転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1410話

「じゃあ、引き受けるって事でいいんだな?」

「ああ。俺のゲキガングッズがこの戦いを少しでも早く終わらせる事が出来るんなら、俺も協力を惜しまない」

 

 そう告げたヤマダに、俺は少しだけ驚きの表情を浮かべる。

 ゲキガングッズ云々という訳ではなく、この戦いに関しての事を口にするとは思わなかった。

 それは俺だけではなく俺の隣で話を聞いているアカツキも同様だったらしい。いつもは飄々とした雰囲気のアカツキが驚愕に近い表情を浮かべている。

 これは……ヤマダだけで考えたんじゃないな? 誰かがヤマダに知恵を授けたと見るべきか。

 いや、誰かというのは考えるまでもない。ヤマダにここまで強い影響力を持っている人物というのは、非常に限られている。

 何人かの姿が脳裏を過ぎったか、結局最後に残ったのはヤマダの恋人のメグミだった。

 元々はただの声優であり、決して戦争を好んでいる訳ではない。

 正直なところ、ナデシコのクルーは腕は一流でも性格に問題ありという者が多い中では常識人に近い。

 そんなメグミだけに、木連をどうにかすれば今回の反乱もどうにか出来るという可能性を考えると……そしてヤマダの件が上手くいけば反乱が収まるかもしれないという話を聞けば、ヤマダにこの件を受けて欲しいと思うのは当然だろう。

 まぁ、俺やアカツキとしてはヤマダがどんな理由で今回の依頼を受けたのかは特に問題ではない。

 いや、今回の依頼の中で木連に亡命するとか言うのなら問題だが、今回の場合はヤマダにそんな気がないのを知っている以上、心配はいらなかった。

 

「それで、いつ木連に行くんだ? それと木連に向かうメンバーは?」

「日付は……アクセル、どうなんだい?」

 

 アカツキの問い掛けに、少し考える。

 今回の件は、少人数での行動となる。

 当然木連に向かうにしても、以前のように堂々と向かう訳にはいかない。

 可能な限り秘密裏に事を運ぶ必要があり、接触する人員も出来るだけ絞る必要がある。

 出来ればテンカワも連れて行きたいところだが、火星出身のテンカワを連れて行った場合は色々とトラブルが起きるのは確実だ。

 つまり、俺とヤマダの二人で向かうのがベスト。

 で、見つからないように行動する以上、当然接触する相手も絞る必要がある。

 木連の実質的な指導者である草壁は強硬派なので論外として、月臣も思い込みが激しいところがあるので駄目だろう。

 となると白鳥、秋山、高杉。

 ……白鳥を相手にするのならエザリアが、高杉を相手にするのなら神楽坂を連れて行きたいところだが……

 正直、微妙なところだ。

 エザリアもシャドウミラーだけあって、当然相応に訓練は積んでいる。だが、当然政治班のトップである以上、実働班程の実力を持っている訳ではない。

 勿論魔法も使える以上、この世界の人間と比べれば圧倒的に上の存在と言ってもいいんだが……ちなみに神楽坂の方は何だかんだと戦いに慣れてはいる。

 まぁ、相手を殺すという行為は未だに出来ない様子だが、殺さずに無力化するという意味では決して使えない訳じゃない。

 そうだな。一応2人に聞いてみて、行くって言うのなら一緒に行ってもいいか。

 その場合、白鳥に対しては可哀相だが、恐らくエザリアは行かないだろうが。

 何だかんだと政治班のトップである以上、数週間から半月、もしくは一月以上この地を留守にするような真似は出来る筈もない。

 ……まぁ、それを言うのならシャドウミラー代表である俺が潜入工作という形を取るのも微妙だが。

 

「そうだな、いつ行くというのはそっちの準備が出来次第ってところか。基本的に向こうに向かうのは俺の機体で向かうけど、木連に気が付かれないようにある程度離れた場所に転移して、それからASRS……透明になるシステムを使って移動するからな。その際に俺と一緒に移動出来るように居住性の高いコンテナをシャドウミラーで作って貰っている」

 

 コンテナと言っても、中身は居住性にかなり気を使っている。

 マンションとかの部屋がそのまま移動出来るような代物だと思って貰えばいい。

 ……そもそも、技術班が制作したという時点でナデシコ世界にとってはオーパーツ染みた存在なのは間違いない。

 それこそ、移動している間にヤマダがゲキガンガーを好きに見るといった事は問題なく可能だろう。

 

「後は、対木連の人物用に何人か誘ってみたい奴がいるから、そっちの予定を聞いてみるけど、それは今日にでも終わるな」

「……分かった。なら、こっちも準備があるし、3日後だ。3日後でどうだ?」

 

 ヤマダの言葉に頷きを返す。

 

「分かった、3日後だな。俺はそれで構わない。荷物に関しては、俺が空間倉庫に入れて持っていくから、量がどうとかは気にしないでもいい」

「お、そうか! それは助かる。さすがだな、親友」

 

 いつの間にか親友に超進化していたらしい。

 うん? 何だかこの前も同じような事を考えた覚えがあるが、その辺はまぁ、いいか。

 

「とにかく3日後だ。そのつもりで準備しておいてくれ。俺の方も準備に掛かる。詳しい時間とかは、後で連絡するからそっちで決めるとしよう」

 

 その言葉にヤマダは頷く。

 恐らく3日後までの間にメグミとイチャつくんだろう。

 

「それで、だな。もし他に木連に行きたいって言ってる奴がいたら、連れて行ってもいいのか?」

 

 そんなヤマダの言葉に、俺とアカツキは顔を見合わせる。

 誰を連れてくるつもりだ? もしかして本当にメグミを連れてくるって訳じゃないよな?

 あ、でもメグミは元声優なんだから、ゲキガンガーを聖典にしている木連にとっては意外と合うのか?

 まぁ、ともあれ……

 

「こっちから人数を連れて行けない以上、護衛とかは出来ない。木連という敵地でその人物が生き残る自信があるのなら……もしくは死んでもいいと命を投げ出すのなら、それでもいい」

「ちょっと待った。じゃあ、俺は死んでもいいのかよ!」

 

 ここで、うんと頷いたらちょっと面白い事になりそうだが……そんな訳にもいかないか。

 

「お前の護衛については、俺がきちんとする予定だ。俺が向こうに行くというのは、そういう理由もあるしな」

 

 勿論木連を内部から崩そうとするのもあるが、他にもやるべき事、やりたい事はある。

 最優先事項は木連の内部に親シャドウミラー、親ネルガル、親地球といった勢力を作って実権を握らせる事だが、それ以外に可能であればヤンマ、チューリップ、カトンボの生産プラントがある場所とか、どんな施設なのかとかいうのを調べておきたい。

 可能であれば空間倉庫に入れて奪取したいのだが、まだ完全に敵対していない状況でそんな真似をすれば、白鳥や秋山、高杉といった面子を怒らせてしまう可能性は十分にある。

 ……ああ、でも木連が強気なのはその生産プラントがあるからだ。なら、その生産プラントが消えれば強硬な態度に出る事は出来なくなる……といった論調で話を進めるのはありか?

 いやぁ、それを向こうが許すかどうかは不明だが。

 

「……そうか。分かった。その辺をよく考えてみるよ」

「ああ、そうそう。言っておくけどネルガルからも人はやるよ?」

「だろうな」

 

 それについては、予想していた。

 そもそも、木連とこれからの件で話し合うのだ。

 なら、当然ネルガルや地球について詳しく、何らかの交渉が出来る人物を連れて行く必要はあるのだから。

 それに、ネルガル……いや、アカツキとしても木連の内部を詳しく知る事が出来る絶好の好機だ。

 当然可能な限りの情報は集めたいだろう。

 勿論木連の中で自由に歩き回れるとは思っていないが、それでも情報を集める手段は幾らでもあるのだから。

 それこそ、新聞やTVといったものを見るだけでも十分に情報を集める事は可能だ。

 実際、普通のスパイ――という言い方はおかしいかもしれないが――は新聞やTVで得た情報を自分の組織に送っているというのを何かで見た記憶がある。

 何で見たんだったか……いや、士官学校でその辺を習ったんだったか?

 ともあれ、相手の情報を得るというのは色々な意味で重要な事だ。

 そうである以上、アカツキが木連の情報を少しでも多く欲するのは当然と言えた。

 

「じゃあ、とにかくそういう事で……俺の方も準備を進めるから、失礼させて貰う」

 

 そう告げ、アカツキとヤマダに軽く挨拶をしてから影のゲートへと身を沈めるのだった。

 

 

 

 

 

「無理ね。1日やそこらならまだしも、正確にはどのくらいの期間になるか分からないでしょう? なら、残念だけど私は参加出来ないわ」

 

 予想通り、エザリアからは木連行きをあっさりと拒絶された。

 

「だよな。まぁ、一応という意味で聞いたんだし」

 

 政治班のトップで、シャドウミラー3大幹部の1人でもあるエザリアが下手をすれば1週間や10日ホワイトスターを留守にする必要があるのだ。

 そう考えれば、当然のように断ってくるのは分かりきっていた。

 それでもここに来たのは、駄目元で聞くという他にもう1つの理由が……

 

「なら悪いけど、白鳥の為に何か映像を撮っておいてくれないか?」

 

 そう、これを頼む為だった。

 白鳥がエザリアに想いを寄せているのは、俺でも理解出来た。……いや、エザリアと話す度に顔を赤くしてしどろもどろになるんだから、それで気が付かない訳がないだろう。

 そんな白鳥をこっちに側に協力させるのに、色仕掛けはこれ以上ない程に効果的だろう。

 いや、色仕掛けと言い切ってしまえばイザークが鬼になってしまうか。なら、ここは色仕掛けじゃなくて向こうの出方を窺うという表現でどうだろう。

 ともあれ、俺が何を期待しているのか分かったのだろう。エザリアは溜息を吐く。

 

「アクセル、あまり趣味が良くないわよ」

「……気が付いてたのか」

「当然でしょう。こう見えて、私はイザークを産んだ……つまり、結婚していたのよ? 正直なところ、アクセルと比べてもよっぽど男女関係には詳しいと思うわ」

 

 そう言われれば、俺としても納得せざるを得ない。

 

「それでも有効である以上、やるべきだと思わないか?」

「……分かったわよ。後で映像を撮っておくから、取りに来て頂戴」

 

 どこか呆れつつ……それでも自分が女としてまだまだ捨てたものではないというのは嬉しかったのか、エザリアが頷く。

 まぁ、ネギま世界とかの顔を知られていない場所に行けばナンパされる事も多いらしいしな。以前は中学生にすらナンパされたという話を聞いた事があるし。

 幾ら何でも、エザリアも自分の息子より年下の男からナンパされるとは思ってもみなかっただろう。

 いや、エザリアの外見は20代前半でも十分に通じる以上、背伸びをしたがる中学生がその美貌に無茶な行動をしても仕方がないとは思うんだが。

 

「じゃあ、頼んだ」

 

 そう告げ、俺は次のやるべき事……ある意味で本命とも呼べる神楽坂に会う為に影のゲートへと身を沈めるのだった。

 

 

 

 

 

「え? 木連? それってナデシコ世界の?」

 

 そう告げる神楽坂が今日やっているのは、ホワイトスターにある博物館の案内。

 基本的に門世界のモンスターに関する情報が多く、骨格標本とか剥製とか、向こうで使っていた武器とかが大量に並べられている場所。

 普通博物館と言えば、それ程客は多くないんだが……やはり異世界に実在したファンタジー要素の多さというのが関係しているのか、それなりに多くの客が博物館には来ている。

 そんな博物館の案内役というか、解説役を任されていた神楽坂だったが、大学受験を潜り抜け、留年の類もなしで卒業したにも関わらず、やっぱり勉強の類は苦手……というか、好まないままらしい。

 ネギま世界の住人……というか、早乙女に門世界のオークは女を陵辱するのかとか、『くっ、殺せ!』という女騎士がいるのかとか、そんな説明を求められているところに俺が現れ、木連についての話を口にしたのだ。

 

「えー……アスナ、他の世界に行けるの? 羨ましいなー」

「……人気漫画家が、仕事もしないでこんな場所で何をやってるんだ?」

 

 自分も連れてけー! と言いたげな早乙女に尋ねるが、その早乙女は特に堪えた様子も見せずに口を開く。

 

「取材よ、取材。まぁ、どっちかって言えば気分転換の方が正しいけど」

「そうか。なら思う存分気分転換をしてくれ。これはシャドウミラーとしての仕事だからな」

「えー……異世界に行くのって、凄く気分転換になると思うんだけど。それに聞いた話だと、男が殆どの国なんでしょ、その木連って」

 

 どこから情報を集めているのかは知らないが、ナデシコ世界について随分と詳しいらしい。

 

「そうだけど、お前を連れて行く事は出来ないぞ。そもそも、何日向こうに滞在するのかも分からないんだ。それこそ人気漫画家のお前を連れて行く訳にはいかないだろ」

「えー、えー、えー……あ、でも」

 

 ふにょん、といった形で早乙女の触覚が神楽坂へと向けられる。

 

「ふふーん。そうねー。アスナの婚前旅行を邪魔する訳にもいかないか」

「ラヴっ!? ちょっ、こら! パル! あんた一体何言ってるのよーっ!」

 

 顔を真っ赤にして振るわれたハリセンが、見事に早乙女の頭へと命中するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16

   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1208

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