転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1462話

 エリナから要請があった賊軍の生き残りの件は、メギロートを出撃させると呆気なく決着がついた。

 そもそも暴れはしていたものの、メギロートを相手に出来るような戦力を持っていなかったのだから当然だろう。

 賊軍から逃げ出す時にある程度の武器は持っていたのだろうが、それだってエステバリスや戦闘機といった代物を持っていった訳ではない。

 それらは、戦力としてはそれなりだが、何より場所を取る。また、性能を維持するにもメンテナンス等が必要になる。

 とてもではないが脱走兵がどうにか出来るものではなかった。

 ……まぁ、使い捨てにするつもりであれば話は別だったかもしれないが。

 ともあれ、そんな具合に何とか状況が終わってしまえば、後の話が進むのは早い。

 そして、この日……

 

『今日、私はここに賊軍の壊滅と一連の事件の終結を宣言する!』

 

 映像モニタに映し出されたミスマルが、微妙に芝居がかった態度でそう告げる。

 少しミスマルから視線を逸らしてみれば、そこにはアカツキの姿もある。

 

「艦長のパパさん、随分と演説が上手になったわね」

 

 そう告げるのは、ミナト。

 ……そう。現在俺がいるのはホワイトスターでもなく、火星でもなく、ナデシコの中だった。

 それも、以前俺がナデシコに乗っていた時に使っていた部屋。

 意外な事に、この部屋はまだ俺の部屋のままだった。

 そして部屋の中に埃とかがなく、綺麗なのは……現在ソファに座っている俺の隣で俺に寄り掛かってその柔らかな肢体を当てているミナトが時々この部屋を掃除してくれていたからだ。

 

「……あの、私の前でそういう事をされると、少女として少し困るんですが」

 

 ベッドに腰を掛けているルリが、言葉程に照れた様子はないままに告げる。

 現在この部屋の中にいるのは、俺、ミナト、ルリの3人。

 色々と用事があってナデシコに来たのだが、そんな俺をミナトが連れてきたのがここだった。

 本来なら以前に来た時にもこの部屋を見せたかったらしいが……あの時は長谷川がいたしな。

 

「あら、ルリルリだっていつかは恋をして、今の私と同じ気持ちになるのよ?」

「……知りません」

 

 そっと視線を逸らすルリ。

 何を考えたのか、普段は冷静そのもののルリの頬が薄らと赤くなっている。

 うん、こういうのを見ると確かに少女って気はしてくるよな。

 そんな風に考えている間にも、映像モニタに映し出されたミスマルの話は続いていた。

 

『また、先程も申し上げた通り、我々は今後木連と和平を結ぶ事になるでしょう。その和平において、地球と木連、その両方の主張を行い、正しい歴史認識が必要になると思います。過去の地球が木連にどのような行為を行ったのか……それも全てが明らかになるでしょうし、また同時に木連がこれまで行ってきただろう行為も明らかになると思います』

 

 そう告げるミスマルの言葉に、ミナトは俺に体重を預けたまま口を開く。

 

「ねぇ、アクセル。これって本当にそうなるの? 大抵こういうのって本当に重要な事は隠されたままってのがパターンなんだけど」

「何のパターンだよ。……まぁ、それはともかくとしてだ。どうだろうな。ミスマルとしては言葉通りの意味で公表したいと思ってるだろうが……それがどうなるのかは分からないな」

「公表されると困る人がいるからですか?」

 

 ルリの問い掛けに、俺は頷きを返す。

 

「ああ。幸いと言うか、100年前の件に絡んでいた者達の多くは賊軍に参加している。だが、それでも全員って訳じゃない。政治家の中には、討伐軍に味方をしているけど100年前の件にも参加していた……って奴もいるだろうしな」

 

 また、中には100年前の件には関係していたが、本人は全く知らないという者も多かれ少なかれ存在する。

 100年と簡単に言うが、祖父……もしくは曾祖父といった時代の話だ。

 途中で情報が途切れた家があっても、おかしくも何ともない。

 心臓麻痺とか交通事故とかで情報を伝える前に死んでしまうって事だって普通に有り得るのだから。

 

「地球と木連……上手くいくんでしょうか?」

 

 ルリが呟くが、それは言葉にしてみただけなのか、本当に心の底から心配しているのか。

 どっちなのかはちょっと分からない。

 ただ、それでも色々と思うところがあるのは事実なのだろう。

 

「上手くいくかどうかは、それこそやってみるまでは分からないだろうな」

 

 そう告げるが、正直なところそこまですぐに上手くいくとは思っていない。

 何しろ、木連は延々と地球を悪役にしてこの100年過ごしてきたのだから。

 どう考えても、手を取り合っていきましょう。はいそうですね……とはいかない筈だ。

 だがそれでも、手を組まないで敵対していくというのはこのナデシコ世界にとっては不幸な事だ。

 地球のミスマルに木連の白鳥も、その辺を考えて協力していくという事を露わにしたのだろう。

 

『では、次にネルガル代表アカツキ・ナガレさんからのお話となります』

「……あら? ねぇ、アクセル。もしかしてこの声って」

「プロスペクターだな」

 

 まさか司会をやっているとは思わなかった。

 いや、少し前にナデシコで歌のコンクールをやったらしいんだが、それでも司会をやってたって話だったからおかしくないのか?

 ちなみに、何故歌のコンクール? と不思議に思ったけど、やっぱり無人機じゃなくて賊軍……人間を相手にするというのが大きかったらしい。

 そのストレスを発散させる為に行われたのだが、歌のコンクール。……何で歌? と疑問に思ったが、幸か不幸か当時はシェリル達のライブの件が広まっており、かなり盛り上がっていたらしい。

 ……そう言われると、俺としても微妙な気分になってしまうんだよな。

 ともあれ、そんな訳で行われた歌のコンクール。優勝したのは最終的にユリカだったとか。

 実はクルーの中で一番票を集めたのはルリだったのだが、ルリは正式な参加ではなく飛び込みだったので審査対象にはならなかったらしい。

 

「……何ですか?」

 

 俺がじっと見ているのに気が付いたのだろう。ルリが不思議そうにこちらに視線を向けてくるが、俺はそれに首を横に振る。

 

「何でもない。まぁ、プロスペクターが色々と芸達者だってのは、前から分かっていたしな」

 

 ただの怪しい中年親父に見えながら、実は怪しいままに実力もある。

 本格的に鍛えたって程じゃないし、シャドウミラーの観点で見れば未熟としか言いようがないが、このナデシコ世界の中ではそれなりに強者に入るだろう実力を持っている。

 それでも本格的に鍛えた人物には敵わないだろうが。

 

「……あ、アカツキ会長よ」

 

 ミナトの言葉に視線を映像モニタへと戻すと、そこでは言葉通りアカツキが爽やかな……それでいて見ようによっては胡散臭く見える笑みを浮かべていた。

 

「それで、だ」

 

 アカツキの話を聞いても良かったんだが、そろそろ今回ナデシコまでやって来た方の用件を済ませる事にする。

 

「うん? 何? もしかして私とイチャつきたいとか? ルリルリが見ているのに、駄目よ」

「……じー」

「いや、擬音で言われてもな」

 

 ルリの様子に、どこかユキナを思い出しながらも言葉を続ける。

 

「とにかく、ナデシコ世界における内乱は終わった訳だ。……それで、これからのミナトの事だけど、ホワイトスターに……俺の家に来るって事でいいのか?」

「ええ」

 

 一瞬の躊躇いすら感じさせず、即座に頷きを返すミナト。

 

「少しは悩んだりしないのか? ちなみに、言うまでもないけど俺の家に来るって事は恋人に……俺の女になるって事だぞ? それを理解した上で言ってるよな?」

「当然でしょ。私は前からアクセルの事が好きだって、愛してるって言ってるでしょ? 全てを承知の上で私はシャドウミラーに所属して、ホワイトスターに……アクセルの家に行くの。その辺は前にアクセルの家に泊まった時にレモン達と話しているわ」

 

 そう告げてくるミナトの目は真剣な光が宿っている。

 俺がミナトと一緒に過ごした時間はそれ程多くない。少なくてもレモンとかに比べれば圧倒的に少ないだろう。

 それでもミナトは俺に対してシャドウミラーに入ると……このナデシコ世界という自分の世界を捨ててでも俺を選ぶと言ってくれたのだ。

 嬉しくない筈がない。

 俺に体重を預けているミナトの身体にそっと手を回す。

 驚く程に細い腰を引き寄せ、そのままミナトは想いの篭もった視線を俺に向け、やがて目を閉じる。

 そして俺とミナトの顔が近づいていき……

 

「その、出来ればそういう真似は私がいないところでやってくれませんか?」

「っ!? そ、そう言えばルリルリもいたんだったわね」

「……忘れられているとは思いませんでした」

 

 ジトリとした視線をこっちに向けてくるルリだったが、まぁ、俺とミナトの2人共が忘れていたんだから、こういう視線を向けられても仕方ないだろう。

 

「あはは。ごめんね、ルリルリ。それでえっと、何の話だっけ? 目玉焼きには何を掛けるかだっけ?」

「違います」

「違うな」

 

 ルリの言葉に合わせるように、俺もまたミナトの言葉を否定する。

 それにしても、また何だってそんなに激しい言い争いになるような話題の選択を。

 目玉焼きに何を掛けるかというのは、人によって大きく異なる。

 醤油、塩、ソース、ケチャップ、胡椒、マヨネーズ……俺が聞いた珍しいところでは、ワサビや焼き肉のタレって奴もいたな。

 で、大抵この話題になると自分の食べ方が一番という風になって、揉め始める。

 更に、何を掛けるかだけじゃなくて、どういう風に目玉焼きを食べるかという事で揉める事も多い。

 パンやご飯の上に乗せてそれを崩して食べるとか、白身だけを食べてから黄身を食べるとか、黄身を崩して白身と一緒に食べるとか。

 そして焼き方も半熟、完熟、両面焼き……

 それこそ目玉焼き論争というのは起きてしまえば非常に面倒な事態になるのは間違いない。

 ちなみに俺の場合は普通に醤油派で、最初は白身だけをある程度食べてから半熟に焼いた黄身を崩して白身と一緒に食べる派だ。

 

「何よ、もう。少しくらい乗ってくれてもいいでしょ? ……それはともかく、これからの事だったわね」

 

 どうやらしっかりと覚えてはいたらしい。

 

「この内乱というか、反乱というか……とにかく、この戦いが終わったら私は前から言ってた通りシャドウミラーに行く予定よ。ただ……」

 

 一旦言葉を切ったミナトの視線が向けられたのは、バカばっかと呟いているルリ。

 ……口では文句を言いながら、何気に少し楽しそうな様子なのは、ルリも俺のやり方に慣れたからか。

 そんなルリは、自分に視線を向けられたのに気が付いたのだろう。ミナトの方へと視線を向ける。

 

「私ですか?」

「そうよ。こう言っちゃなんだけど、ルリルリってまだ11歳でしょ? ナデシコを降りたら……もしくは解散したら、誰が引き取るかというのは絶対に問題になるわ」

「……はぁ」

 

 ルリ本人の事なのだが、全く気にした様子がない。

 けど、ミナトの言う通りなんだよな。もしルリがナデシコを降りた場合、誰がルリを引き取るのかというのは大きな問題となる。

 まず真っ先に手を挙げるだろうと思われるのは、アカツキ。

 ルリの所属が元々ネルガルだった事を考えれば当然だろう。

 また、ルリとオモイカネを組み合わせた時の威力を最も知っているのもネルガルだ。

 更に言えば、そのオモイカネはナデシコに搭載されているコンピュータ……AIであり、当然のようにオモイカネの所有権はルリ……ではなく、ネルガルにある。

 そう考えれば、ネルガルが引き取るのが最善なようにも思えるんだが……何だかんだと、アカツキは企業のトップという立場だ。

 つまり、ルリとネルガルのどちらを重要視するのかと言われれば、多少迷いはするかもしれないが、最終的にはネルガルを取る。

 その辺を考えると、アカツキに任せるのが心配だという思いは消しきれない。

 ……いや、俺だって一人とシャドウミラー全体のどちらを取るのかと言われれば、シャドウミラーを取る可能性は十分にある。

 だが、ネルガルとシャドウミラーでは存在そのものが違い過ぎるというのも事実。

 ナデシコ世界の一企業でしかないネルガルと、幾つもの平行世界の盟主的な立場にあるシャドウミラー。

 ネルガルにとってはどうしようもない危機であっても、シャドウミラーにとってはその辺のよくある出来事にしか過ぎない。

 それ程の差があるのだから、どちらに所属している方が安全かと言えば、当然シャドウミラーだろう。

 ……まぁ、他の世界に行っては騒動に巻き込まれている組織と考えれば、その辺はもう安全だろうナデシコ世界のネルガルの方が安全かもしれないが。

 

「……まだ、ちょっと分かりません。もう少し考えてみたいと思います」

 

 結局ルリからはそんな言葉が返ってくるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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