転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1348話

 シャドウミラーでの用事を済ませ、レモンから技術班にエルフが所属するという話を聞いた俺は、再びナデシコ世界の火星へと戻ってきていた。

 ネルガル研究所跡は、火星の生き残りが暮らしている建物を除いて殆ど破壊されており、ゲートの周辺はかなり広くなっている。

 これならニヴルヘイムはともかく、シロガネは余裕で転移してくる事が出来るだろう。

 そうしてこのまま基地施設の建造が進めば、火星の生き残りが住む為の家も近い内に作られる筈だ。

 

「何か異常はあるか?」

 

 近くでゲートを守っている量産型Wに尋ねると、ヘルメットを被った顔を横に振る。

 

「いえ、木星蜥蜴が攻めてくる事はありません」

「そうか、ならいい」

 

 木星蜥蜴が何を考えているのかというのは、無人機だから分からない。

 だがそれでも、火星の半分以上をムラタを始めとするシャドウミラーの実働班によって奪い返されている現状、このゲートに攻撃を仕掛けてこないというのは少し疑問だな。

 特にこのゲートというのは、俺達シャドウミラーにとってはあらゆる意味で生命線だ。

 これを破壊されたりされれば、少なからずパニックに陥るのは間違いない。

 まぁ、だからこそこうして量産型Wやシャドウ、メギロートで護衛を固めているんだが。

 もし木星蜥蜴が襲ってきても、ここにいる戦力で対応している間に護衛としてホワイトスターから次々と戦力がくるだろうし、何より火星で戦っている面子も戻ってくるだろう。

 そうなれば、間違いなく木星蜥蜴は全滅する筈だ。

 もし、今まで以上の大戦力を出してきたとしても、いざとなれば地球に行っている戦力をシステムXNで連れてくる事も出来るし。

 とにかく、火星の方は問題ないようだし、そろそろ地球に戻ろう。

 そう思ってニーズヘッグを出す場所を探しがてら、ネルガルの研究所……いや、既にシャドウミラーの基地として成立しつつある場所を見て回っていると、不意に通信機が音を立てる。

 マリューやエザリア辺りから、地球に戻ってこいって催促の連絡か? そう思って通信機に出ると……

 

『アクセル、ナデシコ世界の火星にいるという話だったが、ここにいてくれて助かった。無駄足を踏まずに済んだな』

 

 どこか困惑した様子のコーネリアが、そこには映し出されていた。

 

「コーネリア? どうしたんだ?」

『ちょっと……いや、かなり面倒な事態になっていてな。私ではちょっと判断出来ない件がある。それでアクセルに連絡したんだが……』

 

 コーネリアで判断出来ない? 実働班を率いる人物として、コーネリアはかなり高い権限を持っている。

 何かあっても、大抵の事であれば自由に判断する事が可能になっているのだが……そのコーネリアが?

 

「一体何があった?」

『現在、私達が火星を木星蜥蜴から取り戻すために動いているというのは知っていると思う』

「ああ、それは当然だろ」

 

 そもそも、その件は俺が命じた事なんだし。

 それで忘れているなんて言おうものなら、間違いなく後でコーネリアに何らかのお仕置きがされるのは間違いない。

 

『それで、今日も出撃して木星蜥蜴と戦って、これを殲滅した。ここまではいいのだが……その戦いが終わった後、念の為に近くの様子を探ってみたら、妙な物を見つけたんだ』

「妙な物?」

 

 何が見つかったのやら。

 もしかしたら、ナデシコの研究所の地下にあったような火星古代文明の遺産とか、遺跡とか、そういうのか?

 そんな風に感じていたのだが、映像モニタに映し出されたコーネリアは、説明するよりも見た方が早いと言わんばかりに何らかの映像を映し出す。

 その映像を見た瞬間、俺が出来たのは驚きの表情を浮かべるだけだった。

 恐らく傍から今の俺を見れば、相当に間の抜けた顔をしていただろう。

 だが、それも無理はないと思う。

 事情を知っている者がいれば、恐らく俺と同じ表情を浮かべていたのだろうから。

 何故なら、そこにあったのは……

 

「連合軍の戦艦? ……いや、これは確か駆逐艦だったか」

 

 そう、コーネリアの見せた映像に映し出されているのは、間違いなくこのナデシコ世界の連合軍が使っている駆逐艦だった。

 この世界の軍艦にはそんなに詳しい訳ではないが、あの型の駆逐艦は俺がまだ地球でナデシコに乗っていた時に連合軍がミロンガ改を寄越せと、ミスマル提督が率いていた艦隊の中にあった駆逐艦だったのだから、忘れようがない。

 いや、それだけであれば忘れていたかもしれないが、クロッカスとかいうあの駆逐艦はチューリップに飲み込まれたという、無残な最期を遂げた駆逐艦なのだから忘れようがない。

 

「火星がまだ連合軍に守られていた時に戦って、火星に墜落した艦か?」

 

 連合軍が火星から撤退して、まだそれ程経っている訳ではない。

 だとすれば、その戦いの時にクロッカスと同じ型の艦が木星蜥蜴にやられて火星に墜落していたとしても、おかしくはないだろう。

 けど、妙なところもある。

 映像モニタに映し出されている艦は、特に損傷があるようには見えないのだ。

 傍から見た限りでは、無傷のようにすら見える。

 もし火星周辺の宙域で木星蜥蜴と戦って被害を受け、その結果火星に墜落したのだとすれば、多かれ少なかれ装甲に何らかの被害を受けている筈だ。

 

「……どうなっている?」

『やはりアクセルにも分からないのか? こちらでもあの無傷な様子を見ると、どうなっているのか不思議でならん』

「だな。色々と妙なところはあるが……ただまぁ、あの駆逐艦を見つけてくれたのはこちらとしてもありがたい。連合軍との取引の材料の1つにはなるだろ」

 

 木星蜥蜴と戦って撃破された……撃破、か? とにかくその駆逐艦は何らかの情報があったりしてもおかしくはない。

 それに連合軍という立場としては、その駆逐艦に乗っていたクルーの消息も探す必要があるだろう。

 ……もしかして、火星の生き残りの中にあの駆逐艦の生き残りもいた可能性があるのか?

 だとすれば、その辺の事情を聞いてみた方がいいのかもしれないな。

 

「中に生き残りはいないんだよな? 駆逐艦だから、ある程度の保存食とかそういうのはあるだろうし、もしかしたら生き残りがいてもおかしくないけど」

『残念ながら軽く内部を調べた限りでは、誰の姿もないな。ただ、アクセルの場合は空間倉庫を使って調べる事が出来るだろう? それを使って、あの駆逐艦の中に生き残りがいるのかどうかを確認してくれ』

「分かった、すぐそっちに行く。座標を教えてくれ」

 

 こうして俺はコーネリアから連合軍の駆逐艦がある位置の座標を聞き、影のゲートへと身を沈めていくのだった。

 

 

 

 

 

「これが、か」

 

 目の前に広がっているのは、一面の荒野。

 火星の中でもかなり寒い場所らしく、体感気温としては氷点下といったところか。

 その寒風吹き荒れる荒野の中に、ポツンと駆逐艦が1隻だけ存在していた。

 ちなみに、俺に通信を送ってきたコーネリアは既にこの場にはいない。

 近くに木星蜥蜴のチューリップがあるとかで、そっちを攻撃しに行った。

 というか、正確にはそのチューリップに攻撃をしに行く途中でここに連合軍の駆逐艦が存在しているのを見つけて俺に連絡してきた訳だ。

 

「……随分と古いように見えるけど、確かに連合軍の駆逐艦だな」

 

 長い間ここで寒風に晒されていたのだろう。艦体のいたる所に氷柱が生えており、雪が積もっている場所もあり、それが氷となって張り付いている場所もある。

 

「中に誰かいたとしても、もう死んでるのは間違いないだろうな」

 

 こうして見る限り、この駆逐艦の動力炉は完全に死んでいるように思えた。

 つまり、もしこの駆逐艦の中に生き残りがいるとすれば、この極寒の中で生き残っていた事になる。

 勿論、そのまま外にいるよりは駆逐艦の中にいた方が凍死は免れるだろうが……普通に考えれば、ここを脱出して他の場所に行くよな。

 駆逐艦の装甲へと手を触れてみるが、そこにあるのは当然暖かさはなく、冷たい感触だけだ。

 

「さて、もし誰かが生きていれば収納は出来ないんだろうが……どうなるだろうな」

 

 呟き、空間倉庫へと収納を試み……次の瞬間、俺の目の前に存在した駆逐艦は、まるで今まで火星の大地に横たわっていたのが幻か何かだったかのように、その姿を消していた。

 

「収納完了。となると、やっぱり駆逐艦の中に生存者はなし、か。ま、後は連合軍に調べて貰えばいいか」

 

 特にネルガルの研究所に戻る必要もないので、この場で空間倉庫からニーズヘッグを取り出す。

 すると、駆逐艦の代わりにニーズヘッグが火星の大地へと立つ。

 ……まぁ、その大きさは圧倒的に違うが。

 ニーズヘッグは全高15mの小型機で、連合軍の駆逐艦とは比べものにならない。

 まぁ、戦闘力は逆の意味で比べものにならないんだが。

 そのままニーズヘッグのコックピットへと入り、機体を起動させていく。

 いつものようにT-LINKシステムによって俺の存在を認識し、システムXNを使おうとして……不意に遠くの方から爆発音が聞こえてくる。

 一瞬何が起きたのか理解出来なかったが、それがコーネリアを始めとした火星解放部隊の仕業だと察するも、特に何かをするつもりはない。

 木星蜥蜴を相手にして、シャドウミラーの実働班が……それも実働班を束ねるコーネリアが動いているのだから、心配する必要はないだろう。

 ま、応援の要請があればあったで、それは何か新しい展開があったというものなのだろうが。

 

「システムXN、起動。転移座標入力……OK。転移フィールド生成開始」

 

 その言葉と共にニーズヘッグを光の繭のような転移フィールドが覆い……

 

「転移」

 

 その言葉と共に周囲の光景は一変する。

 火星の大地にいたニーズヘッグは、次の瞬間にはサツキミドリ2号の側に待機しているニヴルヘイムのすぐ近くへと転移してきたのだ。

 ニヴルヘイムの格納庫の1つへと入って行き、機体から降りる。

 そして格納庫から通信を送ったのは、ニヴルヘイムの司令室。

 エザリアにも連絡する必要もあるだろうが、物が駆逐艦なだけに、まずは技術班のマリューに連絡をした方がいいだろうと判断した為だ。

 まぁ、念には念をいれるとすれば、ホワイトスターに戻って魔法球の中で調べた方がいいんだろうが……ただ、魔法球の方は色々な意味で忙しいからな。

 ナデシコ世界のように、技術的にそれ程特筆すべきものがない世界の駆逐艦ならニヴルヘイムで調べた方がいいだろう。

 それこそ、ナデシコだったら話は別だが。

 

「マリュー、ちょっといいか?」

『あら、お帰り。こっちに戻ってきたって事は、もうファブニールの件はいいの?』

 

 その言葉に一瞬驚くも、そもそもマリューは技術班に所属しているんだからファブニールの件を知っているのも当然だろう。

 しかもただ所属しているという訳ではなく、実質的にレモンに次ぐだけの権力を持っている。

 まぁ、技術班の副隊長? 副長官? そんな感じの人物だ。

 

「ああ。かなり驚いたけど、十分に満足出来る性能だった。……いや、予想以上と言った方が正しいか」

 

 俺が想像していたのはガンダムMk-ⅡとGディフェンサーが合体したスーパーガンダムだったのが、MAに内蔵されるMS的な……GP03デンドロビウムの如き存在となっていたのだから。

 まぁ、大きさは圧倒的にファブニールの方が小さいが。

 

『ふふっ、喜んで貰えて何よりよ。出来れば私もその場にいたかったんだけど……それで、この通信はファブニールの件で?』

「いや、違う。実は火星で連合軍の駆逐艦が見つかったんだ」

『……駆逐艦?』

「ああ。コーネリア達が木星蜥蜴に攻撃をしようとした時に発見した。恐らく火星で木星蜥蜴と戦った時のものだと思うが……」

『連合軍に返す前に調べた方がいいわね。アクセルが持ってきたという事は、空間倉庫に入ってるんでしょう? なら、生きてる人は……』

「いなかった。ただ、駆逐艦の中は調べてないから、もしかしたら死体とかがあるかもしれない。……妙なところもあるんだけどな」

『妙なところ?』

「ああ。火星の側で木星蜥蜴と戦って、その結果火星に落下したのだとしても、損傷の類が殆どない。それこそ、まるで忽然と火星に姿を現したかのようにな」

『……それはちょっと気になるわね。分かったわ、えっと……第6格納庫の方が比較的空いているから、そこに行ってくれる? 私もすぐに量産型Wと一緒にそっちに向かうわ』

 

 本来なら技術班を引き連れて行くのが最善なんだろうけど、そもそも技術班はここにいないしな。

 量産型Wも、ある程度は技術者としての能力を持っており、あの駆逐艦を調べるくらいの事は問題なく出来る筈だ。

 そもそも、あの駆逐艦に俺達が欲しいような技術の類があるとは思えないが。

 

「分かった、第6格納庫だな。すぐに向かう」

『ええ、お願い』

 

 マリューの通信が切れる。

 量産型Wを集めたり、色々とやるべき事があるんだろう。

 そうして、俺は影のゲートを使って影へと身体を沈めていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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