転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0131話

「貴方がお姉様に雇われて直属の部隊に配属された方ですか?」

 

 目の前にいるのはどこかコーネリアの面影を感じる女。ただ、コーネリアが剛をイメージさせるとすれば、目の前にいる女は柔をイメージする。すなわち、コーネリアの妹であるブリタニア帝国第3皇女のユーフェミア・リ・ブリタニアだ。……変装の為か、伊達メガネをかけているが。

 この世界に転移してきてからコーネリアに雇われ、既に半月近くが経つ。サイタマゲットーの戦いの後、ゼロは行動を止めて地下に潜った。黒の騎士団を作る為の前段階として必要な物資等をギアスを使って集めているのだろう。

 そして、その黒の騎士団は今日結成される筈だ。なにせ目の前にいるユーフェミアが河口湖コンベンションセンターホテルで開かれるサクラダイト生産国会議へと参加するのだから。もっとも、実際に会議に出席する訳ではなく立ち会うだけなのだが。

 正直、ホテルジャック事件の事をコーネリアに伝えるかどうかは非常に迷った。だが、何故そのような事を知っているのかを追求された場合に答えようがなかったので、仄めかす程度にした。その結果が……

 

「今日はわざわざ私の護衛をしてくれると聞いています。よろしくお願いしますね」

 

 これだ。

 コーネリアに『そんなに危険だと思うのなら、お前がユフィの護衛をしろ。分かっていると思うが傷一つつける事は許さんぞ』と言われて、数名のSPと共にユーフェミアの護衛をする事になってしまった訳だ。

 にしても、コーネリアも出会った当初は俺の事を『貴公』とか呼んでいたのに、今では『お前』呼ばわりだ。お互いに打ち解けてきたと言えばいいのだが、どうにも納得がいかない。

 まぁ、それはともかく今はユーフェミアだな。

 

「ああ。コーネリアに頼まれたからには全力でお前を守ろう。例えテロリストが現れても心配はいらない」

「……冗談にしては不謹慎だぞ」

 

 俺の声に反応したのはユーフェミアではなく、その隣に立っている女だった。ショートカットで、服装も一見高価そうなスーツだが動きやすいように色々と工夫されているのが分かる。

 

「お前は?」

「私はユーフェミア様のSPをしているルシィと言う。この会議の間だけだがよろしく頼む」

 

 そう言って差し出された手を握り……!?

 

「ほう、なかなかの腕だ」

「……そちらこそ」

 

 このルシィという女、握手した手を使い俺を投げ飛ばそうとしたのだ。それを感じ取り咄嗟に力の流れをいなして受け流す。

 恐らくこの女が使う捕縛術か何かなのだろう。俺の身体能力とインファイトLV.9があっても、油断をしていれば投げ飛ばされた可能性がある程度には腕が立つようだ。その辺はさすが皇族のSPか。それに妹を溺愛しているコーネリアの事だ。恐らくSPの中でも最も優秀な人選をしたのだろう。

 

「何だか分かりませんけど、お二人の仲がいいようでなによりですわ」

 

 こちらを見てニコニコと笑っているユーフェミア。それを見て、俺もルシィと名乗ったSPの女も苦笑を浮かべて握っていた手を離す。

 あるいは周囲をほんわかとした空気にさせるのがユーフェミアの皇族としての資質なのかも知れないな。

 

「あなたが護衛に入るというのは今日急に決まったので、こちらの護衛態勢を崩さない為にも私と共にユーフェミア様の側にいて貰いたんだけど……」

 

 ルシィの言葉に黙って頷く。彼女にしてみれば会議当日に突然護衛に回されてきた俺は扱いに困った筈だ。だがエリア11総督のコーネリアからの命令とあっては従う他はない。その妥協点がユーフェミアの近くで自分と一緒に護衛する事なのだろう。

 

「了解した。護衛は専門ではないしそちらの指示には従おう」

「助かります」

「ではお二人が仲良くなった所でそろそろホテルへ入りましょう。会議までの時間も余り残っていませんし」

 

 ユーフェミアが腕時計を見ながらそう声を掛けてくる。コーネリアに貰った携帯で時間を確かめると確かに会議の開始まで後30分といった所だ。

 

「ああ、じゃあ早速……ん?」

 

 ホテルに入ろうとした時にふと目に入った人物。それはどこか戦場の空気を纏っている人物だ。それだけなら特には気にしなかったが、その人物がイレブンと思われるのが気になった。サングラスで顔は確認できないが、後ろ髪が跳ねているあの特徴的な髪型にがっしりとしたその体格。もしかしてホテルジャックの主犯である草壁中佐か?

 

「アクセルさん?」

 

 既にホテルのロビーへと入っているユフィに声をかけられ、そちらへと顔を向ける。

 

「……どうかしましたか?」

「いや、ちょっと気になる男が」

 

 ユーフェミアの隣にいるルシィにそう返事を返し、先程草壁中佐と思しき人物がいた方へと視線を向けると、既にそこには誰もいなかった。

 

「……気のせいだろう。気にするな」

「それならいいんですが」

 

 ユーフェミアとルシィの後を追い、ホテルへと入っていく。ルシィには気のせいだと言ったが、どうやら原作通りにホテルジャック事件が起きる事は間違いなさそうだな。

 

 

 

 

 

「ユーフェミア様が会議に参加している間、私達護衛は会議室の隣の部屋で待機となる」

「そういうものか」

 

 ルシィの言葉に頷く。だが、確かにTV等でよく見る会議の場に護衛が同席しているというのは殆どない。長年シャドウミラーとして活動してきた俺にとっての会議と言えば、ヴィンデルとレモンの3人でやるものだったので何となく慣れないな。

 

「アクセルさん、どうかしましたか?」

 

 ユフィの呼び掛ける声で我に返る。

 

「いや、なんでもない。ユーフェミアこそ、そろそろ会議の時間だろう」

 

 ルシィの方を見ると、彼女も頷き口を開く。

 

「彼の事は私に任せてユーフェミア様は会議室へ」

「そうですか? 残念。もう少しお姉様の事をアクセルさんに聞きたかったのに」

「この会議が終わったらいつでも話せます。会議が始まる時間が近づいていますので」

「はーい。じゃあ、また後でお話ししましょうね」

 

 ユーフェミアは俺にそう声を掛けると、護衛の待機室から出て隣の会議室へと向かった。この部屋には俺達の他にも複数の人間がいる。殆どがスーツを着ていかにもVIPのSPですと言わんばかりの格好だ。会議に参加している者達の護衛だろう。

 

「で、俺達は会議が終わるまでここで待機していればいいのか?」

「ええ。見回り等も必要なのだけど、そっちは他のメンバーがやってくれるわ。だから私とアクセルはユーフェミア様の会議が終わるまではここで……」

「……待て」

 

 ピリピリとした空気を感じる。これは戦場の空気か? となると……

 

「アクセル?」

「冗談が冗談じゃなくなったようだな」

「何を……っ!?」

 

 一瞬俺が何を言っているのか分からなかったルシィだが、次の瞬間にはホテルの前で俺が口にした言葉を思い出したのだろう。会議室の方へと足を踏み出す。だが……

 

 パァンッ

 

 一歩遅かったらしく、会議室から銃声と思しき音が鳴り響いた。

 

「ユーフェ」

「ルシィっ!」

 

 咄嗟にルシィの口を手で塞ぐ。ユーフェミアは原作通りにあくまでもこの会議には立ち会っているだけだ。草壁中佐も参加者一覧に名前のないユーフェミアの事は認識していないだろう。

 

「……」

 

 無言でこちらを見ているルシィに、もう大丈夫だと判断しその手を離す。

 

「すみません、助かりました」

「ああ、それより……おでましだ」

 

 俺が口を開くのと、部屋に銃で武装した男達が入ってくるのは殆ど同時だった。

 

「我々は日本解放戦線の者だ。悪いが会議に参加している者やお前達には我々の人質となってもらう。会議室にいる者達は既に捕らえてあるので、抵抗はしないでもらいたい」

 

 護る対象を人質に取られてはさすがにどうする事も出来ない。人質に被害が出ても構わないのなら日本解放戦線を壊滅するのは容易いが、それではユーフェミアにも危害が加えられてしまい護衛の意味が無くなる。

 中佐というだけはあり、それなりにやるのは間違い無いらしい。

 結局護衛は会議室にいたメンバー共々倉庫のような場所へと閉じ込められた。もちろん武装や携帯電話等は日本解放戦線に没収されている。俺もギルフォードから借りたこの世界特有のリニアガンを奪われた。

 幸運だったのは俺もルシィもユーフェミアと同じ部屋に閉じ込められた事だろう。おかげでいざという時は護りきれる。

 また、俺と同じ部屋になっている人質の中には原作キャラのミレイ・アッシュフォード、シャーリー・フェネット、ニーナ・アインシュタイン3人の姿もあった。

 そんな中、部屋の中へと数人の男が入ってくる。銃と刀で武装している男達。日本解放戦線だ。そして、その中でも一際目立つ体格をしているのが草壁中佐だろう。……やはり、ホテルの入り口で見たのはこいつだったか。

 

「日本解放戦線の草壁である。我々は日本の独立解放の為に立ち上がった。諸君は軍属ではないが、ブリタニア人だ。我々を支配する者だ。大人しくしているのならば良し。さもなくば……」

 

 そこで言葉を区切り、そのまま部屋を出て行く草壁中佐。あえてぼかす事で想像力により恐怖感を与える為だろう。

 

「どうします?」

「今は待つさ。妹の危機なんだ。コーネリアが何か手を打つだ……」

「アクセル?」

「いや、なんでもない。今は何か動きがあるまで待つだけだ。ただし、何かがあったらいつでも動けるようにな」

 

 今感じた僅かな振動は……爆発? ホテル内部での爆発となると、地下道からサザーランドが突入しようとして雷光に撃破されたか。となると、次の動きは夜になってからのランスロットによる地下道突破とゼロだな。俺が動くのもそのどさくさに紛れた方がいいだろう。




名前:アクセル・アルマー
LV:34
PP:155
格闘:242
射撃:260
技量:252
防御:249
回避:277
命中:299
SP:414
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:190

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