転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1357話

「で、結局連合軍からも同行したいという人は受け入れる事にしたの?」

 

 グリューノとの会談の内容を報告すると、まず真っ先にエザリアが尋ねてきたのはそれだった。

 エザリアにとってはクロッカスよりもそっちの方が余程重要だったのだろう。

 実際、クロッカスは木連の転移技術が時間移動にも関係しているというのを教えてくれはしたが、言ってみればそれだけだ。

 戦艦としての技術には特に見るべきものもなかった以上、エザリアにとってクロッカスというのは連合軍に対して木連の情報を引き出す為の切っ掛け以外のなにものでもないといったところか。

 連合軍はクロッカスを調べる事で色々と入手出来るものがあると考えてはいるのだろう。

 特に木連の転移技術で転移した実物なのだから、ネジの1本まで調べてもおかしくはない。

 ……もっとも、それで何か見つかるかどうかというのは全く別の話なのだが。

 レモン達はちょっと変わった粒子が見つかったと言ってたけど、それが木連の転移技術に関係しているのかどうかは不明だし、調べるにしても色々とやるべき事が多い技術班だから、いつになる事やら。

 いや、転移技術という意味でシャドウミラーに取っては重要度は高いのを考えると、そんなに先の事でもないか?

 ともあれ、今はエザリアの相手だな。

 あやかや千鶴も俺の答えを待っているし。

 

「ああ。俺達シャドウミラーは未知の戦力だ。少なくても木連は俺達という存在がどこから現れたのかというのは全く分からないだろう。である以上、多少ではあっても顔見知りの勢力から人を連れて行った方がいい」

「そう? 聞いた話だと、木連の人達って連合軍や連合政府に強い恨みや憎しみを抱いているんでしょう? だとすれば、寧ろ連れていかないで全く未知の勢力という状態から交流を始めた方が良くない?」

「美砂の言いたい事も分かるけど、俺達が木連とだけ手を結ぼうとしている……と考えて、調子に乗らせて妙な動きをさせたくはない」

 

 ヤマダの性格をより濃くしたような者達の集団だって話なのを考えると、どう反応するのか大体予想は出来る。

 ……ただ、増長するのはともかく、連合軍から派遣される人物の性格によっては思い切り交渉が決裂する事にもなりかねないんだよな。

 まぁ、敵対したら敵対したで、やりようは幾らでもある。

 それこそ、プラントを空間倉庫に入れて奪ってくる事も出来るんだし。

 

「うーん、木連と交渉するにしても、マイナスから交渉するよりも、ゼロから交渉した方がいいと思うんだけど」

 

 それでも美砂は納得出来ないらしく、色々と呟く。

 

「どんな人材が来るのでしょうか。折角なんだし、出来れば仲良くやっていけるような相手だといいですね」

「オウカなら誰とでも仲良くやっていけるだろうな。……まあ、オウカの美貌に目が眩んで妙な真似をする奴じゃないといいけど」

 

 ムウの冗談っぽい口調。

 だが、その言葉に大和撫子的な性格をしているオウカは、薄らと頬を赤くする。

 恋人のイザークは……と視線を向けると、少し不満そうだがそれだけだ。

 意外と嫉妬深かったりはしないらしい。

 エザリアへの態度と違い過ぎないか?

 

「けど、中には傲慢な奴がいるから気をつけた方がいいぞ」

 

 SEED世界の連合軍で戦っていただけあって、ムウの言葉には実感がこもっているな。

 マリューもムウの言葉に頷いている。

 ムウの場合は男だからまだ良かったけど、マリューは女だから色々と苦労したんだろう。

 もっとも、その辺をどうにかして大尉にまでなった訳だが。

 その辺は、純粋に能力も関係してるんだろう。

 PS装甲の件とか、ガンダムの件とか。……いや、ガンダムはオーブの協力あってこそか。

 

「連合軍も馬鹿じゃないんだ。俺達と木連の交渉を邪魔しても、結果的には自分達が俺達に嫌われるだけだというのは分かってるんだし、その辺は心配ないんじゃないか?」

「そう? シャドウミラーと木連の二つの勢力が手を組んで襲ってくるよりは、三つ巴にしたいと思うんじゃないかしら」

 

 エザリアの言葉にも、確かに……と頷くべきところは多い。

 俺達を敵に回した時点で、連合軍は終わりだと理解しているんだから妙な真似はしないと思うんだけどな。

 

「とにかく、何があるのかは分からないんだから準備はしっかりとしておきましょう。ナタル、シロガネの方の準備はいいわよね?」

「はい、問題ありません。いつでも出航可能です」

「そう、じゃあ指揮は任せるわ」

「は!」

 

 マリューの言葉に敬礼をするナタル。

 そんなナタルに、マリューは困ったように笑みを浮かべて口を開く。

 

「そんなに堅苦しくなくていいのよ? 知っての通り、このシャドウミラーは軍隊でもそこまで規律に厳しくはないの。どちらかと言えば、ザフトに近い組織形態なのよ」

 

 ナタルも、何だかんだでシャドウミラーに来てから結構経ってる筈なんだがな。

 それでも軍人らしい仕草はまだなくならないらしい。

 軍人一家に育ってきただけはあると言うべきだろうな。

 

「は、はあ。その、分かってはいるのですが……どうしても、私は……」

「全く、ナタルもそろそろシャドウミラーに慣れてもいいのにな。家にいる時はあんなに素直で可愛いのに……」

「ちょっ、ムウ!?」

 

 いきなりムウから出た言葉に、ナタルは慌ててその口を塞ごうとする。

 だが、一度出た言葉を隠し通すようなことは出来ず……

 

「うわぁ。ナタルって家では素直で可愛いんだ。これがクーデレって奴?」

「そうね、こういうのがクーデレなんでしょうね」

 

 円の言葉に、美砂が同意する。

 そして二人の視線はこの場におけるもう1人のクーデレ、スレイへと向けられた。

 

「なっ、何だ。今の話に私が何か関係あるのか?」

 

 慌てたように叫ぶスレイだったが、普段クールな表情とは裏腹に、俺達だけになると結構甘えたがってくるのを、俺は……そしてこの場にいる中ではマリューとあやか、千鶴、円、美砂達は知っている。

 普段がクールなだけに、その辺の落差は色々と凄いものがあった。

 

「はいはい、スレイをからかうのはその辺にしておきなさい」

 

 手を叩いたマリューが、皆の意識を自分の方へと集め、改めて口を開く。

 レモンやコーネリアといった面子がいない分、自然とマリューがこの場のまとめ役になるのは当然なのだろう。

 いやまぁ、本来なら俺がまとめ役にならないといけないんだろうが。

 

「それで、木星に向かうのはニヴルヘイムで? それともシロガネだけ?」

「一応シロガネだけで考えている。地球で何かがあった時、すぐ対処出来るのはニヴルヘイムだろ?」

「何かって……木連? それとも……」

 

 言葉を濁すマリューだったが、木連以外の勢力となれば連合軍くらいしかない訳で……

 

「そうだな。その可能性は否定出来ないといったところだ」

「うーん、でも連合軍を率いているグリューノって人は、シャドウミラーの実力を知ってるんでしょ? それなのにどうにかするとは思えないんだけど」

 

 美砂の言葉は事実だ。それは間違いない。そして、グリューノを始めとして、俺達の力を直接知っている上層部の者達は妙な真似をするとは思えない。

 だが……

 

「甘いわよ、美砂。確かにグリューノやその周辺の人物は妙な真似を考えないでしょう。けど、その下……いえ、その更に下辺りかしら。その辺になれば、こちらの情報を完全に把握しているという訳でもないから、独自にこの世界の地球の為に動く可能性があるのよ」

 

 残念そうに呟く千鶴だが、その言葉は紛れもない事実だ。

 グリューノを始めとした最上層部はともかく、その下にいる者達は自分達の手柄を欲して妙な暴走をするとも限らない。

 シャドウミラーという存在について、一般人に比べて生半可に詳しく、それでいてグリューノ達上層部よりも疎い。

 そんな知識の奴等こそが、自分達なら何とでも出来ると判断して俺達に妙なちょっかいを出してくる可能性が高い。

 まあ、それでも実際にそんな真似をするような奴は多くない……と思うんだけどな。

 連合軍にしても、グリューノがしっかりと指揮を執っていればそんな真似はしないだろうし。

 

「ま、とにかくだ。シロガネなら何かあってもすぐに転移して地球に戻ってこられるんだし、その辺を考えれば問題はない……筈だ」

「そうね。……アクセル、レモンからの要望を含めて今回の件はかなり重要なのよ。それを理解した上で、妙な行動は取らないでね?」

 

 念を押すように告げてくるマリューだったが、妙な行動? 特にそれらしい行動をした覚えはないんだが。

 そんな俺の態度で、何を考えているのか理解したのだろう。どこか呆れたような表情のまま、マリューは口を開く。

 

「あのね、アクセル。貴方が普通だと思ってる行動でも、それ以外の人にとってはとてもじゃないけど普通の行動だったりしないの。その辺を本当によく理解した上で行動してよ? ……あやか、千鶴、円、美砂。お願いね」

「うん? 私には頼まないのか?」

 

 マリューの言葉に、スレイがそう尋ねる。

 だが、マリューは小さく首を横に振る。

 

「アクセルの事だから、スレイはこっちに残すんでしょ?」

「……いや、そのつもりだったけど、よく分かったな」

「アクセルの事だもの」

 

 母性溢れる笑みとでも表現すべき笑みを浮かべるマリュー。

 実際、シロガネには交渉役として政治班が乗り込む以上、その護衛という意味ではイザークとオウカがこっちに来るのは半ば自然と俺の中では決定していた。

 するとニヴルヘイムの戦力には、当然スレイとムウが残る訳だ。

 ……まぁ、ナタルとムウの関係を考えると、ムウもこっちに引っ張ってきた方がいいのかもしれないが、その辺は公私混同だとしてあまりナタルが好まないんだよな。

 

「とにかく、木星に向かう実働班は俺、イザーク、オウカの3人。勿論それ以外にもシャドウやメギロートは持っていくがな。スレイとムウにはニヴルヘイムに残って欲しい。さっきの話じゃないけど、連合軍で妙な事を考える奴が出てこないとも限らないし、木連が無人機を動かす可能性もある。そうなれば、当然俺達も連合軍との約定通りに戦力を出す必要があるからな」

 

 その言葉に全員が頷きを返す。

 まぁ、木連にいるのはヤマダモドキだったりすれば、裏をかくとかそういうのは好まないだろうが。

 いや、寧ろモドキという状態だからこそヤマダとは違う行動をしてくる可能性も高いのか。

 その辺りは実際に木星に行ってから確認すべき事だろうな。

 ……あー、でも木連にいるのがヤマダモドキだったりすれば、こっちとしてもかなりやりにくい相手だろう。

 この場合、手強いという意味でやりにくいのではなく、どう反応するか理解出来ないからという意味でやりにくい相手だ。

 木連に対するやり取りは、エザリアに任せた方がいいか?

 実際、俺とヤマダの相性は決して悪い訳ではない。

 だが、それはあくまでも今のヤマダとであり、出会った当初はヤマダは俺への対抗心をこれ以上ない程に剥き出しにしていた。

 うん? そう考えると、これ以上ない程に一度木連をへこませてしまえばいいのか?

 そうすれば、実は結構俺達の望み通りに木連を動かす事も可能……いや、まさかな。

 そもそも、木連の人間がヤマダモドキだというのだってアカツキから聞いた限りであり、実際に木連の人間に会った訳じゃないんだし。

 

「とにかく、今回の木連との間でのやり取りは色々と重要な事になるのは事実だ。その辺をしっかりと考えてそれぞれ行動して欲しい」

 

 迂闊な行動を取るなと言われた俺がこう言うのもなんだが、それでも俺がシャドウミラーの代表である以上、俺が仕切る必要はあるんだよな。

 ともあれ、その言葉に皆が頷くのだった。

 

 

 

 

 

 木星へと向かうメンバーを決めてから、数日。サツキミドリ2号に来るように連合軍から要請され、俺を含めて木星へと向かうメンバーはニヴルヘイムから出てサツキミドリ2号へと向かっていた。

 毎回サツキミドリ2号に行くのは面倒なんだけど、こちらの情報を少しでも漏らさない為、シロガネやニヴルヘイムに乗艦させないようにしてるんだよな。

 まぁ、エリナやミナトのようにホワイトスターにやってきた人物から情報を聞けば、ある程度は知る事が出来ると思うんだが。

 そう考えると、実は今回派遣される連合軍の人材ってのはシロガネに初めて乗る事になるのか。そっちの情報収集も任されてそうだな。

 出来る範囲で、だろうけど。

 

「ようこそ、アクセル代表。それにエザリアさんや他の方々も」

 

 そう言って連合軍の基地の中で俺達に頭を下げたのは、以前グリューノと面談した時に一緒にいた人物だった。

 それはいい。それはいいんだが……俺はその人物の隣にいる男に目を奪われる。

 年齢としては、ミスマル提督と同じくらいか。ただ、特徴的なのは……

 

「キノコ?」

 

 部屋の中に俺の呟きが響き渡るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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