転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1479話

 朝……目を覚まして、周囲を見回す。

 まず最初に目に入ってきたのは、白く美しい肌。

 正確には目に入ってきたというか、俺の腕の中にあったと表現すべきだが。

 その白い肌と肉感的で柔らかな身体の持ち主の感触を楽しみながら、寝ぼけ眼で周囲を見回す。

 見覚えのない部屋。……それ以前に、俺が寝ているのがいつも使っている巨大なベッドではない事に気が付き、昨日の歓迎会を思い出して慌てて自分が抱きしめていた人物へと目を向ける。

 そこにあったのは、艶やかな青い髪。

 一瞬ドキリとしたが、抱きしめている感触が覚えのある……それこそ今まで何度となく抱いてきた身体だという事に気が付くと、安堵の息を吐く。

 

「ん……」

 

 そんな俺の動きが伝わったのか、俺に抱きしめられながら眠っていたスレイが艶やかな声を上げた。

 そう、俺が昨夜抱いたのはスレイだった。

 断じて見ず知らずの相手でもなければ、ステラや篁、ましてやタリサといった女達ではない。

 そこまで考え、再度安堵の息を吐く。

 俺とスレイの歓迎会をVGが開いてくれたんだが、その際に俺は結局アルコールを飲んだりはしなかったのだ。

 VGが勧めようとしてきたのだが、幸いにも俺はそのアルコールの魔手を潜り抜けた。

 そうしてカリンダ基地にあるこの部屋――本来ならVIPルームとなる部屋が俺に与えられた部屋となる――でスレイを抱いて一緒に眠ったのだ。

 ちなみに、当然ながら俺とスレイの部屋は別々にある。

 だが、俺の立場としてはマブラヴ世界にとってなくてはならないシャドウミラーの代表という立場であり、その為にこの部屋が俺の部屋として用意された。

 ぶっちゃけこのカリンダ基地はシャドウミラーの基地からそれ程離れてないので、なんなら、毎日ホワイトスターまで帰っても全く問題はないんだけどな。

 何か緊急事態があったとしても、俺の場合は影のゲートですぐに移動する事が出来るんだし。

 それでも俺がプロミネンス計画に協力している以上、拠点となる部屋というのは必要だと考えたのだろう。

 プロミネンス計画の総責任者は……クラウス大佐とか言ったか。

 プロミネンス計画がこの基地で開始される時に何度か話したことがある。

 本来ならカリンダ基地に来た時にも挨拶をしておかなければならない相手だったが、生憎と今は出張中でカリンダ基地にはいないらしい。

 戻ってきたら挨拶をしておく必要があるだろう。

 

「んん……アクセル……どうしたんだ?」

 

 俺の腕の中で眠っていたスレイが、目を覚ましてそう声を掛けてくる。

 

「いや、何でもない。それよりどうする? もう少し眠ってるか?」

「……起きよう……」

 

 寝起きというのもあるし、昨夜の件で消耗した体力を回復出来ていないというのもあるのだろう。

 色々と加減はしたが、いつもは9人……いや、最近はミナトも入れて10人を相手にしている俺を受け止めるには、スレイ1人だけだと色々と厳しいものがあるのだろう。

 

「シャワーでも浴びてこい」

「ああ、そうさせて貰う」

 

 ヨロヨロ、フラフラとしながら去って行くスレイ。

 何も着ていない、一糸纏わぬ姿であるだけに、その姿は例えようもなく扇情的なものがある。

 このままだと、朝からまた時間を浪費する事になると判断し、俺はスレイの白い背中からそっと視線を逸らすのだった。

 

 

 

 

 

 シャワーを浴びて多少なりともさっぱりとした様子のスレイと共に、俺はカリンダ基地にある食堂へとやって来た。

 ここで行われているプロミネンス計画は非常に重要な代物だ。

 特に戦術機の研究は、シャドウミラーがここに来る前と比べると一変したと言ってもいい。

 俺達シャドウミラーがこの世界にやってくるまでの間、戦術機は確かに戦場の主役だった。

 だが……それはあくまでもレーザー級という存在がいて、戦闘機や戦闘ヘリ、爆撃機といった航空機の類が使えなくなった事による苦肉の策に近いものだ。

 つまり、当初はこのマブラヴ世界の住人達にとって、戦術機というのはBETAがいる間だけの、期間限定と言ってもいいような兵器だった。

 もしBETAを上手く全滅させる事が出来れば、再び戦闘機がメインの兵器になるというのは、国の上層部にいる者達にとっては当然の出来事だったのだろう。

 ……まぁ、戦術機は空を跳ぶ事は出来ても、飛ぶのは基本的に難しいし、速度も戦闘機には及ばない。

 その辺を考えれば、BETAを全滅させた後で戦闘機が主戦力になるという考えは決して間違っていない。

 だが……今のこの世界には、俺達シャドウミラーがいる。

 そしてシャドウミラーを通して、他の世界から様々な技術が流入した。

 特にMSの影響は大きい。

 この世界の戦闘機的な扱いでもある、MAのメビウスが複数集まってようやくMSのジンを1機撃破出来るだけの性能差。

 その戦力差は、1:3とも、1:5とも呼ばれている。

 そんなジンを含めた各種MSの技術や、ガン・ルゥ、リニアガン・タンクを始めとした色々な技術が流入した結果、戦術機はBETAがいる時だけの兵器……という事にはならなくなってしまった。

 そんな訳で、こうして戦術機についてのプロミネンス計画が始められた訳だ。

 つまり、ここで現在開発されている戦術機は、将来的にこの世界の兵器の礎となる。

 そんな戦術機を開発しているパイロット達の食事ともなれば……士気を高める意味でも、そして栄養学的にも、他の世界から輸入されている新鮮な食料が使われる事になる。

 

「……ふぅ、この世界の食事は色々と問題あると聞いていたが、随分と美味いな」

 

 朝食のセットを食べながらスレイが呟く。

 その気持ちは分からないでもない。スレイも一度この世界特有の食事……合成食を食べた事があるのだから。

 少なくても、俺はあんな食事を食いたいとは思わない。

 いや、合成食を食べるくらいなら、俺は何も食べない方を選ぶだろう。

 そもそも俺の身体は魔力によって構成されているのだから、栄養は決して必要な物ではない。

 食事は俺の娯楽に過ぎないのだから。

 ……まぁ、食べた物は即座に分解されて魔力になって吸収されるので、食事を取る意味がないって事はないんだが。

 

「この基地は色々な意味で重要な場所だからな。食べる楽しみは重要って訳だ。人間、美味い料理を食ってれば、大抵の不満は水に流せるし」

「その通り!」

 

 そう言いながら俺の隣に座ったのは、予想通りVG。

 

「おはよう、スレイ。昨日は良く眠れた?」

「ステラか。……そうだな。ぐっすりと眠れはしたが、身体の疲れは抜けるどころか寧ろ増えているように感じるな」

 

 スレイの言葉に、ステラは悪戯っぽい笑みを浮かべて俺の方へと視線を向けてくる。

 その視線は、どこかマリューや千鶴に似た、母性に近いものがあった。

 

「あらあら、英雄色を好むって言うけど……スレイも大変ね?」

「その辺は承知の上で今の立場にいるのだから、文句はないさ。おかげで私もストレスを溜めるという事はないし」

「へぇ、彼そんなに上手なの?」

「……ああ。それこそ、どんな女でも一度アクセルに抱かれれば、普通の男ではとてもではないが満足出来なくなるだろうくらいには」

 

 朝からなんて会話をしてるのやら。

 女同士の赤裸々な会話を聞き流しつつ、パンへと手を伸ばすと……

 

「う、う、う……羨ましい! 妬ましい! アクセル代表……」

 

 VGとは逆の隣に座った男が目に涙すら浮かべて俺の方へと視線を向けていた。

 誰だ? と一瞬疑問に思ったが、昨日の歓迎会で見た顔だと思い出す。

 そう、確かブリッジスと仲良く話していたのが強く印象に残っているな。

 基本的にぶっきらぼうで、人と話すのが苦手そうなブリッジスと仲良く話していたので、強く印象に残っている。

 ……まぁ、こんな風に涙を流しながら羨ましがられるとは思わなかったが。

 

「あー……羨ましいなら、男を磨け。そうすれば女が自分を見る目が優しくなるからな。ただでさえ、このマブラヴ世界は男女比が大きく女に偏ってるんだからな」

 

 俺の口から出たのは事実だ。

 シャドウミラーがこの世界にやってくるまでの戦いで、多くの男が戦死している。

 俺がこの世界に来た時は、既に前線では男の数が足りなくなり、積極的に女の兵士を採用していたのだから。

 ……逆に言えば、戦場に出るようになって女が強くなったというのもある。

 その辺は、シャドウミラーにいる面子を見れば明らかだろう。

 俺の恋人達も含めて、戦いに関与している女は基本的に強い。

 まぁ、シャドウミラーにいる女がそもそも自立している者が多いというのがあるんだが。

 

「ううっ、そんな簡単にいければ俺も苦労はしないんだけど……」

「ほら、落ち着けってヴィンセント。まず、アクセル代表に自己紹介をしたらどうだ? 昨日は結局ユウヤの相手で自己紹介出来なかったんだろ?」

 

「お、おう。そうだったな。……失礼しました、アクセル代表。自分はヴィンセント・ローウェルであります。現在は不知火弐型の専任整備士として働いています」

 

 先程までの情けない態度は何だったのかと言いたくなるような、しっかりとした敬礼。

 この辺、しっかりと軍人してるよな。

 

「ああ、知ってると思うが、アクセル・アルマーだ」

「私はスレイ・プレスティ。一応大佐という事になっている」

 

 俺に続いてスレイもローウェルに向かって短く自己紹介をする。

 それを聞いていたローウェルは、満面の笑みを浮かべて口を開く。

 

「プレスティ大佐ですよね。勿論知っています。何でもシャドウミラーの実働班でも有数の腕利きだとか」

「……よく知ってるな。コーネリアと違って、私はそんなに表に出ていないんだが」

「いやいや、そんな事はありませんとも」

 

 笑みを浮かべてスレイの言葉を否定するローウェルだが、本当にどこで情報を手に入れたんだ?

 ……いや、このカリンダ基地にいるメンバーがシャドウミラーの情報を入手する手段で一番手っ取り早く、そして確実なのがあったな。

 そもそも、このプロミネンス計画はシャドウミラーの技術班が大きく関わっているのだ。

 であれば、当然このカリンダ基地に技術班のメンバーが来る事も珍しくはなく……その中には、某アイドル好きの姿もある訳だ。

 で、そのアイドル好きはシスコンの気もあったりするので……後は考えるまでもないだろう。

 ……この基地、もしかして技術班に妙な汚染をされてないだろうな?

 シャドウミラーの技術班は色々な意味で変人が多いので、その辺はどうしても心配になってしまう。

 それに気が付いているのか、いないのか……スレイはローウェルの言葉を特に気にした様子もなくパンへと手を伸ばす。

 

「そう言えば、今日はどんな訓練をするんだ?」

 

 このままだと色々と不味い事に――フィリオの命的に――なりそうだったので、話題を変える。

 ローウェルはスレイとの話を途中で切り上げられ、若干不満そうな表情を浮かべていたが……それでも素直に話題に乗ってくる。

 

「そうですね。ちょっと分からないというのが正直なところです」

「……分からない?」

「ええ。本来ならJIVESを使ってシミュレーションをやって機体を慣らす予定だったんですが、昨夜、篁中尉から予定を変更すると言われまして」

「あー……なるほど」

 

 それを聞けば、今日起こるのはどんな事なのか大体の予想は出来る。

 そもそも、そうなるようにアドバイスをしたのは俺なんだし。

 

「え? アクセル代表、何か知ってるんですか?」

「ああ。まぁ、結構面白い事になると思うから、期待していてもいいぞ。ローウェルは吹雪の整備を十全にしておいた方がいい」

「は? はぁ。……機体の整備を十全にって事は、実機を使って何かをやるって事ですか?」

「そうなるな」

 

 俺の言葉に首を傾げたローウェルだったが、何かを言う前に食堂の入り口に現れた整備員と思しき者に呼ばれる。

 

「いっけね。忘れてた……すいません、アクセル代表。自分はこれで失礼します!」

 

 俺に向けて素早く敬礼をすると、食事を素早く食べて――味わうというより掻き込むといった表現が相応しい――去って行く。

 早食いも軍人としては重要な技能だってのは事実だから、おかしくはないんだが。

 けど、合成食じゃない食べ物は未だにそれなりに高価な筈だ。

 ゆっくりと味わいたかったというのが正直なところだろう。

 

「さて、それでアクセル代表。何を企んでいるんです?」

 

 こちらは優雅に食事をしていたステラが尋ねてくるが、俺は笑みを浮かべて口を開く。

 

「サプライズってのは、ネタバレしたら面白くないだろ? ……ただ、今も言ったが色々と驚くことになるとは思うけどな」

「あら、随分ですね。教えてくれてもいいのに。……ねぇ、スレイ?」

「ふむ、こうなってしまうとアクセルは結構強情だからな。大人しく待っている方がいいと思うぞ?」

 

 スレイも昨日は俺と一緒に篁と会ったので、予想は出来ているのだろう。

 笑みを浮かべて、そう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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