転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1396話

 ミスマルの演説……正確には討伐軍の結成が行われてから、数日。

 俺がアカツキと話していたのとは予想外の事に、かなりの人数が降伏してきていた。

 正直、ここまで降伏してくる者が出てくるとは思わなかった。

 てっきりもう少し人数が少なくなるとばかり思っていたんだが、賊軍と呼ばれるのは嫌だったというのもあるだろう。

 だが、俺が予想していた通りに賊軍として行動していた時に行ってきた犯罪が露わになったり、賊軍に参加する前に行われた犯罪に関しても徹底的に調べられて罪が発覚するパターンも増えていた。

 それでも俺が予想していたよりもその人数は少なく、何だかんだとこのナデシコ世界の人間は善良な人がそれなりに多いのだという事を示している。

 ……マブラヴ世界とかにナデシコ世界の住人の爪の垢でも飲ませてやりたい。

 いや、別にマブラヴ世界の住人全員が駄目って訳じゃないんだけど、その傾向が強いのは事実だ。

 

「アクセル、これ本気?」

 

 ホワイトスターにある俺の家で、企画書を読んでいたシェリルがこちらへと視線を向けてくる。

 まぁ、戸惑っているのも理解出来ない訳ではない。

 何しろ、その企画書に書かれているのはシェリルのライブの企画書なのだから。

 ちょっと前にシェリルのライブをやるかどうかって話をした時、それを却下したのは俺だ。

 その俺が新たにシェリルのライブをやろうとしているのだから、シェリルが何を考えているのかといった目で俺を見てもおかしくはない。

 シェリル以外に円と美砂も俺の方へと疑わしげな視線を向けていた。

 

「アクセル君、言っておくけど私達はライブに出ないからね」

「でこぴんロケットは駄目か?」

「駄目に決まってるでしょ。以前も言ったけど、そもそもメンバーが揃わないわ」

「……何ならこっちで手を回すが?」

「止めてって言ってるでしょ!」

 

 ぐにぃ、と俺の頬を引っ張る円。

 反対側では美砂が面白そうな笑みを浮かべ、こちらも頬を引っ張っていた。

 

「円の言う通り、私もあまりライブをやる気はないんだよね。……そもそもさ、何だって急にアクセル君はライブをするつもりになったの? 少し急じゃない?」

「今回の賊軍の件で、俺達シャドウミラーは徹底的な軍事組織って見られているらしいからな。それだけじゃないってところも見せておこうかと思って。軍事組織ってのは、軍人とかにとっては分かりやすいかもしれないけど、一般人にとってはあまりいい印象がないし」

 

 勿論普通の世界なら軍人は尊敬される事も多い職業だ。だが……このナデシコ世界では、木連に負け続けた連合軍がいるだけに、どうしてもイメージが悪い。

 いや、言い訳出来ない程一方的に押し切られていたのだから、そんな風に見られるのは当然だろうけど

 

「ふーん。それであたしのコンサートをやって、軍事国家は軍事国家でも、軍事一色じゃないってところを見せたい訳?」

 

 流し目でこちらを見てくるシェリルに頷きを返す。

 

「ああ。それに実際シャドウミラーが軍事国家だってのは事実だけど、別に軍事だけに偏ってる訳じゃないだろ? どちらかと言えば技術力に偏っていると言った方が正しい」

 

 まぁ、その技術の大半が軍事に利用されているのは事実だけど。

 

「それにシェリルみたいに歌で活躍している人材もいるんだから、その辺をしっかりと見せつけておくのは必要だと思う。……もう一枠、でこぴんロケットを出したかったんだけど、それは無理なようだしな」

「当然でしょ。さっきも言った通り、私達は出る気がないから。そのつもりでいてちょうだい」

 

 念を押すように確認してくる円にそう返す。

 正直、もう数人歌手がいて欲しかったんだが……

 

「なるほど、ね。ねぇ、アクセル。別にそのライブに参加するのってシャドウミラーだけじゃなきゃ駄目って事はないわよね?」

「うん? ……ああ、なるほど」

 

 シェリルの言葉で何を言いたいのかをすぐに理解する。

 そうだよな、頭が硬くなっていた。

 別にシャドウミラーの人材だけでコンサートをやる必要はないのか。

 

「なら、誰が出せる?」

「そうね……出来ればランカちゃんを呼びたいけど……どうかしら」

「ランカはなぁ……」

 

 銀河の妖精と呼ばれたシェリルがシャドウミラーに所属する事になり、マクロス世界では以前ほどのメディアの露出がなくなった。ランカはその後を継いだ存在だ。

 当初は初々しいところがあったランカだったが、今は押しも押されぬトップアイドルだ。……相変わらずバジュラを連れているので色々と目立っているというのもあるが。

 最近、バジュラの方もCMに出たとか何とか。

 しかもランカが連れているという事で、何気に評判はいいらしい。

 何が受けるのか全く分からないよな。

 

「一応聞いてみるけど、あまり期待はしないでね。あ、でも……」

「うん? どうした?」

 

 何かを思いついたシェリルの様子に言葉を掛ける。

 

「そう、ね。可能かしら? 場所の問題は……うーん」

「シェリル?」

「ごめんね。最近ちょっと気に掛かっているグループがいるのよ。ワルキューレっていうグループなんだけど、結構見所のある子達よ」

「ワルキューレ? ……また、随分と勇ましいグループ名だな」

 

 ワルキューレってのは、北欧神話に出てくる女神達の名前だ。……いや、純粋な女神じゃなくて、半神とかそんな感じだったか?

 戦場で戦死した英雄や勇者といった存在の魂をヴァルハラへと連れて行くという役目を持つ。

 北欧神話という意味では、シャドウミラーと相性のいい存在ではあるな。

 ニーズヘッグ、ニヴルヘイム等々。

 

「ええ。最近有名になってきたグループよ。……ただ、有名になってきただけに、こっちの世界まで来る事が出来るかどうか分からないけど……まぁ、駄目元で出演を打診してみるわ。向こうも他の世界でライブをやるというのは、願ってもない事でしょうし」

「……まぁ、普通はやろうと思ってはいそうですかとはいかないしな」

 

 クッキーを手に、スレイが呟く。

 スレイの言う通り、マクロス世界ではある程度シャドウミラーはオープンな存在になっている。……そもそも、シャドウミラーで自治都市を運営してるのだから、嫌でも目立つのは事実だが。

 で、当然異世界の存在が作った都市という事で、マクロス世界では多くの客がやって来ており、一種の観光名所と化している。

 だが普通の人で来る事が出来るのはそこまでであり、ホワイトスターに向かうには厳しい審査が必要となっていた。

 ホワイトスターでその人物が問題を起こせば、連帯責任としてその世界そのものにペナルティを科す事になるのだから厳しくなるのは当然だろう。

 つまり、ホワイトスターどころか他の世界にはそう簡単に行く事は出来なくなっている訳だ。

 そんな時に他の世界でライブをやるとなれば、それは当然注目を集める事になる筈だ。

 その辺を考えると、多少無理をしてもライブに参加させて欲しいと言ってくるような気もするが……

 場所の問題も、マクロス世界だとフォールドとかあるからそれ程問題にはならないし。

 いや、惑星の近くに直接フォールド出来ないとか、フォールド断層があったりとか、色々と問題はある転移方法ではあるんだけど。

 それでも現在シャドウミラーが色々と関係している世界で、普通に転移技術が一般化しているというのは大きい。

 

「後は……そうね、ランカちゃんやワルキューレの娘達以外だと……」

「ラクスさんはどう?」

 

 マリューの言葉に、シェリルは頷く。

 

「そう、ね。……けど、最近は歌手以外の仕事の方が忙しいみたいだけど、レッスンはきちんとしてるのかしら?」

 

 歌手以外の仕事というのは、当然ながらキラの嫁……ではなく、プラントから派遣されている外交官としての仕事だ。

 それでもラクスの歌というのは、SEED世界にとっては色々と重要な意味を持つ。

 平和をもたらす歌の歌い手……として十分な名声を得ているのも事実だ。

 その辺を考えれば、多分歌のレッスンとかはきちんと欠かさずにやっていると思うけどな。

 それにレッスンはしていなくても、歌自体がラクスの趣味である以上、歌わないという日はないと思う。

 

「その辺が気になるなら、一度SEED世界に行ってラクスに会ってみたらどうだ? シェリルが会いたいと言えば、向こうだってそれを断る事はしないだろうし」

 

 当然シェリルの歌はSEED世界でも売られており、ラクスに勝るとも劣らぬ程の人気歌手となっている。……いや、SEED世界のナチュラルの中に、どうしてもコーディネイターに対する嫉妬の感情がある以上、場所によってはラクスよりも圧倒的に上の存在となっている事もあったりする。

 ……そこまでいかなくても、ラクスの場合は外交官としての仕事もあって歌手としての活動に専念出来ていないというのも事実だ。

 100%歌手として活動しているシェリルに比べると、どうしても不利になるのは間違いないだろう。

 

「あ、そう言えば……ミーア・キャンベルって歌手がSEED世界で少し有名になっているわね。ラクスと似た声の持ち主だって。……まぁ、歌自体はラクスよりも派手な感じで、ダンスとかパフォーマンスとかで差別化を図ってるらしいけど」

「ミーア・キャンベル、か」

「うん? アクセル君、知ってるんですの?」

 

 あやかの言葉に頷きを返す。

 当然俺はその名前を知っていた。

 今はもう俺の中にあった原作知識の類は殆どが聖杯によって消し去られてはいるのだが、それでも現在までに関与してきた中で俺の中に原作知識のあったものに関してはそのまま残っている。

 である以上、当然SEED、その続編のDESTINYの原作知識は残っている。

 その中で、ミーア・キャンベルというのはDESTINYの中ではかなり重要な役所だった人物だ。

 ラクスそっくりの声を使い、隠居状態だったラクスの代わりにラクス・クラインとして歴史の表舞台に立った人物。

 最終的にはデュランダルに用済みと判断され半ば隠居状態になり……命を失う事になる。

 だが、この歴史では大きく違っていた。

 何故なら、そもそも大前提としてラクスがまだ表舞台に立ったままだからだ。

 他にもプラントの最高評議会議長が未だにアイリーン・カナーバだったりするのも影響している。……そもそも、デュランダルが実行しようとしていたデスティニープランに関しても既に判明して、デュランダルに釘を刺しているしな。

 

「うーん、そうね。じゃあ久しぶりにSEED世界に行ってみようかしら。……ねぇ、アクセルも来ない?」

「は? 俺もか?」

「そ。たまには息抜きとかでもいいでしょ?」

 

 うーん、そこまで言われる程仕事をしているつもりはないんだけどな。

 基本的にシャドウミラーの運営はエザリアに、技術班はレモンに、実働班はコーネリアに任せてあって、俺は報告書を読むだけだし。

 勿論何か気になる事があればそれぞれに聞くけど、そもそもエザリアを含めた三人は政治的な能力だったり、新技術を開発する能力だったり、実働班の訓練をして統率するという意味では、俺よりも能力は高い。

 そしてシャドウミラーに対して何か裏切り行為を働くような真似はまずしないだろうし、一件シャドウミラーにとって不利に見えたりするようでも、最終的にはシャドウミラーの利益となるようになっていたりする。

 だからこそ、俺はこうして呑気に遊んで……いや、遊んではいないけどな。

 ともあれ、シャドウミラーの運営に関してはそこまで仕事をしなければいけないという訳ではない。

 だからこそ、シェリルが言うように息抜きをしなければならないって訳じゃないんだけど……

 

「いいから、行ってきなさいアクセル」

 

 黙った俺へと声を向けてきたのは、レモン。

 視線を向けると、小さく溜息を吐いてから口を開く。

 

「最近シェリルとデートとかしてないでしょ? 私達は何だかんだとナデシコ世界でアクセルと一緒になる事が多いけど、シェリルの場合は芸能活動をしているから、あまりアクセルと一緒になれないでしょ。この機会にシェリルとデートをしてきなさい。……釣った魚に餌をやらないと、そのうち逃げられるわよ? ただでさえ釣った魚は皆が皆最高の魚なんだから」

「……自分で言うか?」

「あら、じゃあアクセルに聞くけど、私達は最高の魚じゃないって……そう言いたいの?」

「いや、最高の魚なのは間違いない」

 

 そう断言出来るだけの愛情を、俺はレモン……いや、レモン達に抱いている。

 けど、それでも自分でそういうのは……正直どうなんだ? という思いがないでもない。

 

「ほら、とにかく明日のアクセル君の仕事は、シェリルとデートね。ついでにそのミーア・キャンベルって人の歌をしっかりと聞いてくる事」

 

 美砂の言葉に全員が頷き……最終的にそうなるのだった。

 いや、いいんだけどな。俺だってシェリルとのデートは嬉しいんだし。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:465
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1200

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