転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1361話

 シロガネに再度通信があったのは、数時間後の事だった。

 ……いや、あれだけの大騒ぎになったんだから、その混乱を収めて他の強硬派が行動しないようにして、その上で意見を纏め上げたと考えれば、決して遅いって訳じゃないだろうが。

 それでも俺達としてはただ待っていることしか出来ず、結局暇になった時間でスクラップ集めをする事になった。

 ぶっちゃけ、もうバッタはいらないんだが。

 それでも技術班が何かの役に立てるだろうからという思いと、何よりいざとなればキブツに放り込んで資源にしてしまえばいいという狙いもあるので、決して無駄な行動って訳じゃないんだけどな。

 特にキブツの方は幾ら資源があっても困る事はないんだし。

 もっともキブツは元素変換をする装置であり、投入するのが何であってもレートのようなものがある訳ではない。

 つまりバッタの残骸を入れようが、木星の周辺にある小惑星帯の中から適当な大きさの岩塊辺りを投入しようが、変換される物は一緒な訳だ。

 そう考えると、別にバッタを集めなくても……いや、エコだエコ。うん、これもエコ。

 このままここに放っておけば、木連がデブリとなったバッタの部品で被害を……と思ったが、よく考えれば木連にとってバッタを始めとした無人機ってのは重要な代物な訳で。

 この辺に残骸が漂っていれば、それこそ回収して再利用出来る部分は再利用したんじゃないだろうか。

 ……深く考えると、俺達がやったのって木連の資源を強奪した事になるのか?

 量が量なので、現在バッタの残骸は俺の空間倉庫の中に入ってるんだが……もし返せと言われたら返した方がいいような気がしてきた。

 それでも、向こうにしてみれば自分達の不始末が原因で俺達に被害が……そんなに深刻なのは出てないな。今回はメギロートも撃破はされてないし。

 さすがに全部が無傷って訳じゃなく、小破になった機体もあるが。

 ああ、それに弾薬の補給……も、基本的にエネルギー兵器が主力となるシャドウミラーでは消耗してないしな。

 使い捨てのS-11のミサイルポッドも、今回は木連の本拠地のすぐ近くという事もあって使ってないし。

 うん、そう考えると消耗したのはイザークやオウカ、量産型Wの体力だけか?

 けど体力は休めば回復するし。

 

『お待たせして申し訳ありません。少し時間が掛かってしまいました』

 

 そう告げたのは、相変わらずの白鳥。

 俺達と最初に接触したのが白鳥だったせいか、この短時間で俺達の担当って事にでもなってるんだろうか。

 まぁ、人間誰しも面倒には関わり合いたくない……と思ったけど、ヤマダの系等なら寧ろ自分から嬉々として面倒に突っ込んで行くような気がしないでもない。

 

「そう、それでこれから私達はどうしたらいいのかしら? まさか全面戦争?」

『そ、そんな事はありません。そちらの……シャドウミラーと言いましたか。私の上司が貴方達の話を聞きたいと言ってますので、会談をしたいと思うのですが、どうでしょう?』

 

 エザリアが視線を俺の方に向けてくる。

 それに対して俺が返すのは頷きだけだ。

 そもそも、こちらとしては木連と交渉をするのが目的で木星までやってきたのだから、この提案を断るつもりは一切ない。

 寧ろこちらから望むべき事だ。

 ……そう思っていたんだが、何故か映像モニタに映し出されている白鳥は俺の方をじっと見つめていた。

 何だ? 好意的な視線って訳でもないが、敵意の類でもない。

 

「では、そうさせて貰いましょう。会談はどこで行われるのかしら?」

 

 俺を見ていた白鳥だったが、エザリアのその口調で慌てて我に返る。

 

『小惑星の一つにこちらの軍港があります。そこでどうでしょう? 個人的にはれいげつに招待したかったのですが、上に止められまして』

「れいげつ?」

 

 ブリッジにいる全員の疑問を代表してエザリアが尋ねる。

 話の流れから考えて、恐らく基地か何かの名前だと思うんだが……

 

『はい。れいげつというのは、言わば我々の首都と言っても構いません。そちらからでも見えるのでは?』

 

 その言葉に、ブリッジにいた皆が映像モニタへと視線を向ける。

 巨大な宇宙艦がそこにはあった。

 木星に来た時に話題にしていた艦だな。

 なるほど、やっぱり木連の首都はあの艦だったのか。

 

「れいげつ、というの。いい名前ね」

『そう言って貰えると、私としても嬉しく思います。……今回の会談が成功し、そちらと我々の関係が深まれば、れいげつに招待するのもそう遠くないかと。お互い、悪の地球を倒す為に頑張りましょう。……では、軍港の座標を送ります。私達は先に軍港で待っていますので、直接お会い出来るのを楽しみにしています』

 

 そう告げると、映像が切れる。

 残っているのは、沈黙に満ちたブリッジ。

 そんな中で、不意に円が口を開く。

 

「悪の地球って……私達が地球とも交渉しているというのは、向こうも知ってるのよね?」

「間違いなくな。そもそも、このシロガネは今まで幾度も連合軍と協力して木連の無人兵器と戦っている。そうである以上、地球と友好的な関係にあるのは知らない筈はない」

 

 ナタルの言葉は事実だ。事実はではあるが……

 

「けど、俺達が倒してきたのは結局のところ無人機だ。それも、地球や火星に派遣された、な。だとすれば、木連が俺達と地球の関係を知らないという可能性もあるんじゃないか?」

 

 そう告げる。

 実際問題、フォールド通信のような特殊な通信システムがあるのであれば、地球と火星、地球と木星どころか、太陽系以外からでもタイムラグなしで通信出来る。

 フォールド断層があれば話は別だが。

 だが、木連にその手の技術がある可能性は少ない訳で……

 

「だとすれば、向こうはまだ私達と連合軍や連合政府の関係を知らない、と?」

 

 確認するように尋ねてくるエザリアだが、俺に向けてくる視線には若干の疑問が宿っている。

 なる程、エザリアは木連が何らかの通信システムを持っていると考えている口か。

 俺はないと思うが、それだって多分って感じでしかない。

 実際にはあってもおかしくはないんだが……どうなんだろうな。

 取りあえず、普通の通信ではないと思うから、もしあるとしても何らかの特殊なシステムを……ああ、そう言えばチューリップがあったな。

 そのチューリップを使った通信システムとかなら持っていても不思議ではないか。

 

「恐らく、多分、もしかしたら。そんなところだけどな。詳しいことは向こうから招待された軍港に向かえばそれで分かるだろ。それに、ヨシサダを紹介する必要もあるだろうし」

「そうなると、もしかしたらその時点で敵対する事になるかもしれませんわね」

 

 そうなんだよな。あやかの言う通り、木連が地球にどれ程深い恨みを抱いているのか分からない以上、ヨシサダを紹介した瞬間に攻撃されるという可能性も十分過ぎる程にある。

 向こうに取っては地球は不倶戴天の敵である以上、いきなりの攻撃もないとは言い切れない。

 

「うーん、でも大丈夫じゃないかしら。向こうが攻撃しようとしても、こっちにはアクセル君がいるんだし」

 

 チラリと俺の方を一瞥して告げる千鶴。

 実際それは間違ってる訳じゃないんだけどな。

 この世界の住人が生身の戦いで俺達に勝つというのは、まず有り得ない。

 

「俺がいるってのはともかく、向こうが何をしてくるか分からない以上、千鶴は同行者に必須だろうな」

 

 千鶴は多くの魔法を使いこなせる。

 攻撃魔法に関してはあまり得意ではないが、それでも相手を麻痺させる電撃の矢を放つ事も出来るし、防御や補助に限って言えばあやかよりも上だ。

 そして何より、虹色領域の腕輪がある。

 7つの能力を発揮するこの腕輪は、色々な面で便利だ。

 

「そうね。……では、会談に向かうのは私、あやか、千鶴、アクセル、ヨシサダ少将というところでどうかしら?」

「最初からヨシサダを連れていくのか? ファーストコンタクトなんだし、最初は無難に終わらせた方がいいと思うんだが」

 

 エザリアの言葉に驚いてそう告げると、エザリアは首を横に振る。

 

「私も最初はその方がいいかと思ったんだけど……先程の白鳥少佐と話した限りだと、向こうは……そうね、良く言えば実直な、悪く言えば単純な性格のように感じたわ。勿論木連の全員が白鳥少佐と同じ性格という訳でもないんだから、こちらの考え過ぎかもしれないけど……万が一、という事があるでしょう?」

 

 ヤマダモドキが多いと考えれば、エザリアの言葉も決して有り得ないって訳じゃないのか?

 ともあれ、政治班トップのエザリアがそう言うのだから、その通りにした方が無難か。

 

「分かった。じゃあその方向性で行こう」

 

 そうして話が決まった以上、いつまでもこの宙域にいる訳にもいかず、ナタルの指示で量産型Wが指定された軍港へと向かってシロガネを進める。

 

「円、ヨシサダ少将の部屋に連絡して頂戴」

「はいはい。……いいわよ」

 

 エザリアの指示に円がすぐに反応し、映像モニタにヨシサダが映し出される。

 当然のようにそこには量産型Wもいる。……って、それはさっき話した時と変わりないか。

 

『はい、どうされました?』

「ヨシサダ少将、実はこれから木連との会談を行う事になったのですが、そこに同席しませんか?」

 

 そんなエザリアの言葉に、ヨシサダは意表を突かれた表情を浮かべる。

 まさか会談に同席するように言われるというのは、完全に予想外だったのだろう。

 

『よろしいのですか? 私が同席すると……』

「ええ、勿論向こうが色々と言ってくる事はあるでしょう。ですが、この艦に連合軍の軍人が同乗しているというの隠しておけば、それが明らかになった時、確実に騒ぎになります。であれば、最初にそれを見せておいた方がいい。勿論ヨシサダ少将には深く突っ込んだ話をする場合には席を外して貰う必要がありますが。……どうでしょう?」

 

 エザリアの言葉に、ヨシサダは数秒悩んだ様子を見せるもすぐに頷く。

 この辺の決断力の速さは子供の方のキノコには……いや、決断力って点だとそんなに悪くはないのか。もっとも、その決断がエリナや俺を撃つ事だったりして、結果として自爆してるんだが。

 

『分かりました、ではありがたく同席させて貰います。それで、私はどうすればいいのでしょう?』

「現在シロガネは向こうが指定した軍港に向かっています。そこに到着するまでもう少し掛かるのでゆっくりしていて下さい。到着したら量産型Wが案内しますから」

『分かりました。……お手数をお掛けします』

 

 その言葉と共に通信が切れる。

 

「さて、取りあえずこれで問題はないだろうけど……一応ヨシサダを向こうに見せるという事は、会談がご破算になる可能性も高い。そうなった場合、向こうが攻撃を仕掛けてくる可能性は十分にあるから、こっちも対応する用意をしておいた方がいいな」

「そうね。……ナタル、イザークとオウカにいつでも出撃出来る準備をさせておいてくれる?」

 

 エザリアの言葉にナタルが頷き、早速指示を出しているのを見ながら、ブリッジへと視線を向ける。

 円と美砂は全く戸惑う様子もなくブリッジで各種機器を操作しているのを見ると、もう完全に慣れているのだろう。

 結構長い間シロガネを動かしているのだから、その辺は当然なんだろうが。

 

「向こうはどう動いていると思う?」

 

 俺の側に移動してきた千鶴がそう告げるが、正直その辺はどうなんだろうなというのが強い。

 

「ヤマダと似たような性格の奴が多いって話だから、下手をすればいきなり戦闘状態になる可能性もあるだろうな。……まぁ、さすがに木連の全員が全員そういうタイプだとは思わないけど」

 

 いや、もしそうだとすれば、木連は国として回っていないんじゃないだろうが。

 ……その状況で国が纏まっているとすれば、それはそれで少し面白い。

 そんな風に話しながら、十数分。やがて目的の座標へと到着する。

 

「へぇ」

 

 映像モニタに映し出されたその軍港の姿に、感心の呟きを漏らす。

 何故なら、それは一見すると単なる小惑星にしか見えなかったからだ。

 どうやらあの岩塊の中身をくり抜き、軍港として使っているのだろう。

 まぁ、木星なんて場所に拠点があるんだから、考えてみればそれは当然なのかもしれないな。

 

「艦長、誘導ビーコン来ました」

 

 量産型Wの言葉に、ナタルは頷いて口を開く。

 

「よし、誘導ビーコンに従って軍港に入れ。ただし、何かあった時にはすぐに対応出来るようにしておけ」

「了解」

 

 こうしてシロガネは軍港の中へと進んでいく。

 ……さて、これからどうなるかだな。

 出来れば連合軍との間に和平を結ばせる事が出来ればいいんだろうけど……それは難しそうだし。

 未来の難しさを考えながら、俺は軍港の様子を観察するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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