽりと包まれる状態ね。そしてPT側の方でファブニールを操縦する事になるわ。……まぁ、その操縦をする為に現行の機体には少し手を加えないといけないんだけど、その辺は特に問題じゃないわね」

「いや、それはそれでかなり大変なように思えるんだが。幹部陣の機体だけならそれ程数はないけど、シャドウの方は膨大な機体数になるだろ?」

「ふふっ、そういう時の為に量産型Wがいるんでしょ。一流の技術者に近いだけの能力は持ってるんだから、こっちでシャドウのOSを改良するプログラムを組んでしまえば、後は量産型Wの方でやってくれるわよ。……全ての量産型Wが同じだけの技量を持っているというのは、こういう時に凄く助かるわね」

「……だろうな」

 

 基本的に量産型Wというのは、疑似経験や疑似記憶といったシステムを使って技術の習得が可能だ。

 つまり量産型Wは優れたパイロットであると同時に、優れた技術者でもあり、優れた農業の技術、牧畜の技術、ワイバーンの世話をする技術、その他諸々の技術を持っているという事になる。

 

「なるほど。それなら特に問題はないか」

 

 頷き、改めてファブニールへと視線を向け、ふと気になった事を尋ねる。

 

「一応対策はしてるだろうけど、聞かせて欲しい。ファブニールはシステムXNや時流エンジン、ブラックホールエンジンを始めとして各種シャドウミラーの技術を使っているんだよな。で、PTではなくてPTに対する追加装備という扱いな訳だ。これがもし誰か他の奴に奪われそうになったらどうなる?」

「機密保持に関しては厳重にしてあるわ。基本的に登録されている人しか操縦出来ないし、無理に奪おうとしてもブラックホールエンジンを暴走させて、装備しているS-11共々……」

 

 その先は言わなくても分かった。つまり、意図的にバニシング・トルーパーの再現を行うという事なのだろう。

 それも、S-11のおまけ付きで。

 もしこのファブニールに目が眩んで盗もうとした者がいた場合、そいつは文字通りの意味で地獄を見る事になるだろう。

 

「さて、説明を続けるわよ?」

 

 そんなシステムを組んだとは思えない程に綺麗な笑みを浮かべたレモンは、嬉しそうにファブニールについての説明を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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