転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0136話

 黒の騎士団による山頂からの奇襲攻撃。それは日本解放戦線への攻撃に集中していたブリタニア軍の意表を突いた。最初に接敵したカリュウシ隊も数分で撃破され、待機場所から独断専行した純血派が黒の騎士団と戦闘状態に入っている。

 純血派。原作通りなら、ジェレミアの事か。

 純血派のマーカーのうち、先頭の1機が激しく動いている。恐らくこれがジェレミアの機体だろう。だが、そのマーカーも唐突に消え去る。紅蓮弐式が出たか。

 

「総督は無事なのか?」

「流れの外ですから問題ありません。しかし、後ろ備えが動いた為に孤立に近い形になっています」

「何をやってるんだ、純血派は!」

 

 G-1ベースのブリッジは混乱の極致にあった。それもそうだろう。勝利の一歩手前から一転して追い詰められているのだから。

 そしてまた一機、純血派のマーカーがモニタから消える。やられたのはキューエルか。

 だが、その動きは無駄ではなかった。原作通りにキューエルを倒した紅蓮弐式はその戦場を離れ、ランスロットと同等の戦力が消えた為にヴィレッタが指示をする事でなんとか黒の騎士団の本隊を食い止める事に成功しているのだ。

 

「純血派が食い止めている?」

「はい、ヴィレッタ卿の指揮で」

「なら今のうちだ、総督には後ろに下がっていただけ。空軍の援護を……」

「待って下さい!」

 

 幕僚達の話を遮ったのはユーフェミアだった。その声には強い危機感を感じさせる。

 

「総督の後ろに何かが近づいています」

 

 そう、モニタにはコーネリアが待機している部隊に向けて接近するアンノウンが表示されていた。日本解放戦線の切り札と言っても過言ではないだろう、無頼改を乗せた2台のトレーラーが。そして次の瞬間には新たに4つのアンノウンが出現してコーネリアのいる部隊へと接敵する。

 次々に消滅していくブリタニア軍のマーカー。その強さはさすが奇跡の藤堂と四聖剣というべきか。

 そしてコーネリア機のマーカーが1機だけその場から離れ、同時に日本解放戦線からの反撃が猛烈なものへとなっていく。ブリタニア軍のマーカーも時間が経つごとに少なくなっていく。

 

「ユーフェミア副総督、このG-1ベースを突入させましょう。総督をお救いする為には!」

「なりません!」

「しかしギルフォード隊長が動けないとなるとコーネリア総督のお命が!」

「ここには野戦病院も設定されています。避難してきた周辺の住民も居ます。それに、このG-1ベースは本陣の象徴。何があろうとも動くなとのお姉様……いえ、総督の厳命。ですから、だから……」

 

 ……おかしい。原作では確かそろそろロイドからの通信が入る筈なのだが、その様子が全く無い。ランスロットのサンドボードがあればこの土砂崩れの中でもコーネリアの援軍に向かう事は可能な筈。それが何故何も言ってこない? ロイドならランスロットのデータを取れるチャンスがあればこれ幸いと援軍を申し出てくると思うんだが。

 

「……特派に連絡を取れるか?」

「特派だと、この一大事に何を……」

「コーネリアの命を救う鍵になるかもしれない事だ。いいな?」

 

 幕僚達へと半ば殺気を込めた視線を送ると、冷や汗をかきながら黙り込む。

 黙り込んだ幕僚達を無視して、特派のトレーラーへと通信を送る。

 

「はいはい、何かご用でしょうかー?」

「ロイド、ランスロットは出せるか?」

「出せと言われれば出せるけど……この土砂の中じゃランスロットは上手く動けないからあまり出す意味がないんじゃないかな?」

 

 ……何?

 特派。中破したランドリオン。ロイド。その単語を並べると非常に嫌な予想が脳裏に浮かんでしまう。

 

「確かサンドボードとか言うのがあると小耳に挟んだ事があるが」

「え? えーっと……それは……」

 

 俺の問いに視線をキョロキョロと落ち着かなく動かす。

 

「あるのか、ないのかをはっきり言え」

「実はまだ制作途中だったり」

 

 ……やっぱりか。サンドボードを作るよりも俺が修理を頼んだランドリオンに夢中になっていたんだろう。技術馬鹿のロイドらしいと言えばらしい行動だが。

 モニタの隅に映ったセシルも動揺している。

 

「ほら、だから言ったでしょう。やる事やってからランドリオンの修理に取りかかりましょうって」

「でも、折角興味深い機体なのに……」

「つまりランスロットは出せる事は出せるが、土砂を越えるのに時間が掛かるという事でいいのか?」

「おーめーでーとー! その通り!」

「ならどうでもいいから、とにかく出撃させろ。時間は多少掛かっても構わない」

「いいの!? じゃあ早速!」

 

 ロイドの喜色満面の笑顔がアップになり通信が切れる。

 コーネリアとこのG-1ベースを隔てている土砂を乗り越えるのに時間は掛かるだろうが、それでもランスロットは戦力として一級品であるのは間違いない。後詰めの意味も込めて出撃させておいて損はない。後は……

 

「ユーフェミア、俺も出る」

「え? アクセルさんが? でも機体は修理中なのでは?」

「何、そろそろ新型の代わりが届く手筈になっている。……文句は無いな?」

 

 何か言いたげな幕僚達へと再度殺気を込めた視線を向けると、結局何も言えずにそのまま黙り込む。

 

「この本陣は任せたぞ。日本解放戦線にしても黒の騎士団にしても、今はコーネリアを狙っているがいつこのG-1ベースへと狙いを変えるか分からないからな」

 

 それだけ言ってG-1ベースから外へと移動し、誰にも見つからないように森の中へと入る。

 まさかランドリオンの修理を頼んだ為にサンドボードが完成していないとは思わなかった。こんな所で原作介入の影響が出るとはな。

 苦笑を浮かべつつ、脳裏に空間倉庫のリストを表示してガーリオンを選択。次の瞬間には、俺の隣にガーリオンが姿を現していた。大きさ自体はランドリオンより気持ち小さめといった所か。そのままコックピットへと乗り込む。

 

「G-1ベース、聞こえるな。こちらアクセル・アルマーだ。そちらからも見えると思うが、この機体には俺が乗っている。味方に誤射しないように通達をよろしく頼む」

「アクセルさん!?」

 

 ユーフェミアの驚く声を聞きつつも、テスラ・ドライブを起動し機体を空中へと浮遊させる。

 

「コーネリアをやらせる訳にはいかないんでな……行くぞ!」

 

 コーネリアのいる場所、土砂の向こうへと空を飛ぶ。さすがに地上を行動するKMFとは違い、テスラ・ドライブを使った速度は一級品だ。見る間に土砂の上空を飛び越えコーネリアの機体反応がある場所へと向かう。

 その途中、空を飛ぶガーリオンを見た無頼やサザーランド、グロースターが一様に動きを止めていたが、まぁそれはしょうがない。なにせ自力で空を飛ぶKMFなんてものを初めて見たのだから。……いや、正確にはAMなんだが、それはコーネリアに近しい人物しか分からないだろう。

 

「……あそこかっ!」

 

 モニタに表示されているのは両腕を失っているコーネリア専用のグロースター。目の前には紅蓮弐式が、背後の崖には無頼が3機。そのうちの1機は鬼の面のようなものをつけているのが特徴的だ。ゼロの機体だろう。

 まさに絶体絶命以外の何物でもない状況だ。だが、それもここまでだ!

 

「集中」

 

 精神コマンドの集中を使用し、胸部に装備しているマシンキャノンを無頼3機目掛けて発射する。同時にバースト・レールガンを紅蓮弐式とグロースターの間へと撃ち込み牽制する。

 

「馬鹿なっ、KMFが空を飛んでいるだと!? それにあの大きさはなんだ!」

 

 外部スピーカーをONにしているのだろう、ゼロの驚愕の声が聞こえてくる。

 その声を聞きながら、グロースターの近くへと着地し、アサルトブレードを構えた。

 

「コーネリア、無事だな?」

「アクセルか!? その機体は一体……」

 

 こちらも驚きの声を上げるコーネリアだが、今は黒の騎士団をなんとかしないといけない。

 

「まずはこの危機を脱出してからだ。……動けるか?」

「ああ。しかし見ての通り両腕共使い物にならん。使えるのはスラッシュハーケンだけだ」

「何、今は時間を稼げばいい。後少しすれば援軍が駆け付ける手筈になってる」

 

 わざとゼロへと聞こえるように外部スピーカーをONにしてコーネリアへと答える。

 

「ちぃっ、紅蓮弐式はそのデカぶつを破壊しろ。空をウロチョロされると邪魔だ!」

 

 その命令が下ると共に、紅蓮弐式が地面を滑るようにしてこちらへと距離を近づけてくる。

 マシンキャノンを周囲へとばらまき、回避可能な範囲を狭めそこにバースト・レールガンを撃ち込む。

 しかし紅蓮弐式はその悉くを回避しながらこちらの懐に潜りこんでくる。

 

「はぁっ!」

 

 その紅蓮弐式へと目掛けて、アサルトブレードを下から斬り上げるが、それを右手の輻射波動を展開して受け止める。同時にその輻射波動の効果によりマイクロ波が送り込まれて刀身が膨張していくが、俺はそれに構わずにアサルトブレードを思い切り振り上げた。

 5m程度の機体と、20m近い機体。その大きさはおよそ4倍だ。その質量差に抗える筈もなく、紅蓮弐式は空高くへと吹き飛ばされた。だが同時にアサルトブレードも既に使い物にならなくなっている。

 原作で知っていたが、厄介極まりない武器だな。素早く、小さく、格闘戦に向く紅蓮弐式。それに対するのは大きく、射撃武器しか残っていない……いや、まだソニック・ブレイカーがあるな。あれは機体で直接攻撃する訳じゃないから輻射波動相手でも対抗可能だろう。それに結局やっている事は体当たりだから機体の質量差がモノを言う。

 

「アクセル、そちらは任せた。私はゼロを叩く!」

 

 3機の無頼目掛けてスラッシュハーケンのみで戦いを挑むコーネリア。不安は残るが相手はゼロと扇グループの人間だ。KMFの操縦技術は高が知れているし、コーネリアならなんとでも出来る筈だ。

 俺の仕事はこの厄介極まりない紅蓮弐式をあちらへと行かせない事か。

 

「分かった、気をつけろよ」

 

 紅蓮弐式が左手で呂号乙型特斬刀を振りかぶってこちらへと襲いかかってくる。ガーリオンの足へと突き刺そうとしたその攻撃をテスラ・ドライブにより空中に移動する事で回避。バースト・レールガンを連続して撃ち込む。だが、さすが紅蓮弐式と言うべきか、バースト・レールガンの射撃を後退しながらも完全に回避してみせる。

 

「あの速度は厄介だな」

 

 ガーリオンに比べて小さい事と、あの速度ではこちらの攻撃はなかなか当たらない。そもそもT-LINKシステムの機体制御に特化していると言ってもいい俺だ。ガーリオンやランドリオンでは機体の反応が鈍すぎるのだ。

 一端後退した紅蓮弐式だが、再度距離を縮めてくる。その右腕の一撃でケリをつけるつもりなのだろう。

 空中を飛んでいるガーリオンの下を抜けてこちらの背後を取り、輻射波動を叩きつけんと右腕を振るう。それを前進する事で回避すると、すかさず呂号乙型特斬刀を投げつけてくるのを空中でバレルロールしながら回避。そのまま紅蓮弐式へと向き直りマシンキャノンを放ちながら突撃する。マシンキャノンは輻射波動により完全に防がれるが、俺の目的は輻射波動を使わせる事でその素早い動きを止める事なので問題は無い!

 

「動きを止めたのが運の尽きだ! ソニック・ブレイカー!」

 

 ガーリオンの両肩からT・ドットアレイによるエネルギーフィールドを展開。そのまま動きを止めた紅蓮弐式へと突っ込む。

 そのままなら紅蓮弐式はガーリオンに吹き飛ばされていただろう。だが信じられない事に、カレンはソニック・ブレイカーの突撃をその輻射波動を使い受け止めたのだ。しかし当然ガーリオンの質量を受け止めきれる筈もなく輻射波動機構を備える右手から緑色の火花が散る。

 

「このまま砕かせて貰う!」

 

 ガーリオンのスロットルを全開にして紅蓮弐式を押しつぶそうとしたその時、唐突に地崩れが発生して紅蓮弐式諸共下へと流れていった。

 

「ちぃっ!」

 

 俺は咄嗟にガーリオンのテスラ・ドライブを全開。地面に激突寸前の所で地を蹴って空へと浮く。

 そしてそれが契機となり黒の騎士団は撤退を開始した。膝を突くコーネリアのグロースター。

 

「何とかなったな」

「ああ。だが……」

 

 コーネリアが何かを喋ろうとしたその時。ようやくランスロットがその姿を現した。土砂崩れを越えるのに時間が掛かったのもあるだろうが、黒の騎士団との戦闘時間自体が数分程度のものだったのだ。

 

「コーネリア総督、アクセルさん!」

「特派の?」

「ああ。後詰めとしてロイドに出して貰った。ユーフェミアの許可は貰っている」

「……そうか。枢木准尉。お前はゼロを追え」

「しかし!」

「エナジーフィラーが尽きただけだ。それにアクセルもいる。行け!」

「イエス・ユア・ハイネス!」

 

 そのまま黒の騎士団を追うランスロットの後ろ姿を見ながら、コーネリアへと声を掛ける。

 

「危なかったな」

「ああ。またお前に助けられたな」

「気にするな。キュウシュウでも言ったが、お前が無事ならそれでいいさ」

「……そうか」

 

 何故か顔を赤くしたコーネリアの機体の膝の裏と頭の後ろへと手をやり持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこという奴だ。その状態のまま、テスラ・ドライブにより空を移動する。

 

「アクセル、この機体は……」

 

 そうだな。その事を話しておかないといけないか。

 

「悪いが、今回助けられた事を恩に感じてくれるのならこの機体に関しては詮索しないでもらえると助かる」

「……そうか。分かった。この機体については詮索しない事をコーネリア・リ・ブリタニアの名の下に誓おう」

「悪いな。……いずれ話せる時が来るかもしれないが、それまでは待ってくれ」

 

 空を飛びながらそんな事を話していると、見覚えのある機体が姿を見せた。ギルフォードのグロースターだ。

 

「殿下! 無事ですか!」

「アクセルのおかげでな」

「その機体、やはりアクセルの?」

「ああ。だが、私の名の下にこの機体に関する詮索は禁止する。それと全軍に伝えよ。撤退準備だと。これ以上我が将兵の命を賭ける理由はない。戦闘状態を維持しつつ、緩やかに後退せよ」

 

 ギルフォードへと通信を送ったあと、悔しげに呟く。

 

「認めなくてはな。今回は我々の負けだ」

 

 

 

 

 

 ナリタ連山での戦闘が終了し、数時間が経った。現在は残兵の収容や修理、補給を行いトウキョウ租界へと帰還する準備をしている所だ。

 尚、ランスロットは原作通りにC.C.によるショックイメージを見せられたらしく、暴走状態にあったのをエナジーフィラーが切れるのを待って収容したらしい。ユーフェミアが心配そうに特派へと向かっていたのを考えると、あの2人は原作通りに進むだろう。後はユーフェミアの虐殺事件をなんとか防ぐ事が出来ればいいんだが……

 ちなみにガーリオンは既に空間倉庫へと戻し、そのままだ。G-1ベースの部隊や俺の事を知っているブリタニア軍人達は俺の方へと何か聞きたそうにしているが、コーネリアが自分の名前を使って詮索しないと明言したので聞きたくても聞けないらしい。




名前:アクセル・アルマー
LV:34
PP:165
格闘:242
射撃:260
技量:252
防御:249
回避:277
命中:299
SP:414
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:192

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