転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1393話

「おわぁっ!」

 

 俺達が姿を現すとそんな驚きの声が聞こえ、同時に声を発した兵士は俺達の方へと向けて銃を向け……

 

「そこまでだ」

 

 次の瞬間には兵士の真横に俺の姿があり、構えようとしていた銃の動きを止められる。

 だが……その兵士は自分の銃が押さえられたと理解した瞬間には銃から手を離し、ナイフを抜き放ちこちらへと向かって突き出してくる。

 へぇ。ナデシコ世界にもなかなかの精鋭がいるな。

 そんな風に考えつつ、俺の胴体へと向かって突き出されたナイフの刃をそっと親指と人差し指で摘まんで動きを止める。

 真剣白刃取りならぬ、真剣白刃摘まみ……とでも言うべきか?

 

「アクセル!」

「大丈夫だ」

 

 

 兵士の動きに、こちらも咄嗟に銃を構えそうになったリョーコの動きを止める。

 兵士の方も、まさかナイフを指で摘まんで止められるとは思ってもいなかったのだろう。

 唖然とした表情を俺の方へと向けてくる兵士に対し、安心させるように口を開く。

 

「俺はシャドウミラーの者だ。そっちにいるのはナデシコ……ネルガルの会長派のメンバーだ。ここにミスマルとヨシサダがいるというのを知って、救助に来た。俺達の身の証明は、ミスマルとヨシサダがしてくれる。アクセルが来たと伝えてくれ」

 

 その言葉に、強張っていた兵士の表情が一瞬驚きに転じる。そして数秒後、驚きは歓喜へと姿を変える。

 

「も、もしかして……援軍、か?」

「ああ、そうだ。お前達はこれからシャドウミラーに匿われ、ネルガルと共に反乱軍に対する戦力として動いて貰う事になる」

「っ!? ほ、本当……なんだよ、な?」

 

 念の為と尋ねてくる兵士の声に、頷きを返す。

 すると次の瞬間、兵士は喜色満面の表情を浮かべて叫ぶ。

 

「やったあああああああああああぁぁぁっ!」

 

 その声は当然遺跡の中へと響き渡り、多くの兵士達の耳に聞こえたのだろう。

 多くの兵士達がこっちに近づいてくる足音が聞こえてくる。

 

「何だ、どうした! 反乱軍が現れたのか」

 

 慌てたように叫んでくる相手に、俺の側で喜んでいた兵士は急いで首を横に振って叫ぶ。

 

「違う! 助けだ! 助けが来たんだよ! しかもネルガルとシャドウミラーからだってよ!」

 

 その言葉は、駆け付けてきた多くの兵士達全員に歓喜の表情を浮かべていく。

 いやまぁ、自分達が切羽詰まっていたんだから、そう考えれば当然かもしれないが。

 

「あー……喜んで貰えるのは嬉しいんだが、出来ればミスマルとヨシサダの所に案内して欲しいんだが? 一応俺がネルガルと協力しているのは、エリナが証明してくれる筈だ」

 

 視線をエリナの方へと向ける。

 俺の視線を向けられたエリナは、そのまま前へと出て口を開く。

 

「私はネルガル会長、アカツキ・ナガレの秘書をしているエリナ・キンジョウ・ウォンです。会長は現在反乱軍に対抗する為に独自に動いていて忙しいので、私が代理として来ました。至急連絡をお願いします」

 

 エザリアにどこか通じるものがあるエリナの凜々しい姿に、兵士達は例外なく目を奪われる。……まぁ、ミスマルやヨシサダ達がいつこの遺跡の中に隠れたのかは分からないが、それでもある程度長期間と言ってもいい筈だ。

 である以上、この兵士達はいわゆる女日照りになっている者も多いだろう。

 勿論ここに隠れている者の中には女もいるだろうが、それでも絶対に男の方が数は多い。

 そこにエリナのようなクールビューティーが来れば、息を呑むのも当然か。

 ……それにしても、エリナとエザリアって名前が似てるよな。それでいて同じように政治の類に長けていて、共に凜々しい系のクールビューティ。

 多分女子校とかならお姉様とか呼ばれていたんじゃないだろうか。

 将来的にはエリナをシャドウミラーに引っ張り込もうと考えていたんだが、もしかしてそんな事になれば政治班が混乱するか?

 そんな風に考えている間に、何人かの兵士が走ってこっちにやってきているのが見えた。

 そうか、ネットとかそういうのを使わないようにするって事は、通信とかも使えないのか。

 何だってそこまで厳重にアナログな方法に拘っているのかは分からないが、それでもこっちに向かってくる奴は急いで走ってきて……

 

「ミスマル提督がお会いになるそうです!」

 

 そう叫ぶ。

 

「じゃあ、案内をお願いね。アクセル、貴方も」

「ああ」

 

 エリナの言葉に頷き、こうして俺も遺跡の中を兵士に案内されるのだった。

 ……いや、影のゲートを使えば手っ取り早かったんだけどな。

 まぁ、いきなりミスマル達の前に影のゲートで転移すれば絶対に騒動になると思ったから、こんな風に手の掛かる真似をしたんだが。

 

 

 

 

 

「おお、アクセル代表。それに君は確かアカツキ会長の……どうやら兵士の報告は嘘ではなかったようですな」

「全く、九死に一生を……というところですか」

 

 ミスマルとヨシサダが笑みを浮かべて俺を出迎える。

 他にも何人か軍人がいるようだが、生憎俺の知ってる顔はこの二人だけだ。

 いや、何人かは以前何かで見掛けた事があるか?

 そんな風に思いながら、口を開く。

 

「そっちも無事なようで何よりだ。まさかこんな場所にいるとはな。見つけるのに苦労したぞ」

「はっはっは。こちらとしても色々と死活問題でしたからな」

 

 俺の言葉に豪快に笑うミスマルは、ある程度の長い時間こんな場所に篭もっていたとはとても思えない程に活気に満ちていた。

 これは別にミスマルだけがしっかりと食事をしていたとか、そういう理由ではなく、純粋に気力の問題だったりするんだろう。

 実際、ミスマルの隣にいるヨシサダはともかく、他のお偉いさんと思しき奴等はどこか疲れた表情を浮かべている者も多いし。

 

「それにしても……この時期にアクセル代表がやって来てくれたのは、こちらとしても天命であったと思わざるを得ませんな」

「天命?」

 

 何だ? いきなり大袈裟な事を口にしてるが……何かあったのか?

 そんな俺の疑問に、ミスマルが悲痛そうな表情を浮かべる。

 いや、それはミスマルだけではない。ヨシサダを含めた他の奴等も同様だ。

 

「……何があった?」

「こちらへ」

 

 俺の質問に答えず、この部屋……というのは遺跡だし、ちょっと違うかもしれないが、とにかく奥の方へと俺とエリナが案内される。

 そうして連れて行かれた場所には、一人の怪我人が横たわっていた。

 いや、この場合は怪我人と称するより、見ただけでもう長くないと分かるだけの瀕死の重傷を負った人物と言ってもいい。

 何より手足が両方とも存在せず、顔も半分は焼け爛れ、呼吸も荒い。

 その人物が誰なのかというのは、半分だけ無事だった顔を見れば明らかだった。

 

「グリューノ……」

 

 そう、その人物はこのナデシコ世界の連合軍の総司令官、グリューノだった。

 今回の反乱の当初行方不明になった筈の男だが、どうやってかは知らないが死地を脱し、ミスマル達と合流出来ていたらしい。

 ……とても無事と言えない様子だったが。

 

「はっ、はぁ、はぁ、はぁ……アクセル代表? これは……みっともないところを見せてしまいましたな。ははは……はぁ、はぁ」

 

 息が荒い。

 明らかに身体は既に死んでしまっており、気力だけで生き延びているのではないかと思われる。

 俺の隣にいるエリナにとってもこの光景は完全に予想外だったのだろう。反射的に俺の手を握ってくる。

 ここまで漂ってくる死の臭い……身体中から腐臭すら感じられる。

 よく、この状況でここまで保ったな。

 小さく息を吸い、そっと口を開く。

 

「よく生きてたな。お前は敵の最優先ターゲットだったし、反乱が起きてから連絡も取れなくなったから、死んだかと思っていたぞ。……待ってろ。すぐに回復してやる」

 

 俺は空間倉庫の中にある、ネギま世界の魔法界で手に入れた回復薬……イクシールを取り出す。

 エリクサーとも呼ばれる、非常に高価な魔法薬ではあるが、今の半死半生……いや、8死2生とも呼べるグリューノという人物を治療する為にはこのくらいの物は必要だろう。

 

「い、いや……アクセル代表……私の身体は、もう保たない……」

 

 俺の言葉で意識が戻ったのか、それとも偶然だったのか。

 それは分からないが、ともあれグリューノの意識が戻ったのは間違いのない事実だった。

 

「安心しろ。俺達シャドウミラーにはお前達の理解出来ないような不思議な存在がいるからな。この程度の傷、治すのは不可能じゃない。手足も魔法を使った義手や義足を使えば、普通に自分の意思通りに動けるようになる」

 

 この辺はエヴァの人形使いとしての技術に期待するしかないが、恐らく問題なく可能だろう。

 ……面倒臭いとか何とか、色々と文句は言われるだろうが。

 

「い、いや……私は、このままここで死ぬ方がいい。……まさか、あいつに、自分の掛け替えのない腹心だと信じていた奴に裏切られるとは、思わなかったよ」

 

 はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら告げてくるグリューノだが、このままではそう遠くないうち……それこそ数時間、下手をすれば数十分と保たずに死ぬ事は明らかだ。

 

「いいから、とにかくお前の傷を治す。恨み言に関しては、後でその腹心とやらにお前が直接言ってやれ」

「……いえ……今回の戦争を起こしてしまったのは、私の行動が原因。であれば、その責は私がこの命を以て償わせて貰う。だから、アクセル代表。その私を回復出来るという手段は、私ではなく他の、まだ未来のある者達の為に使ってくれ」

 

 グリューノのその言葉は、自分が死ぬ代わりに使者を殺した責任を問わないように木連に言って欲しい……というのを示したものだった。

 

「……」

 

 それを理解した上で、俺は視線をミスマルとヨシサダの方へと向ける。

 グリューノの立場は立派だが、グリューノの所属はあくまでも連合軍だ。まさか、俺がその辺を勝手に決める事は出来ない。

 

「……グリューノ総司令。本当にそれでよろしいのですか? 木連の使者の件は……」

「ごふっ、き、気にするなミスマル提督。部下の不手際は私の、不手際。誰が言ったのだったか……責任者とは、責任を取るものだ、と」

 

 荒く吐く息の音を聞きながら俺は驚きの表情をグリューノへと向ける。

 木連の使者を殺したのはグリューノの指示ではなかった?

 いや、だがそう考えれば理解出来る事も多い。

 確かにグリューノは強硬派として有名だし、何かあれば高圧的に相手へと接する事も珍しくはない。

 だが……だからといって、決して無能という訳ではない。

 その辺を考えると、木連の使者を殺すような真似をしても特に意味がないというのは明らかだった。

 その上で何故木連の使者を殺したのかというのは疑問だったのだが、それを行ったのはグリューノの指示ではなかった。そういう事なのだろう。

 

「……生きろ、グリューノ」

 

 そう告げた俺の言葉に、グリューノは笑みを浮かべる。

 手足全てがなくなっており、顔の半分は焼け爛れているという、身体中に激痛が走っているだろうに、笑みを浮かべたのだ。

 

「ふふっ、ア、アクセル代表にそう言われるのは嬉しいですが……げほっ、残念ながらこうするのが一番相応しいのですよ。……これ以上生き恥を晒さず、そして私の死を地球の為に……げほっ、ごほっ」

 

 話している途中で咳き込み始める。

 本来なら手で口を押さえたりしたいところなのだろうが、手足がない状態ではそれも出来ない。

 

「……アクセル代表。申し訳ないが、グリューノ総司令の意思を尊重して欲しい」

 

 真っ直ぐに俺の方を見ながら告げてくるミスマル。

 ヨシサダを見るが、こちらも沈鬱な表情のまま頷く。

 エリナの方へと視線を向けるが、こちらは黙って首を横に振っていた。

 ……全員がグリューノの意思を尊重しろって事か。

 

「分かった」

 

 空間倉庫から取り出していたイクシールを空間倉庫に戻す。

 

「……すまない……」

 

 グリューノは最期にそう告げると、まるで火が消えるかのように目を閉じ……そのままグリューノの生命の炎は消え去るのだった。

 

 

 

 

 

「じゃあ、準備はいいな?」

 

 グリューノが死んでから1時間程。

 現在俺達は遺跡の中でも最も広い場所へと集まっていた。

 俺達……そう、俺、エリナ、ミスマル、ヨシサダ、それ以外の幹部や兵士達。

 そして、グリューノの遺体。

 本来なら遺体に関しては俺が空間倉庫に入れても良かったのだが、ミスマルがそれを拒否した。

 自分達の手で運んでやりたいと。

 そうして遺跡を去る準備を整え、今に至っていた。

 

「はい。皆準備は出来ています」

 

 代表するようにヨシサダが俺へと告げてくる。

 実際問題、この遺跡の中に持ち込めた武器の類は殆どなく、だからこそこうやって時間が掛からずに準備を整える事が出来たのだろうが。

 周囲を見回すと、皆が覚悟を決めた表情を浮かべていた。

 ……さて、まずは遺跡から影のゲートで出て、それからニーズヘッグに乗ってシステムXNで転移だな。

 そんな風に思いながら、俺は影のゲートを作り出すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:465
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1200

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