転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1463話

 ルリの引き取り手の問題について考えてから数日……俺の姿は再び火星にあった。

 それもこの世界のシャドウミラーの本拠地でもある元ネルガル研究所ではなく、極冠遺跡に。

 いや、それはいい。

 どのみち古代火星文明の遺跡については調査をする必要があったのだから。

 寧ろ、調べに来るのが遅かったという意見すらある。

 ……まぁ、その辺は内乱の事後処理とか、そういうのがあったからというのもあるのだが。

 そして現在ここにいるのは、遺跡のコアユニットがある場所に行ける移動手段を持つ俺、技術班からレモンとマリュー、ナデシコ世界からはいつの間にかネルガルの技術者になっていたイネス、ネルガルの会長としてアカツキ、その秘書のエリナ。そして……

 

「えっと、なんで俺がここにいるんすか? 料理の勉強をしたいんすけど」

「ユリカの為に美味しいお料理を作ってくれるのね! アキトは私がだーい好き!」

「だ、誰がそんな事を言ったんだよ!」

 

 ……そう、何故かテンカワとユリカの姿もあった。

 いや、ユリカは完全におまけだ。

 本来ならテンカワだけを連れてくる筈だったのが、それを知ったユリカが、アキトが行くなら自分も行く! と言ったとか何とか。

 まぁ、調査隊のメンバーの中にエリナの姿があったというのは色々な意味で大きいのだろう。

 テンカワが未だにエリナに淡い想いを抱いているというのは、俺も知っている。

 で、恋愛に鈍い俺が知ってる事をそのテンカワの事が好きなユリカが知らないなんてことはある筈もなく……その結果が現在の状況だった。

 エリナも当然テンカワの気持ちには気が付いてるんだろうが、テンカワ自身からアプローチされた訳でもない以上、自分から口にするつもりはないらしい。

 また、ナデシコが解散という事になれば自然とテンカワとエリナの距離は広まる。

 当然だろう。一パイロット兼コックとナデシコ世界の中では大企業……クリムゾングループが潰れ、その遺産を吸収しているのを考えれば、ネルガルより大きな企業は殆どないんじゃないかってくらいの規模を持つ企業だ。

 そんな二人の接点がナデシコ以外にある筈がない。

 いや、もしかしたらエリナがナデシコ世界にいたままであれば、テンカワが働いている料理店に食べに行くという事もあるかもしれないが、エリナはネルガルを辞めてシャドウミラーに来る事が決まっている。

 勿論ナデシコ世界について詳しいエリナは、政治班としてナデシコ世界の担当という形で頑張る事になるだろう。

 だが、その主な活動範囲はホワイトスターになるのは間違いなかった。

 つまり、このまま時間が流れればエリナとテンカワを繋ぐ糸は切れ、テンカワにとってエリナは淡い初恋の思い出――初恋かどうかは分からないが――になる訳だ。

 エリナが狙っているのは、多分それだろう。

 ……恋愛に疎いエリナがそこまで上手くやれるかどうかは分からないが。

 それはともかく。

 

「……で、結局何だってテンカワを連れてきたんだ?」

 

 俺の視線が向けられたのは、当然この調査隊のリーダー的存在のレモン。

 まぁ、本来ならアカツキがリーダーをしたかったみたいだが、火星はシャドウミラーの領土だしな。

 ちなみに、ついこの前までの火星はシャドウミラーが実効支配をしているという形だったが、現在の火星は法的にもきちんとシャドウミラーの物になっている。

 俺がミナトやルリと一緒に聞いた、ミスマルの演説。

 その中でミスマルは火星をシャドウミラーへと譲渡する事を明言していたのだ。

 理由としては、やはりあの内乱を俺達の力なしだと解決するのに時間が掛かり、より多くの人が死んだから……それに感謝をしてという事になっている。

 実際にはシャドウミラーが協力しなければ木連で熱血クーデターが起こる事もなかっただろうから、討伐軍が負けていた可能性の方が高いんだが。

 まぁ、ナデシコ世界を治める組織として、その辺を認める訳にはいかなかったのだろう。

 ちなみに木連の方からもシャドウミラーが火星を自分の領土とするのには賛成するという公式発表がされている。

 まぁ、木連にしてみれば地球にいる奴より実感としてシャドウミラーの実力を理解してるしな。

 シャドウミラーと敵対したくないという意志表示なのだろう。

 ちなみに、ここに木連のメンバーがいない訳ではなく……

 

「あ、来た」

 

 呟いたのは、アカツキ。

 その視線の先にはファブニールとテツジンの姿がある。

 二機ともが全高30m前後なので、こうして見ていると微妙に違和感があるな。

 人と竜が同じ大きさで並んでいる的な。

 そして、テツジンのコックピットから姿を現したのは……

 

「すまない、待たせた」

 

 予想外な事に月臣だった。

 ……いやまぁ、白鳥と秋山は実質的な木連のトップとして忙しく、高杉はそんな二人を補佐している。

 月臣も決して無能って訳じゃないんだが、その能力はどちらかと言えば戦闘に比重が置かれていた。

 そんな訳で、現在の木連を動かしているメンバーの中で最も暇……もとい、この遺跡の調査に適任だったのは、月臣だった訳だ。

 出会った当初は俺に敵愾心を持っていた月臣だが、今はそこまででもない。

 やっぱり草壁と決裂したのが大きかったんだろう。

 そんな訳で、これでシャドウミラー、地球、木連からそれぞれ調査に参加するメンバーは揃った。

 

「行くか……と言いたいところだけど、結局テンカワが来た理由は何なんだ?」

「説明しましょう!」

 

 そう告げたのは、イネスだった。

 久しぶりに説明出来るのが嬉しいのか、イネスの顔には輝くような笑みが浮かんでいる。

 相変わらずだよな、この性格……性質? 性癖? 性癖が一番合ってるか。

 

「この遺跡にあるのは古代火星文明の遺産と思われます。そうである以上、この火星で生きてきたテンカワ君が何か関係ある可能性があるの」

 

 ……それだけか?

 いやまぁ、その辺の事情を考えれば確かに関係のある可能性はあるが、それでも理由としては弱いように思える。

 そもそも、火星に生きているという意味でなら、シャドウミラーの基地の周辺に暮らしている生き残りがいるのだから。

 それにイネスも火星にいたのだから……

 そう思えば、どうしても色々と不思議なところはある。

 

「ふふっ、他にもあるけど今はまだヒ・ミ・ツ!」

 

 妙にテンションの高いイネス。

 微妙に怪しいような、気がするが……まぁ、説明したがりのイネスの事だし、多分遺跡に到着すれば自らの内に眠る説明欲とでも呼ぶべき衝動に負けて説明する事になる……と思うのは、俺の気のせいだろうか。

 実際問題、イネスの説明好きなのを考えれば普通ならそう思うだろうしな。

 

「とにかく、これで全員揃ったんだし……そろそろコアユニットのある場所に向かおうと思うんだが、いいか?」

 

 いつまでもここで話していては時間だけが過ぎている。

 そう思って全員に告げると、皆が俺と同じ思いを抱いていたのだろう。それぞれに頷く。

 

「跳躍の秘密がここに……」

 

 月臣のみはここに遺跡があるのを知らなかったのか、しみじみと呟く。

 そう言えば、恐らくだが火星に向かって突入しようとした中には草壁の姿もあった筈だ。

 つまり草壁はここに遺跡があったと知っていた事になる。

 いや、ディストーションフィールドが展開されていたので、具体的にどんな遺跡なのかというのは分からなかったと思うが。

 それでもここにあるのが重要な何かだと分かっていたからこそ、火星にやって来て……それで火星に突入する前に出落ちの如く撃破されてしまったんだろう。

 つまり、ここに古代火星文明に関する重要な何かがあるというのは、草壁が……もしくはその周辺にいた腹心といった者達でなければ知らなかった訳だ。

 まぁ、月臣を含めて白鳥とかも草壁の腹心と言ってもいい存在だったとは思うんだが、この場合の腹心というのは草壁に意見しないで素直に従う者か。……北辰とか。

 ヤマサキとかいう科学者もそっちなのか? いや、けど白鳥達の話を聞いている限りだと、草壁に忠実というよりは自分の好奇心の赴くままに行動しているといった感じだが。

 そんな風に考えながら、その場にいる者達を俺の近くへとやって来させる。

 今回の調査はまず第一歩……様子見というのに近いので、この人数だ。

 それでもある程度調査に必要な機械の類は存在し、それは現在俺の空間倉庫に入っている。

 そんな訳で、ここにいる者の殆どは手ぶらでやってきていた。

 

「じゃあ、そろそろ行くぞ」

 

 その言葉に全員が頷いたのを見て、影のゲートを展開する。

 この中には影のゲートを初めて経験する者もいたり、まだ数回しか利用していないという者も多い。

 そんな者達の口から小さな悲鳴が聞こえるものの、それには構わず俺を含めて全員の姿は影へと沈んでいき……次の瞬間には、俺達の姿は遺跡の中にあった。

 何重にも展開されたディストーションフィールドをあっさりと無視して遺跡の最下層、コアユニットのある場所へと到着していたのだ。

 これまで何度か影のゲートを経験した事がある者達にしても、一瞬でディストーションフィールドを無効化したというのは、聞かされはしていたものの実際に体験してみれば違うといったところか。

 

「これが……遺跡……」

 

 呟いたのは、アカツキ。

 普段は飄々としているアカツキだったが、今は目の前に広がる光景にただ呆然と呟くしかない。

 まぁ、ネルガルはナデシコを見ても分かるように、古代火星文明について詳しく調査してきた。

 だとすれば、アカツキにとってこの遺跡は色々な意味で重要な代物なのだろう。

 それはネルガルの会長秘書のエリナも同様だったらしく、驚きの視線で周囲の様子を見回している。

 いや、それだけではない。以前ここにやってきた俺以外の他の面子は殆ど同じだ。

 シャドウミラーとして活動してきたレモンやマリューも、表には出さないがかなり興奮しているのが見て分かる。

 まぁ、シャドウミラーでも古代文明の遺跡とかそういうのは殆ど手を出した事がないしな。……スパロボOGs世界の件を別にすれば、だが。

 マクロス世界にはプロトカルチャーの遺跡とかあるらしいけど、俺達はそっちに全く手を出していないし。……ネギま世界の魔法界は……正直微妙だ。

 ともあれ、そんな具合にこの遺跡に目を奪われていた者達にあって、一人だけ違う行動を取っている者がいた。

 何故か驚きではなく懐かしさの色を持って遺跡を見ているその人物は……イネス?

 うん? 何でイネスがそんな表情を浮かべるんだ?

 

「ちょっと、アクセル。早速この遺跡を調べるから、空間倉庫から調査用の機械を出して頂戴」

「え? ああ、うん。分かった」

 

 イネスに声を掛けようと思ったのだが、それよりも先にレモンに声を掛けられる。

 その声で我に返り、早速レモンから預けられた機械を空間倉庫から出す。

 するとレモンとマリューは早速その機械を手にして遺跡へと散っていく。

 知的好奇心が強い、というのはああいう事を言うんだろう。

 

「これが、遺跡……?」

「凄いね、アキト。私達が住んでいた火星に、こーんな遺跡があったなんて」

「あ、ああ。うん」

「しかも、その古代火星文明のおかげでナデシコが設計されたんだから、私達にとっては仲人よね」

「ああ。……うん?」

 

 遺跡に目を奪われていたテンカワに、ユリカが次々に喋り続ける。

 この辺、物凄いというか、攻めの姿勢を崩さない辺りユリカらしい。

 しかも仲人という言葉に気が付かずに頷きを返したテンカワに、自分との仲を認めたと判断したのか、キャーキャーと黄色い悲鳴を上げている。

 ……恋愛に関しては押しの弱いテンカワだ。そのうちユリカにパックンと食べられてしまう未来しか見えないのは、俺の気のせいか?

 まぁ、いつまでも叶わない相手に恋をしたままよりは、そうした方がいっそさっぱりと気持ちを切り替えられるのだろうが。

 それに幼馴染み……それも10年近く前の幼馴染みとくっつくなんてのは、よくあるパターンだろう。

 中には幼馴染みとくっつくなんてのは幻想だとかいう奴もいるが、それは義妹以外の妹はいないとか、そういうのに近いと思う。

 

「ちょっと!」

 

 テンカワとユリカのやり取りを眺めながらそんな風に考えていると、不意に悲鳴のような声が聞こえてくる。

 慌ててそちらを見ると、そこにいるのはエリナだ。

 そしてエリナが指さしているのは、コアユニット。

 何だか妙な光がコアユニットから発しており、それはやがて遺跡全体へと広まっていく。

 

「レモン!?」

 

 咄嗟に叫ぶが、レモンは首を横に振る。

 

「分からないわ。私たちが何かをした訳じゃないのは間違いないけど……」

 

 だとすれば……もしかして一定以上の人数がここに来れば自動的に何かの機能が働くとかか? それとも、ディストーションフィールドを無視したからか……

 

「皆、集まれ。取りあえずこのままだと危ないかもしれないから、一旦地上に退避を……」

「大丈夫よ」

 

 そう言って俺の言葉を遮ったのは、イネス。

 まるで何かの確信があるかのように、笑みすら浮かべてそこにいる。

 何だ? 何かあるのか?

 そんな風に思った瞬間、コアユニットが唐突に眩く光り……そして次の瞬間には、コアユニットの近くに小さな人影があった。

 ラピスと同じくらいの年齢の子供。

 何故か手にミカンを持っているその子供は、呆然と周囲を見回していた。

 ……どこから現れた? いや、違う。それは俺も分かっている。

 何故なら、その手の技術はシャドウミラーでも日常的に使われているのだから。……即ち、転移。

 だが、そうなるとこの子供は誰だという事になる。

 

「アイちゃん!?」

 

 遺跡に、テンカワのそんな驚愕の声が響き渡るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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