転生とらぶる   作:青竹(移住)

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番外編058話 1500話記念 インフィニット・ストラトス編

 ふとアクセルが目を覚ますと、そこは見覚えのない場所だった。

 そして周囲を見回すと、何故か裸の自分の身体。

 そして……少し離れた場所で、顔を真っ赤にしながら木刀を持っている1人の女。

 

「起きたか。単刀直入に聞く。お前は何の目的でIS学園に侵入してきた? 一体どうやって……それも、そんな破廉恥な状態でだ!」

 

 話している内にアクセルを運んだときのことを思い出したのだろう。ただでさえ赤い顔が、より赤くなっていく。

 均整が取れ、しなやかな筋肉……それはいいのだが、身体中についている赤い痕は紛れもなく情事の際に出来るキスマークであり、そのキスマークと同様に様々な体液の付着した身体。

 どこからどう見ても、事後そのままの姿だった。

 そして実は乙女である女……織斑千冬が初めて見る――弟のは見たことがあるが、それは子供の頃の話だ――男の象徴。

 アクセルは何故か自分の身体が15歳のものになっているのに疑問を抱きつつ、より大きな疑問を口に出す。

 

「……どこだ、ここは」

 

 呟きながらも、以前にもマクロス世界で同じようなことがあったな、と考えるのだった。

 

 

 

 

 

「ISを起動しただと!? 何故お前にそんなことが出来る!?」

「そう言われてもな。何となく?」

 

 本当に何故こんなことになったのかと疑問を抱くアクセル。

 もしかして魔力のせいなのかも? と思いつつも、魔法のないこの世界では何を言っても無駄だろうと考える。

 

 

 

 

 

「お前にはIS学園に入学して貰う。……2人目の男性操縦者としてな」

「2人目? じゃあ、1人目は?」

「……私の弟だ。取りあえずお前が入学するまでは私と一緒に暮らして貰う」

「いいのか? その……こう言ってはなんだが、千冬のような女が男と一つ屋根の下なんて」

「ふっ、私を押し倒すか。そんな事をした者は今までいなかったな」

 

 

 

 

 

「待て、ちょっと待て。何だこの部屋の汚さは! 少しくらい片付けろ!」

「先輩、これはさすがに……」

「……山田君、少し手伝ってくれ」

 

 

 

 

 

「私だってな、女なんだぞ。……なのに……」

「あー、飲み過ぎるなって山田も言ってただろ?」

「うるさい! ブリュンヒルデなんて称号があっても、男には邪魔なだけなんだ」

「ほら、水だ。取りあえず酔いを覚ませ」

「水? 分かった。私は水を飲む。だからお前はこれを飲め!」

 

 叫び、持っていたビールをアクセルの口へと押し込み……

 

「ちょっ、おいアクセル! 一体何を……ああっ、ちょ! 馬鹿! 待て、そこは……」

 

 

 

 

 

「うーん……ん? ここは……」

 

 翌朝、気が付くと何故かアクセルが起きると裸のままであり、一緒のベッドの中には同じく一糸纏わぬ姿の千冬の姿があり、力尽きた様子で深い眠りについていた。

 そして千冬の身体中についているキスマークや、ベッドのシーツにある血を見れば、ここで何が起きたのかは考えるまでもない。

 

 

 

 

 

「ここがその、お前が暮らす部屋だ。正直、お前のような獣を女子生徒と相部屋にしていいものかどうか迷ったんだが……上からの命令には逆らえん」

 

 アクセルが案内された部屋の前で、千冬が苦々しげに呟く。

 もっとも、最初にアクセルと肌を重ねてから、既に数度抱かれている。

 それを思えば、千冬の口から出たのは照れ隠しに近いのかもしれない。

 

「ま、俺が必要になったらいつでも呼んでくれ。ただし、アルコールと部屋の片付け以外でな。独り寝が寂しいとかなら、俺は歓迎するぞ?」

「ばっ!」

 

 アクセルの腕の中ではブリュンヒルデと呼ばれた最強の女ではなく、一人の女に戻れるということを知っていた千冬は、頬を赤く染めて叫ぼうとして……何とか声を抑えることに成功する。

 そんな千冬の様子に笑みを浮かべ、アクセルは扉を開く。

 

「あら、お帰りなさい。食事にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」

 

 アクセルを出迎えたのは、裸エプロン……もとい、水着エプロンという格好をした、水色の髪の女だった。

 

「更識ーっ!」

 

 そんな女の姿を見て、千冬の怒声が響き渡る。

 

「あら、残念。先生でしたか」

 

 残念と書かれた扇子を手にし、アクセルのルームメイトとなるIS学園生徒会長は笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

「な、なぁ。あんたが2人目の男の操縦者なんだよな? 俺は織斑一夏って言うんだ。男が俺だけじゃなくて安心したよ」

「そうか?」

 

 普段からレモン達10人以上の恋人と同棲をしているアクセルにとっては、周囲が女だけというのは慣れた光景だった。

 そんなアクセルの様子に、一夏は信じられないといった風に視線を向ける。

 

「お前って……もしかして大物なのかもな」

「どうだろうな」

 

 一夏に言葉を返しながらも、アクセルは少し離れた席にいる女が自分達に……より正確には一夏へと視線を向けているのに気が付いていた。

 鋭い視線と服の上からでも分かる、豊かな双丘。

 その人物が誰なのかというのは、アクセルは千冬から寝物語に聞いていた。

 

「一夏、向こうの女がお前の方を見ているけど、知り合いか?」

 

 知っているのに知らない風を装って告げると、一夏は女の方……箒に視線を向け、驚愕の表情を浮かべるとそちらに向かって足早に向かっていった。

 それを見送り……

 

「で、俺に何か用か?」

 

 視線を自分から少し離れた場所……箒とは別の方から自分を見ていた者へと目を向ける。

 そこにいたのは、金髪の縦ロールのいかにもお嬢様といった女。

 アクセルの視線を向けられたのに気が付いたのか、モデルのような歩き方で近づいてくる。

 

「貴方が二人目の男ですの?」

「そうだな、一応そういう事になっている」

 

 ですの、という言葉使いに恋人の一人であるあやかの姿を連想するアクセルだったが、それを表に出さないまま言葉を返す。

 だが、それが気に入らなかったのだろう。セシリアは不満だという感情を隠しもせずに口を開く。

 

「何ですの、その口調は。貴方、私を誰だと思ってますの!?」

「いや、知らないし」

 

 この世界では有名人でも、アクセルは違う世界の住人だ。

 目の前にいる女が誰なのかというのを、理解出来る訳がない。

 

「私は……」

 

 何かを言おうとする女だったが、ちょうどそのタイミングでチャイムが鳴り……女は渋々とその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

「我慢出来ません! このような男達がクラス代表だなんて! そもそも、日本のような後進国に……」

「うん? 俺が千冬から聞いた話だと、ブリュンヒルデの称号を持っているのは日本人の千冬だし、そもそもISを作ったのも日本人だと聞いてるが?」

「そうだ、アクセルの言う通りだ! 大体、イギリスなんて飯マズワースト国家だろ!」

「なっ、なななな、何ですって!」

「お前達、その辺にしろ。それとアルマー。私は教師だ。分かるな? 決闘でクラス代表を決めろ」

 

 

 

 

 

「生徒会長である私が訓練をしてあげるわ! アクセル君はISに乗った事が殆どないんでしょう?」

「まぁ、ないけど……そもそも、ISを倒すのにISは必要ないし」

「あのね……そんな訳ないでしょ」

「うん? じゃあ、試してみるか? あまり人に見られたくはないんだが、ルームメイトなら問題ないだろ」

「……一応織斑先生を呼んでくるわ。何かあった時の立会人は必要だし」

 

 

 

 

 

「うそっ、何でISの動きに生身でついてこられるのよ!?」

「ま、これでも腕に自信があるし。……にしても、ネギま世界の人間ならそこそこ戦えるな、これなら」

「……歩く非常識め……。全く、私の現役時代に会いたかったものだ」

 

 

 

 

 

「これがお前のIS……紅蓮だ」

「いや、試合の直前に渡されてどうしろと。一夏の機体は?」

「そっちはまだ遅れている。だからアルマーが最初にオルコットと試合だ」

「いやいや、正気か?」

「そこは本気と言って欲しいものだがな。……そもそも、お前にISが必要とは思えんが」

「千冬姉、それってどういうこと?」

「先生だ、馬鹿者」

 

 

 

 

 

「いきなさい、ブルーティアーズ!」

「ふんっ、俺にこの手の武器を使うとは。笑わせてくれる」

「何ですって!?」

「制御も甘ければ、鋭さも甘い。もう少し修行をするんだな」

「……言いましたわね。では、その大口を証明して見せなさい!」

「来い」

 

 ブルーティアーズがアクセルを捉えようとするが、その全てはアクセルに回避される。

 そうして、ファーストシフトすらまだ終わっていない機体で、アクセルは一気に前に出た。

 イグニッション・ブーストという技術があるが……アクセルが行ったのは、そんなものではなく、瞬動。

 瞬時にセシリアとの距離を詰めたアクセルに、近接用の武装を取り出そうとするセシリアだったが、その腕を掴まれ、身動きが出来なくなる。

 

「お前の負けだ、セシリア・オルコット」

「……私の、負けですわ……」

 

 

 

 

 

「ちょっ、何だよこれ! アクセルの時と違い過ぎないか!?」

「遊びはなしで、本気でいかせて貰います!」

「うわっ、おいっ、ちょっ! うわああああああああああああああぁっ!」

 

 

 

 

 

 模擬戦が終わり……セシリアはシャワーを浴びていた。

 

「アクセル・アルマー……あんな男の方がいたなんて……」

 

 小さく呟くセシリアの頬は、シャワーの熱以外の要因により赤く染まっていた。

 

 

 

 

 

「酢豚を作るのがプロポーズってのは……ちょっと無理がないか?」

「うるさいわね! 一夏に思い知らせてやるんだから!」

 

 

 

 

 

「私は、お前が教官の弟だと認めない!」

 

 ビンタの後にラウラの口から出た叫び。

 

「うわ、一夏って女難の相があるんじゃないか?」

「そうですわね。色々とトラブルに巻き込まれてますもの。その点、アクセルさんは……」

「ほう、中々面白い話をしているな。私も少し混ぜてくれないか?」

「織斑先生!?」

「あら、私も混ぜて欲しいわね」

 

 千冬の横にはいつの間にか水色の髪の女がおり、その手に持った扇子には参戦の文字が。

 

「あははは……僕の事、完全に忘れられてるような……」

 

 そして山田の近くでは、三人目の男子生徒が所在なさげに佇んでいた。

 

 

 

 

 

「お前は私の嫁にする!」

 

 一夏にキスをしたあとでそう宣言するラウラ。

 周囲にはざわめきが満ちる。

 その後、ラウラはアクセルの前に来ると、深々と頭を下げる。

 

「よろしくお願いします、お義兄様」

「……は?」

 

 

 

 

「アクセル・アルマー、ね。過去は一切不明。……面白そう」

「おい、スコール。何か妙なことを考えてないだろうな?」

「まさか。それよりも今夜は……楽しみましょう?」

 

 

 

 

 

 こうして、ISの世界は加速していく。

 本来の流れを大きく変えて、それでいながらより混沌としながら。


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