転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1379話

「ちょっと、見てよアクセル。この羊の子供凄く可愛いわよ!?」

 

 神楽坂の声に視線をそちらへと向けると、そこには言葉通りに羊の子供と戯れている神楽坂の姿があった。

 ……というか、深くスリットの入っているチャイナドレスを着てしゃがむというのは、色々な意味で凶悪な破壊力を持っていると言えるだろう。

 神楽坂の白くて肉付きのいい、美脚派の人間がいれば間違いなく目を奪われる……いや、美脚派じゃなくてそれ以外の人間でも目を奪われてしまうだろう太股が露わになっている。

 神楽坂本人は自分がどんな格好をしているのかに全く気が付いた様子もないまま、羊の子供を撫でている。

 うん、確かにその羊の子供は可愛いと言ってもいいだろう。

 それに異論はないが……

 

「神楽坂、自分の今の姿を客観的に見てどう思う?」

「……え?」

 

 一瞬俺の言っている内容が分からないと言いたげな神楽坂だったが、そのまま自分の姿の見える場所へと視線を向け……そして、自分が太股の根元近くまでをも剥き出しにしている状況に気が付く。

 

「きゃっ! ちょっと、こっち見ないでよ! エロアクセル! あんた、本当にエロいわね! エッチ! スケベ! エロ男爵! エロセル!」

「いや、エロセルって何だよ。……そっち関係が盛んなのは否定出来ない事実だが」

 

 恋人が10人以上いて、その殆どと一緒に暮らしている……同棲しているのだから、女関係が派手だと言われても決して否定出来ない。

 しかもその恋人全員が並外れた美人揃いとあっては、羨ましがられ、妬まれ、更には憎悪すらされてもおかしくはない。……というか、実際シェリルの関係でそんな事にはなってるしな。

 銀河ネットワークの匿名掲示板のような場所では、俺がボロクソに言われているらしいし。

 

「そう言ってもな。お前が自分から見せびらかしたんだろう?」

「べ、別に見せびらかしたつもりなんかないわよ! 全く、本当にアクセルってエロセルなんだから。油断も隙もあったもんじゃないわね」

 

 チャイナドレスの裾を気にしながら呟く神楽坂に苦笑を浮かべつつ、何故か俺に懐いてきている羊の子供を撫でる。

 

「メー……メー……」

 

 動物ってのは、何でも子供の時は可愛いよな。

 この羊の子供も、こうして撫でていると気持ちいい感触だし。

 ……それでも、大きくなれば当然肉に変わってしまうんだが。

 マトンやラムは好きだが、こうして羊と一緒にいると微妙な気分になる。

 

「なーに、急に妙な顔をして」

 

 少し前に怒っていたのをもう忘れたのか、それとも意図的に忘れるようにしたのか、神楽坂がそう尋ねてくる。

 

「いや、この子羊も可愛いけど、将来の事を考えるとちょっと……な」

 

 ジンギスカンとかは好きなだけに、余計にそんな風に思う。

 その話を聞いた神楽坂は、嫌そうな表情を浮かべて俺へとジト目を向けてくる。

 

「ちょっと、こういう時にそういう事を言わないでよ。デリカシーに欠けてるわよ。ねー?」

 

 最後のねーというのは、当然俺に向けられた言葉……ではなく、撫でている羊の子供――俺に懐いているのとは別――に対してのものだ。

 いやまぁ、神楽坂がそんな態度を俺に取るとは思えないからいいんだけどな。

 

「あー……そうだな。今のはちょっとデリカシーがなかったかもな。悪い」

「メー」

 

 そんな俺を励ますかのように、羊の子供が鳴き声を上げながら顔を擦りつけてくる。

 ……どうでもいいけど、羊の子供じゃなくて子羊って言うと食材に思えてしまうな。

 子羊のローストとか、普通に聞く料理名だし。

 頭の中に以前に食べた料理が思い浮かび……するとそんな俺の考えを読んだのか、それともただの偶然か、ともあれ俺に懐いていた羊の子供は神楽坂へと向かって歩いて行く。

 それを見た神楽坂は、得意気な表情を浮かべながら俺の方へと視線を向けてくる。

 

「ふふん、この子達も自分の事を食べ物として見ているって気が付いたんでしょうね。どう? アクセルも自分の罪深さが理解出来た?」

「いや、俺は別にそんなつもりは……なかった、とは言わないけどな」

 

 ここで誤魔化しても意味はないだろうし、素直にそう告げる。

 俺を言い負かしてご満悦の神楽坂と共に、20分程羊の子供を愛でながら過ごし……ふと小腹が空いているのに気が付く。

 

「なぁ、神楽坂。少し腹が空かないか?」

「え? そう? ここに来る前に超包子で食べてから、まだそんなに時間は経ってないと思うんだけど……うーん、でも言われてみればそうかも。何か食べる?」

「ああ。土産物屋にある食堂に行かないか?」

 

 一応この牧場にも食堂は存在する。

 まぁ、食堂というよりは、この牧場で作っているハムとかベーコン、チーズ、ソフトクリームといった加工食品を食べる為の場所なんだが。

 料理をするのは量産型Wなので、四葉が作るのに比べれば味は当然落ちる。

 それでも凝った料理であればまだしも、今食べたいのは簡単に食べられる料理だ。

 それこそボイルしたウィンナーとか、焼いたベーコンとか。

 あまり手の込んだ料理ではない以上、腕の差はそこまで出ることはない……と思いたい。

 

「うーん、そうね。じゃあ行きましょうか。知ってる? ここのソフトクリームって美味しいのよ?」

「いや、それは俺が地球や木連の連中に言っただろ」

「あ、そうだっけ? ま、いいわ。じゃあ行きましょ。ごめんね、じゃあ私達は行くから。また今度来た時に遊んでね。……アクセルにはよく注意しておくから」

 

 羊の子供を撫でながら神楽坂が告げると、まるでその言葉を理解しているかのように羊の子供はメーメーと鳴いて去って行く。

 ……本当に聞き分けがいいな。

 もしかして、技術班辺りが妙な実験を行って知能を上げたりしてないだろうな?

 技術班の事を考えると、何だか普通にありそうでちょっと怖いんだが。

 

「アクセル? どうしたの?」

「いや、何でもない。じゃあ行くか。……神楽坂は何を食べるんだ?」

「うーん、そうね。ソーセージを食べたいかしら」

「まぁ、妥当だろうな。ボイルしたソーセージは最高……」

「ちょっと待って」

 

 俺の言葉を遮るように告げてくる神楽坂。

 何だ? どこかジト目を向けてきてるんだが。

 

「ソーセージは焼くのがベストに決まってるじゃない。茹でたらお肉の美味しさがお湯に流れていくでしょ」

 

 どうやら神楽坂はソーセージを焼く派だったらしい。

 ジトリとした視線をこちらに向けてくる様子は、自分の意見が絶対的に正しいと思っているのだろう。

 いやまぁ、焼いたソーセージも嫌いじゃないけどな。

 香ばしさとか軽く焦げ目が付いている事により、食欲は増すし。

 俺としては茹でた方がいいと思うが、別に茹でたものしか許せないという程でもない。

 ……というか、このままここで言い合っていれば目玉焼きに何を掛けるのかとか、そういう論争に発展しそうな感じがする。

 ちなみに俺の場合は一般的な醤油一択だったりするが。

 

「まぁ、食べ方は人それぞれだろ。ポトフとかにはソーセージが具として入っているし、おでんにもソーセージが具となっているのは最近よく見掛けるし」

「それは……まぁ、そうだけど」

「取りあえず食堂に行って、俺が茹でたソーセージを、神楽坂が焼いたソーセージをそれぞれ注文して、どっちが美味いかを確かめてみるというのも面白いかもしれないな」

「……そう? じゃあ、そうしようかしら」

 

 何とか神楽坂を納得させる事に成功し、俺達はそのまま食堂へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「皮の食感に関しては、焼いた方が上かもしれないな」

「でしょ?」

 

 食堂で注文したソーセージを食べながら、そう神楽坂に告げる。

 ちなみにこの牧場で作られているソーセージを始めとした加工食品は、食品添加物の類は一切使われていない。

 当然その類のものが入っていなければ、食料としての保存期間も長くないのだが……少なくてもこの牧場では食べ物を腐って捨てるというような真似はされた事がなかった。

 その最大の理由が、ワイバーンだ。

 基本的に大食らいであるワイバーンの食料は、当然のようにキブツで作り出されている。

 そしてキブツで作り出された餌には、廃棄処分用の食べ物が混ぜられる事が多々ある。

 特に多いのは当然牧場で作られたハムやソーセージといった代物だが、他にも交流区画でやっている食品店での残り物とかもある。

 超包子もそうだが、本当に全ての食べ物がその日のうちに売り切れるなんて事はまずないので、それを処分するのがワイバーンという訳だ。

 

「けど、焼くと皮が割れるだろ? そうすると肉汁とかが出てしまうから、焼きで美味く食べるのには調理する技量が必要になるな」

「それは……否定出来ないけど」

「ついでに、ソーセージを焼く時には人によって油を敷いたりするだろ? フライパンとか焦げるし。そうなると、ソーセージが無駄に脂っこくなる。……バーベキューとかで焼く時はいいんだろうけど」

「うーん、そう言えばそうね。実際に前に食べたバーベキューのソーセージは美味しかったし」

「茹では茹でで、結構難しいところがあるらしいんだけどな。沸騰させると旨味が逃げ出してしまうって意味で」

 

 そんな俺の言葉に、神楽坂はジト目を向けてくる。

 

「なら、どうやって茹でるのよ?」

「沸騰する寸前でお湯を止めて、そこにソーセージを入れて茹でるのがベストらしいぞ。まぁ、実際にはそこまでやるような奴はそんなにいないだろうが」

 

 普通ソーセージをボイルすると言えば、お湯を沸騰させてそこにソーセージを突っ込んで暫く茹でるしな。

 

「ふーん。……まぁ、茹でたのも美味しいってのは認めてあげるわ」

「いや、別に神楽坂が作ったわけじゃないのに、何で偉そうなんだよ」

「それは……」

「ああああああああああっ!」

 

 神楽坂が俺の言葉に何かを言い返そうとした瞬間、食堂の中に大声が響き渡った。

 何だ? と疑問に思って視線を向けると、そこにいたのは高杉。

 愕然とした表情で俺の方へと……いや、神楽坂の方へと視線を向けている。

 

「か、か、神楽坂さん。その、もしかしてアクセル代表とデ、デ、デートとか……でしょうか?」

「ふぇ?」

 

 高杉からの言葉は余程予想外だったのだろう。

 神楽坂の口から出たのは、奇妙な声だった。

 だが、数秒程して何をどう言われているのかに気が付いたのだろう。慌ててテーブルを叩きながら立ち上がる。

 

「ちょっ、ちょっと、いきなり何を言ってるんですか! そ、そんな、アクセルとデートだなんて……そんな事ある筈ないでしょう!?」

「でも、こうして2人で食事を……」

「一緒に食事をしたからって、別にデートって訳じゃにゃにでしょう」

 

 あ、噛んだ。

 

「いえ、男女が一緒のテーブルで食事をしているのであれば、それは立派にデートです。……すいません。まさか神楽坂さんとアクセル代表が、その、付き合っていたなんて思いもしませんでした。……何て言えばいいのか分かりませーん!」

 

 それだけを言うと、高杉は俺と神楽坂の前から走り去る。

 いや、さすがに木連の中でもトップクラスの身体能力を持っているというだけあって、足が速いな。シャドウミラーのメンバーと比べると遅いが、一般人の基準で考えれば間違いなくオリンピック級と言ってもいいだろう。

 そんな風に高杉を見送っていると、慌てたように神楽坂が俺の方へと視線を向けてくる。

 

「ちょっと、どうするのよ! あれ、絶対に勘違いしたわよ!?」

「あー……だろうな」

「あのねぇ……何だってそんなに気にしてないのよ」

「いや、今更だし」

 

 俺の場合、異性関係に関しては色々と派手な事になっている。

 今更神楽坂との仲を誤解されてもな。

 そもそも、俺と神楽坂は何だかんだと色々親しいと言ってもいい。

 今までにも色々と俺と神楽坂の仲に対する噂があったというのは、聞いた事があるしな。

 寧ろ高杉にとってショックだったのは、自分が一目惚れか……もしくはそこまでいってなくても、いいと思っていた神楽坂が俺とデートをしてたって事なんだろうし。

 

「ちょっと、今更ってどういう事!? もしかして……」

 

 俺の言葉を聞き逃せないとばかりに告げる神楽坂。

 俺はそんな神楽坂に対して頷きを返す。

 

「俺とお前の仲を疑う噂ってのは、随分前から流れてたぞ?」

「な、な、な、何ですってぇっ!」

「何だかんだと俺とお前は一緒に行動するのが結構多いしな」

「ちょっ、それはそうかもしれないけど、それでも一緒にいるってのはアクセルが超包子にかなり来るからでしょ!」

 

 それは否定出来ない事実だ。

 神楽坂が超包子でバイトをしていて、俺はそこによく食べに行っていた。

 でもって、神楽坂のチャイナドレス姿を見て楽しんでいたのも事実な訳で……

 

「ちょっと、何とか言いなさいよ! このままじゃ、変な誤解されてしまうじゃない!」

 

 照れか羞恥か怒りか……ともあれ、神楽坂は顔を真っ赤に染めて叫ぶのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188

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