転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1527話

 デュオやヒイロが何を思って俺の前に姿を現したのかというのは、考えるまでもなく理解出来る。

 それは、俺があのサルベージ船に持ち込んだのが、トールギス……プロトタイプ・リーオーと呼ばれる機体だったからだろう。

 本来なら今頃ヒイロはウィングガンダムの修理を1人で頑張っており、とてもではないがこっちに顔を出すような暇はなかった筈だが……それでも顔を出したくなる程に、俺の事が気になったらしい。

 いや、正確には俺じゃなくてトールギスだろうが。

 まぁ、原作だとライバル機だったんだし、何らかの因縁のようなものを感じてもおかしくはない、か?

 ともあれ、一瞬だけ俺と視線があったヒイロはそのまま去っていき、デュオも俺に小さく手を挙げるとヒイロの後を追っていった。

 そして俺はハワードに頼んでトールギスを運搬出来るトレーラーを用意して貰い、一旦陸地を移動中だ。

 ちなみにマフィアに用意して貰ったMS運搬用トレーラーの方は、このトレーラーと交換する形でハワードに譲渡した。

 ぶっちゃけ、リーオーを運ぶのに最適化されているMS運搬用トレーラーというのは、サルベージ船を使ってジャンク屋家業をしているハワードにとっては非常にありがたかったらしい。

 値段としては、トールギスを運搬出来るトレーラーの方が高いのだが……

 ともあれ、現在俺と凛、綾子の3人はトレーラーで地上を移動中だった。

 トレーラーに寝かされているトールギスは、一応シートを被っているので外見を見ただけで違和感はない筈だ。

 勿論MSに詳しければ、話は別だが……

 ただ、MSに詳しい奴ってのは軍人とかじゃなくても普通にいそうなんだよな。

 寧ろ普通の軍人よりもオタクと言われている人種の方がMSの細かい場所については詳しいだろう。

 そういう人種に見つかれば、明らかにトールギスはリーオーと違うと言われてしまいかねない。

 ……まぁ、そういう奴に何かを言われても、連合軍やOZ、ロームフェラ財団辺りに知られなければ問題はないんだが。

 

「それで、凛。どういう場所がいい?」

「そうね、当然だけど周囲にあまり人目のない場所……森の中とかがいいわね」

 

 その言葉に、綾子は少しだけ呆れたように口を開く。

 

「この大きな車で、人目につかないような森の奥にまで入っていける訳ないでしょうに」

「そうだな、綾子の言う通りだ。なら、このトレーラーで入っていける場所まで進んで、そこからは俺が空間倉庫で運んでから試すって事でいいか?」

「ええ、私はそれで構わないわ。ただ……アクセルも予想していると思うけど、このMSだっけ? それが十分に動けるだけの広さの結界となると、宝石も相当使うわよ?」

「ああ、その辺はこっちで何とかする」

 

 当然ながら、今回の結界で消費する宝石は俺が用意した……というか、持っていた物だ。

 空間倉庫の中にたっぷりと入っていた宝石、特にダイヤは宝石の中でもメジャーであり、非常に使い勝手がいいせいか、俺がOGs世界で襲ったテロリストやマフィアが持っているのは珍しくはなかった。

 勿論この調子で使い続けていればその内なくなってしまうだろうが……

 そう考えれば、基地や推進剤、トレーラーといった件で世話になったが、マフィアに少し奮発し過ぎたか?

 ただ、あのマフィアは義理と人情を重視する古き良き極道のようなマフィアだったからな。

 最終的にこっちを裏切るような真似はしなかったし、こっちも多少報酬を奮発してもいいと思った。

 まぁ、最初は盗聴器とか盗撮カメラの類を仕掛けていたが。

 ともあれ、結界を張る場所を決めるとトレーラーを運転して良さそうな場所を探していく。

 もしかしたらデュオやヒイロが俺達の様子を気にして後をつけてくるかと思ったんだが……幸いそういう事はなかったらしい。

 まぁ、デュオもヒイロも、自分のガンダムを修理する必要があるしな。

 そう簡単に俺達の後をつけてくるなんて真似は出来ないだろう。

 そうしてトレーラーで走る事、1時間程。ようやく丁度いい森を見つける。

 こういう森がそのまま残っているのは、ヨーロッパだからこそと言うべきか?

 ともあれ、話していた通りに森の中をトレーラーで進める場所まで進んでいく。

 そうしてこれ以上進めないという場所まで到着すると、トレーラーを降りて空間倉庫に収納。

 森の中を散策しながら歩いていく。

 まるでピクニックにでも来たのではないかと思えるような時間が過ぎ……やがて森の奥にも関わらず、ある程度開けた場所を発見する。

 

「凛、ここでいいか?」

「そう、ね。……ええ、問題ないわ。アクセル、宝石を」

 

 凛からの要望に従い、ダイヤの入っている革袋をそのまま渡す。

 それを受け取った凛は、その中から幾つかのダイヤを取り出すと、素早く呪文を唱え始めた。

 綾子は念の為に周囲に誰の姿もないのか警戒をしている。

 この辺、慣れた動きだと考えると、恐らくFate世界でもこういう感じに行動していたのだろう。

 まぁ、マスターとサーヴァント……半サーヴァントだと考えると、特におかしな事でもないのかもしれないが。

 そもそも、半サーヴァントってのは色々と反則的な存在だ。

 聖杯戦争の時と比べれば分かる通り、明らかに綾子は成長して、より女らしさを増しているし、サーヴァントとして人間を遙かに超える身体能力を持っている。それは、物干し竿なんて代物を自由自在に振り回しているのを見れば明らかだろうし、受肉もしている。

 普通のサーヴァントというのは、時間が経っても成長はしない。……セイバーなんかは、今の綾子を見ればエクスカリバーをぶっ放すんじゃないだろうか。

 勿論いい事ばかりじゃない。

 まず、成長するということは、年齢を重ねる……つまり、サーヴァントのように不老の存在ではない訳だ。

 また、受肉している関係で霊体化も出来なくなっている。

 人間を遙かに超える身体能力を持ってはいるが、同時に純粋なサーヴァント……セイバーやランサーといった者達に比べると、どうしても身体能力は落ちてしまう。

 まぁ、それでも大抵の世界の人間に比べると、圧倒的な能力を持っているのは事実なんだが。

 綾子も自分の能力が他のサーヴァントに比べて低いのは分かっているので、鍛錬を欠かしていないようだし。

 もしかして、ムラタ辺りとは意気投合するんじゃないだろうか。

 ロゥリィがいなくなって少し寂しそうなムラタだったが、最近では桜咲がいるから、戦う相手には苦労していなかった。

 寧ろ神鳴流を習得するという意味では、嬉々としていたというのが正しいだろう。

 そこに綾子も入っていくとなると、ムラタとしては大歓迎といったところか。

 綾子も生身の戦いなら……いや、Fate世界にいたんだから、生身の戦いに関しては十分に経験を積んできたのか?

 少なくてもこの世界では最高の訓練を施されたヒイロを相手にしても、思い切り手加減しても楽勝の未来しか見えないし。

 そんな事を考えている間に、結界の展開が終わる。

 凛に渡したダイヤの多くを使用して展開された結界。

 魔術や魔法といった存在を知っている俺から見れば、凛にしては珍しくそこに結界があると判断出来る結界だ。

 

「珍しいな。こんなに結界があるというのが分かる結界を張るなんて」

 

 結界があると他人に認識されるような結界は二流、とかいう話を以前聞いた気がするんだが。

 そんな風に思っていると、額に汗を掻いた凛が呆れたように視線をこちらへと向け、口を開く。

 

「あのね、このMSが自由に飛び回れるだけの広さの結界よ? 幾ら何でも結界に違和感を持たれない完璧な結界を張れというのは無理よ。いえ、無理じゃないけど、張るとなると宝石がこの数倍は必要よ? 使い捨ての結界の為にそんな事をしても、無意味なだけでしょ?」

「確かに」

 

 ここを俺達の拠点にするつもりで本格的な結界を張るのならともかく、今回の場合はあくまでもトールギスの試験運用だ。

 つまり、凛の言う通り使い捨ての結界な訳だ。

 それに、宝石をさっき凛に渡した数倍を使うというのは……幾ら金に余裕があるからといって、無駄に浪費する必要はない、か。

 まぁ、いざとなったら俺達と関わりのないマフィアやテロリストといった者達のアジトに潜り込んで宝石とか武器とか……上手くいけばMS辺りなんかも盗み出せるんだが。

 

「とにかく、この結界の中の光景は外から見えないようになってるけど、逆に音の類は完全な防音という訳にはいかないわ。……まぁ、こんな森の奥深くにわざわざやって来る人がいるとは思えないけど」

「もし誰かがやって来たら?」

「結界に誰かが入ったら、すぐに分かるようになってるから安心してちょうだい。綾子が通信機でアクセルに教えるから。ああ、それと結界が覆ってるのはこの森全体よ。だから森からは出ないようにしてちょうだい」

 

 ハワードから借りてきた通信機を手に告げる凛だが、俺に連絡するのは凛じゃなくて綾子なんだな。いや、機械の操作と考えればとうぜんかもしれないけど。

 一瞬通信機に盗聴器の類がついてないか気になったが、ガンダムの整備をしなければいけない以上、そんな暇はないだろう。

 

「分かった、じゃあ、頼む」

 

 空間倉庫からトールギスを取り出し、乗降ワイヤー……ではなく、混沌精霊としての力で空を飛んでコックピットへと入る。

 そうして機体を起動させていき、やがてトールギスは空中へと浮かび上がった。

 

「多分大丈夫だと思うけど、一応危なくないように木の後ろにでも隠れててくれ」

 

 中からそう告げると、二人は大人しく木の近くへと移動していく。

 それを確認してから、まず最初に軽くスラスターを噴射させる。

 森の上を移動していくトールギスだが、その速度は特にどうという事はない。

 普通に空を飛ぶ事が出来ており、空中での機体制御を試していく。

 そう言えば、エアリーズはまだ殆ど手を付けてなかったな、と思いつつ、スーパーバーニアの速度を少しずつ上げていく。

 コックピットの中にある映像モニタで、森の光景が流れていく。

 この森全体を結界で包んだという話だったが……なるほど。結構な広さだ。

 やがて最高速になると同時に、森の端が見えてくる。

 この森は相当の広さを持つ森ではあったが、それでもMSの……それもトールギスのような機動力の高い機体に掛かれば、端から端まではあっという間だ。

 ある程度余裕を持ち、森の端から距離をとったところでスーパーバーニアのスラスターを使って機体制御を行い、右へと曲がる。

 へぇ、まだ全開じゃないけど中々の俊敏さだ。

 そのまま森の端を飛び回っていたが、やがて再びスラスターを使って機体の方向を森の中心部分に向ける。

 森の中を移動しつつ、半ば強引にその場でスーパーバーニアをコントロールし、その場で半回転。

 普通のパイロットであれば、まず間違いなくGで意識を失うだろう挙動。

 まだスーパーバーニアが全開ではないので、ゼクスならGに苦しみながらも普通に操縦が可能だろう。

 そんな真似をしながら、やがてある程度スーパーバーニアの慣らしを終えたと判断すると、その出力を上げていく。

 見る間に近づいてくる森の端。

 このままでは凛が張った結界から飛び出てしまう……というところで、一回転するようにして方向転換をする。

 これ以上ない程に強引な機体制御。

 トールギスの操縦に慣れたゼクスでも滅多にやらないだろう行動。

 ……いや、原作だと何度かやってたか?

 そんな機体制御をしながらも、Gというものには……正確には物理現象でダメージを負う事のない俺は、原作を思い出すような余裕すらあった。

 そもそも、この程度のGでどうにかなっていては、ニーズヘッグ……いや、シャドウミラーの機体に乗るのは無理だろうという思いがある。

 シャドウミラーの機体は、基本的にどの機体も高い機動力を持っている物が多い。

 だが当然ながら高い機動力を持っているという事は、操縦する際に高いGを受ける事になる。 

 それを何とかする為に、シャドウミラーのメンバーはエヴァとの戦いのように生身での訓練も積んでいるのだから。

 勿論マクロス世界から得たISCのようにGを一時的にキャンセル出来るようなシステムも積んでいる。

 だが、それはあくまでも一時的な物であり、結局のところは一定までしかGを貯め込む事は出来ない。

 そう考えれば、耐G能力というのはシャドウミラーにおいて必須のものと言える。

 ……まぁ、ネギま世界の住人と正面からやり合えるだけの身体能力があれば、Gに対しても強い耐久力を持つ事になるのは間違いないのだが。

 そんな風に考えながらも俺はトールギスを色々と操縦し……機体に特に何の問題もなく、普通に動かせるということを確認するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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