転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1426話

 システムXNを使って目標座標に転移をしてくると、少し離れた場所に目標の施設はあった。

 ASRSとミラージュコロイドの両方を使っているので、ニーズヘッグが転移してきた転移フィールドの光を見た者がいたとしても、ニーズヘッグの姿を見つける事が出来る者はいないだろう。

 桜咲を影のゲートによる転移で月臣が囚われている部屋に送った後、目を丸くして驚いている月臣を桜咲に任せ、俺はすぐに宇宙空間へと出た。

 生身での宇宙遊泳……混沌精霊である俺だからこそ出来る事だが、いつまでもそうしてはいられないので、早速空間倉庫からニーズヘッグを取り出すと、システムXNでここまで転移してきた訳だ。

 向こうに見える施設が生産プラント……それは、シャドウミラーにとってもっとも欲しているチューリップの生産プラントだ。

 正直シャドウミラーが欲しいと思っているのはヤンマの生産プラントもなのだが、現在どっちが重要かと言えば新素材を作るのに必要なチューリップクリスタルのチューリップ生産プラントの方が重要だと判断した。

 この生産プラントを入手したら、当然ヤンマの生産プラントを……そしてカトンボのプラントといった風に回収して行くつもりだが。

 後は、人がどれだけいるか……だな。

 生産プラントはそこまで大きなものではない。

 それこそ、チューリップを1隻作るのがやっとといった大きさの生産プラントだけに、人の姿はあまりないだろう。

 上手くいけば、バッタだけという可能性すらある。

 中にいるのがバッタだけであれば、そのまま空間倉庫に収納する事が可能だが……

 

「さて、どうだろうな」

 

 呟き、そのままニーズヘッグのコックピットから降りる。

 宇宙空間を生身で移動出来るってのはやっぱり便利だよな。

 ニーズヘッグから離れるに従って、ニーズヘッグの姿が消えていく。

 いや、単純にASRSとミラージュコロイドの範囲外に出ただけなんだけどな。

 そのまま生産プラントへとゆっくりと近寄って行き……やがて、生産プラントから数機のバッタが姿を現す。

 ちっ、ニーズヘッグが見つかったのか? ……いや、違うな。バッタは真っ直ぐにこっちの方へと……俺の方へと向かってやって来る。

 ああ、なるほど。考えてみれば明らかだったが、ニーズヘッグの姿は消えても宇宙を移動している俺の姿が消えた訳ではない。

 まぁ、それでも普通は宇宙空間を生身の人間が漂っているとは思わないからデブリか何かだと思って放っておくんだろうが……それがバッタ――正確には無人機――であれば話は違う。

 自分で判断するのではなく、プログラム通りに動くだけなのだから。

 つまり、何かが近づいてきたのであれば人間なら大丈夫だろうと思っても、バッタならプログラムに従って出てくる訳だ。

 更に最悪な事に、俺が使える気配遮断は生き物が直接見ている場合にしか効果がない。

 バッタのような無人機には全く意味がない訳で……

 

「しょうがないな。……それにどのみち草壁が警戒を厳重にしてるだろうし」

 

 俺は、あっさりとバッタを破壊する事を決意する。

 どのみちバッタ程度であれば、破壊するのはそう難しくはない。

 幸いこっちに向かってくるバッタは1機だけだ。

 恐らく今回の件はあくまでも念の為に確認を……という事なんだろう。

 こっちに向かってくるバッタを破壊し、そのままチューリップの生産プラントを空間倉庫に収納する。……まぁ、人がいれば不可能だから、これはあくまでも最も上手くいったと仮定しての話だが。

 そしていよいよバッタがこっちに近づき……俺の姿を確認したのだろう。機銃をこちらへと向けてくる。

 うん? てっきりミサイルを撃ってくるかと思ってたんだが……いやまぁ、俺としてはそっちの方が楽でいいんだけど。

 こちらに向かって放たれる無数の銃弾。

 俺は虚空瞬動を使って――宇宙でも使えたのには驚いた――バッタとの距離を縮める。

 当然ながら銃弾は俺へと向かってくるが、ぶつかった瞬間に俺の身体は白炎と化し、銃弾が通り過ぎていく。

 そう言えば宇宙で撃たれた銃弾とかは、ビームとかレーザーみたいなものじゃなくて実弾である限り速度を弱める事なく真っ直ぐに飛んでいくんだが……その辺、大丈夫なんだろうな?

 ふと気が付けば、木連の都市艦がバッタの放った銃弾で破壊されてましたなんて事になったら困るぞ? 特にれいげつには俺達の拠点でもあるコンテナがあるんだから。

 ……どこか他の場所に飛んでいってくれた事を祈るのみか。

 そういう意味では、生産プラントの側でバッタに攻撃してミサイルが誘爆するのも……いや、そうか。バッタなんだから、別に破壊する必要はないか。

 見る間にバッタとの距離が縮まっていくのが見える。

 バッタは当然何度となく機銃を俺に撃ち込んでいるが、それは全て俺を貫き、あらぬ方へと飛んでいく。

 そして文字通りの意味で至近距離となった時……俺の手はバッタの身体へと触れる。

 瞬間、まるで今までそこにバッタの姿があったのが嘘のように綺麗さっぱり何もなくなっている。

 何をやったのかと言えば、今までにも何度かやった空間倉庫への収納だ。

 パイロットが乗っていない無人機だからこそ可能な方法であり、無人機にとっては触れられた時点で無力化されてしまうという脅威の攻撃方法。……いや、正確には攻撃方法じゃないが。

 ともあれ、こうして吸収……もとい、空間倉庫に収納されたバッタは、今頃空間倉庫の中で動きを止めているだろう。

 後はいつ出す事になるのか分からないが、空間倉庫から出された時にまた動き始める筈だ。……その際の攻撃相手が誰になるのかは全く不明だが。

 そういう意味では、攪乱用の兵器として使えるのかもしれないな。

 空間倉庫の中のバッタの様子を考えつつ、チューリップの生産プラントの装甲……いや、外壁部分へと触れ……次の瞬間には目の前に広がっているのは宇宙空間のみとなっていた。

 

「よし」

 

 どうやら生産プラントの中に人の姿はなかったらしい。

 これが偶然人の姿がなかったのか、それとも基本的に生産プラントが無人化しているのかはわからないが、それでも俺にとって幸運だったのは間違いない。

 もし生産プラントの中に人がいるのなら、まずはその人をどうにかしなければならなかったのだから。

 スライム辺りを使って人の姿を探し、それを排除していくというのは面倒極まりない。

 処分って言っても殺してもいいのならスライムで吸収させてしまえば話は早いんだが、木連を味方にしようとしている俺がそんな真似をやっていると知られたら、後々不味い事になるしな。

 だからこそ、もし生産プラントの中に人がいるのなら、気絶させるなりなんなりする必要があった訳だ。

 そして移動用のシャトルか何かに……何かこの感触覚えがあるな。

 ああ、SEED世界でジェネシスを奪取する時か。

 あの時も似たような事をしたしな。

 とにかく一番欲しかったチューリップの生産プラントは入手したので、次に俺が向かうべきなのはヤンマの生産プラントか。

 それが終わったらカトンボ、バッタ……一通り集め終わったら、次はチューリップとヤンマの生産プラントを中心に数を集めて行く事になる。

 T-LINKシステムを使ってニーズヘッグを近くまで呼び寄せ、コックピットへと入り、システムXNを起動……させず、映像モニタに周辺宙域と生産プラントのある位置を映し出す。

 システムXNでの転移は長距離を一瞬で移動出来るし非常に便利なんだが、欠点もある。

 それが、転移フィールドの光だ。

 システムXNを使って転移する時に生み出される繭のような転移フィールドは、転移した先でも容易に観測出来る。

 木連に限らず、ある程度の観測機器があるのであれば、間違えようがない程に。

 これが、戦闘中であれば問題はない。

 転移した瞬間に攻撃を行えばいいのだから。だが……今回のように機体諸共に隠密行動を取らなければならない場合は、致命的なまでの弱点となる訳だ。

 ……普通にニーズヘッグで移動するより、システムXNで転移した方が早いから、俺も基本的にはシステムXNを使ってるしな。

 ともあれ、宇宙区間のデブリの中を移動しながら、次の目標地点へと向かう。

 デブリを回避するのにエナジーウィングとヒュドラのスラスターを使い、普通であればまず不可能な軌道を描きながら飛んでいく。

 正直、このデブリを回避しながら飛ぶというのは、パイロットとしての技量を磨くという意味で非常に便利な訓練方法だ。……下手をすると死ぬので、俺以外だとなかなか出来ない訓練方法だが。

 ともあれ無数に広がってくるデブリの海を回避しながら突っ切ると、やがて先程とは違う生産プラントが見えてくる。

 あれが俺の希望するヤンマの生産プラントだが……うん?

 飛んでいると、その生産プラントに向かって飛んでいるシャトルがレーダーに反応した。

 シャトルって事は、当然誰か人が乗っている訳で……もしかしてチューリップの生産プラントをゲットしたのを知られたか? ……いや、それだと余りにも向こうの動きが早過ぎる。だとすれば……ああ、なるほど。白鳥達が行動を起こしたので、草壁が生産プラントを確保するべく行動に移したか。

 木連で内乱が起きた以上、当然ながら戦力を補充するという意味では生産プラントは大事だ。

 草壁としては至極当然の判断だったんだろうが……甘かったな。

 ASRSとミラージュコロイドで姿を消したニーズヘッグが、真っ直ぐにヤンマの生産プラントへと近づいて行く。

 シャトルの方も急いでいるのかそれなりの速度を出してはいるが……当然ながらニーズヘッグには及ばない。

 そのままヤンマの生産プラント近くまで移動すると、コックピットから出る。

 先程のチューリップの時とは違い、中からバッタが出てくる様子はない。

 ……施設保全という意味でも、何人か生産プラントの中にいてもおかしくないんだけどな。

 その辺は多少疑問だが……それでも俺にとって都合がいいのは変わらないので、そのまま生産プラントの外壁へと触れ、空間倉庫に収納する。

 すると次の瞬間、今までここに生産プラントがあったのが幻か何かだったように、姿が消えていた。

 当然シャトルを操縦している木連の人間もそれを見て焦ったのだろう。シャトルの挙動が見るからにおかしくなる。

 いやまぁ、ミラージュコロイドとかを装備しているのならともかく、この世界にそういうのは存在しないしな。

 ともあれ、もうこの宙域に用はない。

 それにやむを得なかったとはいえ、このシャトルの前でヤンマの生産プラントを収納してしまった以上、誰かが何らかの手段で生産プラントを奪取しているというのは、当然……ああ、いや。そう言えばこんなシステムもあったな。

 自分の馬鹿さ加減を考えながら、NジャマーⅡを起動させる。

 広さは……まぁ、生産プラントが固まっているこのデブリ一帯ってところか。

 NジャマーⅡは基本的に殆どの通信を妨害する効果を持つ。

 元々はNジャマーにも通信を阻害する効果があったのだが、このNジャマーⅡはNジャマー最大の目的だった核分裂反応の阻止という効果を切り捨て、通信の妨害に特化させたシステムだ。

 だからこそ、Ⅱとなっている訳で。

 ……まぁ、NジャマーⅡであってもフォールド通信の妨害は出来ないんだが、木連にフォールド通信なんてシステムは存在しないし、多分大丈夫だろう。

 ああ、でもチューリップを通して通信をしてるって事は、フォールド通信と似たような形なのか? だとすれば、妨害は不可能かもしれないが……それでもやらないよりはやった方がいい筈だ。

 ともあれ、そんな風にNジャマーⅡを使用して上手くいけば他と連絡が出来ないようにしてその場から移動する。

 次に向かうのは、カトンボだけど……そうだな、少し離れた場所に行くか。

 近い場所だと、さっきみたいに人がやって来てる可能性もある。

 ……うん? カトンボに行く前に少し遠回りをすればヤンマの生産プラントを回収出来るな。よし、こっちも奪って行くか。

 そう決めると、エナジーウィングを使って方向転換をしてヤンマの生産プラントがある方へと向かって飛んでいく。

 幸いそちらにはまだシャトルがやってきておらず、先程と同じくあっさりと回収する事が出来た。

 なるほど、都市艦から離れた場所にある生産プラントから回収して行けば、人がやって来るにしてもそれだけ遅くなるか。

 そうなれば一定数の生産プラントはこっちで入手できるし……そうした方がいいな。

 あっさりと決断を下すと、そのまま離れた場所にある生産プラントへと向かう。

 木連も……いや、草壁も白鳥達の反乱により暫くは混乱してるだろう。

 その間にこっちはなるべく多くの生産プラントを貰うとしようか。

 最終的に木連に返す事にはなるんだが、一定数こっちが得られるというのは、前々から望んでいた事だし。

 

 

 

 

 

 ……こうして、ニーズヘッグで生産プラントを集めた結果、木連の所有している生産プラントの7割を奪う事に成功する。

 まぁ、俺が入手したデータにある奴だけだけど。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1208

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