転生とらぶる   作:青竹(移住)

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スーパーロボット大戦OGs編
0001話


「……あれ?」

 

 ふと周囲を見回す。

 まず眼に入ってくるのはその辺で普通に売ってそうなシングルタイプのベッド。他には積み木やら絵本やらのいわゆる子供の遊具とでも呼ぶべき物。

 

「ここは一体?」

 

 何と言うか、寝ていた時に唐突に目が覚めたという気分。

 しかも……

 

 何か周囲の物が妙に大きいような?

 

 そう。積み木とかの玩具はともかくベッドが妙に大きく感じるのだ。

 少なくても自分の顔の高さまである物は大きいと表現しても間違いはないだろう。

 未だによく分からないが、取りあえず眼の病気とかいう可能性を考えて眼を擦る……否、擦ろうとした時に視界に入ったのは。

 

「……え? これ……え?」

 

 ぷくぷくとした、柔らかそうな手。それは少なくても俺の記憶にある大人の手ではない。

 

「子供の、手?」

 

 そう。それはどう見ても幼児の手だった。

 

「はは、は……知らない天井だ、とでも言えば良かったのか?」

 

 呟いた瞬間、頭の中によぎってくる今までの記憶、記憶、記憶。

 昨日の夜に食べた夕食の仕出し弁当、1週間前に1人で公園で遊んでいる時に転んだ事、1年前に買って貰った積み木、いつも多忙でろくに家には帰ってこない両親。

 そして……

 

「痛ッ」

 

 あー、あー、あー、あー、思い出した。思い出してしまった。

 そうそう。俺は確か事故か何かで死んで、いわゆる神様転生したんだ。

 そして……

 

「って、うわ。マジか? 最悪じゃねぇか」

 

 転生の時の事を思い出して頭を抱える。

 OKOK、落ち着こう。びーくーる。取りあえず転生の時にもらった能力をまずは確認だ。

 

「1つ目。Fate/Zeroで出てきた月霊髄液をスライムとして自分のもう1つの感覚器として操る事が出来るようにする」

 

 確認すると、どこからともなく水銀の塊が床に落ちる。

 手を動かすような感じでスライムを動かすようにしてみるときちんと動いてくれた。

 

「取りあえず、良し。2つ目の空間倉庫もOKだな」

 

 スライムの確認をした時にどこからともなく現れた理由が、2つ目の能力である空間倉庫だ。

 これはまぁ、よくある能力なので問題無いだろう。

 

「3つ目。スライムに消化・吸収能力を付加し、敵の能力等を吸収出来るようにする」

 

 スライムを操り、床に転がっていた積み木を1つ取り込んで吸収する。

 

「これもOKっと。4つ目はステータスの成長性をなるべく高くしてもらう。だけどこれは今は確認できないので取りあえずパスだな。で、5つ目は3歳になったら記憶を取り戻すだから、これも今日が3歳の誕生日なので問題無しっと」

 

 そこまで確認してから、溜息をつく。

 

「問題は6つ目と7つ目なんだよなぁ」

 

 6つ目に希望したのは魔法の才能。

 7つ目に希望したのはステータス確認能力。

 

「取りあえず自分のステータスを確認っと」

 

 内心で念じると、脳裏にステータスが表示される。

 

名前:アクセル・アルマー

LV:1

PP:0

格闘:110

射撃:128

技量:120

防御:117

回避:145

命中:167

SP:150

エースボーナス:不明

成長タイプ:万能・特殊

空:A

陸:A

海:B

宇:A

精神:???

   ???

   ???

   ???

   ???

   ???

 

スキル:EXPアップ

    SPブースト(SPアップ&SP回復&集中力)

     ???

     ???

     ???

     ???

     ???

     ???

     ???

     ???

 以上だ。

 ……突っ込みたい気持ちは良く分かる。良く分かるんだが、取りあえず名前の所を見てくれ。

 そう、俺の名前はアクセル・アルマー。

 名前だけならまだなんとか誤魔化しようもあるんだけど、ステータス表示が思い切りスパロボだったりする。

 ここまで来ると、もう現実を誤魔化す事は出来ない。

 俺はシャドウミラーの幹部になるアクセル・アルマーなんだろう。

 

「くそう。てっきり魔法のあるファンタジー系の世界に転生させてくれるとばかり思ってたのに。……まさかスパロボの世界に転生なんて……神様の意地悪……」

 

 

 

 

 

 

 

 落ち込む事しばし。

 取りあえず何とか落ち着いて来たので、改めて自分のステータスへと目を向ける。

 

「スキルのEXPアップは多分ステータスの成長性をなるべく高くしてもらうの効果だろ。で、このSPブーストは……魔法の才能の代わりか?」

 

 と言うかスパロボのスキルは5~6個程度だったと思うんだが、俺のステータスを見る限りでは10個。

 ……追加の転生特典か何かだろうか?

 

「いや。もし違っても俺に有利な事なんだしその辺は考えなくてもいいかな」

 

 精神関係……って、あれ? よく見るとSPが150!?

 

「うわ。これはスキルと併せて完全に魔法の才能関係だろ。まぁ、これも不都合はないしこれでOKと」

 

 能力の確認を終え、スライムを異空間へと戻してからこれからの事を考える。

 

「俺がアクセルであるのは理解した。そうなると次の問題は、ここがAの世界かOGsの世界かという事か」

 

 確かAではアクセルがロンド・ベル隊に所属する事が出来る可能性がある。OGsでは無条件でラミアがヒリュウ改&ハガネに所属。

 となると、死亡フラグは色々とあるが最終的には生き残れるスパロボAの世界である事が望ましい。

 いや、誤魔化すのはやめよう。戻った時の記憶によると両親がインスペクター云々と言っていたのを聞いた覚えがある。

 つまりは……

 

「スパロボOGsの世界で決まり、か」

 

 そして俺がアクセルである以上、ここはシャドウミラーが結成される世界。すなわち政治家やら官僚やらその他諸々は腐敗しまくって既に発酵臭がする状態。

 となると、俺の行動方針は大きく分けて2つ。

 このままシャドウミラーには関わらないで腐った政府の支配する世界で生きていくか、シャドウミラーに所属してあっちの世界へ行くか。

 ……いや、待てよ? ヘリオス、もといギリアムと一緒に一足早くあっちの世界へ行くのはあり、か?

 

「いや、駄目だな」

 

 転移実験をギリアムと一緒にやるという事は、最低限それなりの知識を身につけ、さらに主任研究員とかの地位にいなければ駄目だろう。

 少なくても俺の頭じゃ多分無理だと思われる。

 いや、今からでも勉強一筋で頑張ればもしかしたら可能かもしれないが、そうなると録に体を鍛える暇も無くこの死亡フラグ満載の世界を生きる事になってしまう。

 原作を見ても分かるように、シャドウミラーではレモンとヴィンデルが頭脳、アクセルが手足といった関係だった。

 その辺を考えるに、俺に……というよりも、アクセルに研究者としての頭脳を求めるのはちょっと無理があるだろう。

 知識と身体能力の両方があるギリアム? あいつは平行世界を移動し続けてるチートだし問題外。レモンは戦闘も可能とは言え、基本的には技術者だし。

 ……そう考えると、シャドウミラーの頭脳で、指揮官で、政治的能力もあって、戦闘能力もあるヴィンデルってギリアムに負けないくらいのチートなんだな。

 

「っと、それよりもこれからどうするかだったな」

 

 頭を振って、これからの事へと思考を戻す。

 

「まずは俺に有利な点を考えてみるか」

 

 これは簡単だ。

 転生チート能力と、大まかにだがこれからの歴史を知っている点だな。

 ……ん? ちょっと待った。これからの歴史。つまりは誰がどの分野で活躍するのか大まかに理解出来ている。つまり、有能なパイロットや指揮官を知っている。

 でもって、原作でシャドウミラーがこっちの世界でキョウスケに負けてあっちの世界に転移したという事は、つまりはこっちとあっちの世界は時間軸はそう違わない筈。

 まぁ、技術的な面でエルアインスの事を考えれば多少の違いはあるんだろうけど。

 

「そうなると、まだ無名なうちに有能な奴らを引き込んで……引き込んで、どうする?」

 

 上手くいけばシャドウミラーを倒すのは可能だろう。

 ただし、その場合は腐敗した政府に支配されたこの世界に留まる結果になる。

 アインストに寄生されたキョウスケというおまけ付きで、だ。

 

「はぁ……そうなるとシャドウミラーと一緒にあっちの世界に行くのが一番安全、か?」

 

 でもって、あっちの世界でシャドウミラーから抜けるなりなんなりすれば、ヒリュウ改&ハガネがシャドウミラーを片付けてくれて万々歳、かな?

 でも、そうすると有能な奴を引き抜く云々というのはやめた方がいいのか?

……いや、どう歴史が動くか分からない以上は使える手駒はあって困る事はない。

 

「よし、方針は決定だな。シャドウミラーとあっちの世界に行ってから裏切って安全を確保の方針で」

 

 口に出して、ふと気が付く。

 

「……どうやってシャドウミラーに所属すればいいんだ? 取りあえずは連邦軍に入隊して、PTのパイロットになればいいのか?」

 

 これで間違っていない筈だ。

 恐らく、多分、きっと、めいびー

 

「まぁ、まずは」

 

 周囲を見回すと、既に暗くなってきている。

 将来に関して考えている間に既に夕方になってしまったのだろう。

 これからの道程に苦笑を浮かべつつ、部屋の電気のスイッチをONにする。

 

「にしても、誕生日なのに両親そろって留守とはね。しかもまだ3歳だってのに」

 

 アクセル君の記憶を思い出す限り、両親は完全な仕事人間らしく家に帰ってくるのは着替えを取りに戻って来る時くらいだけらしい。

 それでも普通は3歳だとベビーシッターなりなんなりが必要そうなものだが、アクセル君は幸か不幸かいわゆる手の掛からない良い子だったらしくそのまま鍵っ子になってしまった訳だ。

 まぁ、俺の前世と違ってPTやらAMやらを作る程に技術が進歩している世界なんだから安全対策は万全なんだろう。

 誕生日だという事でいささか豪華な仕出し弁当で夕食を済ませ、風呂や歯磨き等のその他諸々を済ませると既に夜の8時過ぎ。

 取りあえず、そのままベッドで横になった。

 

「あれ? アクセルって事は、~なんだな、これが。みたいな口調にしなきゃ駄目なのか?」

 

 ……いや、そのアクセルを知ってる人はいないんだし、特に気にする必要は無いか。

 そんなどうでもいい事を考えながら、睡魔へと身を委ねた。


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