転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1471話

「ここが……火星。しかも他の世界の火星、ですか」

 

 ミネルバの中で、タリアがしみじみと呟く。

 SEED世界のプラントとの交渉は、結局簡単に纏まった。

 まぁ、特に今回の件はシャドウミラーにとって不利益というのは殆どない。

 それどころか、利益しかない。

 それは実戦経験を積めるザフトにしても同じだ。

 弾薬の類を含めて全てをこちらで用意するという事になっているので、ザフトも純粋に実戦経験を積める訳だ。

 他にもシャドウミラーの本拠地でもあるホワイトスターに多少ではあるが寄る事も出来るし、他の世界の情報を多少なりとも知る事も出来る。

 まさにお互いにとってWIN-WINの取引だった。

 ザフトに提供する補給物資は、ミネルバ隊が倒したBETAの死体をキブツに突っ込んで用意するんだが。

 

「ああ。まぁ、見ての通り他に幾つもハイヴが存在している。これがBETAの作り上げた火星の景色だ」

「……BETA、ですか。データは見ましたが……」

 

 口籠もるのは、やはりBETAの外見の問題だろう。

 見るからに気持ち悪い外見だけに、出来れば戦いたくない……というのが、タリアの正直な気持ちか。

 特にタリアのような女にとっては、BETAのような存在は化け物以外のなにものでもない。

 そういう意味では、メイリンとかは更に乙女っぽい感じだからBETAに拒否反応を持ちそうだな。……直接戦うという意味では、ルナマリアが一番悲惨そうだが。

 ただ、ルナマリアの場合はゴキブリとか呆気なく殺す事が出来そうなんだよな。同じ感じでBETAも殺しそう。

 

「見た目は最悪だが、不幸中の幸いと言うべきか能力的には低い。それこそ歩兵でも何とか出来る程度にはな」

 

 まぁ、強化外骨格を身に纏ったりする必要はあるが……いや、兵士級なら慣れた歩兵だったら楽に倒せるか? まぁ、近づかれると厄介だが、銃を使えばそう難しい話ではないだろう。

 どのみち火星に地球生まれの兵士級はいないんだが。

 

「ええ、データを見る限りはそうでしたね。それに、この火星には厄介な光線級がいないとか。それだけでも助かりますよ」

「そうだな。……さて、じゃあそろそろ出撃の用意はいいか? こっちのヤンマとカトンボはミネルバに隊列を合わせるようにしてあるから、気にしなくてもいい」

「はい。……アーサー?」

「出撃準備、完了しています」

「そう。では……ミネルバ、発進」

 

 タリアの声が響き、それを聞いたブリッジクルーがそれぞれ各所に指示を出していく。

 それにしても、まさか本当に俺をミネルバのブリッジに入れるとはな。

 本来なら俺は生身で空を飛びながらBETAとの戦いを見ている筈だった。

 だがザフトとの交渉の結果、俺は今こうしてミネルバのブリッジにいる。

 勿論ザフトが何の打算もなく、親切でミネルバのブリッジに俺を入れた訳ではないのは明らかだ。

 まず最大の理由としては俺という存在と友好的に接する事が出来るというのがある。

 シャドウミラーの代表である俺との仲を友好的に出来るのであれば、ミネルバのブリッジを見せるくらいの事は問題ないと判断したのだろう。

 ……まぁ、ザフトと比べるとシャドウミラーの技術は数世代先をいっているというのもあるが。

 精霊の卵で使用されているウィンダムやザクウォーリア等を見れば、その辺は明らかだろう。

 ちなみに精霊の卵も今回のこの作戦には参加している。

 乗っているのはヤンマだが。

 まぁ、搭乗艦の類で精霊の卵は色々と困っていたのを考えれば、ここでヤンマを使ってみるのは当然か。

 ただ、精霊の卵としてヤンマを正式に動かすのであれば色々と改修する必要があるだろうな。

 無人機の方は必要以上に改修するつもりはないんだが……それが精霊の卵となれば、話は別だ。

 そんな事を考えている間にミネルバは火星の空を飛ぶ。

 周囲にはヤンマやカトンボといった艦もあり、恐らく地上のBETAもこちらの様子は確認しているだろう。

 そして今頃はハイヴの中で出撃準備を考えているか。

 

「アクセル代表。向かうのは、このH8ハイヴでよろしいのですね?」

 

 タリアが映像モニタに映し出されたハイヴの1つを見ながら告げる。

 そこに映し出されている映像は、当然のようにシャドウミラーから提供された代物だ。……正直、このデータだけでもかなりの価値があったりする。

 

「ああ。そのハイヴはここ暫くG元素の回収をしていなかったから、恐らくかなりのG元素が貯め込まれている筈だ。……タリア艦長、言っておくが今回ミネルバがこのマブラヴ世界にやって来たのは、あくまでも実戦経験を積む為だ。G元素を得ようというのは考えないで欲しい」

「勿論です。そのような真似をして、シャドウミラーを敵に回すような事はしませんわ」

 

 俺の言葉に即座に言葉を返してくるタリア。

 アイリーン辺りから、シャドウミラーと問題は起こさないようにとしっかり言われているのだろう。

 

「そうして貰えると助かる。ああ、その代わりって訳じゃないが、BETAの死体に関してはある程度持っていっても構わない」

 

 これもまたザフトの……いや、この場合はプラントの利益。

 未知の生物の死体となれば、当然ザフトにとっても是非調べてみたい代物だろう。

 オーブを通して何度かBETAの死体はザフトや連合に渡されてはいるが、それでも量としてはそれ程多くはない。

 BETAの死体を調べ、何らかの新素材を……とまではいかないが、新素材のヒントといった代物を欲しているのは間違いないだろう。

 BETAに関する新素材と言えば、当然のようにG元素があるが……どのG元素も俺達シャドウミラーにとっては重要な代物であり、特に今はまだ使い道がないG元素にしてもいずれそれは覆される可能性がある。

 よって、G元素は厳重に魔法球の中に保存されていた。

 

「ありがとうございます。シャドウミラーとアクセル代表には幾らお礼を言っても言い足りませんね」

「艦長、そろそろH8ハイヴが見えてきます」

 

 タリアの言葉を遮るようにアーサーが告げてくる。

 その言葉が聞こえた瞬間、俺の視線は映像モニタへと向けられた。

 そこにあるのは、H8と名付けられたハイヴ。

 フェイズ7と、火星の中ではそれ程大きくないハイヴだが、地球にあるオリジナルハイヴがフェイズ6であるのを考えればその巨大さを理解出来るだろう。

 

「シャドウミラーの基地と化したマーズゼロを見ているせいか、そこまで大きく感じませんわね」

 

 タリアの言う通り、マーズゼロという現在判明している最大のハイヴ、フェイズ9のハイヴを目にした事がある以上、どうしてもショボく見えざるを得ない。

 

「H8ハイヴからBETAが次々に姿を現していますその数……その数……約10万!」

 

 メイリンの悲鳴のような声がミネルバのブリッジに響く。

 それを聞いて、ブリッジクルーが動揺しそうになるが……

 

「落ち着きなさい!」

 

 俺が何かを言う前に、タリアが鋭く一喝した。

 普段は冷静沈着なタリアだけに、その大きな声はブリッジクルー達を驚かすのには十分であり、同時に落ち着かせるという意味でも一定の効果を持っていた。

 自分の声で落ち着いたブリッジクルーを見据えたタリアは、再度口を開く。

 

「数は10万であっても、その殆どは小型種と呼ばれるものの筈。……そうですね?」

 

 俺に確認してくるのは、ここにいる中で俺がBETAという種族を一番理解していると判断しているからだろう。

 実際、それは間違っている訳ではない。

 

「そうだ。BETAは基本的に小型種の方が圧倒的に多い。勿論要撃級、突撃級といった風に戦術機と……いや、この場合はMSとやり合えるだけの大きさを持ったBETAもいるし、中には要塞級という巨大なBETAもいる。だが、BETAというのはどれもこれも個としては非常に貧弱だ。それこそビーム兵器を持っているMSなら容易に倒せる程に」

 

 逆に言えば、それはビーム兵器を持っていないMS……ジン辺りなら厳しいという事を意味しているんだが。

 ああ、いや。でも一応ジンにも巨大なビーム砲が装備可能だったか。

 巨大すぎて機動力に影響が出てしまうが。

 

「だ、そうよ。向こうは数だけを揃えてきた存在なのだから、その数に驚かされないで。普通にやり合えば、私達が負けるようなことはないのだから」

「そうだな。……ああ、ただし主力MSのザクに乗ってる奴は注意しろよ。向こうの要撃級、突撃級、要塞級といった大型BETAの攻撃はそれなりに強力だから」

 

 これがシャドウであれば、バリアを何重にも装備しているから心配はいらないんだが……MSの場合はバリアを持っている機体が少ないしな。

 まさか量産された主力MSにPS装甲を使えなんて言える訳もないし。

 

「だ、そうよ。くれぐれも気をつけて……MSは順次発進して頂戴。ザクは地上に降りないでミネルバから射撃を。ルナマリアのインパルスは、空から敵の殲滅を開始して」

 

 タリアの指示に、メイリンを始めとしたブリッジクルーが動きを見せる。

 それと同時に、ミネルバの周囲を飛んでいたカトンボやヤンマといった艦も動きを見せ始めた。

 

「インパルス、出ます!」

 

 メイリンの言葉と共にインパルスの戦闘機の部分が出撃する。

 同時に他の部品も発進し、空中で合体する。

 ……こういう合体タイプの機体を見ていつも思うんだが、艦内で合体して出撃とか出来ないのか?

 わざわざ外で合体するのって、危険以外のなにものでもないと思うんだが。

 コックピットの小型戦闘機の状態で何かする必要があるのならともかく。

 ファブニールなんかも合体……というか、正確には組み込みって感じだけど、ヤンマから出撃する前にシャドウをファブニールに組み込んでるし。

 正直なところ、相手がBETAだからまだしも……少しでも腕の立つ奴が相手の場合、合体する前に狙い撃たれて撃破されそうなんだが。

 そんな疑問を抱いているというのは分からないのだろうが、MS形態になったインパルスは早速地上へと向かってビームライフルを発射する。

 放たれるビームは、次々に要撃級や突撃級の装甲を貫いていく。

 

「へぇ、射撃も結構上手いな」

「あら、アクセル代表はルナマリアの戦いをどこかで見たことが?」

 

 俺の呟きを聞き取ったタリアの疑問に、小さく肩を竦めてから口を開く。

 

「以前ミーア・キャンベルにナデシコ世界で行われてたライブの参加要請をしにいった時にな」

「ああ、あのライブ……」

 

 タリアが俺の言葉に納得したように頷く。

 あのライブは当然ナデシコ世界だけではなく、SEED世界を含む他の世界にも放送された。

 実際に生で聞いた訳ではなかったが、それでもかなり盛り上がったらしい。

 ……ネギま世界の方は麻帆良か雪広財閥、那波重工みたいに極一部しかシャドウミラーの存在を知らないので、そこまで盛り上がったりはしなかったが。

 それでも魔法先生や魔法生徒がライブの映像を見て喜んでいたらしいという話は聞いている。

 シェリルもネギま世界で歌手デビューはしてるんだが、あのライブではネギま世界に存在しない技術をこれでもかとばかりに使ってるからな。

 放映出来る筈もない。

 

「へぇ、意外だな。タリアもあのライブを見たのか?」

「ええ。息子と一緒にですが」

 

 そう言えばタリアは息子がいたんだったな。

 エザリアと同じく、とてもではないが外見が年齢相応には見えないが……いや、まだタリアの息子は子供なんだから、俺がSEED世界に来た時に既に10代半ば……いや、後半か? そんな年代の息子を持っていたにも関わらず、あの外見だったエザリアと一緒にするのは可哀相か。

 エザリア……息子と同年代、下手したらそれより年下の白鳥に一目惚れされるくらいの若々しさだしな。

 今は時の指輪の受信機を使っているとはいえ。

 

「楽しんで貰えたようで何よりだ。こっちもあれだけ頑張った甲斐があった」

 

 ライブについての話題はそこで終わり、改めて視線を戦闘が映し出されている映像モニタへと向ける。

 こうして見てみれば分かるが、やはり一方的な戦いになってるな。

 遠距離攻撃の手段がないBETAを相手に、空中からビームライフルで攻撃しているんだから当然か。

 

「これでは……」

 

 タリアが呟いた声が聞こえてくる。

 本人は口の中だけで呟いたつもりだったのだろうが、俺の聴覚の能力を考えれば聞こえてくるのは当然だろう。

 まぁ、そこに突っ込んだりはしないが。

 実際、こうして見る感じでは本当に一方的な攻撃であり、実戦経験云々という話では殆ど役に立たないだろう。

 それでも実戦に参加している訳である以上、多少の効果はあるだろうが……それでも死ぬ死なないといったものではない以上、それ程の効果は期待出来るものではないだろう。

 だからといって、地上に降りて戦うかとなると……それもまた厳しいのだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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