転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1518話

 既に廃棄された連合軍の基地で暮らし始めてから、十日程。

 もう少しで4月になる……つまりオペレーション・メテオの開始……そして原作の開始までのタイムリミットは着々と減ってきている。

 だが、未だに俺と凛と綾子は、この基地で生活を続けていた。

 俺はリーオーを通してMSの操縦を学び、凛はこのW世界で魔術をどこまで使えるかの調査と確認、それと料理。綾子は物干し竿を使って訓練や見回り、寝室の掃除といった事を行っている。

 ああ、ちなみに電気、ガス、水道が使えるということで、当然シャワーも使える。

 いや、厨房が使えるのだから、その辺は当然だっただろうが。

 ……正直、毎晩のように凛と綾子を抱いている以上、シャワーを使えないと次の朝には色々と困った事になるんだよな。

 お互いに色々な体液が身体に付いている以上、シャワーは必須だった。

 出来れば風呂があれば良かったんだが、生憎とこの基地には湯船のようなものは存在していない。

 それと電気以外にネット回線もきちんと繋がっており、凛と綾子の2人はこのW世界の歴史とかをきちんと勉強している。

 俺も原作知識はあるが、詳しいところまでは知らなかったので、色々と眺めたりはしていた。

 ともあれ、そんな風に嵐の前の静けさとでも呼ぶべき、ゆっくりとした時間を過ごしていたのだが……当然、いつまでもそんな日々は続かない。

 

「ハワードという方、見つかりました」

 

 俺達をここに案内してきたマフィアのメンバーがやってきたかと思うと、開口一番にそう告げたのだ。

 ちなみに、この男は最初に俺達をここに連れてきてからも、数日に1度の割合でこの基地にやってきていた。

 そうして俺達に何か足りない物はないのかを聞き、それを持ってきたり、ハワードについての情報を教えたりといった事をしていたのだが……まぁ、本音としては俺達にこの基地から出て欲しくないといったところか。

 それは別に、俺達を思っての事ではない。

 ただ純粋に、金づるとなり得るダイヤを手放したくないということだったのだろう。

 マフィアにとって、生身で俺をどうこう出来ない以上、こうして機嫌を取るしかない。

 いやまぁ、本当にどうしようもなくなれば、マフィアらしく武力に訴えてくるかもしれないが……そうなった場合、自分達の被害も大きいというのは理解しているのだろう。

 実際には大きいどころじゃないんだが。

 何しろ、もしそうなればこっちもMSを十分に使える訳で……そうなると、恐らく向こうに勝ち目はない。

 どうしても対処するには、それこそ連合軍を連れてくるしかない。

 ただ、こっちには切り札が何枚も存在しているのだから、最終的に向こうは壊滅的な被害を受けるだろう。

 ともあれ、向こうも馬鹿じゃない。そんな真似を……いや、俺達が本気でそこまでの力を持っているのかどうかというのは、向こうには分からない。

 だとすれば、もしかしたらそんな風に手を出してくる可能性は十分にあるか?

 ともあれ、それはそうなった時の事だ。

 今必要なのは、念願のハワードについてだろう。

 

「それで、ハワードにはどうやって接触するんだ?」

「はい。それについては、こちらの方で表の企業の者に手を回して接触させて貰っています。早ければ今日……遅くても数日中には連絡があるかと」

「へぇ……随分と手際がいいな。こう言ってはなんだけど、俺のようにあからさまに怪しい奴を相手にして、そこまで頑張ってくれるとは思っていなかった」

 

 これは、紛れもない事実だ。

 出会いについては色々と最悪なものがあったが、それでもマフィア達が俺に対して取っている態度は、明らかに過剰とも言えるものだった。

 まぁ、それだけこっちを買っていると思っているんだろうが。

 

「こちらとしては、お得意さんになってくれる相手に対しては手間暇を惜しんだりはしません。それに……」

「それに?」

「ボスの勘は今まで何度も私達を救ってくれましたから。今ではファミリーの中にボスの勘を疑う者はいませんよ」

「へぇ……勘か」

 

 勘。そう言ってしまえば胡散臭いものだが、勘というのは基本的にこれまでの経験からくる無意識の判断力だ。……ここで基本的にとつけたのは、中にはそんな経験ではなく、本物の勘……いわゆる第六感というものも存在している為だ。

 それこそ、俺の念動力なんかもそっちに入るだろう。

 もしかしたら、このファミリーのボスも俺みたいに念動力を持っているのかもしれないな。

 ともあれ、俺が念動力を持っているだけに、勘という言葉でも納得してしまう。

 

「そうか、分かった。お前達のボスには感謝の言葉を言っておいてくれ」

「はい」

 

 向こうがこちらに敵対したり、騙し討ちをするつもりがないのなら、こちらとしても友好的に接するのは悪い話じゃない。

 いや、寧ろ本能的に俺の危険が分かるという事は、俺を裏切るという行為をする事はまずないと考えてもいい筈だ。

 ハワードとの連絡が取れたらそのまま縁を切るつもりだったが……もう少し様子を見た方がいいのかもしれないな。

 

「そう言えば、ハワードという人物、正式にはマイク・ハワードというらしいですね。名前が分かってれば、もう少し簡単に調べる事が出来たのですが」

「マイク・ハワード? ああ、フルネームはそういう名前だったのか」

 

 原作でもハワード、ハワードとばかり呼ばれていたから、本名は覚えてなかった。

 いや、それともマイク・ハワードと呼ばれた事そのものがなかったのか?

 理由はともあれ、ハワードが見つかったというのは非常に嬉しい。

 そうなると……

 

「それで、向こうとの面会はどうなってる? 出来る限り早く会いたいんだが」

「……そうですね。こちらとしても一応手は尽くしていますが、そもそもこの近辺にいる訳ではないので、会うにしてももう数日は掛かるかと」

 

 あー、そうだよな。俺達みたいに転移魔法やシステムXNを実用化してる訳じゃないんだし、そうなれば当然向こうもこっちに来るのに時間が掛かるのか。

 そうなると、さて、どうしたものやら。

 可能であれば、すぐにでも会いたいのは間違いない。

 そもそも、オペレーション・メテオまでのタイムリミットは迫っていて、トールギスも未完成のままで俺の空間倉庫の中に入っている。

 まぁ、未完成といっても、昔に完成した機体ではあるのだから、実際にはオーバーホールをするという表現が正しいんだろうが。

 ともあれ、オーバーホールをするにしても、量産型Wやバッタじゃないんだから今日頼んで明日もう出来てましたなんて風にはならない。

 どうしてもある程度の時間は必要とするだろう。

 そうである以上、出来る限り早くハワードと接触をするのがいいのだが……

 いや、ここで無理を言っても仕方がないか。

 そもそも、今の時点でマフィア達にはかなりの無理をさせている筈だ。

 これ以上の無理をさせるような真似をすれば、必ずどこかでヘマをする。

 トールギスに関しての行為だけに、ヘマをしてスペシャルズやロームフェラ財団辺りに見つかるような事になってしまえば、最悪サラマンダーやミロンガ改、ニーズヘッグといった機体を出す必要が出てくる。

 そうなれば、折角今日まで殆どスペシャルズや連合軍に注目されないようにしていたのが、台無しになる。

 そう考えると、やっぱりこっちとしては慎重に動いて貰うのが一番か。

 ただ、ハワードに会う前にやっておくべき事もある。

 

「そうか、分かった。じゃあハワードと接触は出来る限り早めに……けど、無理をしない程度で頼む。それと、MS運搬用のトレーラーを用意してくれ」

「それは……少し難しいですね。推進剤の類であれば、消耗品だけに幾らでも誤魔化しはききますが、物がMS運搬用のトレーラーとなると……」

 

 出来ない事もないですが……と言葉を濁す男。

 何を言いたいのかというのは、すぐに分かった。

 まぁ、ここまで俺達を厚遇していたのは、あくまでも向こうの利益になると判断していたからだ。

 つまり、最初に見せたダイヤの類を目当てにしたものだったのだろう。

 それに、実際MS運搬用トレーラーのような物を用意するのは難しいという一面があるのも事実だ。

 連合軍との繋がりがあっても、それだけでどうにか出来る……という訳ではないのだろう。

 俺も向こうにただ働きをさせるつもりはないし、ある程度の報酬は前払いする必要があるか。

 ポケットへと手を入れ、男に見えないようにしながら空間倉庫からダイヤの入っている革袋を取り出す。

 そして俺がポケットから取り出した革袋を見て、男の表情が一瞬だけ変わる。

 へぇ、欲しがっていたダイヤが目の前にあるのに、表情を動かすのは一瞬だけか。

 この辺、少しこの男を見くびっていたのかもしれない。

 ともあれ、革袋の中に入っている幾つものダイヤの中から、2つだけを取り出して男に渡す。

 

「これは、ここを用意して貰った件や、推進剤の件を含めての代金だ。これがあればMS運搬用のトレーラーは用意出来るか? 勿論連合軍に見つからないようにしてだ」

 

 ここでスペシャルズの名前を口に出さないのは、単純にまだスペシャルズ自体はそこまで有名ではないからだ。

 いや、勿論精鋭部隊として有名なのは知っているし、少しニュースの類を調べた限りでもその辺の名前は出て来た。

 だがそれでも、スペシャルズは思っていたよりも表には出ていない。

 少なくても、連合軍を相手にクーデターを起こすだけの戦力があるかと言われれば、殆どの者は否と答えるだろう。

 この辺、トレーズやレディ・アンの手腕が発揮されている形か。

 ともあれ、俺の口からスペシャルズという言葉が口に出なかったのを不審に思うような様子もなく、男はダイヤ2つを受け取る。

 

「これは……」

「これだけあれば、そちらとしても満足だろ? ああ、勿論これで全部って訳じゃない。ハワードとの橋渡しが上手くいけば、相応の謝礼はするつもりだ」

「……分かりました。色々と難しい事もありますが、頑張ってみましょう。では、私は早速動きますので、これで失礼します」

 

 マフィアの男は、短くそれだけを言うと基地を去っていく。

 

「良かったの、アクセル。ダイヤを……それも2個もやって」

 

 凛が不満そうなのは、やっぱり宝石に対しての思い入れが色々とある為だろう。

 

「前にも言っただろ? あの程度の宝石はキブツで幾らでも作れるって」

「でも、今はホワイトスターに戻れないんでしょ? なら、出来るだけ節約した方がいいと思うけど」

「そうか? まぁ、何かあったらテロリストやマフィアのアジトに忍び込んで、金目の物を色々と失敬してくればいいだけだしな。その辺をあまり気にする必要はないって」

 

 ダイヤは大事にした方がいいのかもしれないが、今の言葉通りいざとなれば俺はどこにでも侵入が可能だ。

 そういう理由もあって、俺としては別にダイヤを大盤振る舞いしても全く困らないんだけどな。

 

「あのねぇ……いえ、アクセルに常識を話そうとした事がそもそも間違っていたわ」

「凛、しっかりしろ。傷は浅いぞ」

「あんたも色々ノリノリね」

 

 何だか凛のみが苦労性といった感じに見えるが、何だかんだと凛も色々と騒ぎを起こすことは多いというのは、聖杯戦争の時にはっきりとしている。

 いや、実際にそれを口に出せば間違いなくお前が言うなと突っ込まれるだろうが。

 

「とにかく、ようやくハワードとの伝手が出来たんだ。今日は少し豪華にいかないか?」

「豪華って? 作るのは私なんでしょ?」

「いや、街中に食べに行こうと思う」

「いいの? あまり目立ちたくないって言ってたのに」

「そうだな。けど、ハワードと会う事が出来れば、多分この街から離れるだろうし」

 

 トールギスを完成させるにしても、ここは色々と都合が悪い。

 いや、俺という存在に多少ではあるが慣れているマフィアがいるのはいいのだが、それでもトールギスという未知のMSを目にしてしまえば、色々と妙な事を考える奴も出てくるだろう。

 そうならない為にも、ハワードが本拠地にしている船……空母だったか? とにかく、それに乗り移るというのを検討した方がいい。

 そう説明すると、凛と綾子もそれぞれ頷く。

 この基地の中で自由にしていたし、時々はこっそり街に買い物に行ったりもしていた。

 だがそれでも、やっぱり基本的に自由に出歩けないというのは窮屈だったのだろう。

 特に凛も綾子も、インドア派じゃなくてアウトドア派だし。

 

「ふーん。アクセルがそれでいいのなら、私はそれでいいけど? 綾子は?」

「あたしは問題ない」

「2人が問題ないなら、早速街に向かうか。準備してきてくれ」

 

 その言葉に、凛と綾子は寝室へと向かう。

 あそこが俺達のパーソナルスペースというか、生活空間だけに、荷物の類は殆どあそこにある為だ。

 そうして20分程で準備を整え……俺達は久しぶりに夜の街でパーッと騒ぐのだった。

 アルコール抜きだけど。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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