転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1412話

「転移完了」

 

 転移が完了すると、すぐに周辺の様子を確認する。

 シャドウミラーのシステムXNは、転移する時に光の繭のような転移フィールドを作り出すという特色がある。

 つまり、昼とかならともかく、夜……または宇宙空間のような暗い場所ではあれば、当然転移フィールドは目立つ。

 木連……正確には木連が存在している木星からかなり離れた場所に転移してきたが、それでも現状で木連が偵察を出していないとは限らない。

 人間であれば体力的な問題があるが、無人機にその辺を心配する必要はないのだから。

 シャドウミラーでも無人機を使っているだけに、当然木連がどんな行動をするのかというのは予想出来る。

 純粋に無人機を使うという意味では、木連の方がシャドウミラーよりも使用歴は長い。

 だが、それでもシャドウミラーが木連に劣っているとは全く思っていない。

 純粋に所属人数という場合では木連に負けているが、それでも勢力という意味では絶対にこっちが上だ。……そう思うのは、俺がシャドウミラーに所属しているからこそなのか?

 

「そっちの方に何か影響はないか?」

 

 ニーズヘッグが持っているコンテナに通信を送ると、すぐに映像モニタに神楽坂が姿を現す。

 

『こっちは問題ないわ。というか、転移したって言っても外の景色を見てないと分からなかったでしょうね』

「転移フィールドか。……じゃあ、そろそろ移動するけど構わないな?」

『ちょっと待って。……ねぇ、アクセルが木連に向かって移動を始めるって言ってるんだけど、構わない?』

『ええでー』

 

 神楽坂の言葉に、近衛の言葉が聞こえてくる。

 他の面子も特に問題はなかったのだが……

 

『うおおおおおっ! やっぱり海燕ジョーだよなぁ!』

『ちょっと、ヤマダ! ゲキガンガーを見てないで、少しは真面目に……』

『俺はダイゴウジ・ガイだ!』

 

 ヤマダとエリナのそんなやり取りも聞こえてくる。

 ……うん、やっぱりヤマダはどこにいてもヤマダだよな。

 こうして見ると、傍から見ている分には面白い。

 あくまで傍から見ていれば、だが。

 

「取りあえず問題はなさそうだから、このまま進むぞ」

『え? あ、うん。……って、ちょっと、エリナを放って置いていいの!?』

 

 さすが神楽坂、人と仲良くなるのが上手い。

 エリナと神楽坂だと、性格的に合わないような気がしてたんだが……そうでもなかったらしい。

 

「ま、エリナは色々と生真面目だからな。神楽坂のお気楽さを分けてやってくれ」

『ちょっ、誰がお気楽なのよ! 大体あんた、出発前もそうだったけど私をどういうキャラにしたいのよ!』

 

 力の限り叫ぶ神楽坂だったが、どういうキャラって言ってもな……

 

「俺は、素のままのお前が好きだぞ?」

『すっ!? ちょっ、ちょっとアクセル! あんたいきなり何を言ってるのよ! 馬鹿じゃない? ……馬鹿じゃない? 馬鹿じゃない!?』

 

 大事な事なので2度言いましたってのは分かるが、まさか3度も言われるとは思わなかった。

 

『わー、アスナが愛の告白されとる。しかもアクセル君からやー。せっちゃん、せっちゃん、どう思う?』

『どっ、どどどどど……どうって私に言われましても、その……』

『おわぁっ! ちょっ、ちょっと待て、秘書! それは貴重な……ああああああっ、い、今、パキッていったぞ、パキッて! おまっ、これは本当に貴重な物なんだぞ!』

 

 何だか色んな意味でしっちゃかめっちゃかになっている声が向こうから聞こえてくる。

 特に気になるのがエリナだ。

 ヤマダに秘書と言われてたんだから、間違いなくエリナの事だろう。

 そのエリナが何か分からないが、それでも何かを破壊する程に怒ってる……もとい、取り乱しているというのは、正直俺にはあまり嬉しい事じゃない。

 神楽坂をからかい過ぎたか?

 いや、けど俺が神楽坂に好意を持っているというのは間違いのない事実だ。

 神楽坂と一緒にいると気軽な態度でいられるんだよな。一緒にいて疲れないというか……

 何だかんだと人との付き合いの多い俺だが、そういう相手はそんなに多くはない。

 一番リラックス出来るのはレモン達と一緒にいる時だけど、神楽坂と一緒にいる時は……そうだな、ムウとかギルフォードと一緒にいる時よりはリラックス出来るか?

 まぁ、何だかんだと神楽坂も外見だけなら間違いなく美人だしな。

 それを考えれば、野郎よりも美人と一緒にいた方が楽しい。

 神楽坂も、俺が神楽坂好みの年齢じゃないから男……正確にはそういう対象としては見ていないんだろうが、それでも男友達くらいには見ていると思う。……多分。

 まぁ、それはともかくとして……

 

「それより、そろそろ本当に移動を開始するぞ。木連側に気が付かれたりしたら、最悪戦闘になるからな」

 

 このコンテナは移動専用として作られている以上、当然武器の類は自衛用の物すら装備はしていない。

 その代わり、装甲にはかなり頑丈な金属を使っていると聞いている。

 本来ならPS装甲を使いたかったらしいが、シャドウミラーの機体を見ていると忘れがちになってしまうけど基本的にPS装甲というのはとてつもなく重い。

 シャドウミラーの機体は、ブラックホールエンジンを使う事によりグラビコン・システムで重量を減らしているけど、まさかコンテナにブラックホールエンジンを付ける訳にもいかないだろう。

 その時点でエネルギー不足によりPS装甲使用不可は決まったようなものだ。

 ……コンテナにブラックホールエンジンを付けるのが不可能かどうかで言えば、可能なのがシャドウミラー技術班だが。

 けど、コンテナにブラックホールエンジンを付けて自力航行が可能になれば、それはもうコンテナじゃなくて宇宙船だ。

 それはそれで面白いけど、今はそれよりも木連に関してだな。

 ASRSと、念の為にミラージュコロイドを展開して宇宙空間を進む。

 コンテナの中ではまだ色々と騒がしかったが、今はとにかく木連に見つからないように移動するのが最優先だろう。

 今回の件は、現在ナデシコ世界で起きている内乱騒動を無事収める為の大きな1歩なのだから。

 ぶっちゃけ、シャドウミラーの戦力を展開させればあっという間にこの内乱は終わるのだが、それだと戦後に色々と悪影響をもたらす事になる。

 可能であれば、シャドウミラーにとって最も労力が少なく、最も後腐れがなく、最も利益のある……そんな戦後を迎える為には、今回の件は色々な意味で影響力が高くなる筈だった。

 何より、俺達シャドウミラーの力だけでこの件を解決してしまえば、ナデシコ世界でシャドウミラーへの依存が起こる可能性がある。

 ただでさえ俺達シャドウミラーには政治関係の人材が潤沢とは言えないんだから、1つの世界を丸々こっちに委ねられても困る。

 ……まぁ、人材は潤沢じゃないけど、魔法球があるおかげで最悪はそっちで休んでこっちではずっと働いて貰う……という手段もない訳じゃない。

 だが、それはあくまでも非常時の手段であり、普通の時からそういう真似をしていればブラック企業と言われても否定出来ない。

 うん? 魔法球の中では普通に好きなだけ――限度はあるが――休む事は出来るんだし、それでもブラック企業って言うのか?

 うーん、正直微妙だ。微妙だが、それでも色々と外聞が悪いのは間違いない。

 そんな風に考えながら宇宙空間を進む事、30分程。不意にニーズヘッグのレーダーに反応があった。

 ちっ、やっぱり木連も周囲の索敵くらいはしていて当然か。それとも、まさかとは思うが転移してきたのを察知されているって訳じゃないだろうな?

 ともあれ、一応コンテナの方に知らせておく必要があるか。

 

「聞こえるか、木連のバッタが迫ってきている。活動範囲が広い訳じゃないバッタが近づいてくるって事は、恐らくその母艦となっているカトンボかヤンマ、もしくはチューリップがいる筈だ。コンテナの中では騒いでもいいように作られているが、それでも何が起きるかは分からないから、俺が合図するまで暫く静かにしててくれ」

『はい、分かりました。宇宙での戦いともなると、普通に戦うのとは随分と違うものがあるのですね』

「桜咲?」

 

 映像モニタに映し出されたのが桜咲だと知り、少しだけ驚きの表情を浮かべる。

 コンテナの中には桜咲もいる以上、別に桜咲が映像モニタに姿を現してもおかしくはない。おかしくはないのだが……てっきり神楽坂かエリナの姿が映されるものだとばかり思っていた為だ。

 

『ええ。……すいません、アスナさんじゃなくて』

 

 桜咲には珍しい、少しだけ悪戯っぽい表情。

 それでも、こうして見る限りでは桜咲も以前に比べて大人になった分、堅苦しいのは消えてある程度柔らかくなったと言うべきか。……いや、元々3-Aにいただけあって、ある程度柔らかくなっていたのは間違いない事実だったか?

 あのクラスにいれば、嫌でも真面目一辺倒ではいられなくなるのだから。

 

「別に神楽坂じゃなきゃ駄目って訳じゃないけどな」

『あら、そうですか? じゃあ、あのエリナさんという方でしょうか?』

「それもそれでどうなんだろうな」

 

 いや、エリナと話せるのは俺も嬉しいけど。

 

「とにかくだ。これからバッタが来るから大人しくしていてくれ。……特にヤマダ」

 

 桜咲と会話をしていても、映像の向こうからは『ゲキガン、パーンチ!』とかいう音が聞こえてくる。

 相変わらずゲキガン三昧の時間を過ごしているらしい。

 それは別にいいんだけどな。これから木連に向かうんだから、その木連で聖典とされているものをコンテナの中のメンバーには知っておいて貰いたいし。

 けど、バッタが迫っている状況でもゲキガン三昧にさせる訳にはいかない。

 多分大丈夫だとは思うが、絶対に大丈夫という訳ではないのだから。

 

『分かりました。すぐに何とかします』

「頼む。……言う事を聞かないようなら、軽く気絶させてもいいからな」

『は、はぁ……』

 

 ヤマダはあんな性格でも、軍人としての教育を受けてきている。いるんだが……純粋に身体能力や近接格闘の技量となれば、ナデシコ世界の人間がネギま世界の人間に勝てる訳がない。

 それも桜咲はネギま世界でもトップクラスに入るだけの実力を持つ。

 まぁ、ラカンとかには勝てないだろうが、あの男は色々な意味で例外だしな。

 

「頼んだぞ。ここで俺達が見つかれば、近衛も危険な目に遭ってしまうからな」

『……分かりました』

 

 やっぱり桜咲を動かすには近衛を使うのが一番だな。

 今もさっきまでの気が乗らない様子から一変して目付きが鋭くなった桜咲をそのままに、通信を切る。

 お嬢様命のあの状態の桜咲を相手に、ヤマダが何をしようとも無駄だろう。

 ともあれ、通信を切ってから暫くが経ち、やがてバッタの姿が映像モニタに映し出される。

 こうしてバッタの動きを見る限りだと、特にこっちを捉えているようには見えない。

 やっぱり運悪くパトロールをしているバッタに遭遇してしまった……というのが正しいんだろう。

 そのままニーズヘッグから少し外れた場所を移動していく。

 コンテナは技術班が作った代物だから、音漏れとかがする心配はない。ないんだが……それでもやっぱり注意しておくに越した事はないからな。

 木連の兵器ってだけで、完全密閉されたコンテナの中でも内部でゲキガンガーを見ていれば反応するように感じるのは俺だけか?

 いや、バッタは古代火星文明の遺産である以上、本来ならゲキガンガーとかは関係ない筈なんだが……それでも木連の兵器だけに何だかそういうのがありそうなんだよな。

 ともあれ、バッタはこっちとは別の方向へと進んでいき……やがて、全く俺達に気が付いた様子もなく、あらぬ方へと向かっていく。

 

「何とか見つからずに済んだ、か」

 

 このナデシコ世界では、ステルス系の技術はあまり発展していない。

 そんな状況でASRSとミラージュコロイドの両方を使ってるんだから、大丈夫だとは思ってたんだが……やっぱり何でも初めてってのは少し緊張するよな。

 

「大丈夫だ、バッタは通り過ぎた」

 

 コンテナに通信を送ると、安堵の表情を浮かべたエリナが通信映像に姿を映す。

 

『そう、こっちも頑張った甲斐があったわね』

「……そうか」

 

 何を頑張ったのか。それが分かるだけに、俺はそれ以上口にはしない。

 映し出されているコンテナの中の映像では、先程まで聞こえていたゲキガンガーの音声とかが聞こえてこないのだから。

 恐らく桜咲が頑張ったんだろうが……それを見ていたエリナが何を思ったのかは、俺もまた知らない。

 

「じゃあ、もう暫くは自由にしててくれ。またバッタが近づいてきたら知らせるから」

『ええ』

 

 短く、それだけを告げると通信が切れる。

 そうして……それから数回程バッタやカトンボ、中にはヤンマとすら擦れ違いながら進み続け、やがてニーズヘッグの映像モニタには以前に木連に来た時にも見た、木連の首都的な役割を果たしている都市艦れいげつの姿が映し出された。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16

   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1208

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