転生とらぶる

1478話

「では、アクセル代表。今回は非常にご迷惑をお掛けしました」

　頭を下げてくる男……俺がクリスカに銃を突き付けられているところに乱入してきたサンダークに、問題はないと首を横に振る。

「いや、俺もイーニァに連れて行かれたのが悪いんだから、気にするな。ああ、別に今回の件はイーニァもクリスカも悪い訳じゃないから、穏便に済ませてくれれば助かる」

「……ありがとうございます」

「サンダーク中尉、ご迷惑をお掛けしました」

　俺の隣にいる篁が敬礼をしながらそう告げる。

　俺の立場としては、XFJ計画の協力者という立場である以上、篁がこうして迎えに来た訳だ。

「いや、とんでもない。……だが、どうも篁中尉とは妙な縁があるようですな」

　サンダークの口から出た言葉に、少しだけ篁が奇妙な表情を浮かべる。

　認めるような、認めたくないような……そんな表情。

　どうやらこの2人は過去にも何かあったらしい。

　まぁ、ここで聞いても意味はないか。

「では、アクセル代表。この辺で失礼します。篁中尉も、また」

「は！」

　サンダークの言葉に篁が敬礼をし、こうして俺は無事釈放ということになる。

　……まぁ、釈放と言っても別にクリスカに銃を突き付けられていた時から特に何かがあった訳じゃない。

　向こうもシャドウミラーの代表という事で手荒に扱ったりはせず……それどころか、客室で篁が来るのを待っていた。

　出された紅茶やクッキーにしても、マブラヴ世界では未だに高級品の本物だ。

　まぁ、どこの世界から輸入されたものかは分からなかったが。

　ネギ辺りなら、どこの世界の紅茶なのかを当てる事が出来たかもしれないな。

「では、行きましょうかアクセル代表」

「ああ。にしても、来て早々迷惑を掛けたな」

「……恭子様から、アクセル代表は色々と騒動に巻き込まれる人だという話は聞いてましたから」

　そう言いつつ、篁の表情には不本意だという色が浮かんでいる。

　近くに停めてあった車に乗り、移動を開始した。

　運転しているのは俺……じゃなくて篁だ。

「早く帰りたいんなら、転移魔法があるぞ？」

「……いえ」

　機嫌が良くないのは、こうして話していてもよく分かる。

　まぁ、配属された初日にいきなり騒動に巻き込まれたんだから、分からないでもない。

　だが正直なところ、この程度の騒動に巻き込まれるのは俺に取って軽い方なんだが。

　他の世界に転移した時とかは、大抵大きな騒動に巻き込まれているし。

「それにしても、サンダークとは前にも何かあったのか？　あの感じだと……」

「はい。ブリッジス少尉がアクセル代表と同じようにソ連軍の施設に入り込んだんです」

「ああ、なるほど」

　そう言えばイーニァがユウヤがどうこうって言ってたな。

　つまり、俺と同じな訳か。

「あー、まぁ、色々と迷惑を掛けたな」

「いえ、今も言いましたが、恭子様からアクセル代表はトラブルに巻き込まれる体質の人だと聞いていますから」

「恭子や崇継辺りも、十分トラブルに巻き込まれていると思うんだけどな」

「それは……えっと、私の方からは何とも」

　言葉を濁すという事は、恐らく篁にもそう思う気持ちがあるのだろう。

「それで、こうして移動しているけど……どこに向かってるんだ？　アルゴス小隊の部屋じゃないよな？」

「はい。その……VGが歓迎会をやろうという話がありまして。既にプレスティ大佐はそちらに回っています」

「あー……なるほど」

　VGは、態度からしてお調子者というか、軽い感じというか……そんな風だったもんな。

　飲み会とかは好きそうだ。

　……あれ？　俺の天敵じゃないか？　こんな場所で俺が酒でも飲もうものなら……また目が覚めれば、マクロス世界の時みたいに、他の世界に転移してたりしそうだよな。

　あ、でもマクロス世界の件があってからその辺は対処したんだったか。

　ただ、他の世界に転移するような事はなくても、俺の場合酔っ払うと色々な意味で危険だからな。

　それこそ、スレイ1人で俺を受け止められるか？

　それに受け止められても、魔法球の中で数日くらいは休憩をしなくちゃいけなくなりそうな気がする。

　その辺を考えると、俺は歓迎会に参加しない方がいいんだろうが……

　ただ、向こうも俺の事を知ろうとして歓迎会を開いてくれたのは間違いないのだろう。

　そう考えれば、参加しない訳にもいかないか。

　取りあえず酒は飲まないようにした方がいいな。

「アクセル代表？　その、どうしたんですか？」

　急に黙った俺を不思議に思ったのか、篁がそう尋ねてくる。

「いや、歓迎会をやってくれるのは嬉しいけど、生憎と俺はアルコールの類は苦手でな。それこそ少しでも飲むと、酔っ払って周囲に魔法を撃ち込んだりする」

　キキィッ、と。

　俺が魔法を撃ち込むと言った瞬間、篁が車に急ブレーキを掛ける。

　そして恐る恐る俺の方へと視線を向けてきた。

「えっと、その……本当ですか？」

「ああ」

　正確には違うんだが、まさか本当の事は言えないだろう。

　それに実際、アルコールを飲むと俺の意識がなくなるのは事実だ。

　下手をすれば、そのまま魔法を使って周囲を破壊するというのは、可能性として決して否定は出来ないんだよな。

「えっと、その……歓迎会に参加するのを止めますか？」

「いや、それでも俺やスレイの為に準備してくれたんだろ？　なら参加するさ。ただ、俺が飲むのはお茶で頼む」

「は、はぁ。……その、VGが歓迎会を企画したのは、確かにアクセル代表と早く仲良くなりたいというのもありますけど、プレスティ大佐とお近づきになりたいというのもあるのではないかと……」

「あー……そっちか」

　まぁ、見るからにチャラい色男って感じの外見だったしな。

　ただ、スレイもアルコールにそれ程強い訳じゃないが、酔わせて妙な事をするのであれば、それこそ命の心配を……それも襲った方の命の心配をする必要が出てくる筈だ。

「その辺は俺から見ても何とも言えないが……ただ、スレイに迂闊に手を出すような真似はしない方がいいと思うけどな」

　恋人として苛立つ気持ちはあるが、それ以上にスレイに手を出した男が破滅する未来しか見えないんだよな。

「……急ぎます」

　俺の言葉に、再び車は発進する。

　それも、さっきまでよりも速度を出して、だ。

　そうして10分程が経ち、到着したのは基地の一画に出来ている街だった。

　……こんな場所あったか？

　いや、建設計画ではあったような気がしないでもない。

　考えてみれば、このカリンダ基地には大勢の人間が集まっているんだ。

　需要があれば供給が生まれるというのは、当然の事だろう。

　そして街の中にある食堂……いや、酒場か？　ともかくその前で車は停まる。

　他にも何台か車が停まっているが……酔っ払い運転とか大丈夫だろうな？

　いやまぁ、いざとなれば俺が影のゲートを使って部屋に戻れば済むだけだから大丈夫だが。

「ここです。……どうやら、もう始まっているようですが」

「だろうな」

　店の中から聞こえてくるのは、歓声。

　どうやら随分と盛り上がっているらしい。

　そして店の中に入ると……

「いーやっほぉっ！」

　突然聞こえてきたその声は、何故か妙な程にハイテンションになっているVGのものだった。

　そしてVGの近くではタリサがVGを指さして大笑いをしており、ブリッジスが少し離れた場所で1人飲み、スレイとステラの2人は我関せずと会話を交わしていた。

　他にも、何故かアルゴス小隊の歓迎会の筈なのに、見覚えのないその辺の面子も一緒になって騒いでいるのが分かる。

「……随分と盛り上がっているらしいな」

「そうですね」

　最初からこの場所にいれば、盛り上がりについていけたかもしれない。

　だが、俺と篁は今こうしてやって来たばかりであり、完全に盛り上がりに取り残されていた。

「あー、アクセル代表じゃないですか。全く、どこにいってたんですかぁ？」

　VGが俺を見るなり、先程のハイテンションのままで近づいてくる。

　手に持っているのは、何らかのアルコールだろう。……俺はアルコールに詳しくないので、それがどんな飲み物なのかは分からないが。

「篁、頼んだ」

　そのアルコールを飲めば俺がどうなってしまうのか……それこそ、下手をすればこのカリンダ基地そのものが消滅してもおかしくはないので、代わりの生贄……もとい、必殺篁ガードを使用してその場を離れる。

「あっれぇー？　アクセル代表かと思ったら、篁中尉じゃないですか」

「え？　ちょっ、アクセル代表？　え？　ええ！？」

　いきなり自分の側にいた俺が消えたのを見て驚いたのか、篁が半ば混乱した様子でVGに絡まれている。

　……あのまま、お持ち帰りされないだろうな？

　篁は恭子が可愛がっている人物だ。もしそんな真似をされれば、間違いなく俺が怒られる。

　そうならないように、一応見張ってはおいた方がいいだろう。

　そんな風に考えながら、スレイとステラが2人で飲んでいる場所へと向かう。

「うん？　アクセルか。ここに来ていきなり騒ぎを起こしたと聞いてるぞ？」

　俺の姿を見掛けたスレイが、口元に笑みを浮かべながらそう言ってくる。

　ステラの方も、そんなスレイの様子に笑みを浮かべて俺の方を眺めていた。

「ま、騒ぎといっても、そこまで大きなものじゃない。……うん、多分」

「その言い方だと、あからさまに怪しいんだが。で、何をやったんだ？」

「いや、本当に俺自身が何かしたって訳じゃない。ただ、ソ連軍の軍人と話していたら……」

　そこまで言った時、ステラの顔に一瞬ではあるが不愉快そうな表情を浮かべたのに気が付く。

　何だ、ソ連軍に何か思うところでもあるのか？

　これは早いところ、話題を切り上げた方がいいか。

「ま、とにかく実際にはそんなに大きな問題じゃなかったよ」

　ソ連軍の基地に不法侵入した形なのだから、本来であれば大きな問題なのだろう。

　だが、サンダークが特に問題にはしないと言っていた以上、大きな問題になるとは考えにくい。

　その代わり、何か後でこっちに接触してくる可能性は十分にあるが。

　ソ連とシャドウミラーの関係は必ずしも良好とは言わない。

　険悪……とまではいかないが、それでも良くて中立、客観的に見れば険悪寄りの中立といったところだ。

　その辺を考えると、ソ連としてはシャドウミラーとの関係を修復したいと思ってもおかしくはない。寧ろ当然だろう。

　そして今回の事は丁度いいタイミングになると。

　その上で向こうがこっちに敵対的な態度を取ってきた場合は、相応の報いを受ける事になるだろうが。

「どうしました、アクセル代表？」

「いや、ちょっと明日からの事を考えていてな」

　ステラの言葉に、そう誤魔化す。

　ただでさえソ連に対して思うところがありそうなステラだ。

　ここで何かソ連に関して口にすれば、間違いなくステラが何らかの態度を示す事になりかねない。

「それより、ステラ……だったか？　この短時間で随分スレイと仲良くなれたな」

　取りあえず話題を変えた方がいいだろうと判断し、そう告げる。

　もっとも、スレイと仲良くなった事に疑問を抱いたのは事実だ。

　いや、疑問とまではいかないか。

　ともあれ、スレイは決して人当たりがいいタイプではない。

　スレイ本人には自覚があまりないのだが、自分に厳しく人にも厳しいという性格をしている。

　それでも人に厳しい以上に自分にも厳しいので、決して自分に優しく他人に厳しいといった風ではないのだが……その辺は人によるといったところか。

　こうして話しているのを見ても、ステラはスレイとは正反対の性格をしているのが分かる。

　いや、戦術機のパイロットをしている以上、当然のように厳しいところは厳しいんだろうが。

　そもそも、プロミネンス計画に参加している以上、腕利きのパイロットだと国にも認められてるんだろうし。

「そうですか？　スレイは話していても疲れないですよ？」

　この短期間でプレスティ大佐からスレイという呼び名に変わっているところに、どのくらい仲良くなったのかが理解出来る。

　いやまぁ、元々スレイは階級とかあまり気にしないタイプだったしな。

　最初はプロジェクトTDで臨時にDCの階級を持っていたようだが、その後アイビスに嫉妬して離脱。ノイエDCに協力して、その後イスルギ重工に。そして最後は俺達シャドウミラー、と。

　……うん、どこからどう考えても正式な軍人とかその階級とかとは遠く離れた場所に行ってるな。

　それに今となっては、スレイはシャドウミラーに長く滞在している。

　魔法球の件も合わせれば、色々と凄い数字になっているのは間違いない。

　そしてシャドウミラーというのは、基本的に階級はない。

　いや、幹部陣とかそういうのはあるけど、少尉、少佐、少将……といった階級は存在しない。

　そんな場所で長く過ごしているのだから、スレイが階級に疎くなってもおかしくはない。

　そんな風に考えながら、俺はスレイやステラと共に歓迎会を楽しむのだった。

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アクセル・アルマー
LV：43
PP：555
格闘：305
射撃：325
技量：315
防御：315
回避：345
命中：365
SP：1415
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S
海：S
宇：S
精神：加速 消費SP4
　　　努力 消費SP8
　　　集中 消費SP16
　　　直撃 消費SP30
　　　覚醒 消費SP32
　　　愛　 消費SP48

スキル：EXPアップ
　　　　SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
　　　　念動力 LV.10
　　　　アタッカー
　　　　ガンファイト LV.9
　　　　インファイト LV.9
　　　　気力限界突破
　　　　魔法（炎）
　　　　魔法（影）
　　　　魔法（召喚）
　　　　闇の魔法
　　　　混沌精霊
　　　　鬼眼
　　　　気配遮断A+

撃墜数：1213