転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1444話

 からん、と氷がコップの中で音を立てる。

 本来ならそんなコップの中に入っているのは酒なんだろうが、残念ながら俺はアルコール禁止令を出されている身だ。

 いや、アルコールを飲んでも全く美味いとは思わないんだから、残念ながらってのはおかしいか。

 ともあれ、現在俺はホテルの最上階にあるレストランで食事をしていた訳だ。

 

「ふふっ、こうして見るとあの光の1つ1つで人が暮らしているのが不思議に思えるわね」

 

 窓の外を見ながら、シェリルが呟く。

 今日はリハーサルで忙しかったというのに、シェリルの顔には全く疲れた様子がない。

 シェリルの体力を考えれば全くおかしな話ではないのだが。

 エヴァの訓練を受けているのだから、リハーサル程度で疲れるという事の方がおかしい。

 

「リハーサルの方はどうだったんだ? 結局皆揃ったのが今日が初めてだったんだし、どうしても息が合わなかったんじゃないか?」

「そうね。ランカちゃんとは問題なかったけど、ラクスとミーアとは最初少し戸惑ったわ。……それでも最終的には全員の息があったし、問題はないと思うわよ」

 

 まぁ、基本的には1人ずつのコンサートだしな。それでもメドレーリレーとか、複数人で歌ったりといったのもある。その辺に少し手間取ったんだろう。

 それでも最終的にその辺を問題なく合わせる事が出来るのは、さすがに本職のプロといったところか。

 元々歌についての才能は超一流と言っても良かったシェリルだったが、シャドウミラーに来て、他の世界に顔を出すようになり、色々な刺激を受けたのだろう。

 それと自分で言うのもなんだが、俺という恋人がいる事によってラブソングの類も以前と違って色々と変化してきたらしい。

 夜の光景を思わせるような歌詞があったりするのはちょっと勘弁して欲しいんだが。

 照れくさいというのもそうだが、シェリルのファンが俺に向ける視線には明確なまでの殺意すら存在する。

 まぁ、それでどうにかなる俺ではないのだが、それでもやはりそういう視線を向けられて面白くないのは事実な訳で。

 

「じゃあ、明日のライブは大成功間違いなしか?」

「そうね。アクセルも見るんでしょう? なら、あたしがそんな大舞台で失敗する筈がないじゃない」

 

 相変わらず自信満々で告げるシェリル。

 実際それだけの実力を持っているのだから、誰もそんなシェリルに文句は言えないのだが。

 そんなシェリルに、冷たいウーロン茶の入ったコップを軽く掲げる。

 

「明日のライブの成功を祈って」

「あら、こういう時はあたしの瞳に乾杯じゃないの?」

 

 悪戯っぽく笑うシェリル。

 それでも魅力的なんだから、これは俺がシェリルに参っているのか、それとも素の状態でシェリルが魅力的なのか。……両方か。

 

「俺にそんな気障な台詞が似合うと思ってるのか?」

 

 気障というより、古臭い……あ、でも流行ってのは時々一周回って元に戻るって話を聞いた事があるな。って事は、もしかして『君の瞳に乾杯』もまた流行したりするのか?

 

「ふふっ、そうね。でも、女ってのは恋人にそういう口説き文句を言って貰いたくなったりもするのよ? 特にアクセルの場合は私を含めてハーレムでしょ? なら、釣った魚にもきちんと餌をあげないと……」

 

 意味ありげな視線を向けてくるシェリルだったが、俺が口を開くよりも前に再びシェリルの口が開く。

 

「……って普通なら言うところなんでしょうけど……色々な意味で規格外なアクセルという男を知ってしまった以上、もう普通の男を男として見る事は出来ないわ。最初にアクセルと出会ったのは、幸運だったのか、不幸だったのか……微妙なところね」

「そこは幸運だったと言って欲しいな」

 

 少し不満そうな視線を向けると、シェリルからは笑みが返ってくる。

 

「そうね、今の私は間違いなく幸せよ? でも、アクセル以外の男を男として……正確には異性として見る事が出来なくなったってのは、少し残念だと思わない?」

 

 シェリルは間違いなく絶世の美女と呼んでもおかしくないだけの美貌と魅力を持っている。

 そんな人物に男として……異性として見られないというのは、多くの男にとっては絶望しかないだろう。

 特にシェリルの熱狂的なファンにしてみれば、俺を恨んでも恨みきれないってところか。

 

「規格外って言われてもな。俺自身はそこまで特別な感じではないと思うんだが」

「……あのね、どこの世界に毎晩9人の女と爛れた夜を過ごす男がいるのよ。ましてや、そういう夜を過ごす事が出来たとしても、体力や精力が持たないでしょ」

 

 まぁ、体力と精力が無尽蔵だって自覚はある。

 シェリルが言う通り、毎晩のように9人を相手にして、最終的には9人の方が先に音を上げている。……夜の生活が充実していれば肌艶が良くなるって話はよく聞くけど、シェリル達の場合は夜の生活が激し過ぎて、時々魔法球で体力を回復させてたりもするしな。

 混沌精霊だから……って訳じゃないのは、ネギま世界に行く前にレモン、コーネリア、マリューといった3人と夜を過ごした件を思えば明らかだ。

 もっとも、混沌精霊になって余計に体力と精力が増したってのは間違いのない事実ではあるんだが。

 

「全く、私もなんでこんな悪い男に引っ掛かったのかしらね」

「シェリルと最初に会ったのは……ああ、シェリルがライブの為にフロンティア船団に来た時だったな。変装して抜け出してた時」

「ええ、あの時可憐な蝶はアクセルという蜘蛛が用意した蜘蛛の巣に捕らえられてしまったのよ」

「……その表現は、正直微妙じゃないか?」

「あら、そう? 私としては正確だと思うけど。……何だかんだで、アクセルとの間には色々とあったわよね」

 

 色々というのは、当然ながらV型感染症の件も含まれているのだろう。

 シェリルの命を後一歩で奪うところだった、バジュラが原因の病気。

 結果として、今のシェリルはこうして無事に人生を楽しんでいるが、何か一歩間違っていれば今ここにシェリルの姿はなかった。

 他にもグレイスの裏切りとかもあったのを考えると、俺とシェリルが共に歩んできた道のりは決して平穏だった訳ではない。いや、寧ろ波瀾万丈と言ってもいい。

 

「そうだな。その結果、こうして俺とシェリルは2人で一緒にいられる。それは幸福な事だと言ってもいい」

「……あら、随分と気障な事言うのね」

「これくらいはな」

 

 幸せそうな、それでいて面白そうな笑みを向けてくるシェリル。

 こうして今シェリルと一緒にいられるというのは、この上ない幸福なのだろう。

 正直、何か一つ間違っていれば……と思う時もあるのだから。

 

「それに……私にも家族が出来たしね。普通とは全く違う家族だけど」

「まぁ、普通じゃないのは認める」

 

 現在俺の家にいるメンバーを考えれば、とてもではないが普通だとは言えないだろう。

 人によっては狂気の沙汰だと言うべき者もいるかもしれない。

 一夫一婦制で生きている人間にとっては、特にそんな思いが強い筈だ。

 だが……それが俺達なのだ。

 そんな恋人達を守り、よりホワイトスターを発展させていくというのが俺の生きるべき道だ。……その結果、何故か恋人が更に増えたりもするのだが。

 それでも幸い俺達は上手くいっている。

 こんな幸せな……それでいて刺激的な毎日がいつまで続くのかというのは、俺も分からない。

 だがそれでも、この幸せを壊そうとするような者がいた場合、俺は間違いなく牙を剥くだろう。

 それこそ混沌精霊としての俺の全身全霊で。

 俺は決して正義の味方という訳ではない。それは、俺が今まで通ってきた道筋が示している。

 もし名前も知らない10000人とシェリルを含めた恋人9人どちらの命を取るのかと言われれば、俺は躊躇なくシェリル達を選ぶ。

 そしてシェリル達を助けた後で余裕があれば、そこで初めて10000人の方を助けるだろう。

 この辺が、俺とFate世界の衛宮の違い。

 正義の味方を目指している衛宮と、自分の周囲を重要視する俺。

 それでも、今の俺は決して後悔はしない筈だ。

 

「アクセル? どうしたの?」

「いや、ちょっと考えごとをな。……それよりシェリルも明日は忙しいんだから、しっかりと食べて体力をつけないとな」

「あら、それは明日のライブに備えてより、今夜、この後の行為を考えて?」

 

 そう告げるシェリルの視線は、シェリル・ノームという女を示している。

 歌手ではなく、女。背筋をゾクリとさせるような、艶然とした女の笑み。

 もしここにいるのが俺でなければ、我慢出来ずにシェリルに襲い掛かってもおかしくないだろう。

 

「そうだな、否定はしない。シェリルと一緒の夜を過ごせるんだから、そういう期待を抱くのは当然だろ?」

 

 そう告げると、今度はシェリルがこれから自分がどんな経験をするのか想像したのだろう。色っぽさという言葉そのままを意味するかのような溜息を吐く。

 

「ふふっ、アクセルも意外と女を乗せるのが上手よね。……まぁ、そのくらいでその気になるのは、あたしがアクセルをそれだけ愛しているからかもしれないけど」

 

 マクロス世界で俺とつき合い始めた当初……いや、同棲していた頃でも、こうして堂々と愛しているといった事は口にしなかった。

 これも一種の慣れって奴なんだろう、

 ただまぁ、それは悪い意味での慣れという訳ではなく、寧ろ良い意味での慣れと言ってもいい。

 俺としては、拒むどころか大歓迎だ。

 そのままシェリルとイチャつきながら食事を済ませ、やがてそのままシェリルの部屋へと向かう。

 当然明日のライブに参加するメンバーは全員がこのホテルに部屋を用意してあるのだが、メインのシェリルはスイートルームだった。

 部屋の中は広く、窓からはレストランから見た夜景とはまた違った夜景が見える。

 

「アクセル、はいこれ」

 

 そう言って渡されたのは、レストランで用意して貰ったチーズ。

 手間暇を掛けて作ったこのチーズは、当然かなりの高級品であり、その値段も相応のものがする……んだろう。

 宿泊料金と一緒に精算するので、具体的に幾らくらいなのかは分からないが。

 本来ならチーズと一緒に飲むのはワインとかがいいんだろうけど、当然のように俺とシェリルの前に用意されているのはお茶だったりする。

 俺は飲まないけど、シェリルは普段であれば飲んだりする事もあるんだが……シェリルの場合は明日がライブなので悪影響あるような真似が出来る訳でもない。

 ここでワインを飲んで、明日二日酔いになったりしたら目も当てられないし。

 いや、そう簡単に二日酔いになるとは思ってないけど。

 ともあれ、そんな訳で現在俺とシェリルは冷えたウーロン茶を飲みながらチーズを始めとした軽く摘まめる物を食べる。

 何だか雰囲気的にちょっとどうかと思うが、正直なところこれが俺達にとってはいつもの事なので、特に違和感の類はない。

 

「へぇ……結構面白い番組をやってるんだな」

「そうね。現在のナデシコ世界では内乱状態なのに……それでもこうして報道番組以外の番組もやってるのは好感が持てるわ。報道番組だけだと、正直息が詰まるものね。あら、可愛い」

 

 俺とシェリルが見ているのは、ドキュメンタリー番組。

 いわゆる、動物の生態とかを紹介している番組だ。

 現在はその番組の中で小さな狐の様子が映し出されている。

 うん、確かに可愛いな。こういう小動物枠は……と思ったところで俺の脳裏にラピスの姿が過ぎったのはある意味当然なのだろう。

 俺の……正確には俺とシェリルを含めた恋人達の養子となったラピスは、現在ホワイトスターで一般常識を勉強中だ。

 皆、何だかんだと皆ラピスの事を気に入っているらしく、世話を焼いている。

 そんな中で、ラピスに対して一般常識を――シャドウミラーのだが――教えているのは、マリューと千鶴。

 俺の恋人達の中でも一般常識について詳しい……と思われる二人。

 まぁ、レモンやコーネリア、スレイといった面子は生まれや育ちが色々と特殊だし、それはあやかやシェリルもそうだ。……他には円と美砂も一般常識についてはそれなりに詳しいのだろうが、円はともかく美砂にその辺を教えさせようとすれば色々と面倒な出来事になるのが分かりきっていた。

 で、円と美砂は基本的に一緒に行動しているので……って事になった訳だ。

 まぁ、マリューは技術班として、千鶴は政治班として色々と忙しいのは事実だが、幸い今はある程度余裕があるというのが幸いした。

 

「ねぇ、アクセル……」

「うん?」

「折角今日は2人きりなんだし……他の女の事は考えないで、私だけを見て頂戴」

 

 そう告げ、シェリルは隣に座っている俺へと唇を重ねてきて……そのまま俺はシェリルを抱き上げ、ベッドへと運んでいく。

 ……明日はライブなんだし、シェリルの疲れを明日に残さないようにしないとな、とそんな風に考えつつ。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1208

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