転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1377話

「美味い! これは……美味い! な、なんだこの食べ物は……これが……シャドウミラーの料理!?」

 

 超包子の中に、高杉の歓喜の声が響く。

 いや、歓喜の声を上げているのは高杉だけだが、他の木連の面々もそれぞれに驚きの表情を浮かべている。

 そんな木連の面々を少し驚きの表情で眺めるグリューノ達。

 それは俺もまた同様だった。

 シャドウミラーご自慢の中華料理店、超包子。当然この店で出される料理の味については自信があるし、実際美味いからこそ交流区画にある店の中でも常にトップクラスの人気を出している。

 だが……それでもここまで叫ぶ必要がある程に美味いのかと言われれば、首を傾げざるを得ないだろう。

 

「ねぇ、アクセル。木連の食事ってどうなってるの?」

 

 木連の喜びように驚いたのか、神楽坂が尋ねてくるが……

 

「どうだろうな。木連に行ってはいたけど、基本的に食事はシロガネで食べてたし」

 

 シロガネにある食堂で出される食事は、量産型Wが作っているものだ。

 機械が自動的に調理したり、冷凍だったりフリーズドライだったりするのよりはマシだが、それでも四葉が作った料理に比べると当然劣る。

 疑似記憶や疑似経験といった代物で、その辺の素人料理よりは格段に美味い料理が出来上がるんだが……

 その辺を考えると、やっぱり木連に比べて俺達は恵まれているんだろう。

 

「九十九! これは、これこそがナナコさんが食べていた青椒肉絲!」

「ああ、ああ、ああ! そうだ。これが……これこそが!」

「うむうむ。お前達の気持ちはよく分かるぞ。こんなに美味い料理を実際に食えるとは……これだけでも今回の会談に参加した甲斐があったというものだ」

 

 白鳥、月臣、秋山の3人がそれぞれ騒いでいる。

 ……うん? 3人?

 草壁はともかく、高杉はどうしたんだ?

 そんな事がふと気になって高杉の席へと視線を向けると、そこではさっき叫んでいたのが嘘のように麻婆豆腐を食べながら、チラチラと神楽坂へと視線を向けている高杉の姿があった。

 うーん、高杉が色々な意味で駄目だな。

 女に免疫がなさ過ぎるというか……俺の勘では、高杉が一度その気になればかなりの遊び人というか、軽い性格になれると思うんだが。

 それこそ、アカツキとかムウのように。

 俺の勘違いか? ……まぁ、その辺は俺が気にする事でもないし、取りあえず適当に流すとするか。

 ちなみに高杉に熱い視線を向けられている神楽坂だが、本人は全くそんな視線に気が付いた様子はない。

 ……哀れ過ぎる……

 そんな風に考えながら、俺も小腹が空いていたという事もあり、皿の上に乗っていた肉まんへと手を伸ばす。

 噛み締めると皮のふんわりとした食感と、ほんのりとした甘さが口の中一杯に広がる。

 そうして次の瞬間には中の餡の旨味がたっぷりと口の中へと広がっていく。

 美味い……な。

 

 ――どうですか?――

 

 俺の近くに不意に立ったその人影は、この超包子の店主でもある四葉だ。

 相変わらずこの肉まんと同じようにほんわかとした雰囲気を持っている。

 

「ああ、美味い。その辺で食べる料理とは比べものにならないくらいだな」

 ――そうですか。喜んで貰えて何よりです――

 

 笑みを浮かべた四葉が、そのまま神楽坂の方へと向かう。

 

「……アクセル代表。今の女性はもしかして?」

 

 汁なし担々麺を食べていたグリューノが、不意に尋ねてくる。

 

「ああ。四葉五月。この店の店主で、同時にシャドウミラーに所属している人物だ」

「ほう、あのような女性まで……だが、確かにこの料理は美味い。しかし、木連の人達は何故こうも喜んでいるのやら」

 

 不思議そうな表情を浮かべているグリューノだが、何となく理由は理解出来る。

 木連では食べ物に必要なのは、とにかく量で、味……質はそんなに重要視されてなかったのだろう。

 木連にどれだけの人数がいるのかは分からないが、それでも数百人、数千人程度な訳ではない筈だ。

 寧ろ、木星のような場所でよくもまぁ、それだけ食料を用意出来たと感心する。

 そんな木連の人間としては、シャドウミラーの中でも最高峰の腕を持つ四葉の料理というのは、致命的なまでに衝撃的だったのだろう。

 ……高杉に関しては、話は別だったが。

 

「恐らくグリューノにとってはあまり面白い話じゃないぞ」

「なるほど。では、これ以上は聞かない事にしておこう」

 

 そう告げると、再び料理へと戻っていく。

 そのまま、全員が料理へと集中していくのだが……それでも地球と木連の者達が話している様子は見えない。

 地球のメンバーは地球のメンバーと、木連のメンバーは木連のメンバーで話している辺り、お互いの溝の深さを物語っていた。

 いや、実は木連のテンションの高さについていけないだけって可能性もあるのか?

 ともあれ、木連の面々に関しては非常に嬉しいだろう食事は終わり、超包子を後にする。

 ……木連の面々が物凄く名残惜しそうにしていたが。

 

「さて、じゃあ腹ごしらえも終わったし、次はどうするんだ?」

 

 チャイナドレス姿の神楽坂は超包子の中にいたからか、最初に会った時のようにチャイナドレス姿を恥ずかしがってはいない。

 まぁ、何年も超包子でチャイナドレス姿の看板娘として働いてたんだから、慣れってのはあるんだろう。

 その割りには交流区画では思い切り恥ずかしがっていたが。

 

「そうね。場所としては何ヶ所か候補地があるけど……ファンタジー系の施設がいいと思うわ」

「となると、博物館か牧場か?」

 

 ホワイトスターの中では、色々とファンタジー系の施設がある。

 博物館と牧場というのは、まさにファンタジーの象徴と言ってもいい。

 特にワイバーンの試乗というのは最たるものだろう。

 

「うーん、それもいいんだけど。エルフの森はどう?」

「……そっちがあったな」

 

 エルフ、ハイエルフ、ダークエルフの3種族が暮らしているエルフの森。

 ただまぁ、シャドウミラーの中には以前よりエルフの数は少なくなっている。

 精霊の卵という傭兵団と活動している者もいるし、レモンが言っていた技術班の見習いとして活動している者もいる。

 そういう風にそれぞれ活動した始めた結果、エルフの森にいるエルフは以前と比べると圧倒的に少なくなっているのは事実だ。

 まぁ、生活の基盤……というか、純粋な家が森にあるのは確かだから、夜になれば訓練が終わってきた面々が帰ってきたりはするんだろうが。

 今はどうしようもない以上、森に行っても仕方がない。

 寧ろそこにある公園になら、他の人が遊びに来ていたりするかもしれないが……

 

「まさか、この面子が公園で遊ぶって訳にもいかないだろ?」

 

 そう告げる。

 地球側にしろ木連側にしろ、全員がいい大人だ。

 一番若いのは……木連の高杉じゃないか?

 その高杉でさえ、10代後半から20代半ばといった年齢だ。

 そう考えると、とてもではないが公園で遊ぶなんて真似は出来ない。

 いや、ここはホワイトスターだから問題はないが、場所によっては怪しい集団に見られて通報される可能性だってすらある。

 ……一国どころか、三国のトップに近い位置にいる者達が、纏めて怪しい人物として警察に職務質問される。

 その辺を考えると、妙に面白いような感じがした。

 だからって、そんな風になってみたいとは思わないけどな。

 職務質問とか、色々と面倒そうだし。

 

「そう? 公園にはエルフの子供達もいるんだから、そういう人達と遊んでみるのも面白いと思うんだけど」

「却下だな。……いや、もしかしたらそっちにも興味はあるかもしれないが」

 

 エルフという時点で興味を持ってもおかしくはない。

 そこに子供という要素が加われば……ミスマル辺りは興味を持つ可能性もある。

 まぁ、ロリコン的な意味じゃなくて、純粋に父性愛的な感じだろうが。

 

「うーん、じゃあやっぱり無難に牧場?」

「そうだな、どうするかは本人達に聞いてみるか」

 

 出来ればいきなり見知らぬ場所へと連れて行って驚く様子も見たいのだが、その連れて行った場所が面白くなかったりすれば本末転倒だしな。

 それに、多少は地球と木連の関係修復の切っ掛けにでもなれば万々歳ってところか。

 神楽坂もその言葉に頷き、そういう事になった。

 

「ちょっといいか」

 

 その言葉に、地球、木連両方の視線が俺の方へと集まる。

 

「これからの事だが、行く場所の候補が2つある。そのどちらに行くのかを、お前達全員で話し合って決めてくれ」

『な!?』

 

 その言葉は予想外だったのだろう。地球、木連の区別なしに驚愕の声が上がる。

 そう、地球と木連の2つのグループに分かれてお互いに話をしないのであれば、強制的にでも話をさせるようにしてしまえばいいのだ。

 ……かなり強引な方法なので、もしかしたら返って仲が悪くなる可能性もない訳ではないが……それでも、何もしないよりはマシだろう。

 驚きで動きが止まっている間に、そのまま説明を続ける。

 

「候補は2つ。1つはさっきもちょっと言ったが、もう行けなくなった世界……門世界という世界のモンスターの資料や骨格標本とかを集めた博物館。ドラゴンの骨格標本もあるぞ。他にもオークやゴブリン、トロールといったファンタジーのモンスターの存在とかも」

 

 ドラゴンの骨格標本という言葉に興味を持った様子を見せるが、それに対して何かを言う前に再び言葉を続ける。

 

「もう1つは、牧場。シャドウミラーの量産型Wが育てている動物各種を見る事が出来るし、牧場で作られたチーズや牛乳、ハム、ソーセージ、ベーコンといった物を買う事も出来る」

 

 その言葉は、木連の興味は引いたようだが、地球の方は特に興味を引かれた様子はない。

 まぁ、超包子の時の事を思えば木連にとって美味い食事というのは滅多に食べられないだろうものだから、興味を持つのは当然だろう。同時に、地球側にしてみればその程度の食材はいつでも入手出来るのだから、興味を引かないのも当然か。

 特にここにいるのはグリューノ、ミスマル、ヨシサダといった風に高給取りだろう者達だ。

 であれば、かなりの高級品を購入したりしてもおかしくはない。

 だが……それでも、地球の連中の興味を引く事が出来る要素は勿論ある。

 

「ちなみにホワイトスターにある牧場では、飛竜……いわゆるワイバーンも飼育してて、それに乗る事も出来る」

「ワイバーン!?」

 

 真っ先に声を出したのは、グリューノ。

 どうやらグリューノの興味をこれ以上ない程に引いたらしい。

 

「アクセル代表、そのワイバーンに乗れるという話だが、私も乗れるのかな?」

「ああ、勿論誰でも大丈夫だ。ただ、少し訓練が必要になるかもしれないな」

「むぅ、そうか……」

 

 少し残念そうに呟くグリューノだったが、これだけはどうしようもない。

 まぁ、量産型Wとかがワイバーンを動かし、同乗するという方法もあるが……というか、これがメインだが。

 

「まぁ、どっちに行くかは話し合って決めてくれ。ちなみに言っておくが、別々に行動するというのは却下な」

 

 一応俺と神楽坂がいるから、別々に行動しても構わないのではあるが……それでも今回の狙いは地球と木連の間にある溝を少しでも埋める為だ。

 である以上、こちらとしても多少なりとも企む必要はある。

 そんな俺の言葉を聞き、グリューノと草壁がそれぞれ視線を交じわらせる。

 そうして2人がお互いに緊張したように近づいていき……それぞれ小声で自分の主張をする。

 

「あら、結構いい感じじゃない? とても敵対している集団のリーダーだとは思えないわよ?」

「だな。まぁ、戦闘になっていないってのも大きいだろうな」

 

 そして武器を持っていないというのも大きいだろう。

 また、ここで俺達の顔を潰すとシャドウミラーが自分達に抱く印象が悪くなるというのもあるんだろう。

 ……今はそれでもいい。だが、いずれこの2つの勢力が戦争を辞めて和平を結んでくれれば最善の展開なんだけどな。

 

「ふーん……こうして見ても、別に変わらないのね。普通の人間よね」

 

 木連組を眺めながら呟く神楽坂だが、それも当然だろう。

 

「100年で変わってきたりする筈もないだろ」

「そう? でも、火星……私達の世界にある火星には亜人って呼ばれる人が大勢いるわよ?」

「ネギま世界と一緒にするなよ」

 

 神楽坂の言葉に溜息を吐き……ふと、鋭い視線に気が付く。

 殺意の類がある訳ではなく、単純に鋭く、強い視線。

 その視線が向けられている方を見返すと、そこにいるのは高杉。

 高杉は神楽坂に一目惚れ……って程じゃないけど、惹かれているのは間違いのない事実だ。

 いや、そこまでいってない可能性もあるけど。

 ともあれ、高杉が俺に向けているのは嫉妬の視線なのは間違いない。

 

「アクセル? どうしたの?」

「いや、何でもない。とにかく、ネギま世界の火星ってのは色々と特殊なんだから、あそこを基準にするのは間違ってるぞ」

 

 哀れなのは、神楽坂がそんな高杉の視線に気が付いてない事か。

 ……神楽坂も色んな人に告白されてる筈なんだけどな。

 結局神楽坂は神楽坂という事か。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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