転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1486話

『どうした! その動きで吹雪を自由に操れると思っているのか! 機体制御が甘い! 自分の思い通りに機体を動かすのではなく、機体と一体になれ!』

『くっ、分かってるよ!』

 

 視線の先では、武御雷と吹雪が模擬戦用の長刀を使いながら激しく動いている。

 

「ほう、数日前の様子とは全く違うな」

 

 俺の隣にいるスレイが、感心したように呟く。

 だが、次の瞬間には俺の方へとからかうような視線を向けてきた。

 

「一体何をしたんだ?」

「いや、何で俺がやったと決めつける?」

「あの2人をどうにかしようとすれば、アクセルくらいしかいないと思うがな」

 

 全てを分かっているといったスレイの笑み。

 いやまぁ、スレイを誤魔化せるとは思ってないけどな。

 何だかんだと、俺とスレイの付き合いも長い。……それこそ、恋人同士になってからも随分と経つ。

 毎晩のように肌を合わせているだけに、俺の考えはスレイにも分かりきっているのだろう。その割りには、スレイを始めとして他の恋人達の考えを俺が理解出来るかと言われれば……難しいんだが。

 

「ま、そうだな。XFJ計画が失敗しないで成功してくれれば、こっちとしても歓迎出来るし」

 

 日本が不知火弐型を完成させれば、この世界での勢力はまた少しであるが変わる。

 それが良い方向に変わるのか、それとも悪い方向に変わるのか……それはまだ分からないが。

 それでも、シャドウミラーがオーストラリアの次に友好的な国が日本である以上、当然日本には強くなって欲しい。

 

「それにしても、インフィニティーズか。アメリカも本気だな」

「……ま、プレスティ大佐の言いたい事も分かります。今のアメリカは本気で後がないですからね」

 

 篁とブリッジスの模擬戦を眺めていたVGが、こっちの話に首を突っ込んでくる。

 それでいながら視線は模擬戦の方へと向いており、一瞬たりとも戦いの様子をみのがさないと態度で示していた。

 随分と器用な真似をするな。

 そう思うも、並列思考というのはパイロットにとって半ば必須事項だ。

 勿論ある程度以上の、という言葉が頭に付くが。

 特に俺の場合はニーズヘッグのファントムを使用する場合、そちらのコントロールにも意識を割かなければならない。

 本来ならコンピュータ任せという事も出来るのだが、そうするとやっぱり精度で1段……いや、3段程は落ちる。

 レモンやムウといった風に、同じような武器を使っている面子もコンピュータではなく、自分で操縦しながら普通に戦闘もこなしている。

 それに生身の戦いでもその辺の能力は重要だしな。

 特に魔法とかを使って戦闘をする場合、魔法の詠唱にある程度意識を向けながら、敵の攻撃もしっかりと把握する必要がある。

 その辺を考えれば、どうしても幾つもの出来事を平行して行う必要が出てくるのだ。

 まぁ、並列思考とか言ってるけど、実際には普通の人も日常生活で似たような事は大なり小なりしている。

 それこそ食事をしながらTVを見たりといった、ながら行動の類はその最たるものと言ってもいい。

 

「アメリカとしては、出来れば自分達の技術だけでラプターを改修したかったんでしょうけど……アメリカにもMSを譲渡したのよね?」

 

 ステラの問い掛けに頷きを返す。

 スレイと仲良くなった影響か、ステラの口調は大分砕けたものになっていた。

 まぁ、元々俺は口の利き方とか礼儀とかには無頓着だし、人前で格好を付けてくれるんなら問題はない。

 タリサとVGはまだそんなやり方に慣れてないようだが。

 いや、タリサは元々敬語の類が得意じゃないから、結構流されてきてるが。

 

「MSがあれば、ある程度以上の技術は入手出来るんだし。羨ましいよな」

 

 タリサがしみじみと呟く。

 その気持ちは分からないでもないが、タリサの出身は……ネパールだったか?

 戦術機を独自開発出来ないような国にMSを譲渡しても、それこそ宝の持ち腐れだろう。

 

「あ、惜しかったな」

 

 VGの視線の先では、武御雷の長刀の切っ先が吹雪へと突き付けられており、完全に勝負がついている光景だった。

 ブリッジスの方もそれは理解しているのだろう。吹雪は大人しく引き下がり……再びお互いが向かい合い、長刀を構える。

 

「ユウヤの奴も変わったよな。そう思わないか?」

「まあな。VG的には前の方が良かったんだろ?」

「……そうだなー。賭けの対象としては、そっちの方が面白かったかも。けど、最近マンネリ気味になってたのも事実だし。何だかんだと、唯依姫の方が勝率高かったんだよな」

 

 VGとタリサのやり取りが聞こえてくるが……こいつら、同僚と上官で賭けなんかやってやがったのか。

 いや、軍人らしいと言えば軍人らしいか?

 ……そう言えば、シャドウミラーでも賭けとかそういうのはやってるのか?

 正直なところ、シャドウミラーでそんなのを見た事は……ない事もないけど、そこまで頻繁にやってるようには思えない。

 以前見たのは、ムウとイザークの模擬戦でどっちが勝つかだったが。

 ちなみにその模擬戦ではムウが勝った。

 もっとも、だからといっていつもムウが勝つ訳ではない。

 イザークとムウの実力は、実働班の中でも高いレベルで伯仲している。

 実力的にはコーネリアがトップで、その下がムウやイザーク、オウカ、エキドナ、スレイ、ギルフォードといった面子が続く。

 以前はムラタもこのグループに入っていたのだが、訓練をする際に生身での戦闘を重視している影響か、このトップグループからは落ちてしまっている。

 まぁ、ムラタの求める強さを考えれば、どちらが重要なのかは考えるまでもないのだろう。

 事実、生身での戦いに限定すれば麻帆良以外のメンバーだと頭一つ抜け出ているし。

 そんな事を考えている間にも、1本、2本とブリッジスの負けが重なっていく。

 それでも動きそのものは、見て分かる程に良くなっていっている辺り、何だかんだと言いつつ、戦術機の操縦センスに関しては一流のものを持っている証だろう。

 

「ユウヤの奴……もう完全に日本の戦術機の動かし方を理解しているな」

 

 少しだけ悔しそうにタリサが呟く。

 何だかんだと、タリサはブリッジスと仲がいいからな。

 ただし、仲がいいと言っても、その仲の良さには強敵と書いてライバルと読むタイプの仲の良さも混ざっている。

 それだけに、自分のライバルでもあるブリッジスがみるみる強くなっているのが気にくわないのだろう。

 まぁ、日本製の戦術機の動かし方を理解したからといって、純粋に強いという訳ではないのだが。

 それでもいざとなれば、取れる選択肢の幅が広いというのはブリッジスにとって間違いなく有益な行為だろう。

 

「何だ、そんなにユウヤが気になるんなら、タリサも日本の戦術機に乗ってみるか?」

「あたしには自分の機体があるから、満足してるよ」

「なら、嫉妬するなよ」

「だぁっ! だだだだだだ、誰が嫉妬なんかしてるって言うんだよ!」

 

 へぇ。

 この反応を見れば、俺もタリサがブリッジスをどう思っているのかというのは理解出来た。

 クリスカはともかく、イーニァもブリッジスに好意を持っていたようだし……年下、じゃなくて身体の小さな相手に好かれる素質でも持っているのか?

 ともあれ、VGの前でそんなあからさまな反応を見せれば、当然ながらその辺をからかわれる訳で……

 

「あっれー? もしかして、唯依姫にユウヤを取られるって考えてるのかなー? うんうん、その気持ちは分かる。唯依姫って何だかんだと美人だし。……まぁ、正直なところ、俺はこの前やって来て唯依姫と模擬戦をやった方の美人が好みなんだけど」

「ちょっと、VG。変な事を言わない方がいいわよ。彼女、日本のお偉いさんなんでしょ? そんな事を言ってるのが聞かれたら、ハラキリさせられるわよ?」

 

 ハラキリって……いや、切腹の事を言ってるんだろうが。

 そんなやり取りを聞いていると、再びムラタの姿が脳裏を過ぎる。

 ……まぁ、ムラタとハラキリってそれなりに似合いな感じだしな。

 実際にはムラタがハラキリをするような光景は想像出来ないが。

 寧ろ、ムラタの場合はハラキリしろと言われたら、ハラキリ用の短剣……小太刀なのか? まぁ、武器の種類は分からないが、それを持って相手に斬り掛かっていくという印象しかない。

 しかも、嬉々として。

 うん、間違いなくそれでこそムラタだ。

 

「そう言えば、アクセル。知ってるのか? 今度ミネルバ隊がここに来るそうだぞ」

「……は?」

 

 ムラタとハラキリについての考えに頭を悩ませていると、不意にスレイがそんな事を言ってきた。

 完全に予想外であり、何故ここでそんな話が出てくるのは分からなかったが……何より驚いたのは、何故ここにミネルバ隊が来るのかという事だった。

 

「一応聞いておくけど、ミネルバ隊ってのはSEED世界のミネルバ隊だよな? どこか他の部隊って訳じゃなくて」

「当然だろう。そもそも、私はSEED世界以外のミネルバ隊というのは知らないからな」

「だろうと思ったよ。……けど、じゃあ何でそのミネルバ隊がマブラヴ世界に顔を出すんだ? そもそも、もしMS部隊が来るとしても、ザフトのミネルバ隊じゃなくてオーブのアークエンジェル隊で問題ないだろ?」

 

 そんな俺の疑問に、スレイは小さく肩を竦める。

 ……その際に、豊かな双丘がユサリと揺れて存在感を主張するのが見えた。

 戦術機のパイロットスーツを着ているステラを見慣れている筈のVGですら、思わず目を奪われるような、そんな光景。

 だが、スレイは……というか、スレイも含めて俺の恋人達は全員が全員その美貌で人目を惹き付けるのに慣れてしまっている。

 VGの視線を気にした様子もなく、スレイは口を開く。

 

「詳しい経緯は聞いてないが、何でもエリナが色々と頑張ったらしい」

「……エリナが?」

 

 ネルガルの会長秘書だったエリナだけに、当然今は政治班で活動している。

 そんなエリナがこうしていきなり大きな仕事を任されているというのは、それだけエザリアに信用されているという事だろう。

 ……まぁ、あやかや千鶴と違って、実際に活動してきた経験を持っているんだから、優遇されるのは当然か。

 ちなみに、そのあやかや千鶴も、今では立派に1人前の政治班の人間として動いている。

 

「エリナが、ねぇ。何だって急にそんな真似をしたのやら」

「私には分からないが、エザリアが許可を出したのだから、相応の理由があるのではないか?」

 

 その辺はスレイの言う通りだと思う。

 何の意味もなく、エザリアがミネルバ隊をこっちに派遣させるような許可を出すとは、到底思えない。

 その辺を考えれば、必ず何らかの理由はあるんだろうが。

 

「スレイ、そのミネルバ隊というのは、どういう部隊なの?」

「うん? そうだな。このマブラヴ世界と同様にシャドウミラーと友好的な世界の部隊だ。SEED世界と言えば、分かりやすいのではないか?」

「……ああ、リニアガン・タンクの」

 

 やっぱりマブラヴ世界の一般的な認識では、SEED世界=リニアガン・タンクなんだな。

 

「そうそう。そのSEED世界だ。その世界には私達と友好的な関係を結んでいるオーブという国以外にも、何ヶ国もある。その中の1つにプラントという国があってな。そこの軍隊に所属している部隊だ」

「ふーん……強いの? というのは、聞くまでもないわよね?」

「そうだな。強い弱いの基準は色々とあるから、明確には答えられないが……少なくても使用している機体の技術という意味では、この世界よりも大分進んでいると言ってもいい」

 

 パイロットの操縦技術という意味では、このマブラヴ世界のパイロットも負けてはいない。

 だが、使用している機体の性能その物が大きく違い過ぎるんだよな。

 そもそもビーム兵器すら使用出来ない辺り、この世界の技術はどうしても低く見積もってしまう。

 

「へぇ。じゃあ、純粋に技術じゃ負けてないのか」

「ふふん、そりゃそうだろ。あたし達だってそんなに劣ってないって事だな」

 

 スレイとステラの話を聞いていたVGとタリサの2人が嬉しそうに呟く声が聞こえてくる。

 実際、それは間違っていない。

 ただ、技術格差が大きいだけで。

 マブラヴ世界側にもSEED世界を上回る技術はあるんだけどな。

 特に治療技術に関しては、マブラヴ世界の方がSEED世界よりも上だ。

 それこそ、ネギま世界やギアス世界よりも上だと言ってもいいだろう。

 マクロス世界にも匹敵するんじゃないだろうか。

 まぁ、それもBETAという存在があっての事だと考えれば、この世界の人間にとって面白い話じゃないのは事実だろうが。

 

「お?」

 

 考えながら模擬戦を見ていると、武御雷が放った長刀の一太刀を吹雪が持っている長刀で上手い具合に逸らして一撃を……あ、駄目だ。

 素早く手元に長刀を戻した武御雷が吹雪の一撃を弾き……そして長刀を吹雪へと突き付けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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