転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1459話

 ディストーションフィールドが何重にも展開されている場所を発見したという量産型Wの報告に、他のシャドウを引き連れながらそこへと向かう。

 俺に報告を送ってきた量産型Wのシャドウがいたのは、この火星の極冠地帯の中でも周囲に何もないように見える場所だった。

 だが、地表には間違いなくディストーションフィールドの反応がある。

 その上には土の類が多くあり、これがディストーションフィールドの反応を邪魔していたのは間違いがなかった。

 

「良くやった」

『ありがとうございます』

 

 量産型Wを軽く褒め、次に俺が視線を向けたのは当然のように地下にあるディストーションフィールドだ。

 地下に広がっているそのディストーションフィールドは、こうして露出してしまえばある程度調べる事は可能だ。

 その結果分かった事は、何重にも存在しているディストーションフィールドであり、こうして見る限りではかなり地下深くまでも存在しているという事だ。

 幸いと言うべきなのか、こうして見る限りではディストーションフィールドとディストーションフィールドの間にはある程度の空間が存在している。

 ……そう、つまりニーズヘッグが入る程度の隙間は存在しているという事だ。

 こうして火星という大地に存在する以上、影のゲートを使っての転移も可能だし、システムXNを使っての転移も可能だ。

 さて、どうやって移動するか……迷ったのは数秒、俺はニーズヘッグのコックピットを降りる。

 そしてニーズヘッグの機体に手を触れ、空間倉庫へと収納。

 正直、システムXNでの移動でもいいんだが……この先に侵入者撃退用のトラップがあって、それが凶悪なものではないという保証はない。

 ディストーションフィールドがある以上、恐らくここに存在するのは火星古代文明に類する何かだろう。

 最初は賊軍が……正確には草壁辺りが生産プラントを隠していたのではないかと思ったのだが、幾ら何でもここまで大掛かりにディストーションフィールドを展開する事は出来ないだろう。

 それも、こうして土に……正確には凍土に覆われていたのを考えれば、まず間違いなく数年、もしくはそれ以上前に地下を掘らなければいけなかった筈だ。

 その状態で延々とディトーションフィールドを……それも何重にも張る?

 そんなのは、まず不可能と言ってもいい。

 ナデシコが使っている相転移エンジンだって、別にメンテナンスフリーという訳ではない。

 幾ら何でもこれが草壁や木連がやったと考えるのは無理がある。

 だとすれば、残る可能性は1つ。

 

「古代火星文明の遺産、か。それも相当に重要な代物」

 

 考えられる可能性としては、これしかない。

 だが、もしこれが古代火星文明の遺跡だとすれば、それこそ数千、数万年前からここにディストーションフィールドが何重にも展開されていた事になる。

 ……正直、木連が用意したというよりは遙かに驚くべき内容なのだが、それでも古代火星文明の能力だと考えれば不思議と納得してしまう。

 ともあれ、これ程厳重にガードしている以上、何か重要な代物があるのは確実だろう。

 そんな場所に向かう以上、ニーズヘッグを使えば万が一という事がある。

 正直なところ、純粋な攻撃力という意味では俺よりも上だ。

 だが、防御力や生存能力という意味では、ニーズヘッグに乗っているよりも純粋に俺の方が上だ。

 また、ここから見える限りではニーズヘッグが移動出来るだけの空間的な余裕はあるが、ディストーションフィールドが何重にも展開されている以上、この先にニーズヘッグが移動出来るだけの空間的な余裕がない可能性もある。

 そう考えれば、やはり俺が直接生身で行くのがベストだろう。

 

「この件を地球にいるレモンやコーネリア、それとホワイトスターにいるエザリアに連絡しろ」

 

 そう告げ、量産型Wをその場に残して影のゲートへと身体を沈めていく。

 このまま真っ直ぐ最下層……遺跡があると思われる場所へと向かってもよかったのだが、一応念の為に最初のディストーションフィールドの向こう側へと姿を現す。

 

「……うん、何も問題はないな」

 

 ディストーションフィールドの向こう側にシャドウの姿があるのを確認出来た。

 向こうからもこっちの様子は見えているだろう。……まぁ、シャドウが手を振るとか、そういうお茶目な真似をするとは思えないが。

 岩肌の影から出て空中に浮かんでいる俺だったが、特に何の異常もないのを確認すると、そのまま再び影のゲートへと身体を委ねる。

 そうして次の瞬間にはディストーションフィールドの存在する最下層……遺跡と思われる場所へとその姿を現していた。

 

「……神殿、か?」

 

 その遺跡を見た第一印象は、神殿のようなものだった。

 明らかに木連が作った物ではない。

 となると、これが古代火星文明の遺跡なのだろう。

 そして神殿の中心部分……そこには立方体の何かがあった。

 この形式を見る限りだと、多分この立方体の何かが重要な代物なのは間違いないんだろうが……けど、何だ?

 この立方体の物体以外は、特にこれといって重要そうな代物はない。

 

「……レモン、聞こえているな」

『聞こえているわよ』

 

 すぐさま返事が返ってくる。

 量産型Wから連絡がいっていたのだろう。

 それで、俺から連絡が来るのを待っていた……といったところか。

 この遺跡が気になってはいただろうに、それでも連絡を入れてこなかったのは、もしかしたらそれが切っ掛けで俺に何か不利益な事が起きるかもしれないと考えたからか?

 例えばよくあるドラマとかのように、隠れている場所でいきなり携帯に着信があって音が出て見つかるとか。

 ……何なんだろうな、あれ。携帯の電源を切っておくくらいの事はやってもいいと思うんだが。

 

『どうしたの?』

 

 黙っている俺に疑問を抱いたのか尋ねてくるレモンに、首を横に振る。

 

「いや、何でもない。それよりこれ……どう思う?」

 

 映像スクリーンに、俺の後ろにある巨大な立方体の物体を映し出す。

 

『大きいわね。……けど、あるのはこれだけ?』

「ああ。この遺跡がどんな場所かは分からない。けど、量産型Wから連絡はいってると思うが、ディストーションフィールドが何重にも展開されていた。そんな場所なんだから、この物体は何か大事な物なのは間違いないと思うんだが……何だと思う?」

『そう言われてもね。直接触れて調べる事が出来るのであればまだしも、こうして見ているだけで調べろと言われても……それに、少し暗くて見えにくいし』

「まぁ、遺跡だしな」

 

 古代火星文明を作ったのが誰なのかは分からないが、それでもディストーションフィールドを何重にも展開することは出来ても、明かりを十分に用意する事は出来なかったらしい。

 

「となると、やっぱりこれは持って帰った方がいいと思うか?」

『うーん……どうかしらね』

 

 へぇ。レモンの事だから、てっきりすぐに持ってきなさいとでも言うのかと思ったら、予想外に気が進まない様子。

 

「どうしたんだ?」

『いえ、そうね。出来ればそれはそのままにしておいた方がいいと思うわ』

「本気か?」

『ええ。大体そこに行くには何重にも存在するディストーションフィールドをどうにかしないといけないんでしょ? で、火星で私達以外の者がそんな真似をしようとすれば、当然すぐにこっちの基地で判明する。だとすれば、迂闊に持ち帰るよりもそこに置いておいた方がいいと思うわ。それに、遺跡というのは必ず何か理由があって存在しているものよ。もしその物体を持ち帰ったりしたら、何か悪い事が起きる可能性は決して否定出来ないわ』

「……何か悪い事、か」

 

 そう言われてまず真っ先に思いつく事は、チューリップの生産プラントがホワイトスターで使用不可能だった事だ。

 チューリップは古代火星文明の遺産だ。

 そして、俺の前にあるこの立方体の物質もまた同様に。

 つまり、この物質をこの世界から持ち出すという事は明らかに何らかの悪影響を与えかねない。

 

「けど、見つけてしまった以上、これをここに置いておくだけって真似は出来ないだろ?」

 

 賊軍の奴等は火星に到着する前に撃破した。

 それに何重にも展開されているディストーションフィールドを考えれば、この物体がそう易々と誰かに奪われるとは考えにくい。

 だが、考えにくいという事は不可能とイコールという訳でもない。

 それにこの極冠遺跡があるのは火星である以上、シャドウミラーの目を盗んでここにやって来る事が出来る者がそうそういると思えないのは事実だ。

 そう考えればここに置いておいた方がいいのも事実だが……それは絶対ではない。

 だとすれば、妥協としては……

 

「この世界から持ち出しが出来ないのであれば、せめて場所を移す事は出来ないか? シャドウミラーの基地に置いておきたいんだが」

『うーん……それも出来れば止めておいた方がいいわね。映像の様子を見る限り、その立方体の物体が遺跡の中心にあると見て間違いないでしょう? だとすれば、遺跡と立方体の物体が何らかの関係を持っているという事も考えられるわ。もしかしたら違うかもしれないけど、その辺はしっかり調べてみないと分からないでしょうね』

 

 レモンの言葉に、改めて遺跡へと視線を向ける。

 かなり巨大なその立方体の物質は、確かに見る限りではこの遺跡の中心に見える。

 この状況で立方体の物質に何があった場合、それが遺跡に何らかの影響を与える可能性は必ずしも否定出来ない。

 

「……分かった。出来ればこれは持って帰りたかったんだけどな」

『止めておきなさい。立方体の物体……って毎回言うのも面倒ね。そうね、これからはそれをコアユニットとでも呼ぶ事にしましょうか。ともあれ、そのコアユニットを動かせばどんな影響が出るか分からないんだから。賊軍との戦いが終わったらしっかりと調べてあげるから、それまで待ってて』

「ああ、そうさせてもらう。……それより、こう聞くのもなんだけどこうして俺と悠長に話をしていていいのか? 戦闘はどうなった?」

『もうとっくに終わってるわよ。こっちにいた賊軍の戦力はかなり少なかったし』

 

 あー……まぁ、考えてみればそうか。

 そもそも、本隊と目されていたサセボシティを襲った部隊でさえあの有様だった。

 正直なところ、ファブニール1機でどの戦線も決着はついただろう。

 もっともそんな真似をすれば勝つには勝つだろうが、戦いが終わるまでに時間が掛かり、その結果として周辺の被害が広まっていただろうし、何よりファブニールに敵わないとして賊軍が逃げ出す可能性が高かった。

 正面からぶつかるのであれば、このナデシコ世界では最強と言ってもいいファブニールだったが、敵が四方八方に逃げ出してしまえばどうしようもない。

 だからこそ、数の主力でもあるメギロートを用意したのだから。

 後は、ナデシコのように各戦線に加わった討伐軍や、シャドウミラーからは精霊の卵の存在もある。

 

「そうか、無事で何よりだ。……ああ、そう言えば遺跡とは違うが、サセボシティの戦いで賊軍がジンタイプ……テツジンを出してきたぞ」

『へぇ、じゃあやっぱり草壁が向こうに合流してたのは確実ね。どこでそれを作ったのかは分からないけど』

「多分クリムゾングループだろうな。かなり前から木連とは繋がっていたらしいし」

『でしょうね。……で?』

 

 そう告げてくるレモンの瞳は言外に告げていた。

 そのテツジンとやらをきちんと確保したんでしょうね? と。

 まぁ、木連から得られたのはあくまでジンタイプの大まかな情報だけだ。

 さすがに白鳥も、詳細な情報の全てをこちらに渡したりはしない。

 そういう意味で、技術班としてはテツジンに興味があったのだろう。

 

「勿論確保している。ただ、コックピットは基本的に潰させて貰ったけどな」

『何ですって?』

 

 鋭い視線が向けられるが、これについては仕方がない。

 

「あのテツジンは相転移エンジンを搭載していた。そして今、草壁は……いや、賊軍はこれ以上ない程に追い詰められていた」

 

 それだけでレモンは俺の言いたい事を理解したのだろう。仕方がないわねと小さく呟く。

 まぁ、実際には追い詰められていたのは事実だが、本当の目的はこのコアユニットの奪取だった。

 そういう意味でも、地球の戦いで混乱が広がるというのは大きな利益だったのだろう。

 その結果として、地球で相転移エンジンを使った自爆が起こればより大きな混乱が広がったのは間違いない。

 結局は俺が空間倉庫に入れてしまったから、自爆しようもなくなったが。

 撃破されて相転移エンジンに反応がなくなってから時間が経って爆発……といったものがあっても、空間倉庫に入っていればどうしようもないだろう。

 

「ともあれ、この遺跡の調査はレモン達に頼みたいんだが?」

『ええ、任せておきなさい』

 

 レモンは俺の言葉に目を奪われるような魅力的な笑みを浮かべ、そう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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