転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1424話

 ようやく……ようやくシャドウミラーにとって最大の希望だったカトンボ、ヤンマ、チューリップの生産プラントを譲渡するというのを納得させる事に成功した。

 正直、このナデシコ世界に来た中で最も大きな収穫と言えるだろう。

 ……いや、チューリップクリスタルの件の方が大きいか?

 ともあれ、こちらとしてはその確約を得たのだから、後はこの内乱……革命を成功させれば万事解決間違いなしだろう。

 そんな訳で、月臣と会うべく俺と……そしてヤマダは影のゲートを使って白鳥達と合流する。

 俺と白鳥のやり取りを聞いていたヤマダは最初俺に協力するのを嫌がったが、それでもこのままだと地球で活動している賊軍がより大きな力を得るかもしれないという説得をすると、渋々ではあるが納得した。

 あくまでも渋々であって、進んでという訳ではない。

 だが、それでもこちらに協力をするのであれば問題はない。

 ヤマダと月臣は性格的に似ている部分も多い。そういう意味では、月臣の説得をするには重要な役割を果たす人物だ。

 まぁ、月臣が俺の方を見て何を思うか……その辺も重要になってくるが。

 

「お待ちしていました」

 

 影のゲートから姿を現した俺に向かい、白鳥がそう言ってくる。

 高杉の姿がないのは、恐らく月臣を呼びに行っている……といったところか。

 

「月臣は高杉辺りが迎えに行ってるのか?」

「はい」

 

 高杉とは、神楽坂の件があってから微妙にぎこちないままだ。

 向こうにとって俺は紛れもない恋敵なんだから、その辺は仕方ないんだろうが……

 いや、そもそも神楽坂を諦めると言ってたんだから、恋敵でもないのか?

 まぁ、だからって俺を嵌める為に草壁に密告したりは……いや、高杉の性格を考えると、それはないか。

 

「で、場所は」

「これから案内します。……ガイも、いいな? お前に掛かっているんだぞ」

 

 白鳥を含めて、木連の連中はヤマダじゃなくてガイなんだよな。

 いやまぁ、それは別にいいんだけど……いや、いいのか?

 ちょっと疑問はあるが、それはそれ、これはこれって事にしておくか。

 

「ああ、分かってる。正直気が乗らないけどな。けどこれが地球の為に……そしてゲキガンガーを愛するお前達の為になるってんなら、少しくらい主義主張は曲げてやるよ」

「……悪いな」

 

 白鳥としても、先程の俺との交渉をヤマダが聞いていたのは理解しているのだろう。

 だからこそ、そういうのをヤマダが好まないと知って、それでも尚月臣の説得に協力してくれるのをありがたく思っているって事か。

 実際、生産プラントの件がなくても十分木連に利益があるんだよな。

 月臣は白鳥にとって親友なのだから。

 寧ろ、今この時まで月臣を除いて秋山や高杉と共に行動していた事こそが少し驚きだった。……今更ではあるが。

 

「ガイ、君はこの服装に。アクセル代表は……」

「ああ、俺は問題ない」

 

 ヤマダに優人部隊の制服を渡している白鳥の見ている前で気配遮断を使用する。

 するといきなり目の前から俺の姿が消えた事に、白鳥が慌てて周囲を見回す。

 そんな白鳥を見ながら気配遮断を解除すると、白鳥の視線は再び俺に向けられた。

 

「え? その、アクセル代表? 今のは?」

「まぁ、俺の使える技とでも思っていてくれ。ただ、機械を通すと全く効果がないからな。月臣を呼んでいる部屋に到着するまでの場所にカメラの類があるなら、いっそ影のゲートで直接移動した方が早いかもしれないな」

 

 いや、よく考えれば最初から影のゲートで俺とヤマダが移動すれば良かったようにも思えるが……その辺はまぁ、色々と俺の力を白鳥に見せつけておくというのは必要な事だったと思おう。

 実際気配遮断に関しては、以前高杉の前で使ってるから、向こうも情報を持っているんだし。

 直接その目で見るのは初めてだから、その辺は少し驚いたようだが。

 

「今のが……三郎太から聞いてはいましたが……」

「聞いてたならいい。で、カメラの類は?」

「当然あります」

「だよな」

 

 そんな訳で、結局俺は影のゲートを使って移動する事になった。

 ちなみにヤマダは折角優人部隊の制服に着替えたという事もあり、木連の中を見てみたいという要望で白鳥と秋山の2人と一緒に移動するらしい。

 

 

 

 

 

 そして、白鳥に指示された部屋。

 そこは、何て言う和室……いや、茶室って言うんだったか?

 妙に小さく、しゃがまなければ入ってこられないような扉があるのを見る限り、多分間違いない。

 そんな部屋の中に現在俺と白鳥、秋山、ヤマダの4人はいた。

 何でこんな部屋を選んだのかは疑問だったが、月臣が俺の事を見て逃げ出そうとした時にすぐに逃げられないような場所でも選んだ……とかか?

 いや、月臣の場合は俺を見つければ逃げるんじゃなくて襲い掛かって来そうだが。

 何しろ、今はまだ明確に敵対はしていないが、草壁が賊軍に協力するという選択をした以上、俺達シャドウミラーは木連の……いや、草壁の明確な敵なのだから。

 白鳥の親友という事もあって、あまり強引な真似はしたくないが……俺達の要望を拒否する場合、最悪捕虜にして革命が終わるまではこっちで確保しておく必要があるかもしれないな。

 気配遮断を使用した俺は、部屋の隅に立っていた。

 部屋の中央には白鳥、秋山、ヤマダの姿がある。

 3人共、今はそれどころではないと理解しているのだろう。珍しくゲキガンガーの話をしてはいない。

 時々茶室の中を見回しているのは、俺がどこかにいるのか分からないからか。

 俺がいるというのは言ってあるし、気配遮断を使っているところも見てはいた。

 だが、やはり姿が見えないというのは3人にとって落ち着かないのだろう。

 ちなみにこの茶室があるって事は、多分木連には茶道とかが広まっているのか?

 いや、木連の人間は日系人……日本人が多いから不思議じゃないんだが、何だかまともな茶道が伝わっていないように思えるのは俺の気のせいか?

 この場合、木連式茶道……となるのだろうか。

 ゲキガンガーの影響を受けて、独自に発展してそうだな。

 そんな事を考えていると、やがて茶室の扉……しゃがまなければ入れないような扉が開き、2人の人間が姿を現す。

 最初に入って来たのは月臣で、その次に高杉が。

 月臣は茶室の中にいるのが白鳥と秋山だけではなく、全く見知らぬヤマダがいるというのに少し驚きの表情を浮かべるが、それだけだ。

 白鳥と秋山の2人が特別な反応をしていないというのも大きいんだろうが、そのまま茶室の中に入ってくる。

 

「九十九、源八朗、どうした急に呼び出して。何か話があるなら、通信でもいいだろ? 今は色々と忙しい時期なんだから」

「それだ、元一朗」

 

 白鳥が口を開く。

 最初から俺が出ても良かったんだが、月臣とは何だかんだと接する時間が少なかったからな。しかもその気の強さは身に染みて分かっているので、出来れば白鳥が説得を成功してくれると俺も月臣と接触しなくて済んで最善なんだが……無理だろうなぁ。

 

「それ、とは? 地球侵攻作戦の事か?」

「ああ。……率直に聞く。お前は本当に今回の草壁中将の策が上手くいくと思っているか? 連合軍やネルガルだけなら、まだ俺達にも勝ち目はあるだろう。だが……向こうにはシャドウミラーがついている。その実力がどれ程のものなのかというのは、元一朗もよく知っているだろう? 本気でどうにかなると思っているのか?」

「それは……」

 

 月臣もその辺には自信がないんだろう。微かに言い淀み……だが、それでも次の瞬間には首を横に振って口を開く。

 

「俺達は草壁中将の言葉に従うだけだ。……違うか?」

「違う」

「……何?」

 

 てっきり白鳥は自分の言葉に同意をするものだとばかり思っていた月臣だったが、白鳥から戻ってきたのは否定だった。

 それも考えた上での否定ではなく、即座の否定。

 月臣の視線が、白鳥から秋山の方へと変わる。

 

「源八朗、お前も九十九と同じ考えなのか?」

 

 そう尋ねた月臣の視線は、友人へと向けるものではない。どこか敵へと向けるものに近い。

 月臣の中で、白鳥と秋山の言動は既に草壁へと逆らうものとなり、敵に等しいという思いが強いのだろう。

 後ろから見ている俺だからこそ分かったが、座っている状態のままそっと……微かにではあるが体勢を変えている。

 そう、まるで何か行動へと移そうとしているかのように。

 それを確認すると、俺は気配遮断を使ったまま月臣の後ろへと移動する。

 

「そうだ。今のままでは、木連は破滅への道を進むことになると俺も九十九も思っている」

「……その言葉は、誰からのものだ? そっちの男は初めて見る顔だ。優人部隊の軍服を着ているが、優人部隊の者ではないな?」

 

 月臣の口から出た言葉に、少しだけ驚く。

 優人部隊は木連の精鋭だ。つまりそれだけ人数は少なく、所属しているのも他の部隊よりも少ないだろう。

 だがそれでも、100人、200人といった規模ではないのは確実だ。

 けど月臣はその人数全員の顔を覚えていると言ったも同然なのだから。

 ……いや、それくらいなら普通なのか? 1000人規模なら無理かもしれないが、100人規模なら全員の顔を覚えるのも可能、か?

 そんな風に考えている間にも、目の前の会話は進んでいく。

 

「そうだ。この男はダイゴウジ・ガイ」

「……ダイゴウジ・ガイ? 聞いた覚えがない名前だが」

「だろうな。木連の人間ではないのだから当然だ」

「木連の人間では……ない? それに先程の言葉……九十九、貴様まさか!」

 

 その言葉が決定打となったのだろう。月臣は立ち上がりながら懐から銃を取り出そうとして……

 

「そこまでだ」

 

 銃口が白鳥や秋山、高杉、ヤマダに向けられる前に月臣の腕を掴む。

 行動に移した事で気配遮断が解除され、俺の姿を他の者達が見られるようになる。

 攻撃態勢に入ったり、こうして直接行動を起こせばスキルの効果が切れるってのは、少し面倒だよな。

 いやまぁ、あくまでもアサシンのスキルなんだし、隠れるのが優先と言われればそれもそうなんだろうが。

 ともあれ、銃を取り出した月臣はいきなり自分の腕を止められた事に驚き、次にそれを行ったのが俺だというのに驚く。

 

「アクセル・アルマー!? 何故お前が木連にいる! いや、そうか、九十九や源八朗、三郎太がこんな事を言い出したのは、全てお前の策略か!」

 

 それを否定しようとし……すぐに月臣の言ってる事は決して間違っていない事に気が付く。

 そうなんだよな。確かに今回の件は俺がもたらしたんだから、月臣の言葉はこれ以上ない程に核心をついている。

 ただまぁ……

 

「別に俺は白鳥達を脅したり、強制したりといった事はしていない。情勢を正確に話しはしたけどな。それを聞き、考えた上で白鳥達が出した結論だ」

「そうだ。アクセル代表が言ってる通りだ。別に俺達は強制されている訳ではない。純粋に現状を考えた上で、木連が進むのは茨の道であると、それどころか仁義に反している道だと判断したんだ。……元一朗、聞け。お前は本当に今の木連の行動が正しいと思うのか?」

「それは……だが、草壁中将を信じずしてどうする!」

 

 その特徴的な長い黒髪を振り乱しながら告げる月臣に、ヤマダが近づいていく。

 

「馬鹿野郎!」

 

 そう告げ、振るわれる拳。

 ……おい。俺が押さえてるって事を忘れないか? 今のままだと一方的に月臣が殴られるだけだと判断して、月臣の掴んでいる腕に少しだけ力を入れてその身体を操り、ヤマダから殴られる一撃の被害を最小限にする。

 

「上の言葉に従ってるだけなら、それはキョアック星人と変わらないだろうが! お前の中にもゲキガンガーを愛する心が……ゲキガン魂があるんだろ! お前は、そのゲキガン魂に胸を張って言えるのか? 自分がこれからやろうとしているのは、全く間違ってはいないってなぁっ!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、俺が掴んでいる月臣の腕に一瞬だけ力が入る。

 ……やっぱりこいつらの説得ってヤマダに任せるのがベストなんだよな。

 月臣の動きが止まったのを確認し、掴んでいた腕を離す。

 

「言ってみろよ! お前の中にあるゲキガン魂に胸を張れるかどうかをな!」

「それは……だが、この件は草壁中将が……」

 

 ヤマダの言葉に言い淀む月臣だったが、その言葉は弱い。

 

「元一朗。こう言っては何だが、お前もシャドウミラーの実力については十分に理解している筈だな? そのシャドウミラーを相手に、俺達が戦って勝てると思うのか? 根性や熱血といったものではなく、純粋に実力差だけで考えてくれ。このまま草壁中将に従って木連を動かしていけば、俺達はシャドウミラーと戦うことになる」

「……」

 

 白鳥の言葉に月臣は黙り込む。

 純粋に両勢力の実力を考えれば、どうなるのかというのは考えるまでもなかったからだ。

 そして……数分の沈黙の後、月臣は小さく頷きを返してこちらの話を聞く体勢を取るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1208

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